ISOイメージファイルからライブUSBメモリを作成する (Windows)

【概要】本記事では、Windows 上で Linux の ISO イメージファイルからライブ USB メモリを作成する手順を解説する。使用するツールは RufusVentoybalenaEtcher の 3 種類である。あわせて、ISO ファイルのハッシュ値の確認方法、作成した USB メモリからの起動手順を説明する。記事の末尾では、かつて広く使われた LinuxLive USB Creator (LiLi) の現状を記載する。

【目次】

  1. 前提条件と準備
  2. ISO イメージファイルのハッシュ値の確認
  3. Rufus を用いたライブ USB メモリの作成
  4. Ventoy を用いたライブ USB メモリの作成
  5. balenaEtcher を用いたライブ USB メモリの作成
  6. 作成した USB メモリからの起動
  7. ブート設定ファイルの確認
  8. LinuxLive USB Creator (LiLi) の現状

前提条件と準備

作業に必要なもの

USB メモリに関する注意

ツールの選択の目安

ISO イメージファイルのハッシュ値の確認

ISO イメージファイルは、ディストリビューションの公式サイトまたは公式ミラーから入手する。ダウンロード後、公式サイトに掲載された SHA256 のハッシュ値と、手元のファイルのハッシュ値が一致することを確認する。

  1. Windows のスタートメニューで「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを起動する。

  2. コマンドプロンプトで、次のコマンドを実行する。<ISOファイルのパス> の部分は、実際のファイルのパスに置き換える。

    certutil -hashfile <ISOファイルのパス> SHA256
  3. 表示された値と、公式サイトに掲載されている SHA256 の値を比較する。一致しない場合は、ダウンロードをやり直す。

Rufus を用いたライブ USB メモリの作成

  1. Rufus のダウンロード: ウェブブラウザで https://rufus.ie/ を開き、実行ファイル (rufus-x.xx.exe) をダウンロードする。インストール作業は不要で、ダウンロードした実行ファイルをそのまま実行できる。

  2. USB メモリの接続: USB メモリを PC に接続する。USB メモリ内のデータはすべて消去されるため、必要なデータを事前に別の場所へコピーしておく。

  3. Rufus の起動: ダウンロードした実行ファイルを実行する。ユーザーアカウント制御の画面が表示された場合は「はい」をクリックする。

  4. デバイスの選択: 「デバイス」欄のドロップダウンリストで、書き込み先の USB メモリを選択する。ドライブ文字と容量を確認し、誤って別のドライブを選ばないようにする。

  5. ISO イメージファイルの選択: 「ブートの種類」欄の右にある「選択」をクリックし、ダウンロードした ISO イメージファイルを指定する。

  6. パーティション構成の設定: 「パーティション構成」で、UEFI で起動する PC の場合は「GPT」、旧来の BIOS (レガシー BIOS) で起動する PC の場合は「MBR」を選択する。「ターゲットシステム」は、この選択に応じて自動的に設定される。

  7. 永続領域の設定 (任意): Ubuntu 系の ISO を選択した場合、「永続パーティションのサイズ」を指定できる。0 以外の値を指定すると、ライブ起動中に加えた変更 (作成したファイル、設定の変更など) が次回起動時にも保持される。0 の場合は、再起動のたびに初期状態に戻る。

  8. ファイルシステムの設定: 「ファイルシステム」は既定のままとする。Rufus は ISO の内容に応じて FAT32 または NTFS を自動的に選択する。

  9. 書き込みの開始:スタート」をクリックする。書き込みモードを尋ねる画面が表示された場合は「ISO イメージモードで書き込む」を選び、「OK」をクリックする。追加のファイル (Syslinux や GRUB のブートファイル) のダウンロードを求める画面が表示された場合は「はい」をクリックする。

  10. 書き込みの実行: データ消去の確認画面で「OK」をクリックすると、書き込みが始まる。USB メモリの速度と ISO のサイズによっては、10 分以上かかる場合がある。

  11. 完了: ステータス欄に「準備完了」と表示されたら「閉じる」をクリックし、USB メモリを取り外す。

Ventoy を用いたライブ USB メモリの作成

  1. Ventoy のダウンロード: ウェブブラウザで https://www.ventoy.net/ を開き、Windows 版 (ventoy-x.x.xx-windows.zip) をダウンロードし、任意のフォルダに展開する。

  2. USB メモリの接続: USB メモリを PC に接続する。USB メモリ内のデータはすべて消去されるため、必要なデータを事前に別の場所へコピーしておく。

  3. Ventoy2Disk の起動: 展開したフォルダ内の Ventoy2Disk.exe を実行する。ユーザーアカウント制御の画面が表示された場合は「はい」をクリックする。

  4. デバイスの選択: 「Device」欄のドロップダウンリストで、対象の USB メモリを選択する。ドライブ文字と容量を確認し、誤って別のドライブを選ばないようにする。

  5. パーティション形式の設定: メニューの「オプション」→「パーティション形式」で、UEFI で起動する PC の場合は「GPT」、旧来の BIOS で起動する PC の場合は「MBR」を選択する。Secure Boot を有効にしたまま使用する場合は、「オプション」→「セキュアブートサポート」を有効にする。

