ComfyUI ユーザーガイド (Windows)
【概要】ComfyUI Desktopバージョンの使用方法を説明する。ComfyUI DesktopはノードベースのAI画像生成ツールである。Windows 10以降で動作し、15GB以上の空き容量が必要である。公式サイトからダウンロード後、自動インストールでPython環境を構築する。初回はStable Diffusion v1.5モデルをHugging Faceから取得し配置する。ワークフロー作成により高精度な画像生成が可能となる。
このガイドで学べること: ComfyUI Desktopのインストール、基本的な画像生成操作、ワークフローの読み込みと保存である。
【目次】
基礎知識
ComfyUIとは
ComfyUIは、AI画像生成のためのノードベースワークフローエディタである。ノード(処理単位)を接続することで、画像生成プロセスを構築できる。従来のテキスト入力のみの生成ツールと異なり、各処理段階を個別に制御できるため、精密で再現性の高い結果を得られる。
ComfyUIでは、各機能を独立したブロック(ノード)として表現し、それらを線で接続して処理の流れを作る。例えば、「テキスト入力ノード」→「画像生成ノード」→「保存ノード」のように視覚的に処理手順を組み立てる。
AI画像生成の基本概念
- プロンプト: AIに与える文章指示。具体的な描写により意図した結果に近づく
- モデル(Checkpoint): 学習済みのAI。モデルを変えると、画風や品質が変わる
- ワークフロー: プロンプトから最終画像までの処理手順。ノードの組み合わせで構成される
- VAE(Variational Auto-Encoder): 画像の色彩や品質を決定する
専門用語集
操作中に以下の用語が表示される。必要に応じて参照する。
- safetensors: AIモデルの安全な保存形式
- LoRA: 既存モデルに追加する調整ファイル。特定のスタイルや対象を強化する
- ControlNet: 画像の構造や構図を制御する追加ネットワーク
- Inpainting: 画像の一部分のみを修正、再生成する技術
- Upscaling: 画像解像度を向上させる処理
- CLIP: テキストをAIが理解できる数値ベクトルに変換する機能
- K-Sampler: ノイズから段階的に画像を生成する処理機能
- 潜在空間: AIが画像を数値として処理する空間
- 低VRAMモード: GPUメモリ不足時にシステムメモリを代用する機能
技術的基盤
システム構成: ComfyUIはローカルWebサーバーとして動作する。8188番ポートでWebインターフェースを提供し、実際の処理はバックグラウンドのPythonプロセスで実行される。
依存環境: ComfyUIはPython環境とPyTorch(AI計算ライブラリ)に依存する。初回インストール時にこれらの環境構築が自動実行される。大容量が必要な理由は、AI計算に必要なライブラリ群とモデルファイルの保存領域が必要であるためである。
モデルファイル: モデルファイルは数十億のパラメータを含むデータである。Stable Diffusion v1.5は約4GBのサイズである。safetensors形式はAIモデルの重みデータを格納する。「pruned-emaonly」は画像生成専用に最適化された軽量版である。
拡張機能: カスタムノードは既存機能を拡張する追加モジュールである。コミュニティが開発した特殊な処理(顔交換、3D生成など)を追加できる。ComfyUI Managerは依存関係を自動解決し、インストールを行う。
メモリ管理: AI画像生成は大量のGPUメモリを消費する。8GB未満のGPUでは、モデルを部分的にRAMに退避させる低VRAMモードが必要である。処理速度は低下するが、限られたハードウェアでも動作可能となる。
前提条件
本ガイドを実行する前に、以下の要件を満たしていることを確認する。
- Windows 10以降
- NVIDIA GPU推奨
- 約15GB以上の空き容量
インストール手順
前準備: Python のインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmdと入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。
REM Python をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM パス長制限の解除
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled /t REG_DWORD /d 1 /f
reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled
REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_PATH%" /M >nul
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul
Step 1: ComfyUI Desktopのダウンロード
公式サイトからComfyUI Desktop for Windowsをダウンロードする。
https://docs.comfy.org/installation/desktop/windows
Step 2: インストールの実行
- インストール先に最低15GB程度の空き容量があることを確認する
- ダウンロードしたインストールパッケージファイルをダブルクリックする
- セットアップウイザードの終了画面が表示される.「完了」をクリック
- 「Get Stated」と表示される.「Get Stated」をクリック
- NVIDIA CUDA, CPU の選択画面.NVIDIA のグラフィックスボードがあるときは,
NVIDIA CUDA,無いときは CPU をクリック.そして「Next」をクリック.
- インストール先はデフォルトのままで良い.「Next」をクリック.
- 設定はデフォルトのままで良い.「Install」をクリック.
- インストール中に Python 環境の設定が行われる
- インストール中に ComfyUI Desktop のサーバが起動する
よくある失敗例と対処法:
- 起動が途中で停止する: ウイルス対策ソフトが干渉している可能性がある。ComfyUIフォルダを除外設定に追加する
Step 3: モデルの配置
- ComfyUI Desktop のワークローのテンプレートに関する画面を確認
- モデルを選ぶ
- 初回利用時では,モデルがダウンロードされていないので,「ダウンロード」をクリックする。ダウンロード終了まで待つ
モデルが大きいので,ディスクの空き容量に注意.モデルが複数表示された場合は,表示されたモデルすべてをダウンロード.
8B や 14B のようにあるのは、モデルのサイズ。巨大なモデル(例:8Bより大きいもの)は、グラフィックスボードなどのメモリが足りずに動作しない可能性がある.
