ComfyUI ユーザーガイド (Windows)

【概要】ComfyUI Desktopバージョンの使用方法を説明する。ComfyUI DesktopはノードベースのAI画像生成ツールである。Windows 10以降で動作し、15GB以上の空き容量が必要である。公式サイトからダウンロード後、自動インストールでPython環境を構築する。初回はStable Diffusion v1.5モデルをHugging Faceから取得し配置する。ワークフロー作成により高精度な画像生成が可能となる。

このガイドで学べること: ComfyUI Desktopのインストール、基本的な画像生成操作、ワークフローの読み込みと保存である。

【目次】

  1. 基礎知識
  2. 前提条件
  3. インストール手順
  4. 基本操作
  5. 実践応用
  6. 高度な活用
  7. トラブルシューティング

基礎知識

ComfyUIとは

ComfyUIは、AI画像生成のためのノードベースワークフローエディタである。ノード(処理単位)を接続することで、画像生成プロセスを構築できる。従来のテキスト入力のみの生成ツールと異なり、各処理段階を個別に制御できるため、精密で再現性の高い結果を得られる。

ComfyUIでは、各機能を独立したブロック(ノード)として表現し、それらを線で接続して処理の流れを作る。例えば、「テキスト入力ノード」→「画像生成ノード」→「保存ノード」のように視覚的に処理手順を組み立てる。

AI画像生成の基本概念

専門用語集

操作中に以下の用語が表示される。必要に応じて参照する。

技術的基盤

システム構成: ComfyUIはローカルWebサーバーとして動作する。8188番ポートでWebインターフェースを提供し、実際の処理はバックグラウンドのPythonプロセスで実行される。

依存環境: ComfyUIはPython環境とPyTorch(AI計算ライブラリ)に依存する。初回インストール時にこれらの環境構築が自動実行される。大容量が必要な理由は、AI計算に必要なライブラリ群とモデルファイルの保存領域が必要であるためである。

モデルファイル: モデルファイルは数十億のパラメータを含むデータである。Stable Diffusion v1.5は約4GBのサイズである。safetensors形式はAIモデルの重みデータを格納する。「pruned-emaonly」は画像生成専用に最適化された軽量版である。

拡張機能: カスタムノードは既存機能を拡張する追加モジュールである。コミュニティが開発した特殊な処理(顔交換、3D生成など)を追加できる。ComfyUI Managerは依存関係を自動解決し、インストールを行う。

メモリ管理: AI画像生成は大量のGPUメモリを消費する。8GB未満のGPUでは、モデルを部分的にRAMに退避させる低VRAMモードが必要である。処理速度は低下するが、限られたハードウェアでも動作可能となる。

前提条件

本ガイドを実行する前に、以下の要件を満たしていることを確認する。

インストール手順

前準備: Python のインストール

管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmdと入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。

REM Python をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements

REM パス長制限の解除
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled /t REG_DWORD /d 1 /f
reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled

REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_PATH%" /M >nul
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul

Step 1: ComfyUI Desktopのダウンロード

公式サイトからComfyUI Desktop for Windowsをダウンロードする。

https://docs.comfy.org/installation/desktop/windows

ComfyUI Desktop公式ダウンロードページ

Step 2: インストールの実行

  1. インストール先に最低15GB程度の空き容量があることを確認する
  2. ダウンロードしたインストールパッケージファイルをダブルクリックする
  3. セットアップウイザードの終了画面が表示される.「完了」をクリック
  4. 終了
  5. 「Get Stated」と表示される.「Get Stated」をクリック
  6. Get Started
  7. NVIDIA CUDA, CPU の選択画面.NVIDIA のグラフィックスボードがあるときは, NVIDIA CUDA,無いときは CPU をクリック.そして「Next」をクリック.
    選択画面
  8. インストール先はデフォルトのままで良い.「Next」をクリック.
    インストール先
  9. 設定はデフォルトのままで良い.「Install」をクリック.
    インストール先
  10. インストール中に Python 環境の設定が行われる
    Python 環境
  11. インストール中に ComfyUI Desktop のサーバが起動する
    ComfyUI Desktop のサーバが起動する

よくある失敗例と対処法:

Step 3: モデルの配置

  1. ComfyUI Desktop のワークローのテンプレートに関する画面を確認
  2. ComfyUI Desktop のワークローに関する画面

    この画面が表示されていない場合は,左側のメニューで表示.

  3. モデルを選ぶ
  4. 初回利用時では,モデルがダウンロードされていないので,「ダウンロード」をクリックする。ダウンロード終了まで待つ

    モデルが大きいので,ディスクの空き容量に注意.モデルが複数表示された場合は,表示されたモデルすべてをダウンロード.

