Ubuntu 24.04のインストールガイド

【概要】Ubuntu 24.04 LTS(開発コードネーム: Noble Numbat)のインストール手順を解説する。公式ミラーサイトから日本語版インストールメディアをダウンロードし、言語設定、キーボードレイアウト、インターネット接続方式などの基本設定を順次実施する。ディスクのセットアップでは「ディスクを削除してUbuntuをインストール」を選択し、ユーザーアカウントの作成、タイムゾーンの設定を行う。インストール完了後は、ネットワーク設定やシステム更新などの初期設定を実施する。本バージョンは長期サポート(LTS)版であり、標準で2029年4月までサポートされる。

【目次】

  1. Ubuntu 24.04の基本情報
  2. インストール前の準備
  3. Ubuntu 24.04のダウンロード手順
  4. Ubuntu 24.04のインストール手順
  5. 初期設定:ネットワーク、セキュリティ、基本操作
  6. インストールと起動の問題解決ガイド

【関連する外部ページ】

入手先は以下のとおりである。

Ubuntu 24.04の基本情報

インストール前の準備

インストールを開始する前に、以下のシステム要件を満たしていることを確認し、必要な準備を行うこと。

システム設定項目(事前に決めておく事項/調べておく事項)

以下の項目は、インストール中に設定を求められる。事前に内容を決めておくとスムーズである。

設定項目 データ型 設定例 備考
OSの種類 文字列 Ubuntu 24.04 LTS(開発コードネーム: Noble Numbat) インストールするOSのバージョンである。
アーキテクチャ 文字列 amd64(64ビット x86_64 アーキテクチャ) システム要件を満たす一般的な64ビットPC向けのアーキテクチャである。
コンピュータの名前 文字列 ubuntu2404 ネットワーク上でPCを識別する名前である。半角英数字とハイフンが使用可能である(例: my-ubuntu-pc)。ネットワーク内で一意になるように設定する。
ドメイン名(インターネットのドメイン) 文字列 kkaneko.jp 所属するネットワークドメイン名である。不明な場合や個人利用の場合は空欄でも構わない。
ネットワークアドレスは固定IPアドレスかDHCPか 選択肢 DHCPを利用する/固定IPアドレスを設定する ネットワーク接続方法を選択する。下記「ネットワーク設定について」を参照。
IPアドレスIPアドレス(固定IPの場合)固定IPアドレスを使用する場合に設定する。
ネットマスク文字列(固定IPの場合)固定IPアドレスを使用する場合に設定する。
ブロードキャストアドレス文字列(固定IPの場合)通常は自動計算される。
デフォルトルータ(ゲートウェイ)IPアドレスまたは完全修飾形式のホスト名(固定IPの場合)固定IPアドレスを使用する場合に設定する。通常はルーターのIPアドレスである。
DNSサーバ(ネームサーバ)IPアドレスまたは完全修飾形式のホスト名(固定IPの場合)固定IPアドレスを使用する場合に設定する。通常はルーターのIPアドレスやプロバイダ指定のDNSサーバである。
初期ユーザーのフルネーム 文字列 Kunihiko Kaneko システムに表示されるユーザーの氏名である(例: Taro Yamada)。
初期ユーザーのユーザー名 文字列 kaneko ログイン時に使用するアカウント名である。半角英小文字、数字、ハイフン、アンダースコアなどが推奨される(例: taro)。
初期ユーザーのパスワード 文字列 <秘密の文字列> ログイン時に使用するパスワードである。推測されにくい複雑なものを設定すること。
特権ユーザーのパスワード(rootのパスワード) 文字列 <秘密の文字列> 通常は設定不要である。Ubuntuでは一般的に `sudo` コマンドで管理者権限を行使するため、rootアカウントを直接有効化することは推奨されない。設定する場合は初期ユーザーとは別の、より強固なパスワードを推奨する。
ロケール 文字列 ja_JP.UTF-8 または C システムで使用する言語や地域設定である。「ja_JP.UTF-8」は日本語環境、「C」は基本的な英語環境(POSIXロケール)を意味する。
タイムゾーン 文字列 Asia/Tokyo システム時刻の基準となる地域である。
システムコンソールのキーマップ 文字列 日本語/日本語 または 英語(US)/英語(US) インストール画面やCUI環境でのキーボード配列である。