モデルは、ComfyUI/models/checkpointsフォルダに配置される
- 動作確認のため「実行する」を1回だけクリックし、結果を待つ
- 実行中であるかは,マウスと使って表示できる
- 結果が表示されるので確認する
- プロンプトを書き換えて再実行できる
この画面が表示されていない場合は,左側のメニューで表示.
テンプレートの種類のよっては,入力画像を必要とするものなどがあるので設定する.
Step 4: ComfyUI Manager
ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンから各種ノードのインストールなどが可能である。
Step 5: ComfyUI 3D Packのインストール
- ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンをクリック
- 「Custom Node Manager」ボタンをクリック
- 「3D」で検索し、「ComfyUI-3D-Pack」を選ぶ
- 確認したら、「install」をクリック
- 画面の指示に従い、「restart」をクリック
基本操作
最初に試すべき操作: インストール完了後、デフォルトワークフローでプロンプトを変更し「実行する」をクリックする。これにより基本的な画像生成の流れを確認できる。
基本ワークフロー構造
[テキスト入力] → [CLIP] → [プロンプト処理]
↓
[チェックポイント読み込み] → [モデル] → [ノイズ除去処理]
↓ ↓
[Empty Latent] → [潜在空間] → [K-Sampler] → [生成処理]
↓
[VAE] → [デコード] → [最終画像] → [保存]
ワークフロー解説:
- テキスト入力→CLIP: 文章を数値ベクトルに変換
- Empty Latent: 生成する画像サイズの空白領域を準備
- K-Sampler: ノイズから段階的に画像を生成(通常20〜50ステップ)
- VAE: 数値データを実際の画像に変換
UI要素のガイド
ComfyUI インターフェース:
1. [キュー(Queue)] ボタン(右上) - 生成実行
2. [ワークフロー(Workflows)] - ワークフロー管理
3. [Manager] ボタン - ノード管理
4. ワークフロー表示エリア - ノード配置場所
生成実行
「実行する」ボタンで画像生成を実行する。
具体的操作手順:
- テキストプロンプトノードに生成したい内容を入力する
- 「実行する」ボタンをクリックする
- 進行状況が表示される。完了まで待機する(通常1〜5分)
プロンプト入力
ワークフロー(処理手順)内のテキストノードにプロンプトを入力する。
パラメータ設定
主要パラメータの目安:
- Steps(ステップ数): 20〜30が標準である。多すぎると過度に詳細化し、少ないと粗い仕上がりになる
- CFG Scale: 7〜12が適切である。高すぎるとプロンプトに過度に従い不自然になる
- Seed値: 同じ値で同じ結果を再現可能である。-1でランダム生成される
別のワークフロー読み込み
「Workflows」ボタン→「Open」で読み込み、または画像やJSONファイルを直接ドラッグ&ドロップする。
よくある失敗例と対処法:
- ワークフローが読み込めない: 必要なカスタムノードが不足している可能性がある。エラーメッセージで不足ノードを確認し、Managerからインストールする
ワークフロー保存
メニューで保存、エクスポートを行う。
実践応用
ワークフローテンプレートのアクセス方法
「Workflows」のメニュー、「テンプレートを参照」からアクセス可能である。
標準搭載のワークフローテンプレート
基本的な画像生成:
- Text-to-Image: テキストから画像を生成する
- Image-to-Image: 既存画像を基に新しい画像を生成する
- Upscaling: 画像解像度を向上させる
画像編集:
- Inpainting: 画像の一部分を修正、再生成する
- Outpainting: 画像の外側を拡張する
- ControlNet: 構図やポーズを制御して画像を生成する
動画生成:
- Text-to-Video: テキストから動画を生成する
- Image-to-Video: 静止画から動画を生成する
3D生成:
- 3D Generation: 画像から3Dモデルを生成する
各テンプレートに必要なモデルは、Managerの「Install Models」から確認、インストールできる。
ComfyUI 3D Packの主なテンプレート
- ComfyUI-3D-Pack(MrForExample製)
- ComfyUI_3d_pose_editor
- ComfyUI-TripoSR
TripoSRの利用には、APIキーの取得が必要であり、有償である。
高度な活用
ディレクトリ構造
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Programs\@comfyorgcomfyui-electron\
└── ComfyUI\ # ComfyUI本体
├── main.py
├── custom_nodes\ # カスタムノード
│ ├── ComfyUI-3D-Pack\
│ └── TripoSR-ComfyUI\
├── models\ # AIモデル
│ ├── checkpoints\ # Stable Diffusionモデル
│ ├── loras\
│ └── embeddings\
└── output\ # 生成結果
コミュニティワークフローの入手法
主要プラットフォーム:
- OpenArt - https://openart.ai/workflows/templates
- ComfyWorkflows - https://comfyworkflows.com
- GitHub公式例 - https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI_examples
トラブルシューティング
メモリ不足エラー
起動設定で低VRAM(ビデオメモリ)設定を使用する。
具体的対処法:
- ComfyUI起動時に「--lowvram」オプションを追加する
- 生成解像度を512x512に下げる
- バッチサイズを1に設定する
ノードが表示されない場合
ComfyUI Desktopを再起動し、custom_nodes内のフォルダ構造および__init__.pyファイルの存在を確認する。
よくある失敗例と対処法:
- カスタムノードのインストール失敗: Managerで「Install Missing Custom Nodes」を実行する
- Python依存関係エラー: 該当ノードをアンインストールし、再インストールを試す