Windows環境でのPython:基本とプログラムの作成・実行

本資料で扱う主な操作

以下のやり方を知りたい場合は、各章を参照すること。

□ 対話型Pythonシェルを使う(python と入力して起動、exit() で終了) 5章
□ .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する 6章
□ AIエディタ(Windsurf)でPythonを使う 7章
管理者権限コマンドプロンプトでpipを実行する 8章

【概要】本資料は、Windows環境でPythonプログラミングを始めるための入門教材である。テキストエディタ、AIエディタ、コマンドプロンプト、ディレクトリ、.pyファイル、Pythonプログラムの実行、pip、ファイル入出力の8つの概念を体系的に解説する。加えて、環境の選択、Pythonのインストール、標準入出力を扱うプログラムの作成、よくあるエラーへの対処法までを扱う。説明にはWindowsのコマンドプロンプトを使うが、8つの概念はVisual Studio Code、Windsurf、Google Colabなど他の開発環境でも共通して必要になる。各環境での操作方法は該当する章で説明する。

【本資料で扱う8つの概念】

前半(1〜9章)では、4つの基本タスクを通じて概念①〜⑦を扱う。後半(10章以降)では概念⑧を扱う。

  1. テキストエディタ(メモ帳):プログラムはテキストファイルであり、「メモ帳」などのテキストエディタで確認・編集できる。
  2. AIエディタ:AIエディタは、AIによるコード生成・エラー解説などの支援機能を備えたエディタである。シンタックスハイライト(構文の色分け)、自動補完、実行ボタンによるコード実行、変数値の確認、画像や図の表示など、メモ帳にはない機能も備える。
  3. コマンドプロンプト:文字の命令でパソコンを操作するツール。Pythonの実行やライブラリの追加に使う。
  4. ディレクトリ・カレントディレクトリ・パス:パソコン内のディレクトリ構造。現在の作業ディレクトリ(カレントディレクトリ)を把握していないと、ファイルの保存先や実行対象を正しく指定できない。ファイルやディレクトリの場所を文字列で表したものをパスと呼ぶ。
  5. .pyファイル:Pythonプログラムの保存形式。拡張子を.pyにして保存する。メモ帳で保存する場合、ファイルの種類を「すべてのファイル」にしないと.txtが付く点に注意。
  6. Pythonプログラムの実行:コマンドプロンプトでpython ファイル名.pyと入力する方法、エディタの実行ボタンを使う方法、ノートブックでコードセルを実行する方法がある。エラーがある場合、エラーメッセージが表示される。
  7. pip(パッケージ管理):Python本体にない機能(画像処理、データ分析などのライブラリ)を追加するためのツール。pip install ライブラリ名で導入できる。
  8. ファイル入出力とダウンロード保存:プログラムからファイルを読み書き、新規ファイルの作成、ファイルのダウンロードが可能である。

【目次】

前半:最初に習得すべき内容

  1. はじめに
  2. 全体像:概念の依存関係
  3. どの環境で始めるか選ぶ
  4. 開発環境の準備
  5. 対話型シェルでPythonを試す
  6. .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する
  7. AIエディタ(Windsurf)でPythonを使う
  8. pipでライブラリを追加する
  9. 操作チェックリスト(前半のまとめ)

後半:前半の知識を前提とする内容

  1. ファイル入出力とダウンロード保存
  2. キーボード入力のプログラム
  3. よくあるエラーとその対処法
  4. 次のステップ

― 前半:最初に習得すべき内容 ―

1. はじめに

この資料では、PythonのプログラムをWindowsで作成し、動かす方法を学ぶ。具体的には、以下の内容を扱う。

プログラミングを始めようと思ったとき、「どのように操作したらよいのだろう」「専用のツールが必要なのでは」と思うことがある。しかし、Windowsに標準で搭載されているメモ帳と、無料でダウンロードできるPythonがあればPythonの標準機能を扱える。Python本体にない機能の追加と実行も行える。

まずはプログラムの作成と実行から始める。入力された文字を10回繰り返して表示するプログラムを動かすことができる。ここで学ぶプログラムの作成と実行方法は、Pythonプログラミングの基礎となる。

