Ubuntu システムの基本操作ガイド
【概要】本稿では、Ubuntuシステムにおける基本操作を解説する。GNOMEデスクトップ環境でのウィンドウ操作、ターミナルを使ったLinuxコマンドの実行、テキストエディタでの文書編集、ファイル操作、およびトラブルシューティング方法を取り上げる。
【目次】
【サイト内のUbuntuセットアップ関連ページ】
- Ubuntu 24.04のインストールガイド: 別ページ »で説明
- Ubuntu 初期設定ガイド: インストール直後の主要設定項目: 別ページ »で説明
- Ubuntu システムの基本操作ガイド: 別ページ »で説明
- Ubuntu の使い方: 別ページ »で説明
- Ubuntu 24.04 開発・研究環境構築ガイド: 別ページ »で説明
- Ubuntu システムの更新ガイド: 別ページ »で説明
- Ubuntu システムの管理と運用,各種設定: 別ページ »で説明
- Ubuntu サーバ管理・セキュリティガイド: 別ページ »で説明
【外部リソース】
- Ubuntu の公式ページ(日本語版): https://jp.ubuntu.com/
- Ubuntu 24.04 の公式リリースページ:https://releases.ubuntu.com/noble/
- Ubuntu のダウンロード公式ページ(日本語版): https://jp.ubuntu.com/download
- 公式のUbuntu ミラーサイトのページ: https://launchpad.net/ubuntu/+cdmirrors
- fosswire.comのUnix/Linuxコマンドリファレンス: https://files.fosswire.com/2007/08/fwunixref.pdf
- DistroWatchのUbuntuのページ: https://distrowatch.com/table.php?distribution=ubuntu
ウィンドウマネージャ
基本操作
Superキー(多くのキーボードではWindowsロゴキー)を押すとアクティビティ概要が表示され、起動中のアプリケーション一覧、検索バー、ワークスペースが表示される。ここからアプリケーションを検索して起動する。- ウィンドウサイズの変更:ウィンドウの角をドラッグする。
- ウィンドウの移動:タイトルバーをドラッグする。
- ウィンドウの表示:重なったウィンドウは、タイトルバーをクリックすることで最前面に表示できる。
ターミナル
ターミナルは、キーボードからコマンドを入力してコンピュータを操作するテキストベースのインターフェースである。
基本操作
- 起動方法:
- アクティビティ概要から「ターミナル」を検索する。
- ショートカットキー
Ctrl+Alt+Tを使用する。
- 基本操作:コマンドを入力し
Enterキーを押すと実行される。プロンプト(通常はユーザー名@ホスト名:~$の形式)が表示された後に入力する。 - 終了方法:
exitコマンドを入力してEnterキーを押す。Ctrl+Dを押す。- ウィンドウ右上の「×」ボタンをクリックする。
- 管理者権限でのコマンド実行:パッケージのインストールやシステム設定の変更など、管理者権限が必要な操作を行う際は、コマンドの前に
sudoを付ける(例:sudo apt update)。実行時にパスワード入力を求められる(入力中、画面には何も表示されない)。
テキストエディタ
Ubuntu 24.04 LTSでは、標準のテキストエディタとして「テキストエディタ」 (GNOME Text Editor) が搭載されている。設定ファイルの編集、メモ、プログラムコードの記述などに利用できる。
基本機能
- 起動:アクティビティ概要から「テキストエディタ」を検索して起動する。
- ファイル保存:
Ctrl+Sまたはメニューから「保存」を選択する。 - 日本語入力:IBus入力システムを使用し、
Super+Spaceキーで入力方式を切り替える。 - ファイルの閉じ方:ウィンドウ右上の「×」ボタン、または
Ctrl+Qを押す。
ファイル操作
ファイルマネージャ(GUI)
Ubuntu 24.04 LTSには、標準のファイルマネージャとして「ファイル」(Nautilus) が搭載されている。グラフィカルインターフェースでファイルやディレクトリの表示、コピー、移動、削除などの操作を直感的に行える。
