グローバルアドレスとプライベートアドレス,ドメイン,DNS

【概要】 IPアドレスには,インターネット通信用のグローバルアドレスと内部ネットワーク用のプライベートアドレスがあり,DNSにより分散管理されている.DNSは,インターネット上のホストをIPアドレスとホスト名で一意に識別し,各ドメインのネームサーバがゾーン情報を管理する.主となるプライマリサーバとバックアップ用のセカンダリサーバがあり,BINDの設定ファイルで動作を制御する.

  1. グローバルアドレスとプライベートアドレス
  2. ドメイン
  3. DNS(Domain Name System)

グローバルアドレスとプライベートアドレス

IPアドレスには,グローバルアドレスとプライベートアドレスの2種類が存在する.インターネットに直接接続されるホストには,世界で唯一のグローバルアドレスが割り当てられる.これは,インターネットの管理組織によって重複が厳密に防止されている.一方,組織内のLANでは,システム管理者が規定された範囲内でプライベートアドレスを柔軟に割り当てることができる.プライベートアドレスとして利用可能な範囲は以下の通りである.
(プライベートアドレスの範囲)
10.0.0.010.255.255.255
172.16.0.0172.31.255.255
192.168.0.0192.168.255.255
例えば,3階の内部ホストには192.168.0.?,4階の内部ホストには192.168.33.?をプライベートアドレスとして割り当てることができる.また,server1,server2,server3,ns1,ns2などのインターネット接続ホストには,グローバルアドレスとして203.0.113.?が割り当てられている.プライベートアドレスは組織内ネットワークでのみ有効であるため,インターネット通信にはNATによるグローバルアドレスへの変換が不可欠である.

ドメイン

インターネット上のホストへのアクセスには,本来IPアドレスによる指定が必要である.しかし,実際にはユーザの利便性を最大限に考慮して,www.dept.example.ac.jpのような直感的な名前でアクセスが可能である.この例では,wwwがホスト名であり,dept,example,ac,jpの4つがドメイン名のラベルを構成する.これにより,以下の4つのドメインが形成される.

dept.example.ac.jp
example.ac.jp
ac.jp
jp

これらのドメインは階層的な木構造を形成しており,最上位にルートドメインが配置される.ドメイン名は,ルートに向かって順に記述し,ラベル間を"."で区切る.

DNS(Domain Name System)

ホスト名とドメイン名の組み合わせにより,ネットワーク上のホストを一意に特定できる.しかし,コンピュータによる処理には,ホスト名とIPアドレスの相互変換が必要不可欠である.小規模なLANでは,各ホストの/etc/hostsにテーブルを作成して管理することも可能であるが,ホストの更新時に全ホストのテーブル更新が必要となり,運用管理が複雑化する.また,特定のホストにテーブルを集中管理させる方式も考えられるが,インターネットのような大規模ネットワークでは,サーバ負荷と情報管理の観点から現実的ではない.この課題を効率的に解決するために設計されたのがDNSである.DNSは各ドメインで分散的にホスト名を管理することで,サーバ負荷を最適に分散できる.

ネームサーバ

DNSのサービスを提供するサーバをネームサーバと呼び,各ドメインに設置される.ネームサーバは,自身が管理するゾーン(1つ下の階層のIPアドレスとホスト名の対応関係)の情報のみをデータベースとして保持する.ゾーン(zone)とは,ドメイン名空間における管理範囲を示す.

ネームサーバのサービスを利用するクライアントをリゾルバという.リゾルバからの変換要求に対し,ネームサーバはまず自身のデータベースを検索する.該当情報が存在する場合はそれを返し,存在しない場合は他のネームサーバに問い合わせを実行する.ネームサーバには,プライマリサーバとセカンダリサーバの2種類が存在する.

DNS関連設定ファイル

DNSサービスの代表的なソフトウェアBIND(Berkeley Internet Name Domain)の設定ファイルは,通常/etc以下に配置される.