2. 全体像:概念の依存関係

①②はプログラムを書くための道具であり、どちらも使う。③〜⑥はPythonを実行するために必須である。⑦と⑧は、外部ライブラリの利用やデータ処理を行うときに必要になる。

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  ① テキストエディタ ② AIエディタ                │
│     (プログラムを書く道具)                     │
│        ↓  プログラムを書く・保存する             │
│  ③ コマンドプロンプト(操作の入口)              │
│        ↓  コマンドを入力する場所                 │
│  ④ ディレクトリとカレントディレクトリ            │
│        ↓  .py ファイルがどこにあるか             │
│  ⑤ .py ファイル(プログラムの保存形式)          │
│        ↓  python コマンドで実行                  │
│  ⑥ Python プログラムの実行                       │
│        ↓ ライブラリが必要な場合(Python本体にない機能)
│  ⑦ pip(パッケージ管理)                         │
│        ↓  プログラム内でファイルを扱う           │
│  ⑧ ファイル入出力とダウンロード保存              │
└──────────────────────────────────────────────────┘

本資料の前半(5〜8章)では、上記の概念を4つの基本タスクを通じて学ぶ。各タスクで扱う概念の対応を以下に示す。

タスク 扱う概念
5章 対話型シェルでPythonを試す ③ コマンドプロンプト、⑥ 実行
6章 .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する ① テキストエディタ、③ コマンドプロンプト、④ ディレクトリ、⑤ .pyファイル、⑥ 実行
7章 AIエディタ(Windsurf)でPythonを使う ② AIエディタ、⑤ .pyファイル、⑥ 実行
8章 pipでライブラリを追加する ③ コマンドプロンプト、⑦ pip

3. どの環境で始めるか選ぶ

Pythonを始めるには、大きく2つの方法がある。

オンライン環境(3.1, 3.2節) Windowsにインストール(4章)
インストール 不要 必要
手軽さ ブラウザだけで使える 一度設定すれば継続的に使える
向いている用途 とりあえず試したい 本格的に学習・開発したい

3.1 オンライン環境Google Colab

Google Colab(https://colab.research.google.com/)は、Googleアカウントがあればブラウザ上で使えるPython実行環境である。Pythonのインストールは不要である。コードをブラウザ上の「セル」に入力し、セル単位で実行する。実行結果はセルの直下に表示される。

┌──────────────────────────────────────┐
│  セル 1(コードを書く)              │
│  print("Hello, World!")              │
│  [▷ 実行ボタン] or Shift+Enter      │
├──────────────────────────────────────┤
│  実行結果                            │
│  Hello, World!                       │
├──────────────────────────────────────┤
│  セル 2(次のコードを書く)          │
│  ...                                 │
└──────────────────────────────────────┘

Google Colabでプログラムを実行する手順

以下の手順で、入力された文字を10回繰り返して表示するプログラムを実行できる。

  1. Google Colab(https://colab.research.google.com/)にアクセスする
  2. 「ノートブックを新規作成」をクリックする
  3. コードセルに以下のコードを入力する
    x = input("x:")
    print(x * 10)
  4. セルの左にある ▷(実行ボタン)をクリックするか、Shift + Enter を押す
  5. 「x:」と表示されるので、任意の文字(例:A)を入力してEnterを押す
  6. 入力した文字が10回繰り返して表示される(例:AAAAAAAAAA)

8つの概念との対応

概念 Google Colabでの対応
テキストエディタ ブラウザ上のセルにコードを直接入力する
AIエディタ Colabにはコード補完やコード生成などのAI支援機能が組み込まれている
コマンド入力 コマンドプロンプトは存在しない。代わりに、セル内で !% を使ってコマンドを実行する(後述)
カレントディレクトリ Googleのサーバー上の仮想マシンが割り当てられ、カレントディレクトリは /content である。ローカルPCのディレクトリではない
.py ファイル 通常は .py ファイルを作成しない。コードはノートブック(.ipynb ファイル)のセルに直接書く
実行 python コマンドは使わない。セルの実行ボタン(▷)を押すか、Shift + Enter を押す
pip セルに !pip install パッケージ名 と書いて実行する。管理者権限は不要
ファイル入出力 カレントディレクトリ /content 基準で読み書きされる(詳細は後半10章参照)