- 起動方法:
- アクティビティ概要から「ファイル」を検索する。
- 画面左側のドック(アプリケーションランチャー)にあるフォルダアイコンをクリックする。
- 基本操作:
- ファイルやフォルダをダブルクリックして開く。
- 右クリックメニューからコピー、切り取り、貼り付け、削除などの操作を実行する。
- ドラッグ&ドロップでファイルを移動またはコピーする。
基本的なコマンド
- 現在地の確認 (
pwdコマンド)pwd: 現在作業しているディレクトリのフルパスを表示する。
- ディレクトリ移動 (
cdコマンド)cd <ディレクトリ名>: 指定したディレクトリに移動する。cd ..: 一つ上の階層(親ディレクトリ)に移動する。cd ~またはcd: ホームディレクトリに移動する。
- ディレクトリ作成 (
mkdirコマンド)mkdir <ディレクトリ名>: 新しいディレクトリを作成する。
- ファイル一覧 (
lsコマンド)ls:ファイル・ディレクトリ名の一覧を表示する。ls -l:詳細情報(パーミッション、所有者、サイズ、更新日時など)を表示する。ls -a:隠しファイル(ドット.で始まるファイル)も含めて表示する。ls -la:隠しファイルを含む全てのファイルを詳細情報付きで表示する。
- ファイルの表示
cat <ファイル名>:ファイル内容を表示する。less <ファイル名>:ファイル内容をページ単位で閲覧する(スペースで次ページ、bで前ページ、qで終了)。
- ファイルのコピー (
cpコマンド)cp <コピー元ファイル> <コピー先ファイル>: ファイルを指定した名前でコピーする。cp <コピー元ファイル> <コピー先ディレクトリ>/: ファイルを指定したディレクトリにコピーする。cp -r <コピー元ディレクトリ> <コピー先ディレクトリ>/: ディレクトリを中身ごと再帰的にコピーする。
- ファイルの移動・名前変更 (
mvコマンド)- 名前変更:
mv <旧ファイル名> <新ファイル名> - 移動:
mv <ファイル名またはディレクトリ名> <移動先ディレクトリ>/ -iオプション: 上書きが発生する場合、実行前に確認メッセージを表示する。
- 名前変更:
- ファイルの削除 (
rmコマンド)rm <ファイル名>:ファイルを削除する。rm -i <ファイル名>:削除前に確認メッセージを表示する。rm -r <ディレクトリ名>:指定したディレクトリとその中身を再帰的に全て削除する。この操作は元に戻せない。pwdで実行するパスを確認し、注意して使用する。- 危険な操作例:以下のコマンドは絶対に実行してはならない。システム全体またはホームディレクトリ全体が削除され、復旧不可能になる。
rm -rf /:システム全体を削除する。rm -rf ~またはrm -rf $HOME:ホームディレクトリ全体を削除する。rm -rf /*:ルートディレクトリ配下の全てを削除する。
トラブルシューティング
ソフトウェアインストールの失敗
- 原因:インターネット接続の問題、パッケージの依存関係の矛盾、ディスク容量不足などが考えられる。
- 解決手順:
- インターネット接続を確認する。
sudo apt clean: キャッシュをクリアする。sudo apt update: パッケージリストを更新する。sudo apt install -f: 壊れた依存関係を修正する。df -hでディスク容量を確認する。- 再度インストールを試みる (
sudo apt install <パッケージ名>)。
ディスプレイ設定の問題
- システム設定から「ディスプレイ」を開き、適切な解像度を設定する。
システム動作の遅さ
topまたはhtopコマンドでCPUやメモリを過剰に消費しているプロセスを特定する。- プロセスID(PID)を確認する。
kill <PID>でプロセスに終了要求を送る。- 応答しない場合は、
kill -9 <PID>で強制終了する(保存されていないデータが失われる可能性がある)。 - 注意: システム上重要なプロセス(例:
systemd、init、Xorg、gnome-shellなど)をむやみに終了させると、システムが不安定になる可能性がある。