Windows環境でのPython:基本とプログラムの作成・実行
【概要】Windows環境でPythonプログラミングを始めるための入門教材である。テキストエディタ、開発環境、コマンドプロンプト、ディレクトリ、.pyファイル、Pythonプログラムの実行、pip、ファイル入出力の8つの概念を体系的に解説する。加えて、環境の選択、Pythonのインストール、標準入出力を扱うプログラムの作成、エラーへの対処法を扱う。説明にはWindowsのコマンドプロンプトを使うが、8つの概念はVisual Studio Code、Google Colabなど他の開発環境でも共通して必要になる。各環境での操作方法は該当する章で説明する。
【目次】
前半:最初に習得すべき内容
- はじめに
- 全体像:概念の依存関係
- どの環境で始めるか選ぶ
- 開発環境の準備
- 対話型シェルでPythonを試す
.pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する- 開発環境Visual Studio CodeでPythonを使う
- pipでライブラリを追加する
- 操作チェックリスト(前半のまとめ)
後半:前半の知識を前提とする内容
以下の操作方法を知りたい場合は、各章を参照すること。
□ 対話型Pythonシェルを使う(python と入力して起動、exit() で終了) |
→ 5章 |
□ .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する |
→ 6章 |
| □ 開発環境(Visual Studio Code)でPythonを使う | → 7章 |
| □ 管理者権限のコマンドプロンプトでpipを実行する | → 8章 |
用語
前提知識と用語(1) AI支援機能とLLMについて
本資料で扱う開発環境(Visual Studio Code)のAI支援機能(コード生成・エラー解説など)は、LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)に基づく。LLMは、大量のテキストデータから学習し、文章やプログラムコードを生成するモデルである。LLMの出力は確率的に決まるため、誤った関数名、存在しないライブラリ名、不適切な処理を含むことがある。AI支援機能が提示したコードは、実行して動作を確認し、内容を読み取れる範囲で理解してから採用する。
(2) 用語の整理
- テキストエディタ(メモ帳):プログラムはテキストファイル(文字データのみで構成されるファイル)であり、メモ帳などのテキストエディタで確認・編集できる。
- 開発環境:シンタックスハイライト(構文の色分け)、自動補完、実行ボタンによるコード実行、変数値の確認、画像や図の表示など、メモ帳にはない機能を備える。
- ディレクトリ:「フォルダ」と同じ意味。本資料では「ディレクトリ」で統一する。
- ディレクトリ・カレントディレクトリ・パス:パソコン内のディレクトリ構造を扱う概念である。現在の作業ディレクトリ(カレントディレクトリ)を把握していないと、ファイルの保存先や実行対象を正しく指定できない。ファイルやディレクトリの場所を文字列で表したものをパスと呼ぶ。
- 絶対パス:ドライブ名から書き始めるパス(例:
C:\python_work\test.py)。 .pyファイル:Pythonプログラムの保存形式である。拡張子を.pyにして保存する。メモ帳で保存する場合、ファイルの種類を「すべてのファイル」にしないと.txtが付く点に注意する。- コマンドプロンプト:文字の命令でパソコンを操作するツールである。Pythonの実行やライブラリの追加に使う。
- Pythonプログラムの実行:コマンドプロンプトで
python ファイル名.pyと入力する方法、エディタの実行ボタンを使う方法、ノートブック(コードと実行結果を1つの文書にまとめた形式)でコードセルを実行する方法がある。エラーがある場合、エラーメッセージが表示される。 - 対話型シェル / 対話モード:同じものを指す。コマンドプロンプトで
pythonとだけ入力したときに起動する、コードを1行ずつ実行できる状態。 - モジュール:機能のまとまりの最小単位(1つの
.pyファイルに相当)。 - パッケージ:複数のモジュールをまとめたもの。
- ライブラリ:特定の用途のために作られたパッケージ・モジュールの総称。pipでは「パッケージ」として配布される。
- pip(パッケージ管理):Python本体にない機能(画像処理、データ分析などのライブラリ)を追加するためのツールである。
pip install ライブラリ名で導入できる。 - ファイル入出力とダウンロード保存:プログラムからファイルを読み書きしたり、新規ファイルを作成したり、ファイルをダウンロードしたりできる。
- UTF-8:文字を表現する符号化方式の一つ。日本語を含むテキストを扱うときに指定する。
- 標準入力:キーボードなどからプログラムへ渡される入力経路。
- EOF:End of File、入力の終わりを示す印。
(3) 本資料で作成する題材プログラム
- 前半(1〜9章):入力された文字を10回繰り返して表示するプログラム。文字列処理とプログラム作成・実行の最小例として扱う(題材は3章以降で扱う)。
- 後半(11章):キーボードから入力された文字のバイト数を数えるプログラム。標準入力(複数行入力)とエンコーディング(文字を符号化する方式)を扱う応用例として扱う。
(4) Pythonのバージョン
本資料はPython 3.12を前提とする。Python 3.10以降であれば、本資料の内容はそのまま動作する。
― 前半:最初に習得すべき内容 ―
1. はじめに
本資料では、PythonプログラムをWindows上で作成し、実行する方法を学ぶ。具体的には、以下の内容を扱う。
- テキストエディタ、開発環境、コマンドプロンプト、ディレクトリ、
.pyファイル、Pythonプログラムの実行、pip、ファイル入出力の8つの概念を理解する - Pythonのソースコード(プログラムの本体)を実行する
- エラーメッセージを読んでエラーに対処する
- (後半)キーボードから入力された文字のバイト数を数えるプログラムを作成する
Windowsに標準搭載されているメモ帳と、無料でダウンロードできるPythonがあれば、Pythonの標準機能を扱える。pipを用いれば、Python本体にない機能の追加と実行も行える。
本資料を通じて、入力された文字を10回繰り返して表示するプログラムを作成・実行できるようになる。ここで学ぶ作成・実行方法は、Pythonプログラミングの基礎となる。
2. 全体像:概念の依存関係
①と②はプログラムを書くための道具であり、本資料では両方を扱う。③〜⑥はPythonを実行するために必要である。⑦と⑧は、外部ライブラリの利用やデータ処理を行うときに必要になる。
┌──────────────────────────────────────────────────┐ │ ① テキストエディタ ② 開発環境 │ │ (プログラムを書く道具) │ │ ↓ プログラムを書く・保存する │ │ ③ コマンドプロンプト(操作の入口) │ │ ↓ コマンドを入力する場所 │ │ ④ ディレクトリとカレントディレクトリ │ │ ↓ .py ファイルがどこにあるか │ │ ⑤ .py ファイル(プログラムの保存形式) │ │ ↓ python コマンドで実行 │ │ ⑥ Python プログラムの実行 │ │ ↓ ライブラリが必要な場合 │ │ ⑦ pip(パッケージ管理) │ │ ↓ プログラム内でファイルを扱う │ │ ⑧ ファイル入出力とダウンロード保存 │ └──────────────────────────────────────────────────┘
本資料の前半の主要章である5〜8章では、上記の概念を4つの基本タスクを通じて学ぶ(1〜2章は導入、3〜4章は環境準備、9章は前半のまとめである)。各タスクで扱う概念の対応を以下に示す。
| 章 | タスク | 扱う概念 |
|---|---|---|
| 5章 | 対話型シェルでPythonを試す | ③ コマンドプロンプト、⑥ 実行 |
| 6章 | .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する |
① テキストエディタ、③ コマンドプロンプト、④ ディレクトリ、⑤ .pyファイル、⑥ 実行 |
| 7章 | 開発環境(Visual Studio Code)でPythonを使う | ② 開発環境、⑤ .pyファイル、⑥ 実行 |
| 8章 | pipでライブラリを追加する | ③ コマンドプロンプト、⑦ pip |
3. どの環境で始めるか選ぶ
Pythonを始める方法は2つある。
| オンライン環境(3.1, 3.2節) | Windowsにインストール(4章) | |
|---|---|---|
| インストール | 不要 | 必要 |
| 実行場所 | ブラウザ上で実行する | 自分のパソコン上で実行する |
| 向いている用途 | 動作を試したい場合 | 継続的に学習・開発する場合 |
3.1 オンライン環境Google Colab
Google Colab(https://colab.research.google.com/)は、Googleアカウントがあればブラウザ上で使えるPython実行環境である。Pythonのインストールは不要である。コードをブラウザ上の「セル」(コードや結果を表示する区画)に入力し、セル単位で実行する。実行結果はセルの直下に表示される。
┌──────────────────────────────────────┐
│ セル 1(コードを書く) │
│ print("Hello, World!") │
│ [▷ 実行ボタン] or Shift+Enter │
├──────────────────────────────────────┤
│ 実行結果 │
│ Hello, World! │
├──────────────────────────────────────┤
│ セル 2(次のコードを書く) │
│ ... │
└──────────────────────────────────────┘
Google Colabでプログラムを実行する手順
以下の手順で、入力された文字を10回繰り返して表示するプログラムを実行できる。
- Google Colab(https://colab.research.google.com/)にアクセスする
- 「ノートブックを新規作成」をクリックする
- コードセルに以下のコードを入力する
x = input("x:") print(x * 10)input()はキーボードからの入力を文字列として受け取る関数である。Pythonでは文字列に整数を掛けると、その回数だけ繰り返した文字列になる(例:"A" * 3は"AAA")。 - セルの左にある ▷(実行ボタン)をクリックするか、Shift + Enter を押す