Colabの ! コマンドと % コマンド

Colabにはコマンドプロンプトがないが、セル内でコマンドプロンプトと同等の操作を行う方法が2つある。

!(エクスクラメーション)をセルの行頭に付けると、その行をシェルコマンドとして実行する。pipのインストールやファイル一覧の表示に使う。

ファイルの表示

!ls
!ls -al

%(パーセント)をセルの行頭に付けると、Colab自体への命令(マジックコマンド)として実行する。カレントディレクトリの確認や変更に使う。

カレントディレクトリを確認する(cd に相当)

%pwd

カレントディレクトリを変更する(cd ディレクトリ名 に相当)

%cd /content/sample_data
記号 名称 用途 コマンド例 コマンドプロンプトでの対応
! シェルコマンド pip、ファイル操作など !pip install requests pip install requests
! シェルコマンド ファイル一覧の表示 !ls dir
% マジックコマンド カレントディレクトリの確認 %pwd cd(引数なし)
% マジックコマンド カレントディレクトリの変更 %cd /content/drive cd C:\python_work

!cd /content/drive のように ! でディレクトリを変更しても、次のセルではカレントディレクトリが元の /content に戻る。カレントディレクトリの変更を維持するには %cd を使う必要がある。

3.2 その他のオンライン環境

Google Colab以外にも、インストール不要でブラウザ上で実行できる環境がある。

4. Python と AIエディタWindsurfのインストール(Windows にインストール)

ここでは、最低限の事前準備について説明する。機械学習や深層学習を行う場合は、NVIDIA CUDA、Visual Studio、Cursorなどを追加でインストールすると便利である。これらについては別ページ https://www.kkaneko.jp/cc/dev/aiassist.htmlで詳しく解説しているので、必要に応じて参照すること。

Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。

方法1:winget によるインストール

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""
powershell -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $m=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if($m -notlike \"*$s*\") { [Environment]::SetEnvironmentVariable('Path', \"$p;$s;$m\", 'Machine') }"

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。

方法2:インストーラーによるインストール

  1. Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
  2. ダウンロードしたインストーラーを実行する。
  3. 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから python コマンドを実行できない。
  4. 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。

インストールの確認

コマンドプロンプトで以下を実行する。

python --version

バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。

AIエディタ Windsurf のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/SP- /SUPPRESSMSGBOXES /NORESTART /CLOSEAPPLICATIONS /DIR=""C:\Program Files\Windsurf"" /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。

関連する外部ページ】Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/

5. 対話型シェルでPythonを試す

Pythonを試す最も手軽な方法は、コマンドプロンプトから対話型シェル(対話モード)を起動することである。ファイルを作成せずに、コードを1行ずつ入力して結果を確認できる。

5.1 コマンドプロンプトとは

コマンドプロンプトは、Windowsに標準搭載されている、キーボードからコマンド(命令文)を入力してパソコンを操作するツールである。

Pythonプログラムの実行、pipによるライブラリのインストール、ディレクトリの移動に使う。AIエディタ(Windsurf)の統合ターミナルでも同じコマンドが使える。

5.2 コマンドプロンプトの起動

  1. Windows キーを押す。cmd と入力して Enter を押す
  2. あるいは、スタートメニューの検索欄にcmdと入力して起動することもできる。

5.3 画面の読み方

起動すると、次のような表示が現れる。

C:\Users\YourName>

5.4 対話モードの起動と基本操作

コマンドプロンプトでファイル名を指定せずに python とだけ入力すると、対話モードが起動する。コードを1行ずつ入力して結果を確認できる。

C:\Users\YourName> python
Python 3.x.x ...
>>> print("テスト")
テスト
>>> 1 + 2
3
>>> exit()

C:\Users\YourName>

>>> が対話モードのプロンプトである。exit() でコマンドプロンプトに戻る。

対話モードで入力したコードは保存されない。繰り返し実行するコードは .py ファイルに保存しておく必要がある(6章参照)。

'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。 と表示される場合、Pythonのインストール時に「Add Python to PATH」にチェックを入れていない可能性がある。4章のインストール手順を参照し、PATHへの追加を有効にする。

