Ubuntu カスタム Live イメージ作成(Cubic を使用)
はじめに:カスタム Live イメージ作成について
この記事では、Ubuntu システムのカスタム Live イメージ(ISO ファイル)を作成する方法の一つとして、Cubic (Custom Ubuntu ISO Creator) というツールを紹介します。カスタム Live イメージを作成することで、特定のアプリケーションや設定が含まれた独自の Ubuntu 環境を、Live DVD/USB や仮想マシンで利用できるようになります。
過去には `remastersys` といったツールも利用されていましたが、現在は開発が停止しており、最新の Ubuntu 環境では利用できません。現在、特に GUI 環境で比較的容易にカスタム ISO を作成するツールとして Cubic が広く使われています。
Cubic (Custom Ubuntu ISO Creator) を用いた作成
Cubic の概要
Cubic は、Ubuntu および Debian ベースのディストリビューション向けに開発された、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を備えた ISO カスタマイズツールです。既存の Ubuntu の ISO ファイルをベースとして、以下のようなカスタマイズを行うことができます。
- パッケージの追加・削除・更新
- 設定ファイルの変更
- 独自スクリプトの追加
- デスクトップ環境のカスタマイズ
Cubic は Ubuntu 18.04.5 以降と互換性があり、開発者によって PPA (Personal Package Archive) が提供されているため、比較的簡単にインストールできます。
Ubuntu 24.04 での Cubic の利用
Cubic は Ubuntu 24.04 LTS にも対応したバージョンがリリースされています。多くの場合、特にデスクトップ版 ISO のカスタマイズにおいては安定して動作することが期待されます。
ただし、いくつかの報告によると、特定の条件下(例: Ubuntu 24.04 の特定のサーバー版 ISO)では、ISO の展開や処理中にエラーが発生する可能性も指摘されています。もし問題が発生した場合は、Cubic の Issue トラッカー等で情報を確認すると良いでしょう。
Cubic のインストール
以下のコマンドをターミナルで実行することで、Cubic をインストールできます。
sudo apt-add-repository universe
sudo apt-add-repository ppa:cubic-wizard/release
sudo apt update
sudo apt install --no-install-recommends cubic
インストール後、アプリケーションメニューから Cubic を起動し、画面の指示に従ってベースとなる Ubuntu の ISO ファイルを選択し、カスタマイズを進めてください。カスタマイズが完了すると、新しいカスタム ISO ファイルが生成されます。
作成したISOイメージの利用 (一般的な方法)
Cubic などで作成されたカスタム ISO イメージファイル (`*.iso`) は、主に以下の方法で利用できます。
- 仮想マシンでの利用: QEMU, VirtualBox, VMware などの仮想マシンソフトウェアで、CD/DVDドライブにISOファイルを指定して起動します。
- Live DVDの作成: DVDライティングソフトを使用して、ISOファイルを空のDVDメディアに書き込みます。(現在ではDVDドライブを持たないPCも増えています)
- Live USBメモリの作成:
dd
コマンド (Linux/macOS),Rufus
(Windows),Etcher
(クロスプラットフォーム), Ubuntu標準の「ブータブルUSBの作成」(Startup Disk Creator)などのツールを使用して、ISOイメージをUSBメモリに書き込みます。- 注意 (現在も有効): USBメモリをFAT32でフォーマットして使用する場合、一般的にファイルシステム上のファイルサイズ制限(4GiB、正確には 4,294,967,295 バイト)があります。使用する書き込みツールや方法によっては、4GiBを超えるISOイメージをFAT32のUSBメモリに正しく書き込めない場合があります。ISOイメージのサイズが4GiBに近い、または超える場合は、書き込みツールのドキュメントを確認するか、別のファイルシステム(exFATなど)が利用可能か検討してください。