ネットワーク設定について:

Ubuntu 24.04のダウンロード手順

  1. 公式のUbuntuミラーサイトのポータルページまたは公式サイトにアクセスする

    注記:ミラーサイトを利用すると、地理的に近いサーバーからダウンロードできるため、公式サーバーの負荷を分散し、ダウンロード速度が向上する場合がある。

  2. 日本国内のミラーサイトを選択する(ミラーサイトポータルを利用する場合)

    Japanセクションから、応答速度などを考慮してミラーサイトを選択する。

    日本国内のミラーサイト一覧
  3. HTTPS対応のミラーサイトを選択する

    セキュリティのため、HTTPSで提供されているサイトを選択すること。

    HTTPS対応ミラーサイト
  4. ディレクトリ一覧から「24.04」を選択する
    バージョン選択
  5. デスクトップ環境用の `ubuntu-24.04-desktop-amd64.iso` を選択する

    これがUbuntu Desktop 24.04 LTSの64ビット版インストールイメージファイルである。

    ISOファイル選択
  6. ISOイメージファイルのダウンロードを開始する

    ファイルサイズが大きい(数GB)ため、安定したインターネット接続環境でダウンロードすること。

    ダウンロード開始
  7. 【推奨】ダウンロード完了後、チェックサムを確認する

    ダウンロードしたファイルが破損していないか検証するために、チェックサム(例: SHA256ハッシュ値)を確認することを推奨する。公式サイトやミラーサイトに記載されているハッシュ値と、ダウンロードしたファイルのハッシュ値を比較する。Linux環境では `sha256sum ubuntu-24.04-desktop-amd64.iso` コマンドなどで計算できる(公式の確認手順例はこちら)。

Ubuntu 24.04のインストール手順

  1. インストールメディアから起動する

    注記:ダウンロードした `.iso` イメージファイルをDVDに書き込むか、rufusbalenaEtcher などのツールで起動可能なUSBメモリを作成する。BIOS/UEFI設定でUSBデバイスからの起動を有効にする必要がある。

  2. 起動メニューで「Try or Install Ubuntu」を選択する

    (「Try Ubuntu」を選択すると、インストールせずにライブ環境を試すことができる。「Install Ubuntu」で直接インストールを開始する。)

    起動メニュー
  3. システム言語として「日本語」を選択し、「Next」をクリックする
    言語選択
  4. 「Ubuntuのアクセシビリティ」設定画面で必要な支援機能を選択し、「Next」をクリックする

    (必要なければそのまま進む)

    アクセシビリティ設定
  5. キーボードレイアウトを設定する

    使用するキーボードに合わせて適切なレイアウト(例: 日本語、英語(US))を選択し、「Next」をクリックする。多くの場合、自動検出される。

    日本語キーボードレイアウト選択例:

    日本語キーボード

    英語(US)キーボードレイアウト選択例:

    英語キーボード
  6. インターネット接続方式を選択する

    有線LANまたはWi-Fiで接続するか、オフラインでインストールするか選択する。後で設定も可能である。

    有線LANを使用する場合の設定例:

    有線LAN接続

    オフラインインストールを選択する場合の例(後で設定可能):

    オフラインインストール
  7. インストール方式として「Ubuntuをインストール」を選択し、「Next」をクリックする
    インストール方式選択
  8. インストールモードとして「対話式インストール」を選択し、「Next」をクリックする

    (通常はこちらを選択する)