    8B や 14B のようにあるのは、モデルのサイズ。巨大なモデル(例:8Bより大きいもの)は、グラフィックスボードなどのメモリが足りずに動作しない可能性がある.

    モデルダウンロード中の画面

    モデルは、ComfyUI/models/checkpointsフォルダに配置される

  5. 動作確認のため「実行する」を1回だけクリックし、結果を待つ
  6. 実行ボタンクリック後の画面
  7. 実行中であるかは,マウスと使って表示できる
  8. 結果が表示されるので確認する
  9. 画像生成結果の表示
  10. プロンプトを書き換えて再実行できる

テンプレートの種類のよっては,入力画像を必要とするものなどがあるので設定する.

Step 4: ComfyUI Manager

ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンから各種ノードのインストールなどが可能である。

ComfyUI Managerボタンの位置

Step 5: ComfyUI 3D Packのインストール

  1. ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンをクリック
Managerボタンをクリック
  1. 「Custom Node Manager」ボタンをクリック
Custom Node Managerボタン
  1. 「3D」で検索し、「ComfyUI-3D-Pack」を選ぶ
ComfyUI-3D-Packの検索結果
  1. 確認したら、「install」をクリック
installボタンをクリック
  1. 画面の指示に従い、「restart」をクリック

基本操作

最初に試すべき操作: インストール完了後、デフォルトワークフローでプロンプトを変更し「実行する」をクリックする。これにより基本的な画像生成の流れを確認できる。

基本ワークフロー構造

[テキスト入力] → [CLIP] → [プロンプト処理]
      ↓
[チェックポイント読み込み] → [モデル] → [ノイズ除去処理]
      ↓                              ↓
[Empty Latent] → [潜在空間] → [K-Sampler] → [生成処理]
      ↓
[VAE] → [デコード] → [最終画像] → [保存]

ワークフロー解説:

  1. テキスト入力→CLIP: 文章を数値ベクトルに変換
  2. Empty Latent: 生成する画像サイズの空白領域を準備
  3. K-Sampler: ノイズから段階的に画像を生成(通常20〜50ステップ)
  4. VAE: 数値データを実際の画像に変換

UI要素のガイド

ComfyUI インターフェース:
1. [キュー(Queue)] ボタン(右上) - 生成実行
2. [ワークフロー(Workflows)] - ワークフロー管理
3. [Manager] ボタン - ノード管理
4. ワークフロー表示エリア - ノード配置場所

生成実行

「実行する」ボタンで画像生成を実行する。

実行するボタンの位置

具体的操作手順:

  1. テキストプロンプトノードに生成したい内容を入力する
  2. 「実行する」ボタンをクリックする
  3. 進行状況が表示される。完了まで待機する(通常1〜5分)

プロンプト入力

ワークフロー(処理手順)内のテキストノードにプロンプトを入力する。

プロンプト入力欄

パラメータ設定

主要パラメータの目安:

別のワークフロー読み込み

「Workflows」ボタン→「Open」で読み込み、または画像やJSONファイルを直接ドラッグ&ドロップする。

よくある失敗例と対処法:

ワークフロー保存

メニューで保存、エクスポートを行う。

実践応用

ワークフローテンプレートのアクセス方法

「Workflows」のメニュー、「テンプレートを参照」からアクセス可能である。

ワークフローテンプレートへのアクセス

標準搭載のワークフローテンプレート

基本的な画像生成:

画像編集:

動画生成:

3D生成:

各テンプレートに必要なモデルは、Managerの「Install Models」から確認、インストールできる。

ComfyUI 3D Packの主なテンプレート

TripoSRの利用には、APIキーの取得が必要であり、有償である。

高度な活用

ディレクトリ構造

C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Programs\@comfyorgcomfyui-electron\
└── ComfyUI\                 # ComfyUI本体
    ├── main.py
    ├── custom_nodes\        # カスタムノード
    │   ├── ComfyUI-3D-Pack\
    │   └── TripoSR-ComfyUI\
    ├── models\              # AIモデル
    │   ├── checkpoints\     # Stable Diffusionモデル
    │   ├── loras\
    │   └── embeddings\
    └── output\              # 生成結果

コミュニティワークフローの入手法

主要プラットフォーム:

  1. OpenArt - https://openart.ai/workflows/templates
  2. ComfyWorkflows - https://comfyworkflows.com
  3. GitHub公式例 - https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI_examples

トラブルシューティング

メモリ不足エラー

起動設定で低VRAM(ビデオメモリ)設定を使用する。

具体的対処法:

  1. ComfyUI起動時に「--lowvram」オプションを追加する
  2. 生成解像度を512x512に下げる
  3. バッチサイズを1に設定する

ノードが表示されない場合

ComfyUI Desktopを再起動し、custom_nodes内のフォルダ構造および__init__.pyファイルの存在を確認する。

よくある失敗例と対処法: