InsightFace buffalo_l 顔認識実験プログラムによる実験・研究スキルの基礎
【概要】InsightFaceのBuffalo_lモデルを用いた顔認識実験プログラムの使用方法と、実験・研究スキルの基礎を解説する。プログラムは2つの画像から顔を検出し、コサイン類似度による同一人物判定を行う。Google Colab環境で動作し、顔検出、特徴抽出、類似度計算の一連の処理を実行する。実験計画、データ準備、結果の検証まで、研究の基本プロセスを学習できる。
Colabのページ(ソースコードと説明): https://colab.research.google.com/drive/13fXJ4f2dF-53YI_6i_rAJl17cuYuLE91?usp=sharing
【目次】
プログラムの使用法
1. このプログラムの利用シーン
2つの画像に写っている人物が同一人物であるかを判定するプログラムである。家族写真の整理、複数の写真から特定人物を検索する場面、本人確認が必要な場面などで利用できる。
2. 主な機能
- 顔検出:画像内のすべての顔を自動検出する
- 顔認証:2つの画像間で顔の類似度を計算し、同一人物か否かを判定する
- 複数顔への対応:画像内に複数の顔が存在する場合、すべての顔を検出して判定を行う
- 結果の可視化:検出された顔をバウンディングボックスと顔IDで表示する
3. 基本的な使い方
- 処理する画像を準備しておく
- Colabのページを開く
Colabのページ(ソースコードと説明): https://colab.research.google.com/drive/13fXJ4f2dF-53YI_6i_rAJl17cuYuLE91?usp=sharing
- プログラムを実行すると、まず画像1のアップロード画面が表示される
- 判定の基準となる顔が写っている画像を選択する。画像内に複数の顔がある場合、最も信頼度の高い顔が自動的に基準顔として選択される
- 次に画像2のアップロード画面が表示される
- 比較対象となる顔(または複数の顔)が写っている画像を選択する
- プログラムが自動的に顔を検出し、類似度を計算して結果を表示する
- 類似度がxxx(閾値)を超える場合は「同一人物」、xxx以下の場合は「別人」と判定される
4. 出力される情報
- 顔検出結果:バウンディングボックス、信頼度、キーポイント、埋め込みベクトルの形状
- 類似度スコア:0から1の範囲の数値(1に近いほど類似度が高い)
- 判定結果:同一人物か別人かの判定
- ビジュアル表示:元画像と検出結果を並べて表示
プログラムの説明
概要
このプログラムは、2つの画像から顔を検出し、顔認証による同一人物判定を行う。Google Colab環境で動作し、InsightFaceライブラリのBuffalo_lモデルを使用する。
主要技術
InsightFace
InsightFaceは、2次元・3次元顔分析のためのオープンソースライブラリである[1]。顔検出、顔認識、顔アライメントの機能を提供する。Buffalo_lモデルは中間サイズのモデルであり、顔検出と特徴抽出に対応する。
ArcFace
ArcFaceは、深層学習による顔認識において、クラス間の分離性を向上させる損失関数である[2]。顔画像を512次元の埋め込みベクトルに変換し、ベクトル間のコサイン類似度により同一人物判定を行う。
技術的特徴
顔検出と特徴抽出
Buffalo_lモデルは、画像から顔のバウンディングボックス、キーポイント(目、鼻、口の位置)、512次元の埋め込みベクトルを抽出する。
コサイン類似度による判定
2つの顔埋め込みベクトル間のコサイン類似度を計算する。コサイン類似度は、ベクトルの内積を各ベクトルのノルムで除算して求める。閾値xxx(本プログラムでは0.5)を基準として、同一人物か別人かを判定する。
複数顔の処理
画像内に複数の顔が存在する場合、すべての顔を検出し、基準となる顔と各顔との類似度を個別に計算する。
画像サイズに応じた描画
画像の解像度に基づいて、バウンディングボックスの線の太さ、キーポイントの円の半径、テキストのフォントサイズを調整する。
実装の特色
- Google Colab環境に対応