    対話式インストール
  9. システム設定として「既定の設定」または「拡張設定」を選択し、「Next」をクリックする

    (通常は「既定の設定」で十分である。「拡張設定」では、最小構成でのインストールや、追加のソフトウェアパッケージの選択などが可能である。)

    システム設定
  10. プロプライエタリドライバのインストール設定

    必要に応じて、グラフィックカードやWi-Fiアダプタ用のプロプライエタリドライバのインストールを選択し、「Next」をクリックする。(プロプライエタリドライバは、特定のハードウェア向けにメーカーが提供するソフトウェアである。互換性やパフォーマンス向上のためにインストールが推奨される場合がある。)

    プロプライエタリドライバ
  11. ディスクパーティションの設定

    ⚠️警告:以下の手順で「ディスクを削除してUbuntuをインストール」を選択すると、選択したディスク上のすべてのデータ(OS、ファイルなど)が完全に消去される。事前に必ずバックアップを取得すること。

    標準的なインストールでは「ディスクを削除してUbuntuをインストール」(Erase disk and install Ubuntu)を選択し、「Next」をクリックする。

    補足: 他のOSとのデュアルブート、既存のパーティションを残したい、LVM(Logical Volume Management)を使用したい、などの場合は「手動パーティション設定」(Something else)を選択する必要があるが、この記事では扱わない。

    (再確認)選択したディスク上のデータはすべて消去される

    パーティション設定
  12. ユーザーアカウントの設定

    以下の必須項目を入力し、「Next」をクリックする。パスワードは推測されにくい、十分な長さと複雑さを持つものを設定すること。

    • 「あなたの名前」(フルネーム。例: Taro Yamada)
    • コンピュータの名前(ホスト名。例: taro-pc)
    • 「ユーザー名」(ログイン用アカウント名。例: taro)
    • 「パスワード」(アカウントの認証用。確認のため2回入力)
    ユーザーアカウント設定
  13. タイムゾーンの設定

    地図をクリックするか、入力欄に都市名(例: Tokyo)を入力して、日本の標準時であるAsia/Tokyoを選択する。

    タイムゾーン設定
  14. インストールの実行

    設定内容を確認し、「インストール」をクリックする。ここから実際のインストールが始まる。

    インストール確認
  15. システムファイルのコピーとインストール

    インストール完了まで待機する。PCの性能やインターネット接続(アップデートを同時に行う場合)によって時間は異なる。

    インストール進行中
  16. インストール完了後、「今すぐ再起動する」をクリックする
    インストール完了
  17. システムの再起動プロセスを確認する

    通常、インストールメディアを取り出すように指示が表示される。

    再起動指示

    「Please remove the installation medium, then press ENTER」というプロンプトが表示されたら、USBメモリやDVDを取り出し、「Enterキー」を押す。

    メディア取り出し指示
  18. 新規インストールされたシステムのログイン画面

    これでインストールプロセスは完了である。先ほど設定したユーザー名とパスワードでログインする。

    ログイン画面
  19. デスクトップ環境の確認

    ログイン後、GNOMEデスクトップ環境が表示されることを確認する。

    (デフォルトのデスクトップ環境はGNOMEである)

    デスクトップ環境
  20. ターミナルを起動するには、デスクトップ上で右クリックして表示されるメニューから「端末で開く」を選択するか、アクティビティ(画面左上)から「Terminal」を検索する。
    ターミナル起動
  21. アプリケーションメニューはデスクトップ左下の「アプリケーションを表示する」アイコンをクリックすると表示される。
    アプリケーションメニュー