6. .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する

この章では、テキストエディタ(メモ帳)でPythonプログラムを書き、.pyファイルとして保存し、コマンドプロンプトから実行するまでの一連の手順を学ぶ。ディレクトリとカレントディレクトリの概念もここで扱う。

6.1 テキストエディタとは

テキストエディタは、文字(テキスト)を入力・編集するためのソフトウェアである。プログラムはテキストファイルであり、「メモ帳」などのテキストエディタで確認・編集できる。Visual Studio CodeやWindsurfなどのコードエディタでは、シンタックスハイライト(構文の色分け)や自動補完に加え、AIによるコード生成・エラー解説などの支援機能が使える。

6.2 メモ帳の起動

  1. スタートメニュー(画面左下のWindowsマーク)をクリックする
  2. メモ帳」と入力する(notepadと入力しても良い)
    スタートメニューでメモ帳を検索した画面
  3. 「メモ帳」アプリが表示されるので、クリックして起動する

6.3 プログラムの入力

メモ帳に以下のプログラムを入力する。このプログラムは、入力された文字を10回繰り返して表示する。

x = input("x:")
print(x * 10)
メモ帳にPythonプログラムを入力した画面

6.4 .pyファイルとして保存する

Pythonのプログラムは、拡張子 .py のテキストファイルに保存する。拡張子とは、ファイルの種類を表すファイル名末尾の部分である。中身はプレーンテキスト(装飾のない文字データ)である。

  1. 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選択する
    メモ帳のファイルメニューから名前を付けて保存を選択する画面
  2. 保存場所を選ぶ(例:ドキュメント)
  3. 画面下の「ファイルの種類」を「すべてのファイル(*.*)」に変更する
    • 初期設定の「テキスト文書(*.txt)」のままだと、ファイル名に「.txt」が自動的に追加され、「test.py.txt」のようになる。これを防ぐため、必ず「すべてのファイル(*.*)」に変更する
    保存ダイアログでファイルの種類をすべてのファイルに変更した画面
  4. ファイル名を「test.py」と入力する
    • 「test」の部分は任意の名前でよい
    • .py はPythonプログラムであることを示す拡張子(ファイルの種類を表す部分)である。この拡張子により、WindowsがこのファイルをPythonプログラムとして認識する
    ファイル名にtest.pyと入力した画面
  5. 「保存」をクリックする
    保存ボタンをクリックする画面

6.5 ディレクトリとカレントディレクトリ

保存した.pyファイルを実行するには、そのファイルがどこにあるかを把握する必要がある。ここでは、ディレクトリとカレントディレクトリの概念を説明する。

ディレクトリとは

ディレクトリは「フォルダ」の別名である。この資料では「ディレクトリ」で統一する。

Windowsのファイルシステムは、ディレクトリの中にディレクトリを入れる階層構造になっている。

C:\
├── Users\
│   └── YourName\
│       ├── Desktop\
│       ├── Documents\
│       └── Downloads\
├── Program Files\
└── python_work\        ← 自分で作った作業用ディレクトリ
    ├── test.py
    └── data.txt

パス

ファイルやディレクトリの場所を文字列で表したものをパスと呼ぶ。

C:\Users\YourName\Desktop\test.py

C:                  … ドライブ名
\Users\YourName     … 途中のディレクトリ
\Desktop            … ファイルがあるディレクトリ
\test.py            … ファイル名

先頭のドライブ名から書くパスを絶対パスと呼ぶ。

カレントディレクトリ

コマンドプロンプトの「今いるディレクトリ」をカレントディレクトリと呼ぶ。

プロンプト表示の C:\Users\YourName> がカレントディレクトリを示している。コマンドでファイル名だけを指定した場合、カレントディレクトリ内のファイルが対象になる。

この仕組みは、Pythonプログラムの実行(6.8節)とファイル入出力(10章)に関係する。

6.6 ディレクトリ操作の基本コマンド

コマンド 動作 補足
cd ディレクトリ名 指定したディレクトリへ移動する Change Directoryの略
cd .. ひとつ上のディレクトリへ戻る .. は親ディレクトリを意味する
cd(引数なし) カレントディレクトリを表示する 現在地の確認用
dir カレントディレクトリの内容を一覧表示する ファイルとサブディレクトリが表示される
mkdir ディレクトリ名 新しいディレクトリを作成する Make Directoryの略
D:(ドライブ名:) ドライブを切り替える cd ではドライブを変更できない