- 「x:」と表示されるので、任意の文字(例:A)を入力してEnterを押す
- 入力した文字が10回繰り返して表示される(例:AAAAAAAAAA)
8つの概念との対応
(「AI支援機能」は8つの概念に含まれない補足項目であるが、各環境での対応を以下に併記する)
| 概念 | Google Colabでの対応 |
|---|---|
| テキストエディタ | ブラウザ上のセルにコードを直接入力する |
| AI支援機能(補足) | Colabにはコード生成・エラー解説などのAI支援機能が組み込まれている |
| コマンドプロンプト(コマンド入力) | コマンドプロンプトは存在しない。代わりに、セル内で ! や % を使ってコマンドを実行する(後述) |
| カレントディレクトリ | Googleのサーバー上の仮想マシン(クラウド上で動作する仮想的なコンピュータ)が割り当てられ、カレントディレクトリは /content である。ローカルPCのディレクトリではない |
.pyファイル |
通常は .pyファイルを作成しない。コードはノートブック(.ipynb ファイル)のセルに直接書く |
| 実行 | python コマンドは使わない。セルの実行ボタン(▷)を押すか、Shift + Enter を押す |
| pip | セルに !pip install パッケージ名 と書いて実行する。管理者権限は不要 |
| ファイル入出力 | カレントディレクトリ /content を基準に読み書きされる(詳細は後半10章参照) |
Colabの ! コマンドと % コマンド
Colabにはコマンドプロンプトがないが、セル内でコマンドプロンプトと同等の操作を行う方法が2つある。
!(エクスクラメーション)をセルの行頭に付けると、その行をシェルコマンド(OSに対する命令)として実行する。pipのインストールやファイル一覧の表示に使う。
ファイル一覧の表示:
!ls
!ls -al
%(パーセント)をセルの行頭に付けると、Colab自体への命令(マジックコマンド)として実行する。カレントディレクトリの確認や変更に使う。
カレントディレクトリを確認する(pwd に相当):
%pwd
カレントディレクトリを変更する(cd ディレクトリ名 に相当):
%cd /content/sample_data
| 記号 | 名称 | 用途 | コマンド例 | コマンドプロンプトでの対応 |
|---|---|---|---|---|
! |
シェルコマンド | pip、ファイル操作など | !pip install requests |
pip install requests |
! |
シェルコマンド | ファイル一覧の表示 | !ls |
dir |
% |
マジックコマンド | カレントディレクトリの確認 | %pwd |
cd(引数なし) |
% |
マジックコマンド | カレントディレクトリの変更 | %cd /content/drive |
cd C:\python_work |
!cd /content/drive のように ! でディレクトリを変更しても、次のセルではカレントディレクトリが元の /content に戻る。カレントディレクトリの変更を維持するには %cd を使う。
3.2 その他のオンライン環境
Google Colab以外にも、インストール不要でブラウザ上で実行できる環境がある。
- GDBonline: https://www.onlinegdb.com/online_python_compiler
アカウント不要でブラウザ上で使える。言語選択でPythonを指定し、コードを入力して「Run」で実行する。
- Python Tutor: https://pythontutor.com/
コードの実行過程を1行ずつ視覚的に確認できる。コードを入力して「Visualize Execution」を押し、「Forward」で1行ずつ進めると、変数の値の変化を追える。
- VisuAlgo:https://visualgo.net
VisuAlgoはアルゴリズムとデータ構造のデモサイトである。Pythonコードの実行はできないが、ソートや探索などのアルゴリズムの動作を視覚的に確認できる。
Python 3.12 のインストール
Pythonのインストールを行い、Pythonのプログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。金子研究室では、Python 3.12.10を推奨する。
[Windows での Python 3.12 のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 3.12 のインストール
以下のいずれかの方法でPython 3.12をインストールする。Pythonがインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法 1:winget によるインストール
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動するとPATHが反映される。
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""
REM Python と Scripts を PATH 先頭に追加
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\") -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$s;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$p;$s;$c\",'Machine')}"
方法 2:インストーラーによるインストール
- Python公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンからWindows用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
5. 対話型シェルでPythonを試す
Pythonを試す方法の一つは、コマンドプロンプトから対話型シェル(対話モードとも呼ぶ。本資料では同義として扱う)を起動することである。ファイルを作成せずに、コードを1行ずつ入力して結果を確認できる。
5.1 コマンドプロンプトとは
コマンドプロンプトは、Windowsに標準搭載されている、キーボードからコマンド(命令文)を入力してパソコンを操作するツールである。
Pythonプログラムの実行、pipによるライブラリのインストール、ディレクトリの移動に使う。開発環境(Visual Studio Code)のターミナル(エディタ内に組み込まれたコマンド入力画面)でも同じコマンドが使える。
5.2 コマンドプロンプトの起動
- Windows キーを押し、
cmdと入力して Enter を押す - あるいは、スタートメニューの検索欄に
cmdと入力して起動する。
5.3 画面の読み方
起動すると、次のような表示が現れる。
C:\Users\YourName>
C:\Users\YourNameカレントディレクトリ(現在いるディレクトリ)である。詳細は6章で解説する。
>プロンプト記号である。ここから右にコマンドを入力する。
5.4 対話モードの起動と基本操作
コマンドプロンプトでファイル名を指定せずに python とだけ入力すると、対話モードが起動する。コードを1行ずつ入力して結果を確認できる。
C:\Users\YourName> python
Python 3.x.x ...
>>> print("テスト")
テスト
>>> 1 + 2
3
>>> exit()
C:\Users\YourName>
>>> が対話モードのプロンプトである。exit() でコマンドプロンプトに戻る。
対話モードで入力したコードは保存されない。繰り返し実行するコードは .pyファイルに保存する(6章参照)。
'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。 と表示される場合、Pythonのインストール時に「Add python.exe to PATH」にチェックを入れていない可能性がある。4章のインストール手順を参照し、PATHへの追加を有効にする。
6. .pyファイルを作ってコマンドプロンプトから実行する
本章では、テキストエディタ(メモ帳)でPythonプログラムを書き、.pyファイルとして保存し、コマンドプロンプトから実行するまでの一連の手順を学ぶ。ディレクトリとカレントディレクトリの概念もここで扱う。
6.1 テキストエディタとは
テキストエディタは、文字(テキスト)を入力・編集するためのソフトウェアである。プログラムはテキストファイルであり、メモ帳などのテキストエディタで確認・編集できる。Visual Studio Codeなどのコードエディタ(プログラミング向けに機能を強化したテキストエディタ)では、シンタックスハイライトや自動補完が使える。AI支援機能については7章で扱う。
6.2 メモ帳の起動
- スタートメニュー(画面左下のWindowsマーク)をクリックする
- 「メモ帳」と入力する(
notepadと入力してもよい)
- 「メモ帳」アプリが表示されるので、クリックして起動する
6.3 プログラムの入力
メモ帳に以下のプログラムを入力する。このプログラムは、入力された文字を10回繰り返して表示する。
x = input("x:")
print(x * 10)
input() はキーボードからの入力を文字列として受け取る関数である。Pythonでは文字列に整数を掛けると、その回数だけ繰り返した文字列になる(例:"A" * 3 は "AAA")。
6.4 .pyファイルとして保存する
Pythonのプログラムは、拡張子 .py のテキストファイルに保存する。拡張子とは、ファイルの種類を表すファイル名末尾の部分である。中身はプレーンテキスト(装飾のない文字データ)である。
- 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選択する
- 保存場所を選ぶ(例:ドキュメント)
- 画面下の「ファイルの種類」を「すべてのファイル(*.*)」に変更する
- 初期設定の「テキスト文書(*.txt)」のままだと、ファイル名に「.txt」が自動的に追加され、「test.py.txt」のようになる。これを防ぐため、「すべてのファイル(*.*)」に変更する
- ファイル名を「test.py」と入力する
- 「test」の部分は任意の名前でよい
.pyはPythonプログラムであることを示す拡張子である。この拡張子により、WindowsがこのファイルをPythonプログラムとして認識する
- 「保存」をクリックする
6.5 ディレクトリとカレントディレクトリ
保存した.pyファイルを実行するには、そのファイルがどこにあるかを把握する必要がある。ここでは、ディレクトリとカレントディレクトリの概念を説明する。
