a 単語の特徴ベクトルと類似検索(Word2vec を使用)の Colab プログラムによる実験・研究スキルの基礎

単語の特徴ベクトルと類似検索(Word2vec を使用)の Colab プログラムによる実験・研究スキルの基礎

【概要】Word2vecを使用した単語の特徴ベクトル化と類似検索の基礎を学ぶための教材である。単語のベクトル表現、類似度計算、類似単語検索、意味的関係の発見という4つの機能を通じて、自然言語処理の基本概念を実践的に理解できる。Google Colabで実行可能なプログラムを用いて、約300万語の語彙から任意の単語を選択し、実験・研究の基本スキルを習得する。

Colab のページ(ソースコードと説明): https://colab.research.google.com/drive/1E86OSq90AyI1z-ULE6hNoVmpCJ_7fCR8?usp=sharing

Word2vecの実行例を示す画面
類似単語検索の結果を示す画面

【目次】

  1. 用語リスト
  2. プログラム利用ガイド
  3. プログラムの説明
  4. 実験・研究スキルの基礎:Google Colabで学ぶWord2vec実験

用語リスト

プログラム利用ガイド

1. このプログラムの利用シーン

このプログラムは、Word2vecの動作原理と応用例を学習するためのデモンストレーションである。単語のベクトル表現、類似度計算、意味的関係の発見など、自然言語処理の基礎概念を実際のデータで体験できる。

2. 主な機能

3. 基本的な使い方

  1. Colab のページを開く。

    Colab のページ(ソースコードと説明): https://colab.research.google.com/drive/1E86OSq90AyI1z-ULE6hNoVmpCJ_7fCR8?usp=sharing

  2. セル1、セル2 を順番に実行する。

    最初の実行時には約2GBのモデルファイルがダウンロードされる(数分かかる場合がある)。モデルのロードには約2分を要する。

  3. 結果の確認。

    各セクションで以下の結果が順次表示される。

    • 単語の300次元ベクトル
    • 単語ペア間の類似度数値
    • 類似単語の検索結果(上位10件)
    • ベクトル演算による意味的関係の発見結果

4. 便利な機能

プログラムの説明

概要

このプログラムは、Word2vecを使用して英単語を300次元のベクトル表現に変換し、単語間の意味的類似度の計算、類似単語の検索、単語間の意味的関係性の発見を行うデモンストレーションである。

主要技術

Word2vec

Word2vecは、2013年にGoogleのTomas Mikolovらによって開発された自然言語処理技術である。単語を密なベクトル表現に変換し、単語の意味的特徴を数値で捉える。Skip-gramとCBOW(Continuous Bag of Words)の2つのアーキテクチャを持ち、大規模コーパスから単語の分散表現を学習する。

コサイン類似度

コサイン類似度は、ベクトル空間モデルにおいて2つのベクトル間の類似性を測定する手法である。ベクトル間の角度のコサイン値を計算することで、-1から+1の範囲で類似度を表現する。ベクトルの大きさに依存せず、方向性のみを考慮する。

技術的特徴

実装の特色

参考文献

[1] Mikolov, T., Chen, K., Corrado, G., & Dean, J. (2013). Efficient Estimation of Word Representations in Vector Space. arXiv:1301.3781. https://arxiv.org/abs/1301.3781

[2] Mikolov, T., Sutskever, I., Chen, K., Corrado, G., & Dean, J. (2013). Distributed Representations of Words and Phrases and their Compositionality. In Proceedings of NIPS 2013.

[3] Řehůřek, R., & Sojka, P. (2010). Gensim: Topic Modelling for Humans. https://radimrehurek.com/gensim/

[4] Salton, G., Wong, A., & Yang, C. S. (1975). A Vector Space Model for Automatic Indexing. Communications of the ACM, 18(11), 613-620.

実験・研究スキルの基礎:Google Colabで学ぶWord2vec実験

1. 実験・研究のスキル構成要素

実験や研究を行うには、以下の5つの構成要素を理解する必要がある。

1.1 実験用データ

このプログラムでは以下が実験用データである。

1.2 実験計画

何を明らかにするために実験を行うのかを定める。

計画例は以下のとおりである。

1.3 プログラム

実験を実施するためのツールである。このプログラムはGensimライブラリのWord2vec実装を使用している。

1.4 プログラムの機能

このプログラムは単語のベクトル表現と意味的関係を分析する4つの機能を提供する。

機能1:単語の特徴ベクトル表示

機能2:単語間の類似度計算

機能3:類似単語検索

機能4:ベクトル演算による意味的関係の計算

1.5 検証(結果の確認と考察)

プログラムの実行結果を観察し、単語間の関係性や類似度の妥当性を考察する。

基本認識は以下のとおりである。

観察のポイントは以下のとおりである。

2. 間違いの原因と対処方法

2.1 プログラムのミス(人為的エラー)

プログラムがエラーで停止する

モデルのダウンロードが進まない

モデルのロードに失敗する

単語が見つからないというエラーが出る

2.2 期待と異なる結果が出る場合

類似度が予想より低い(または高い)

類似単語検索の結果に無関係な単語が含まれる

ベクトル演算の結果が期待と異なる

同じ単語が類似単語検索の結果に出現しない

製品名や固有名詞で期待した結果が得られない

3. 実験レポートのサンプル

技術用語における意味的類似性の検証

実験目的:技術製品に関する単語(スマートフォン、タブレット、OS)の意味的類似度を測定し、Word2vecがこれらの関係性をどの程度捉えているかを検証する。

実験計画:以下の3つのカテゴリから代表的な単語を選択し、カテゴリ内とカテゴリ間の類似度を比較する。

実験方法:プログラムのmodel.similarity()関数を使用して、すべての単語ペアの類似度を計算する。

実験結果:

単語ペア 類似度 カテゴリ関係 評価
iPhone - iPad 0.xxxx 同一メーカーの異なる製品 (高い/中程度/低い)
iPhone - Android 0.xxxx 競合製品 (高い/中程度/低い)
iPhone - Windows 0.xxxx 異なるカテゴリ (高い/中程度/低い)
iPad - tablet 0.xxxx 同一カテゴリ(固有名詞と一般名詞) (高い/中程度/低い)
Windows - iOS 0.xxxx 競合OS (高い/中程度/低い)

類似単語検索の結果:

基準単語:iPhone

考察:

結論:

ベクトル演算による意味的関係の発見

実験目的:「王-男性+女性=女王」のような意味的関係がベクトル演算で表現できるかを検証し、どのような関係性が成立するかを調査する。

実験計画:以下の4つのタイプの意味的関係について、ベクトル演算を実行し、結果の妥当性を評価する。

実験方法:model.most_similar()関数のpositiveパラメータとnegativeパラメータを使用し、各演算の上位5件の結果を記録する。

実験結果:

ベクトル演算 1位の結果 類似度 妥当性
king - man + woman (単語) 0.xxxx (期待通り/部分的に妥当/妥当でない)
brother - man + woman (単語) 0.xxxx (期待通り/部分的に妥当/妥当でない)
Newyork - USA + Japan (単語) 0.xxxx (期待通り/部分的に妥当/妥当でない)
running - run + walk (単語) 0.xxxx (期待通り/部分的に妥当/妥当でない)

詳細な結果(各演算の上位5件):

king - man + womanの結果:

考察:

結論: