OpenCV で OTSU の方法による2値化(OpenCV,Python を使用)

1. エグゼクティブサマリー

Python と OpenCV で,OTSU の方法により2値化を行う.結果は,白と黒の2値だけを持つ画像である.

処理前

処理後

【サイト内の OpenCV 関連ページ】

【OpenCV の公式情報】

Python 3.12 のインストール

本章では、Pythonのインストールを行い、Pythonのプログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。金子研究室では、Python 3.12.10を推奨する。

[Windows での Python 3.12 のインストール手順を見るには、ここをクリック]

Windows での Python 3.12 のインストール

以下のいずれかの方法でPython 3.12をインストールする。Pythonがインストール済みの場合、この手順は不要である。

方法 1:winget によるインストール

インストールコマンドの実行方法

管理者権限コマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動するとPATHが反映される。

REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""

REM Python と Scripts を PATH 先頭に追加
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\") -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$s;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$p;$s;$c\",'Machine')}"

方法 2:インストーラーによるインストール

  1. Python公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンからWindows用インストーラーをダウンロードする。
  2. ダウンロードしたインストーラーを実行する。
  3. 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから python コマンドを実行できない。
  4. 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。

インストールの確認

コマンドプロンプトで以下を実行する。

python --version

バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。

以降の章では、必要に応じて題材に応じたソフトウェアを追加する。

Python の開発環境 Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定

本章では、Python の開発環境Visual Studio Code(プログラムを編集するソフトウェア。以下、VS Code)を整える。

[Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順を見るには、ここをクリック]

Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順

1. VS Code と拡張機能のインストール

以下のコマンドにより,既存の VS Code を削除し,全ユーザー共有の設定で再インストールしたうえで,拡張機能(VS Code に機能を追加するソフトウェア)をまとめて導入する.

インストールコマンドの実行方法

管理者権限コマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。

インストールコマンド


REM ============================================================
REM Microsoft Visual Studio Code
REM ============================================================
winget uninstall -e --id Microsoft.VisualStudioCode --silent --disable-interactivity --accept-source-agreements
rmdir /s /q C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
rmdir /s /q "%APPDATA%\Code" 2>nul
rmdir /s /q "%USERPROFILE%\.vscode" 2>nul
rmdir /s /q "%LOCALAPPDATA%\Microsoft\vscode-update" 2>nul

REM VS Code をシステム領域に新規インストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements

REM 全ユーザー共有の拡張機能フォルダ
mkdir C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
icacls "C:\ProgramData\vscode-extensions" /grant "Everyone:(OI)(CI)M" /T

REM スタートメニューのショートカットを --extensions-dir 付きで再作成
rmdir /s /q "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code" 2>nul
del "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk" 2>nul
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); $lnk.TargetPath='C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe'; $lnk.Arguments='--extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\"'; $lnk.Save()"
REM ショートカットの検証
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); Write-Host 'TargetPath:' $lnk.TargetPath; Write-Host 'Arguments:' $lnk.Arguments"

REM ファイル / フォルダ右クリックの「Code で開く」を登録
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\*\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\Background\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%V\"" /f

REM --extensions-dir 付きで起動する code.cmd ラッパを作成
REM (%* を echo で書くと対話的 cmd で失われるため、PowerShell で [char]37+'*' を書き出す)
powershell -NoProfile -Command "$pct=[char]37; $q=[char]34; $c='@echo off'+[char]13+[char]10+$q+'C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd'+$q+' --extensions-dir '+$q+'C:\ProgramData\vscode-extensions'+$q+' '+$pct+'*'+[char]13+[char]10; [IO.File]::WriteAllText('C:\ProgramData\vscode-extensions\vscode.cmd',$c,[Text.Encoding]::ASCII)"

REM 拡張機能のインストール
set "CODE=C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd"
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot-chat
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.python
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.vscode-pylance
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.debugpy
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension saoudrizwan.claude-dev
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension rust-lang.rust-analyzer
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension tamasfe.even-better-toml
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension anthropic.claude-code
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension almenon.arepl
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --list-extensions --show-versions
echo === セットアップ完了 ===

2. Python インタプリタの選択

同一マシンに複数の Python がインストールされている場合,VS Code で使用する Python 本体(インタプリタ:Python プログラムを解釈・実行するソフトウェア)を選択する必要がある.

  1. コマンドパレット(コマンド名で機能を呼び出す VS Code の入力欄)を開く(Ctrl+Shift+P
  2. Python: Select Interpreter と入力する
  3. 表示される一覧から,使用する Python(例:C:\Program Files\Python312\python.exe)を選択する.

以降の章では、必要に応じて題材に応じた必要なソフトウェアを追加する。

Python プログラム実行手順

[Windows での Python プログラム実行手順を見るには、ここをクリック]

Windows での Python 実行手順(Visual Studio Codeを使用)

プログラムファイルの作成と保存

  1. 左サイドバーの「エクスプローラー」アイコン(Ctrl+Shift+E)をクリックする
  2. 「NO FOLDER OPENED」(作業対象フォルダが未選択の状態)と表示される場合は,「Open Folder」をクリックし,プログラムを保存するフォルダを選択する

    続いて「フォルダを信用するか」を確認する画面(フォルダ内のコードを実行してよいか確認する VS Code の仕組み)が表示されるので,チェックして Yes を選択する