- ファイルアップロード機能による画像入力
- 画像1で最も信頼度の高い顔を基準顔として自動選択
- 画像2内のすべての顔との類似度計算
- 検出結果のビジュアル表示(バウンディングボックス、顔ID)
- 元画像と検出結果の並列表示
参考文献
[1] InsightFace Project. (2025). InsightFace: 2D and 3D Face Analysis Project. https://github.com/deepinsight/insightface
[2] Deng, J., Guo, J., Xue, N., & Zafeiriou, S. (2018). ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition. arXiv:1801.07698. https://arxiv.org/abs/1801.07698
実験・研究スキルの基礎:Google Colabで学ぶ顔検出実験
1. 実験・研究のスキル構成要素
実験や研究を行うには、以下の5つの構成要素を理解する必要がある。
1.1 実験用データ
このプログラムでは2つの画像ファイルが実験用データである。判定の基準となる顔が写っている画像(画像1)と、比較対象となる顔が写っている画像(画像2)を使用することで、顔認証の性能を評価できる。
1.2 実験計画
何を明らかにするために実験を行うのかを定める。
計画例を以下に示す。
- 同一人物の異なる写真を用いて、類似度の変化を観察する
- 異なる人物の写真を用いて、判定の正確性を確認する
- 画像内に複数の顔がある場合の処理を理解する
- 類似度スコアと判定結果の関係を把握する
1.3 プログラム
実験を実施するためのツールである。このプログラムはInsightFaceのBuffalo_lモデルを使用している。
- プログラムの機能を理解して活用することが基本である
- 基本となるプログラムを出発点として、将来、機能を自分で追加することができる
1.4 プログラムの機能
このプログラムは2つの画像から顔を検出し、顔認証による同一人物判定を行う。
使用する技術を以下に示す。
- InsightFace:2次元・3次元顔分析のためのオープンソースライブラリである。顔検出、顔認識、顔アライメントの機能を提供する。Buffalo_lモデルは中間サイズのモデルであり、顔検出と特徴抽出に対応する
- ArcFace:深層学習による顔認識において、クラス間の分離性を向上させる損失関数である。顔画像を512次元の埋め込みベクトルに変換し、ベクトル間のコサイン類似度により同一人物判定を行う
実験の原理を以下に示す。
- 顔検出と特徴抽出:Buffalo_lモデルは、画像から顔のバウンディングボックス、キーポイント(目、鼻、口の位置)、512次元の埋め込みベクトルを抽出する
- コサイン類似度による判定:2つの顔埋め込みベクトル間のコサイン類似度を計算する。コサイン類似度は、ベクトルの内積を各ベクトルのノルムで除算して求める。閾値xxx(本プログラムでは0.5)を基準として、同一人物か別人かを判定する
- 複数顔の処理:画像内に複数の顔が存在する場合、すべての顔を検出し、基準となる顔と各顔との類似度を個別に計算する
実験手順を以下に示す。
- プログラムを実行する
- 2つの画像をアップロードする
- プログラムが顔を検出し、類似度を計算して結果を表示する
- 類似度がxxx(閾値)を超える場合は「同一人物」、xxx以下の場合は「別人」と判定する
出力情報を以下に示す。
- 顔検出結果:バウンディングボックス(検出された顔の矩形領域の座標)、信頼度(顔検出の確信度、0から1の範囲)、キーポイント(目、鼻、口の位置座標)、埋め込みベクトルの形状(512次元のベクトル)
- 類似度スコア:0から1の範囲の数値(1に近いほど類似度が高い)、閾値xxxを基準とした判定結果
- ビジュアル表示:検出された顔をバウンディングボックスと顔IDで表示、元画像と検出結果を並列表示、画像の解像度に基づいて、バウンディングボックスの線の太さ、キーポイントの円の半径、テキストのフォントサイズが調整される
