ComfyUI ユーザーガイド (Windows)
【概要】 ComfyUI Desktopバージョンの使用方法を説明します。ComfyUI DesktopはノードベースのAI画像生成ツールです。Windows 10以降、15GB空き容量が必要。公式サイトからダウンロード後、自動インストールでPython環境を構築。手動で、最初は、Stable Diffusion v1.5モデルをHugging Faceから取得し配置。ブラウザで127.0.0.1:8188にアクセスして動作確認。ワークフロー作成で高精度な画像生成が可能になります。
目次
基礎知識
専門用語集
- safetensors: AIモデルの安全な保存形式。従来のpklファイルより安全性が高い
- LoRA: 既存モデルに追加する調整ファイル。特定のスタイルや対象を強化する
- ControlNet: 画像の構造や構図を制御する追加ネットワーク
- Inpainting: 画像の一部分のみを修正・再生成する技術
- Upscaling: 画像解像度を向上させる処理
- CLIP: テキストをAIが理解できる数値ベクトルに変換する機能
- K-Sampler: ノイズから段階的に画像を生成する処理機能
- 潜在空間: AIが画像を数値として処理する空間
- 低VRAMモード: GPUメモリ不足時にシステムメモリを代用する機能
- PyTorch: AI計算に使用される機械学習ライブラリ
- bf16/fp16: 計算精度の形式。数値の精度とメモリ使用量のバランスを調整
ComfyUIとは
ComfyUIは、AI画像生成のためのノードベースワークフローエディタである。ノード(処理単位)を接続することで、画像生成プロセスを構築できる。従来のテキスト入力のみの生成ツールと異なり、各処理段階を個別に制御できるため、精密で再現性の高い結果を得られる。
ComfyUIでは、各機能を独立したブロック(ノード)として表現し、それらを線で接続して処理の流れを作る。例えば、「テキスト入力ノード」→「画像生成ノード」→「保存ノード」のように視覚的に処理手順を組み立てる。
AI画像生成の基本概念
- プロンプト: AIに与える文章指示。具体的な描写により意図した結果に近づく
- モデル: 学習済みのAI。モデルを変えると、画風や品質が変わる
- ワークフロー: プロンプトから最終画像までの処理手順。ノードの組み合わせで構成される
- Checkpoint: AIモデルファイル。
- VAE (Variational Auto-Encoder): 画像の色彩や品質を決定する
技術的基盤
ComfyUIの動作には以下の技術が使用されている。
システム構成: ComfyUIはローカルWebサーバーとして動作する。8188番ポートでWebインターフェースを提供し、実際の処理はバックグラウンドのPythonプロセスで実行される。この構造により、ブラウザから操作しつつ、高速なAI計算を両立している。
依存環境: ComfyUIはPython環境とPyTorch(AI計算ライブラリ)に依存するため、初回インストール時にこれらの環境構築が自動実行される。ComfyUI Desktopでは、Python 3.12以上を推奨し、uvパッケージマネージャーを使用して依存関係を自動インストールする。大容量が必要な理由は、AI計算に必要なライブラリ群とモデルファイルの保存領域が必要であるためである。
モデルファイル: モデルファイルは数十億のパラメータを含むデータである。Stable Diffusion v1.5は約4GBのサイズで、860万枚の画像で学習された知識が含まれている。safetensors形式は安全なテンソル形式で、AIモデルの重みデータを格納する。「pruned-emaonly」は学習時のデータを削除した軽量版で、画像生成専用に最適化されている。
拡張機能: カスタムノードは既存機能を拡張する追加モジュールである。コミュニティが開発した特殊な処理(顔交換、3D生成など)を追加できる。ComfyUI のManagerは依存関係を自動解決し、インストールを行う。
メモリ管理: AI画像生成は大量のGPUメモリを消費する。8GB未満のGPUでは、モデルを部分的にRAMに退避させる低VRAMモードが必要である。処理速度は低下するが、限られたハードウェアでも動作可能となる。
処理システム: 「Queue」システムにより複数の生成要求を順次処理できる。GPU使用率100%を維持し、効率的な計算リソース利用を実現している。
前提条件
本ガイドを実行する前に、以下の要件を満たしていることを確認する。
- Windows 10以降
- NVIDIA GPU推奨
- 約15GB以上の空き容量
インストール手順
Step 1: ComfyUI Desktopのダウンロード
公式サイトからComfyUI Desktop for Windowsをダウンロードする。
https://docs.comfy.org/installation/desktop/windows