操作例

デスクトップに移動する:

C:\Users\YourName> cd Desktop
C:\Users\YourName\Desktop>

ひとつ上に戻り、別のディレクトリへ移動する:

C:\Users\YourName\Desktop> cd ..
C:\Users\YourName> cd Documents
C:\Users\YourName\Documents>

ディレクトリ名にスペースや日本語が含まれる場合は、「"」で囲む。例:

cd "%USERPROFILE%\Desktop\Python練習"

cd d:\work のように別ドライブのパスを指定しても、カレントディレクトリは変わらない。別ドライブへ移動するには、cd /d d:\work のように「/d 」オプションを付ける。

6.7 作業用ディレクトリの作成

.py ファイルの保存場所は、カレントディレクトリと実行操作に関係する。作業用ディレクトリを作成し、そこにファイルを保存する方法を以下に示す。

C:\Users\YourName> mkdir C:\python_work
C:\Users\YourName> cd C:\python_work
C:\python_work>

6.8 プログラムの実行

インタプリタとは

Pythonはインタプリタ言語である。C言語のようにコンパイル(機械語への事前変換)を行わず、ソースコードを1行ずつ解釈しながら実行する。この解釈・実行を行うプログラムを「インタプリタ」と呼ぶ。コードを修正した場合は、再度実行コマンドを入力する。コンパイル作業は不要である。

基本の実行コマンド

python コマンドに .py ファイルのファイル名を渡すと、プログラムが実行される。

保存したプログラムをコマンドプロンプトから実行する手順を以下に示す。

  1. コマンドプロンプトを開く(5.2節の手順)
  2. cd.py ファイルがあるディレクトリに移動する。ファイルを「ドキュメント」に保存した場合は以下のように入力する:
    cd %USERPROFILE%\Documents

    コマンドプロンプトの起動直後(ユーザーディレクトリにいる場合)は、以下でも移動できる:

    cd Documents
    cdコマンドでディレクトリを移動した画面
  3. python test.py と入力して Enter を押す
  4. 「x:」と表示されるので、任意の文字(例:A)を入力してEnterを押す
  5. 入力した文字が10回繰り返して表示される(例:AAAAAAAAAA)
    pythonコマンドでプログラムを実行した画面

このコマンドは「カレントディレクトリにある test.py を実行する」という意味である。カレントディレクトリと .py ファイルの保存場所が異なる場合は、絶対パスで指定できる。

C:\Users\YourName> python C:\python_work\test.py
x:A
AAAAAAAAAA

プログラム名は作成時に付けた名前である。

'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。 と表示される場合、Pythonのインストール時に「Add Python to PATH」にチェックを入れていない可能性がある。4章のインストール手順を参照し、PATHへの追加を有効にする。

7. AIエディタ(Windsurf)でPythonを使う

7.1 AIエディタとは

AIエディタは、AIによるコード生成・エラー解説などの支援機能を備えたエディタである。シンタックスハイライト(構文の色分け)、自動補完、実行ボタンによるコード実行、変数値の確認、画像や図の表示など、メモ帳にはない機能も備える。本資料ではWindsurfを紹介する。インストール手順は4章を参照すること。

7.2 .pyファイルの作成と実行

Windsurfでは、新しいファイルを作成(File メニューのNew File)しファイル名の末尾を .py にして保存すれば、.pyファイルを作成できる。

エディタ右上の ▷(実行ボタン)でプログラムを実行できる。

実行の手順をまとめると以下のとおりである。

  1. Windsurfを起動する
  2. 新しいファイルを作成し、ファイル名の末尾を .py にして保存する(例:test.py
  3. コードを入力して保存する
  4. エディタ右上の ▷(実行ボタン)をクリックする。画面下部のターミナルに実行結果が表示される。input() を使うプログラムの場合は、ターミナルにプロンプトが表示されるので、ターミナルをクリックして文字を入力し、Enter を押す

