マークダウンのガイド
【概要】マークダウンは、シンプルな記号で文書構造を記述するマークアップ言語である。Pandocを用いることで、Word、PDF、PowerPoint等の多様な形式への変換が可能である。見出し、装飾、リスト、引用、コードブロック等の機能を備える。日本語文書では文字エンコーディングやフォント指定に注意が必要である。
【目次】
特徴
マークダウン(Markdown)は、テキスト形式で文書構造を記述するマークアップ言語である。2004年にジョン・グルーバーによって開発された。
- シンプルな記法:見出しには「#」を、リストには「-」や「*」を使用する。
- 可読性:プレーンテキスト形式のため、そのまま読める。
- 論理構造の表現:記号で文書の構造を表現する。
- 習得の容易さ:基本的な記法は短時間で習得できる。
主な機能
- 見出し:「# 第1章」、「## 1.1」、「### 1.1.1」のように、「#」の数で階層を表現する。
- 文字装飾:「**太字**」や「*斜体*」で強調する。
- リスト:
- 箇条書き:「- 項目」または「* 項目」で記述する。
- 番号付きリスト:「1. 項目」で記述する。
- 引用:「> 引用文」で引用ブロックを記述する。
- コードブロック:バッククォート3つで囲み、言語名を指定する。
```python print("Hello, World!") ``` - 表:パイプ記号(|)とハイフン(-)を使用する。
| 列1 | 列2 | |-----|-----| | A | B | - リンク:「[表示文字](URL)」でハイパーリンクを作成する。
- タスクリスト:「- [ ]」でチェックボックス付きリストを記述する。完了は「- [x]」と記述する。
- 脚注:「[^1]」と「[^1]: 説明」を組み合わせて使用する。
pandocを用いた文書変換
Pandocは、文書フォーマット間の変換を行うツールである。Markdown、Microsoft Word、HTML等に対応し、Microsoft PowerPoint(.pptx)形式への出力も可能である。
入力フォーマット
主な入力フォーマットは以下である。
- テキスト形式:Markdown、reStructuredText、AsciiDoc、LaTeX、MediaWiki
- 文書形式:Microsoft Word(.docx)、OpenOffice/LibreOffice(.odt)、HTML、EPUB、Jupyter Notebook
出力フォーマット
主な出力フォーマットは以下である。
- テキスト形式:Markdown
- 文書形式:PDF、Microsoft Word(.docx)、OpenDocument(.odt)、HTML、EPUB、LaTeX
- プレゼンテーション形式:Microsoft PowerPoint(.pptx)、Beamer、RevealJS
日本語を扱うときの注意点
- 文字エンコーディング:UTF-8(BOMなし)を使用する。
- 日本語フォントの指定:PDF出力時には、XeLaTeXエンジンを使用し、日本語フォントを指定する。
pandoc input.md -o output.pdf --pdf-engine=xelatex -V mainfont="Noto Sans CJK JP"
特殊要素の取り扱い
- 数式:LaTeX形式で記述する。
- インライン数式:「$E = mc^2$」
- ディスプレイ数式:「$$」で囲む。例:$$ \sum_{i=1}^n x_i = \frac{n(n+1)}{2} $$
- コードブロック:言語名を指定する。
```python def example(): return "Hello" ``` - 画像:相対パスを使用する。「」
変換後の確認事項
文書変換後は、以下を確認する。
- 文字エンコーディング
- 画像表示
- リンク機能
- 目次構成
- フォーマットの一貫性