Step 2: インストールの実行
- インストール先に最低15GB程度の空き容量があることを確認する
- ダウンロードしたインストールパッケージファイルをダブルクリックする
- インストールが開始する。デスクトップにComfyUI Desktopショートカットが作成される
- インストーラーがPython環境設定を完了し、自動的にComfyUI Desktopインターフェースが起動する
NVIDIA GPU が無いときは,「続ける」をクリック,「CPUモードを有効にする」をチェックして, 「次へ」をクリックで,インストールを続行.インストール先を確認しておく.

よくある失敗例と対処法:
- 起動が途中で停止する: ウイルス対策ソフトが干渉している可能性がある。ComfyUIフォルダを除外設定に追加する
- 「Starting server」が表示されない: Windows Defenderがブロックしている場合がある。「詳細情報」→「実行」で許可する
Step 3: Stable Diffusion v1.5モデルの配置
Stable Diffusion v1.5モデルは以下のURLで公開されている。
公式Hugging Faceリポジトリ:
- https://huggingface.co/runwayml/stable-diffusion-v1-5
- https://huggingface.co/stable-diffusion-v1-5/stable-diffusion-v1-5
- ComfyUIの初回起動では,「モデルが見つかりません」と表示される
- 「ダウンロード」をクリック.ダウンロード終了まで待つ
- モデルは、ComfyUI/models/checkpointsフォルダに配置する。
- 動作確認のため「実行する」を1回だけクリックし,結果を待つ.
- 結果が表示されるので確認する
Step 4: ComfyUI Manager
ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンから各種ノードのインストールなどが可能である。

Step 5: ComfyUI 3D Pack のインストール
- ComfyUI Desktopの「Manager」ボタンをクリック
- 「Custom Node Manager」ボタンをクリック
- 「3D」で検索し,「ComfyUI-3D-Pack」を選ぶ
- 確認したら,「install」をクリック.
- 画面の指示に従い,「restart」をクリック.
基本操作
基本ワークフロー構造
[テキスト入力] → [CLIP] → [プロンプト処理]
↓
[チェックポイント読み込み] → [モデル] → [ノイズ除去処理]
↓ ↓
[Empty Latent] → [潜在空間] → [K-Sampler] → [生成処理]
↓
[VAE] → [デコード] → [最終画像] → [保存]
ワークフロー解説:
- テキスト入力→CLIP: 文章を数値ベクトルに変換
- Empty Latent: 生成する画像サイズの空白領域を準備
- K-Sampler: ノイズから段階的に画像を生成(通常20-50ステップ)
- VAE: 数値データを実際の画像に変換
UI要素のガイド
ComfyUI インターフェース:
1. [キュー(Queue)] ボタン(右上) - 生成実行
2. [ワークフロー(Workflows)] - ワークフロー管理
3. [Manager] ボタン - ノード管理
4. ワークフロー表示エリア - ノード配置場所
生成実行
「実行する」ボタンで画像生成を実行する。

具体的操作手順:
- テキストプロンプトノードに生成したい内容を入力する
- 「実行する」ボタンをクリックする
- 進行状況が表示される.完了まで待機する(通常1-5分)
プロンプト入力
ワークフロー(処理手順)内のテキストノードにプロンプトを入力する。

パラメータ設定
パラメータ設定の根拠:
- Steps(ステップ数): 20-30が標準である。多すぎると過度に詳細化し、少ないと粗い仕上がりになる
- CFG Scale: 7-12が適切である。高すぎるとプロンプトに過度に従い不自然になる
- Seed値: 同じ値で同じ結果を再現可能である。-1でランダム生成される
別のワークフロー読み込み
「Workflows」ボタン→「Open」で読み込み、または画像やJSONファイルを直接ドラッグ&ドロップする。
よくある失敗例と対処法:
- ワークフローが読み込めない: 必要なカスタムノードが不足している可能性がある。エラーメッセージで不足ノードを確認し、Managerからインストールする
ワークフロー保存
メニューで保存・エクスポートを行う。
実践応用
ワークフローテンプレートのアクセス方法
「Workflows」のメニュー,「テンプレートを参照」からアクセス可能である。