インストールと起動の問題解決ガイド初期設定:ネットワーク、セキュリティ、基本操作については、このページ内で説明している。

より詳細な情報は、下に挙げる別ページの関連情報を利用してください。

インストールと起動の問題解決ガイド

インストール時によくある問題と解決ガイド

トラブルを防ぐためのポイント

初期設定:ネットワーク、セキュリティ、基本操作

インストール完了後、Ubuntuを安全かつ快適に利用するため、以下の基本的な設定と操作について確認・実施する。

管理者権限(sudo)とrootアカウントについて

Ubuntuでは、システム設定の変更やソフトウェア導入など、管理者権限が必要な操作には `sudo` コマンドを使用する。インストール時に作成したユーザーアカウントでログインし、コマンドの先頭に `sudo` を付けて実行すると、ユーザー自身のパスワードが求められる。認証後、コマンドが管理者権限で実行される。

# 例: パッケージリストの情報を更新する場合(管理者権限が必要)
sudo apt update

重要な点:

ファイアウォールの有効化(ufw)

インターネットに接続する環境では、不正アクセスを防ぐためファイアウォールの有効化が推奨される。Ubuntuには `ufw`(Uncomplicated Firewall)という使いやすいファイアウォール設定ツールが標準で含まれる。

基本的な操作は以下のコマンドで行う(端末で実行する):

# ufw を有効にする(実行すると即座に有効になる)
sudo ufw enable

# ファイアウォールの状態とルールを確認する(番号付きの表示)
sudo ufw status numbered

# (例)SSH接続(ポート 22)を許可する場合(外部からSSHで接続する場合に必要)
sudo ufw allow ssh
# またはポート番号で指定: sudo ufw allow 22/tcp

# (例)Webサーバー(ポート 80)を許可する場合
sudo ufw allow 80/tcp

# ルールを削除する場合(番号で指定するのが確実)
# sudo ufw delete [ルール番号]
# (例: sudo ufw delete 1)
# またはルール内容で指定: sudo ufw delete allow ssh

最低限 `sudo ufw enable` を実行して有効化しておく必要がある。デフォルトでは、外部から内部への通信(内向き)は基本的に拒否され、内部から外部への通信(外向き)は許可される。外部から特定のサービス(SSH、Webサーバー等)へのアクセスを許可する必要がある場合にのみ、`allow` ルールを追加する。

システム更新の確認と自動更新(unattended-upgrades)

システムのセキュリティ維持と問題修正のため、定期的なソフトウェアの更新は非常に重要である。

ソフトウェアの基本的なインストール方法

Ubuntuで新しいアプリケーションやツールを追加するには、主に以下の2つの方法がある。

どちらの方法でも、必要なツールを簡単に追加できる。

ネットワーク設定(固定IPアドレス/DHCP)

(以下にネットワーク設定手順を示す)

  1. ネットワーク設定を開く
    • デスクトップ右上のシステムメニューをクリックし、「設定」を選択する。
    • 設定画面が開いたら、左側のメニューから「ネットワーク」を選択する。
    システムメニュー
  2. 設定対象の接続を選択する

    「有線」接続または設定したいWi-Fi接続名の右側にある歯車アイコン(⚙️)をクリックする。

    接続済みメニュー ネットワーク設定画面 歯車アイコン
  3. 「IPv4設定」タブを開く
    設定画面全体 IPv4タブ
  4. DHCPを使用する場合:

    「IPv4メソッド」が「自動(DHCP)」になっていることを確認する(通常はこれがデフォルトである)。変更がなければウィンドウを閉じる。

    DHCP選択
  5. 固定IPアドレスを設定する場合:
    1. 「IPv4メソッド」のドロップダウンリストから「手動」を選択する。
    2. 「アドレス」欄に、設定したいIPアドレス、ネットマスク、デフォルトルータ(ゲートウェイ)を入力する。IPアドレスは `192.168.1.100/24` のようにCIDR形式でネットマスクを指定することも可能である。
    3. 「DNS」欄の「自動」スイッチをオフにし、DNSサーバーの欄にDNSサーバーのIPアドレスを入力する(複数ある場合はカンマ区切りで入力する)。
    4. 入力後、右上の「適用」をクリックする。
    固定IP設定

    設定変更後は、ネットワーク接続を一度オフにし、再度オンにすると反映される場合がある。