7.3 Cascadeを開く

WindsurfにはCascadeというAI機能が搭載されている。コードのエラーを説明させたり、コードを修正してもらったりできる。

画面右上のCascadeアイコンをクリックするか、キーボードショートカット Ctrl + L で開く。

7.4 モード

モード 用途
Code(Write)モード AIがファイルを直接作成・編集する。コードを自動で修正してほしいときに使用する。
Ask(Chat)モード 質問・説明・アドバイスを求める。コードの意味を聞いたりエラーの原因を尋ねるときに使用する。
Planモード 設計、計画する。

Cascadeパネル内のモード切り替えで選択する。

7.5 エラーをAIに解決してもらう

  1. Ctrl + L でCascadeを開く
  2. エラーメッセージをコピーして、以下のように入力する
    次のエラーが出ています。原因と修正方法を教えてください。
    (ここにエラーメッセージを貼り付ける)
  3. Enterキーを押す
  4. Code(Write)モードの場合、AIが修正案を提示する。画面に「Accept」ボタンが表示されたらクリックすると変更が反映される

別の方法もある。エディタ下部のProblemsパネルに表示されるエラーは「Send to Cascade」ボタンでCascadeに送ることができる。

また、エディタ上でエラー箇所を選択すると表示される「Explain and Fix」をクリックしても、AIによる解説と修正が行われる。

7.6 コードの特定部分をAIに修正させる(Command)

  1. エディタ上で修正したいコードを選択する
  2. Ctrl + I を押す
  3. 修正内容を日本語で入力してEnterキーを押す(例:「このエラーを修正して」、別の例:「20倍にしたい」)
  4. AIが修正案を提示する。問題なければ「Accept」をクリックして反映する

7.7 AIに変更を取り消させる

Cascadeが行った変更を元に戻したい場合は、Cascadeパネル内の該当ステップにマウスカーソルを乗せると「元に戻す」矢印が表示されるのでクリックする。なお、この操作自体は取り消せないため注意すること。

7.8 Visual Studio Code

前半(1〜9章)で説明した8つの概念は、コマンドプロンプト以外の開発環境でもそのまま使われる。ただし、操作方法が異なる。コマンドプロンプト単体では、テキストエディタと行き来しながら作業する必要があるが、Visual Studio CodeやWindsurfはこの手間を解消する統合環境である。

Visual Studio Codeはコードエディタである。Python拡張機能をインストールするとPythonの開発環境として使える。

画面は、上部にコードの編集領域、下部に統合ターミナルがある。コードの編集と実行結果の確認を1つの画面で行える。

┌──────────────────────────────────────┐
│  編集領域(.py ファイルを編集する)  │
│                                      │
│  print("Hello, World!")              │
│                                      │
├──────────────────────────────────────┤
│  統合ターミナル(実行結果が出る)    │
│                                      │
│  > python hello.py                   │
│  Hello, World!                       │
└──────────────────────────────────────┘

統合ターミナルは、メニューの「ターミナル」→「新しいターミナル」で開く。コマンドプロンプトと同じコマンド(cddirpythonpip install など)がそのまま使える。

概念 Visual Studio Codeでの対応
テキストエディタ 画面上部の編集領域で直接作成・編集する。シンタックスハイライトや自動補完が使える
AIエディタ Visual Studio Code自体にはAI機能はないが、拡張機能で追加できる。WindsurfにはAI機能(Cascade)が組み込まれている(7.3〜7.7節参照)
コマンド入力 画面下部の統合ターミナルに入力する
カレントディレクトリ 「フォルダーを開く」で開いたディレクトリが統合ターミナルのカレントディレクトリになる
.py ファイルの編集 画面上部の編集領域で直接作成・編集する
実行 統合ターミナルで python ファイル名.py を実行するか、エディタ右上の実行ボタン(▷)を押す
pip 統合ターミナルで pip install を実行する。管理者権限が必要な場合はVisual Studio Code自体を管理者として起動する
ファイル入出力 「フォルダーを開く」で開いたディレクトリがカレントディレクトリの基準になる(詳細は後半10章参照)

「フォルダーを開く」を使わずにファイル単体を開いた場合、統合ターミナルのカレントディレクトリがユーザーのホームディレクトリ(C:\Users\YourName)になることがある。ファイル入出力の基準が意図と異なるため、作業用ディレクトリごと開く必要がある。