標準搭載のワークフローテンプレートと主要な対応モデル
基本的な画像生成:
- Text-to-Image(画像生成)
- Image-to-Image(画像から画像生成)
- Upscaling(画像解像度)
- 対応モデル: v1-5-pruned-emaonly.safetensors(SD1.5)、SD XL base model、SD XL refiner model、SD3、SD3.5
高度な画像生成:
- Flux(高品質テキスト生成・手の描画に優れる)
- Stable Cascade(高解像度生成)
- AuraFlow
- HunyuanDiT
- Lumina Image 2.0
- HiDream
- Pixart Alpha/Sigma
- Cosmos Predict2
画像編集:
- Inpainting(部分修正)
- Outpainting(画像拡張)
- ControlNet(構造制御)
- Face Swapping(顔交換)
- Flux Kontext(コンテキスト理解による画像編集)
- Omnigen2(マルチモーダル画像編集)
動画生成:
- Text-to-Video(テキストから動画生成)
- 対応モデル: wan2.1_t2v_1.3B_bf16.safetensors(1.3B parameters, bf16 precision)、wan2.1_t2v_14B_fp16.safetensors(14B parameters, fp16 precision)、umt5_xxl_fp8_e4m3fn_scaled.safetensors(text encoder)、wan_2.1_vae.safetensors(VAE)
- Image-to-Video(画像から動画生成)
- 対応モデル: wan2.1_i2v_480p_14B_fp16.safetensors(480p resolution, 14B parameters)、wan2.1_i2v_720p_14B_fp16.safetensors(720p resolution, 14B parameters)
- Stable Video Diffusion
- Mochi(高品質動画生成)
- LTX-Video(Lightricks)
- Hunyuan Video(Tencent、13Bパラメータ)
- Nvidia Cosmos/Cosmos Predict2
- Wan 2.2
3D・特殊効果:
- 3D Generation(3D生成)
- Hunyuan3D 2.0(高精度3D生成)
- SDXL(高解像度生成)
- LoRA適用(スタイル変更)
音声生成:
- Stable Audio
- ACE Step
ComfyUI 3D Pack の主なテンプレート
- ComfyUI-3D-Pack (MrForExample製)
- ComfyUI_3d_pose_editor
- ComfyUI-TripoSR
TripoSR の利用は、APIキーの取得必要、有償.
高度な活用
ディレクトリ構造
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Programs\@comfyorgcomfyui-electron\
└── ComfyUI\ # ComfyUI本体
├── main.py
├── custom_nodes\ # カスタムノード
│ ├── ComfyUI-3D-Pack\
│ └── TripoSR-ComfyUI\
├── models\ # AIモデル
│ ├── checkpoints\ # Stable Diffusionモデル
│ ├── loras\
│ └── embeddings\
└── output\ # 生成結果
コミュニティワークフローの入手法
主要プラットフォーム:
- OpenArt - https://openart.ai/workflows/templates
- ComfyWorkflows - https://comfyworkflows.com
- GitHub公式例 - https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI_examples
トラブルシューティング
メモリ不足エラー
起動設定で低VRAM(ビデオメモリ)設定を使用する。
具体的対処法:
- ComfyUI起動時に「--lowvram」オプションを追加する
- 生成解像度を512x512に下げる
- バッチサイズを1に設定する
ノードが表示されない場合
ComfyUI Desktopを再起動し、custom_nodes内のフォルダ構造およびinit.pyファイルの存在を確認する。
よくある失敗例と対処法:
- カスタムノードのインストール失敗: Managerで「Install Missing Custom Nodes」を実行する
- Python依存関係エラー: 該当ノードをアンインストールし、再インストールを試す