コンピュータハードウェアの概要

データの直列非同期伝送

単一の線でデータを送る方式を直列伝送という. 逆に,複数の線を用いてデータを送る方式もあり,並列伝送という. ここでは,代表的な直列伝送である直列非同期伝送について説明する.

ふつう,直列非同期伝送では, 最初,何もデータがないので,回線はハイの状態になっている. データを送るときには,まず,スタートビットが始まる. このあとに,データ1文字分のデータビット(普通8ビット)が続き, 最後にストップビットがくる. 連続的にデータを伝送するときは,スタートビット,データビット及びストップ ビットが各データ文字ごとに繰り返される.

文字伝送の速度は,各ビットの継続時間に依存する. 直列非同期伝送では,スタートビット,データビット及びストップビットの継 続時間はすべて同じでなければならない. 1秒あたりのビット数は,標準があり,110,300,600,1200, 2400,4800,9600,19200及び39400(単位はボー)である. この数字が多いほど,1秒あたりに伝送できる文字数は多くなる. スタートビット長が1ビット,データビット長が8ビット,ストップ ビット長が2ビットだとすると,1つの文字伝送には11ビットタイム必要で あり,もし伝送速度が9600ボーだとすると,1秒あたり9600/11文 字の伝送が可能である.

非同期伝送では,任意の時刻に伝送を開始することができる. すなわち,スタートビットを任意の時刻に送信することができる. 従って,ストップビットとスタートビットの間は好きなだけ開けることができ る.

バスとインタフェース

コンピュータシステムの各要素,すなわち,CPU,メモリ,入出力装置は 互いに通信しあう必要がある. これら,コンピュータを構成する各種要素は, バスと呼ばれる信号線で互いに接続されている.

コンピュータの回路基板には,CPU,RAM,ROMカードの他に,ディスクインタフェー ス,ディスプレイカードなどのインタフェース基盤があり,これら基盤が1つ のバスにつながっている. バスには,数個のコネクタはあらかじめ装着されており,これら回路基板を コネクタに押し込むことで,回路基盤の接続ができる. このように,バスとコネクタが独立したタイプの他にも, コネクタがあらかじめ装着されたマザーボードに,各種ベビーボードを接続す るタイプのものもある.

コンピュータの入出力装置は,ケーブルを介してインタフェース基板に接続さ れる. コンピュータへの入力装置には, キーボード,マウスなどがある. 出力装置には,CRTディスプレイ装置やプリンタがある.

以上のように,バスには,コンピュータシステムのすべての構成要素が接続され, データの行き来はバス上で行われる. バスでは,アドレス付け及びデータ転送が行われる. バスでのデータのやりとりでは,一般に,CPUが介在するが, CPUが 介在せずにデータ転送を行う方法(DMAなど)もある.

割り込み

外部からの信号をCPUに通知する仕組みは重要である. CPUと比べて,周辺装置の動作速度は非常に遅い. 従って,CPUが周辺装置の終了を待ち続けるようなことは, コンピュータの性能を落としてしまう. すなわち,あるディスクからデータを読み込むとき, ディスクのヘッドが指定されたデータ領域に移動するまでにかなりの時間がか かるが, その間CPUの動作を止めてディスクヘッド移動の完了を連続的に監視する ようなことを行うと,時間を無駄にしてしまう.

周辺装置の動作完了を通知するために,コンピュータのバスには,割り込み線 という制御線(一般に複数)が備わっている. 周辺装置は,動作を完了すると,適当な割り込み線の信号レベルをハイにする ことで,CPUに動作完了を通知する. プログラムが,現在実行中の動作情報を失うことなく.割り込みに対処する ことが必要である.

68000のアドレスバス

以下,68000のアドレスバスの説明を行う. PCの上位8桁は外部のピンに引き出されていない. 従って,残り24ビットのみを使うから,アドレス空間は,16Mバイトである.

アドレスバスの本数は,アドレス長32より小さくA1からA23の23本で ある. 68000では,メモリから命令語やデータを取り出すの(フェッチ)に, 一度に1ワード(=2バイト)単位で行う. 従って,アドレスバスの本数は24本ではなく,23本でよい(A0が不要).

しかし,必要なデータサイズが1バイトの場合もあり,このときは,当然なが ら,1ワード の上半分か下半分のどちらか1方だけのフェッチを行う. そのための指定には,UDS, LDS というバス制御信号を使っている.

引用文献:

Thomas C. Bartee著, 石田春久監訳コンピュータと論理設計2,丸善 株式会社 より