VS CodeでのRoo-ClineとLLMの設定ガイド(Windows上)

【概要】 VS Code(プログラミング向けテキストエディタ)でRoo-Cline(AIコーディング支援拡張機能)を活用することで,AIコーディング環境を構築できる.Roo-Clineは,DeepSeek v3(MITライセンスの大規模言語モデル),OpenAI,Anthropic(Claude),Google Geminiといった複数のLLM(大規模言語モデル)をAPIキー(サービスへのアクセスに必要な認証情報)を用いて容易に切り替えて使用できる点が特徴である.Continue拡張機能と連携することで,自然言語での指示に基づいたコード生成や編集,デバッグなどをスムーズに行うことができる.

【目次】

用語説明

DeepSeek v3は,DeepSeek社が開発した大規模言語モデル(人工知能による高度な言語処理システム)である.GPT-4やClaude 3.5 Sonnetと同等の性能を持ちながら,コスト効率に優れている.数学的推論,プログラミング,中国語処理で高い性能を発揮し,MITライセンス(オープンソースソフトウェアのライセンス形態)で公開されているため,研究・商用利用が可能である.APIを通じて利用できる.効率的な学習手法とシステム構成の最適化により,特にプログラミング能力に優れている.

Roo-Clineは,VS Code(プログラミング向けテキストエディタ)およびCursorエディタで使用できる,オープンソースのAIコーディング支援拡張機能(エディタの機能を拡張するプログラム)である.AIを活用して,コマンドライン操作,ファイル編集,作業の自動化などを支援する.DeepSeek v3,Claude,GPT,Geminiなど複数のLLMと連携でき,用途に応じて最適なモデルを選択できる.明確な指示により複雑な作業も自動化できる.MCP(Model Context Protocol,モデルとツール間の通信規約)により,LLMとツール間の連携を効率的に実現し,様々なツールやサービスと連携した高度な自動化が可能である.Clineの後継として開発されており,多くの機能追加や改善が行われている.

DeepSeek v3のAPI設定

DeepSeek v3を使用するには,APIキー(サービスへのアクセスに必要な認証情報)を取得する必要がある.

  1. DeepSeekの公式ウェブサイト(https://deepseek.com/)にアクセスする.最新情報はウェブサイトで確認すること.
  2. 「API接続」または類似のリンクをクリックする.通常,「Developers」や「API Docs」などのセクションにAPI情報がある.
  3. アカウントを登録する.APIの利用にはアカウント登録が必要である.
  4. APIキーを作成する.アカウントページまたは開発者向けページで生成できる.
  5. 生成されたAPIキーを保存する.APIキーは機密情報として安全に管理すること.

Roo-Clineの設定(推奨)

Roo-ClineはLLMプロバイダーの管理が容易で,複数のLLMを簡単に切り替えられる.以下の手順で設定する.

  1. VS Codeの拡張機能マーケットプレイス(追加機能を提供する場所)で「Roo-Cline」を検索してインストールする.
  2. VS Codeを再起動する(重要).
  3. Roo-Clineの設定を開く(「ファイル > 基本設定 > 設定」で「Roo-Cline」を検索).
  4. 「Api Provider」の設定で使用するプロバイダーを選択する.

各プロバイダーの設定手順

DeepSeek

  1. 「Api Provider」で「Custom」を選択する.
  2. 「Custom Api Base Url」に`https://api.deepseek.com`を入力する.
  3. 「Custom Api Model」に`deepseek-chat`を入力する.
  4. 「Custom Api Key」にDeepSeekのAPIキーを入力する.

OpenAI

  1. 「Api Provider」で「OpenAI」を選択する.
  2. OpenAIのウェブサイト(https://platform.openai.com/)でAPIキーを取得する.
  3. 「Openai Api Key」に取得したAPIキーを入力する.
  4. 必要に応じて,「Openai Model」でモデル(例:`gpt-3.5-turbo`,`gpt-4`)を選択する.

Anthropic(Claude)

  1. 「Api Provider」で「Anthropic」を選択する.
  2. Anthropicのウェブサイト(https://console.anthropic.com/)でAPIキーを取得する.
  3. 「Anthropic Api Key」に取得したAPIキーを入力する.
  4. 必要に応じて,「Anthropic Model」でモデル(例:`claude-v1`,`claude-instant-v1`,`claude-2`)を選択する.

Google Gemini

  1. 「Api Provider」で「Google Gemini」を選択する.
  2. Google Cloud Platform(クラウドサービス基盤)でプロジェクトを作成し,Gemini APIを有効にする.
  3. Google Cloud ConsoleでAPIキーを作成する.
  4. 「Gemini Api Key」に取得したAPIキーを入力する.
  5. 「Gemini Project Id」にGoogle Cloud Project IDを入力する.
  6. 必要に応じて,「Gemini Model」でモデルを選択する.

各プロバイダー固有の設定項目(例:モデル名,コンテキストサイズ,温度など)は,Roo-Clineの設定画面で確認できる.

重要な注意点

Continue拡張機能との連携(推奨)

Continueと連携する場合,Continueの設定でモデルとしてRoo-Clineを指定する.`continue.json`の設定例は以下の通りである.`provider`に`custom`を指定し,`path`に`roocline`を指定することで,Roo-Cline経由でLLMを利用できる.

```json { "models": [ { "title": "Roo-Cline", "provider": "custom", "path": "roocline" } ], "defaultModel": "Roo-Cline" } ```

この設定により,ContinueはRoo-Clineにリクエストを送信し,Roo-Clineが選択されたLLMプロバイダー(DeepSeek,OpenAI,Anthropic,Geminiなど)にリクエストを中継する.

追加情報

Roo-ClineはClineの実質的な後継版として,多くの機能と安定性を提供している.APIプロバイダーの管理,プロンプト管理,操作性の改善など,様々な強化が行われている.Clineを使用している場合は,Roo-Clineへの移行を推奨する.