WindsurfはVisual Studio Codeをベースにしたエディタであり、AIによるコード補完・生成機能が追加されている。画面構成・操作方法・8つの概念の対応はVisual Studio Codeと同じである。WindsurfのAI機能(Cascade)については7.3〜7.7節で解説している。

8. pipでライブラリを追加する

8.1 pip とは

pip は Python に付属するパッケージ管理ツールである。他の開発者が公開しているライブラリ(追加機能のまとまり)を、インターネット経由でインストールできる。

代表的なライブラリ:

ライブラリ名 用途
requests Webページの取得、ファイルのダウンロード
pandas 表形式データの読み込み・集計・分析
openpyxl Excelファイル(.xlsx)の読み書き
matplotlib グラフや画像の表示・描画

8.2 管理者として実行する方法

通常起動のコマンドプロンプトでは、管理者権限が必要な操作(システム領域へのファイル書き込みなど)でエラーになる。pipのインストール時にこのエラーが起きることがある。以下の手順で管理者権限のコマンドプロンプトを起動する。

  1. スタートメニューの検索欄にcmdと入力する
  2. 検索結果の「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選ぶ

管理者として実行中のコマンドプロンプトは、タイトルバーに「管理者:」と表示される。この表示がなければ通常権限で動いている。

8.3 基本コマンド

コマンド 動作
pip install パッケージ名 パッケージをインストールする
pip uninstall パッケージ名 パッケージをアンインストールする
pip list インストール済みパッケージの一覧を表示する
pip show パッケージ名 パッケージの詳細情報を表示する

例:requests をインストールする

C:\python_work> pip install requests

8.4 権限エラーへの対処

通常権限で pip install を実行すると、以下のエラーが出ることがある。

ERROR: Could not install packages due to an OSError: [WinError 5] アクセスが拒否されました。

この場合、コマンドプロンプトを閉じ、管理者として再起動してから再実行する(8.2節の手順)。

9. 操作チェックリスト(前半のまとめ)

ここまでが前半の内容である。以下の操作がすべてできることを確認してから、後半に進むこと。

順序 やること コマンド例 関連する章
Step 1 コマンドプロンプトを開く スタートメニューの検索欄に cmd と入力 5章
Step 2 作業用ディレクトリを作る mkdir C:\python_work 6章
Step 3 .py ファイルを作成し、作業用ディレクトリに保存する メモ帳またはWindsurfで保存 6章、7章
Step 4 cd で .py ファイルの場所に移動する cd C:\python_work 6章
Step 5 python コマンドで実行する python test.py 6章
Step 6 ライブラリが必要なら pip install する(権限エラーが出た場合は管理者として再起動する) pip install requests 8章
項目 内容
実行 python ファイル名.py、またはWindsurfの実行ボタン
エラー対処 エラーメッセージの行番号を確認して修正。Cascadeにエラーメッセージを貼り付けて確認する方法もある(7章・12章参照)

― 後半:前半の知識を前提とする内容 ―

10. ファイル入出力とダウンロード保存

10.1 カレントディレクトリとファイル操作の関係

Pythonプログラム内でファイルを読み書きするとき、ファイル名だけを指定するとカレントディレクトリが基準になる。カレントディレクトリとは、python コマンドを実行したときにいたディレクトリである。

# カレントディレクトリにある data.txt を読み込む
with open("data.txt", "r", encoding="utf-8") as f:
    content = f.read()

# カレントディレクトリに output.txt を書き出す
with open("output.txt", "w", encoding="utf-8") as f:
    f.write("処理結果です")

このプログラムを C:\python_work で実行した場合、data.txtC:\python_work\data.txt から読み込まれ、output.txtC:\python_work\output.txt として作成される。

FileNotFoundError が出る場合、.py ファイルの場所ではなく、python コマンドを実行したディレクトリ(カレントディレクトリ)に対象ファイルがあるかを確認する。.py ファイルと同じディレクトリに cd で移動してから実行すれば、この問題は起きない。

10.2 絶対パスによるファイル指定

カレントディレクトリに依存せずファイルを指定するには、絶対パスを使う。

with open(r"C:\python_work\data.txt", "r", encoding="utf-8") as f:
    content = f.read()