ディレクトリとは
ディレクトリは「フォルダ」の別名である。本資料では「ディレクトリ」で統一する。
Windowsのファイルシステムは、ディレクトリの中にディレクトリを入れる階層構造になっている。
C:\
├── Users\
│ └── YourName\
│ ├── Desktop\
│ ├── Documents\
│ └── Downloads\
├── Program Files\
└── python_work\ ← 自分で作った作業用ディレクトリ
├── test.py
└── data.txt
パス
ファイルやディレクトリの場所を文字列で表したものをパスと呼ぶ。
C:\Users\YourName\Desktop\test.py C: … ドライブ名 \Users\YourName … 途中のディレクトリ \Desktop … ファイルがあるディレクトリ \test.py … ファイル名
先頭のドライブ名から書くパスを絶対パスと呼ぶ。
カレントディレクトリ
コマンドプロンプトの「今いるディレクトリ」をカレントディレクトリと呼ぶ。
プロンプト表示の C:\Users\YourName> がカレントディレクトリを示している。コマンドでファイル名だけを指定した場合、カレントディレクトリ内のファイルが対象になる。
この仕組みは、Pythonプログラムの実行(6.8節)とファイル入出力(10章)に関係する。
6.6 ディレクトリ操作の基本コマンド
| コマンド | 動作 | 補足 |
|---|---|---|
cd ディレクトリ名 |
指定したディレクトリへ移動する | Change Directoryの略 |
cd .. |
ひとつ上のディレクトリへ戻る | .. は親ディレクトリ(1つ上のディレクトリ)を意味する |
cd(引数なし) |
カレントディレクトリを表示する | 現在地の確認用 |
dir |
カレントディレクトリの内容を一覧表示する | ファイルとサブディレクトリ(下位のディレクトリ)が表示される |
mkdir ディレクトリ名 |
新しいディレクトリを作成する | Make Directoryの略 |
D:(ドライブ名:) |
ドライブを切り替える | cd ではドライブを変更できない |
操作例
デスクトップに移動する:
C:\Users\YourName> cd Desktop C:\Users\YourName\Desktop>
ひとつ上に戻り、別のディレクトリへ移動する:
C:\Users\YourName\Desktop> cd .. C:\Users\YourName> cd Documents C:\Users\YourName\Documents>
ディレクトリ名にスペースや日本語が含まれる場合は、「"」(ダブルクォーテーション)で囲む。例:
cd "%USERPROFILE%\Desktop\Python練習"
(%USERPROFILE% は、現在のユーザーのホームディレクトリ C:\Users\YourName を表すWindowsの環境変数である)
cd d:\work のように別ドライブのパスを指定しても、カレントディレクトリは変わらない。別ドライブへ移動するには、cd /d d:\work のように /d オプションを付ける。
6.7 作業用ディレクトリの作成
.pyファイルの保存場所は、カレントディレクトリと実行操作に関係する。作業用ディレクトリを作成し、そこにファイルを保存する方法を以下に示す。
C:\Users\YourName> mkdir C:\python_work C:\Users\YourName> cd C:\python_work C:\python_work>
6.8 プログラムの実行
インタプリタとは
Pythonはインタプリタ言語である。C言語のようにコンパイル(機械語への事前変換)を行わず、ソースコードを1行ずつ解釈しながら実行する。この解釈・実行を行うプログラムをインタプリタと呼ぶ。コードを修正した場合は、再度実行コマンドを入力する。コンパイル作業は不要である。
基本の実行コマンド
python コマンドに .pyファイルのファイル名を渡すと、プログラムが実行される。
保存したプログラムをコマンドプロンプトから実行する手順を以下に示す。
- コマンドプロンプトを開く(5.2節の手順)
cdで.pyファイルがあるディレクトリに移動する。ファイルを「ドキュメント」に保存した場合は以下のように入力する:cd %USERPROFILE%\Documentsコマンドプロンプトの起動直後(ユーザーディレクトリにいる場合)は、以下でも移動できる:
cd Documents
python test.pyと入力して Enter を押す
- 「x:」と表示されるので、任意の文字(例:A)を入力して Enter を押す
- 入力した文字が10回繰り返して表示される(例:AAAAAAAAAA)
このコマンドは「カレントディレクトリにある test.py を実行する」という意味である。カレントディレクトリと .pyファイルの保存場所が異なる場合は、絶対パスで指定する。
C:\Users\YourName> python C:\python_work\test.py x:A AAAAAAAAAA
プログラム名(ここでは test.py)は、保存時に付けた名前を使う。別の名前で保存した場合はその名前に置き換える。