  6. インストールの実行:Install」をクリックする。確認画面が 2 回表示されるので、内容を確認して「はい」をクリックする。処理は数十秒で完了する。

  7. ISO ファイルのコピー: 処理が完了すると、USB メモリに exFAT のパーティションが作成され、エクスプローラーからドライブとして見えるようになる。このドライブに、ISO イメージファイルをそのままコピーする。複数の ISO ファイルをコピーしてよい。ファイル名やフォルダ構成に制約はない。

  8. 起動時の動作: この USB メモリから PC を起動すると、コピーした ISO ファイルの一覧がメニューとして表示され、選択したものが起動する。

balenaEtcher を用いたライブ USB メモリの作成

  1. balenaEtcher のダウンロード: ウェブブラウザで https://etcher.balena.io/ を開き、Windows 版のインストーラーをダウンロードして実行する。

  2. USB メモリの接続: USB メモリを PC に接続する。USB メモリ内のデータはすべて消去されるため、必要なデータを事前に別の場所へコピーしておく。

  3. ISO イメージファイルの選択: balenaEtcher を起動し、「Flash from file」をクリックして、ダウンロードした ISO イメージファイルを指定する。

  4. 書き込み先の選択:Select target」をクリックし、対象の USB メモリを選択する。ドライブ文字と容量を確認し、誤って別のドライブを選ばないようにする。

  5. 書き込みの実行:Flash!」をクリックする。書き込みと検証が自動的に実行される。

  6. 完了: 「Flash Complete!」と表示されたら、USB メモリを取り外す。なお、balenaEtcher は ISO をそのまま書き込むため、永続領域の作成には対応していない

作成した USB メモリからの起動

  1. 高速スタートアップの無効化: Windows の「コントロールパネル」→「電源オプション」→「電源ボタンの動作を選択する」→「現在利用可能ではない設定を変更します」を開き、「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外して「変更の保存」をクリックする。この設定が有効なままだと、シャットダウン後に USB メモリから起動できない場合がある。

  2. USB メモリの接続: 作成したライブ USB メモリを PC に接続し、PC の電源を入れる。

  3. 起動デバイスの選択: PC の電源投入直後に、起動デバイスの選択メニューを開くキー (F12、F11、F9、Esc など。メーカーや機種により異なる) を押し、表示されたメニューから USB メモリを選択する。UEFI 環境では「UEFI: (USB メモリの製品名)」と表示される項目を選ぶ。

  4. UEFI/BIOS 設定での変更 (起動メニューが使えない場合): PC の電源投入直後に設定画面を開くキー (F2、Del など。メーカーや機種により異なる) を押し、Boot に関する項目で USB デバイスの起動順序を先頭に変更して保存し、再起動する。

  5. Secure Boot に関する対応: Ubuntu や Fedora など、署名済みブートローダーを持つディストリビューションは Secure Boot が有効なままでも起動する。起動しない場合は、UEFI 設定画面で Secure Boot を無効にする。Ventoy でセキュアブートサポートを有効にした場合は、初回起動時に鍵の登録 (Enroll key) の操作を求められる。

  6. ライブ起動の確認: ディストリビューションの起動メニューが表示されたら、「Try (ディストリビューション名)」などの試用のための項目を選び、デスクトップ画面が表示されることを確認する。

ブート設定ファイルの確認

作成した USB メモリ内の boot/grub/grub.cfg (UEFI 起動時) や syslinux/syslinux.cfg (レガシー BIOS 起動時) といったブート設定ファイルを開くと、起動時に渡されるカーネルパラメータを確認できる。ファイルの内容や配置は、使用した Linux ディストリビューションによって異なる。以下の画像は syslinux.cfg の一例である。

syslinux.cfgファイルの内容例

Ventoy を使用した場合、ISO の内容は書き換えられないため、これらの設定ファイルは ISO の内部に存在する。起動時のパラメータを変更したい場合は、起動メニューが表示された状態で e キーを押して一時的に編集する。

LinuxLive USB Creator (LiLi) の現状

LinuxLive USB Creator (LiLi) は、Windows 上でライブ USB メモリを作成するツールである。ライブモード、変更内容を保存するパーシステントモード、ポータブル版 VirtualBox と連携して Windows 上で仮想マシンとして起動する機能を備えていた。

Live USB Creator のメイン画面

公式サイト https://www.linuxliveusb.com には「This project is not maintained anymore.」と記載されており、開発は終了している。最終版はバージョン 2.9.4 (2015 年公開) である。5 GB を超える近年のデスクトップ版 ISO は、LiLi が主に用いる FAT32 の単一ファイル 4 GB 制限を超えるため扱えない。現在ライブ USB メモリを作成する場合は、本記事で解説した Rufus、Ventoy、balenaEtcher を使用する。

Fedora のライブ USB メモリを作成する場合は、公式ツールの Fedora Media Writer も利用できる。このツールは、ISO のダウンロードと USB メモリへの書き込みを一連の操作で実行する。