Pythonの文字列では \(バックスラッシュ)がエスケープ文字として扱われる。\n は改行、\t はタブになる。パスを正しく書くには次の2つの方法がある。

  • \\ と2つ重ねる:"C:\\python_work\\data.txt"
  • 文字列の先頭に r を付ける(raw文字列):r"C:\python_work\data.txt"

10.3 ファイルのダウンロードと保存

requests ライブラリ(8章参照)を使うと、インターネット上のファイルをダウンロードして保存できる。

import requests

url = "https://example.com/data.csv"
response = requests.get(url)

# カレントディレクトリに保存する。保存先を指定する場合は絶対パスを使える。
# 例:r"C:\python_work\data.csv"
with open("data.csv", "wb") as f:
    f.write(response.content)

10.4 保存時の注意点

11. キーボード入力のプログラム

キーボードから入力された文字のバイト数を数えるプログラムを作成する。以下のコードを count.py として保存し、実行する。

import sys

count = 0

for line in sys.stdin:
    count = count + len(line.encode('utf-8'))

print("バイト数:", count)

11.1 各行の解説

コード 解説
import sys 標準入力を扱うために sys モジュールを読み込む
count = 0 バイト数を数えるカウンタ
for line in sys.stdin: 標準入力から1行ずつ読み取り、EOF(End of File、入力の終わり)まで繰り返す
len(line.encode('utf-8')) 文字列をUTF-8でエンコードし、そのバイト数を取得する
print("バイト数:", count) バイト数を出力する

11.2 実行例

python count.py
a b c d
^Z
バイト数: 8

入力の終わりを伝えるには、行の先頭で Ctrl+Z を押し、Enter を押す。

12. よくあるエラーとその対処法

12.1 エラーメッセージの読み方

Pythonのエラーメッセージには、エラーが発生したファイル名、行番号、該当するコード、エラーの種類と理由が含まれる。以下に例を示す。

Traceback (most recent call last):
  File "test.py", line 3, in <module>
    print(mesage)
NameError: name 'mesage' is not defined
表示内容 意味
File "test.py", line 3 エラーが起きたファイルと行番号
print(mesage) エラーが起きたコード
NameError: ... エラーの種類と理由

まず行番号を確認し、そのコードを見直す。原因がわからない場合はエラーメッセージをCascade(7章参照)に貼り付けて確認するとよい。

12.2 構文エラー(SyntaxError)

例:SyntaxError: invalid syntax

→ 括弧の閉じ忘れ、コロンの欠落、インデントの誤りなどを確認する。

# 間違い
if x > 0

# 正しい
if x > 0:

12.3 名前エラー(NameError)

例:NameError: name 'prnt' is not defined

→ 関数名や変数名のスペルミス、または未定義の変数を使用している可能性がある。

スペルミスの例:

# 間違い(print のスペルミス)
prnt("Hello")

# 正しい
print("Hello")

変数が未定義の例:

# 間違い(x を定義する前に使っている)
print(x)

# 正しい
x = 10
print(x)

12.4 インデントエラー(IndentationError)

iffor の次の行はスペース4つで字下げが必要である。

# 間違い
if x > 0:
print("正")

# 正しい
if x > 0:
    print("正")

12.5 値エラー(ValueError)

数値に変換できない文字列を int() などに渡した場合に発生する。try-except で対処する。

try:
    x = int(input())
except ValueError:
    print("数値を入力してください")

12.6 インデックスエラー(IndexError)

リストの番号は0から始まる。存在しない番号へのアクセスはエラーになる。

array = [10, 20, 30]  # 有効な番号は 0, 1, 2 のみ
# 間違い:array[3]
# 正しい:array[2]

12.7 「'python' は内部コマンドまたは外部コマンド...」と表示される場合

12.8 「No such file or directory」と表示される場合

12.9 「ModuleNotFoundError」と表示される場合

12.10 「アクセスが拒否されました」と表示される場合

12.11 インストーラーがダウンロードできない場合

13. 次のステップ

メモ帳とコマンドプロンプトでプログラミングの基本を学んだ後は、統合開発環境に移行する方法がある。

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