  3. フォルダ名の右側に表示される「新しいファイル」アイコンをクリックする
  4. ファイル名(例:aitask.py.ファイル名は何でも良い)を入力し Enter を押す.拡張子は .py(Python ファイルを示す拡張子)とする
  5. 実行したいコードを選択し,Ctrl+C でコピーする.VS Code のエディタ領域に Ctrl+V で貼り付ける
  6. Ctrl+S で保存する

プログラムの実行

  1. エディタ右上の三角形「▷」アイコン(Run Python File:現在開いている Python ファイルを実行するボタン)をクリックする.または,エディタ上で右クリックし「ターミナルで Python ファイルを実行」を選択する
  2. VS Code 下部のターミナル(コマンドの入出力を表示する画面)に,実行結果(print 関数の出力等)が表示される
  3. tkinter(Python 標準の GUI ライブラリ)のファイル選択ダイアログを使うプログラムを実行した場合は,ダイアログが開くので対象画像を選択する
  4. VS Code 下部のターミナルで実行結果を確認する.OpenCV ウィンドウ(OpenCV が画像を表示するために開く専用ウィンドウ)が開いた場合はそちらも確認する.OpenCV ウィンドウは,マウスクリックでウィンドウをアクティブ(操作対象の状態)にしてからキーを押すと終了する

必要なライブラリのインストール

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

pip install -U opencv-python numpy

3. 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)

3.1 画像ファイルの準備

https://github.com/opencv/opencv/tree/master/samples/data で公開されている fruits.jpg,home.jpg を使用する(謝辞:画像の作者に感謝します)

Windows の場合,次のコマンドを実行する.

cd /d c:%HOMEPATH%
curl -L https://github.com/opencv/opencv/blob/master/samples/data/fruits.jpg?raw=true -o fruits.jpg
curl -O https://raw.githubusercontent.com/opencv/opencv/master/samples/data/home.jpg

3.2 プログラムファイルの準備と実行コマンド

第5章のソースコードをテキストエディタ(Visual Studio Codeやメモ帳など)に貼り付け,otsu_fruits.py(fruits.jpg 用)および otsu_home.py(home.jpg 用)として保存する(文字コード:UTF-8).

コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を実行する.

python otsu_fruits.py

別の画像で実行する場合:

python otsu_home.py

3.3 動作確認チェックリスト

確認項目期待される結果
画像ファイルの存在fruits.jpg および home.jpg がユーザーのホームディレクトリ(c:%HOMEPATH%)に存在する
濃淡画像の表示「mono」というタイトルのウインドウに濃淡画像が表示される
2値化画像の表示「dst」というタイトルのウインドウに OTSU の方法で2値化された白黒画像が表示される
OTSU 閾値の表示コンソールに「OTSU threshold:」に続いて自動決定された閾値が表示される
ウインドウの終了画面の中をクリックしてから何かのキーを押すとウインドウが閉じる

4. 概要・使い方・実行上の注意

4.1 処理の流れ

本プログラムは,カラー画像を濃淡画像に変換し,OTSU の方法で閾値を自動決定して2値化を行う.cv2.cvtColor でカラー画像を濃淡画像に変換した後,cv2.thresholdcv2.THRESH_OTSU フラグを指定して2値化を実行する.

4.2 ウインドウ操作の注意

画像が表示されるので確認する.ウインドウの右上の「x」をクリックしない.画面の中をクリックしてから,何かのキーを押して閉じる

4.3 実行結果

fruits.jpg の実行結果:

home.jpg の実行結果:

ソースコードは第5章に掲載している.

5. ソースコード

5.1 fruits.jpg を使用した2値化

import cv2, os
IMROOT = os.environ['HOMEPATH'] + '/'
bgr = cv2.imread(IMROOT + "fruits.jpg")
mono = cv2.cvtColor(bgr, cv2.COLOR_BGR2GRAY)
cv2.imshow("mono", mono)
r, dst = cv2.threshold(mono, 0, 255, cv2.THRESH_OTSU)
print("OTSU threshold:", r)
cv2.imshow("dst", dst)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()

5.2 home.jpg を使用した2値化

import cv2, os
IMROOT = os.environ['HOMEPATH'] + '/'
bgr = cv2.imread(IMROOT + "home.jpg")
mono = cv2.cvtColor(bgr, cv2.COLOR_BGR2GRAY)
cv2.imshow("mono", mono)
r, dst = cv2.threshold(mono, 0, 255, cv2.THRESH_OTSU)
print("OTSU threshold:", r)
cv2.imshow("dst", dst)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()

6. まとめ

6.1 OTSU の方法による2値化

OTSU の方法は,画像の輝度ヒストグラムから閾値を自動決定し,白と黒の2値だけを持つ画像を生成する手法である.cv2.thresholdcv2.THRESH_OTSU フラグを指定して実行する.

6.2 カラー画像から濃淡画像への変換

2値化の前処理として,cv2.cvtColorcv2.COLOR_BGR2GRAY を指定し,カラー画像を濃淡画像に変換する.

6.3 閾値の自動決定と確認

cv2.threshold の戻り値には OTSU の方法で自動決定された閾値が含まれる.print で表示することで,選択された閾値を確認できる.

6.4 画像ファイルの準備

OpenCV の公式サンプルデータとして公開されている fruits.jpg および home.jpg を使用する.Windows では curl コマンドでダウンロードし,ホームディレクトリに配置する.

6.5 ウインドウの操作

画像表示後,画面の中をクリックしてから何かのキーを押して閉じる.cv2.waitKey(0) がキー入力を待機し,cv2.destroyAllWindows() が全ウインドウを閉じる.