1.5 検証(結果の確認と考察)
プログラムの実行結果を観察し、顔認証の動作を考察する。
基本認識を以下に示す。
- 入力画像を変えると結果が変わる。その変化を観察することが実験である
- 「良い結果」「悪い結果」は目的によって異なる
観察のポイントを以下に示す。
- 検出された顔の数はいくつか
- 基準顔(画像1)は正しく選択されているか
- 類似度スコアはどのような値になっているか
- 判定結果(同一人物/別人)は妥当か
- 複数の顔が画像2にある場合、それぞれの類似度はどう異なるか
- 信頼度の値は妥当か
2. 間違いの原因と対処方法
2.1 プログラムのミス(人為的エラー)
モデルの読み込みに時間がかかる
- 原因:初回実行時にInsightFaceモデルをダウンロードしている
- 対処方法:これは正常な動作である。ダウンロードが完了するまで待つ
画像を読み込めない
- 原因:アップロードした画像ファイルの形式が対応していない、またはファイルが破損している
- 対処方法:JPEG、PNGなどの一般的な画像形式を使用する
2.2 期待と異なる結果が出る場合
顔が検出されない
- 原因:画像内の顔が小さすぎる、横顔や一部が隠れている、画像の品質が低い
- 対処方法:顔が写っている画像を使用する。顔のサイズが大きい画像を選ぶ
複数の顔がある画像1で、意図しない顔が基準顔として選択される
- 原因:プログラムは信頼度が最も高い顔を自動選択する
- 対処方法:基準としたい顔が写っている画像を使用するか、1人だけが写っている画像を選ぶ
同一人物なのに「別人」と判定される
- 原因:顔の角度、表情、照明条件、画像の品質などが大きく異なる
- 対処方法:類似度スコアを確認する。閾値xxxに近い値の場合、判定が難しい状況である。異なる写真で再度試す
異なる人物なのに「同一人物」と判定される
- 原因:顔の特徴が似ている、画像の品質が低い
- 対処方法:類似度スコアを確認する。閾値xxxに近い値の場合、判定が難しい状況である。明確な写真で再度試す
類似度スコアが期待と異なる
- 原因:顔認証モデルの特性、画像の条件
- 対処方法:複数の画像ペアで実験し、類似度スコアの傾向を理解する。同一人物でも条件により類似度が変化することを観察する
3. 実験レポートのサンプル
同一人物判定の精度評価
実験目的を以下に示す。
同一人物の異なる写真と、異なる人物の写真を用いて、顔認証による判定の精度を評価する。
実験計画を以下に示す。
同一人物の画像ペアと異なる人物の画像ペアを準備し、それぞれの類似度スコアと判定結果を記録する。
実験方法を以下に示す。
プログラムを実行し、以下の基準で評価する。
- 類似度スコア:0から1の範囲の数値
- 判定結果:同一人物/別人
- 正解:実際に同一人物か異なる人物か
実験結果を以下に示す。
| 画像ペア | 実際の関係 | 類似度スコア | 判定結果 | 正誤 |
|---|---|---|---|---|
| ペア1 | 同一人物 | x.xxxx | 同一人物/別人 | 正/誤 |
| ペア2 | 同一人物 | x.xxxx | 同一人物/別人 | 正/誤 |
| ペア3 | 異なる人物 | x.xxxx | 同一人物/別人 | 正/誤 |
| ペア4 | 異なる人物 | x.xxxx | 同一人物/別人 | 正/誤 |
考察を以下に示す。
- (例文)同一人物の画像ペアでは、類似度スコアがxxxを超え、「同一人物」と判定された
- (例文)異なる人物の画像ペアでは、類似度スコアがxxx以下となり、「別人」と判定された
- (例文)顔の角度や照明条件が大きく異なる画像ペアでは、同一人物でも類似度スコアが低下する傾向が見られた
- (例文)類似度スコアがxxxに近い値の場合、判定の信頼性が低下することが確認できた
- (例文)複数の顔が含まれる画像では、すべての顔に対して類似度が計算され、個別に判定が行われることが確認できた
結論を以下に示す。
(例文)本実験では、閾値xxxを基準とした顔認証による同一人物判定が、多くの場合で正確に機能することが確認できた。ただし、画像の条件(角度、照明、画質)により類似度スコアが変化するため、実用時にはこれらの要因を考慮する必要がある。