'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。 と表示される場合、Pythonのインストール時に「Add python.exe to PATH」にチェックを入れていない可能性がある。4章のインストール手順を参照し、PATHへの追加を有効にする。
Python の開発環境 Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定
Python の開発環境Visual Studio Code(プログラムを編集するソフトウェア。以下、VS Code)を整える。
[Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順
1. VS Code と拡張機能のインストール
以下のコマンドにより,既存の VS Code を削除し,全ユーザー共有の設定で再インストールしたうえで,拡張機能(VS Code に機能を追加するソフトウェア)をまとめて導入する.
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
インストールコマンド
REM ============================================================
REM Microsoft Visual Studio Code
REM ============================================================
winget uninstall -e --id Microsoft.VisualStudioCode --silent --disable-interactivity --accept-source-agreements
rmdir /s /q C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
rmdir /s /q "%APPDATA%\Code" 2>nul
rmdir /s /q "%USERPROFILE%\.vscode" 2>nul
rmdir /s /q "%LOCALAPPDATA%\Microsoft\vscode-update" 2>nul
REM VS Code をシステム領域に新規インストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM 全ユーザー共有の拡張機能フォルダ
mkdir C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
icacls "C:\ProgramData\vscode-extensions" /grant "Everyone:(OI)(CI)M" /T
REM スタートメニューのショートカットを --extensions-dir 付きで再作成
rmdir /s /q "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code" 2>nul
del "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk" 2>nul
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); $lnk.TargetPath='C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe'; $lnk.Arguments='--extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\"'; $lnk.Save()"
REM ショートカットの検証
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); Write-Host 'TargetPath:' $lnk.TargetPath; Write-Host 'Arguments:' $lnk.Arguments"
REM ファイル / フォルダ右クリックの「Code で開く」を登録
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\*\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\Background\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%V\"" /f
REM --extensions-dir 付きで起動する code.cmd ラッパを作成
REM (%* を echo で書くと対話的 cmd で失われるため、PowerShell で [char]37+'*' を書き出す)
powershell -NoProfile -Command "$pct=[char]37; $q=[char]34; $c='@echo off'+[char]13+[char]10+$q+'C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd'+$q+' --extensions-dir '+$q+'C:\ProgramData\vscode-extensions'+$q+' '+$pct+'*'+[char]13+[char]10; [IO.File]::WriteAllText('C:\ProgramData\vscode-extensions\vscode.cmd',$c,[Text.Encoding]::ASCII)"
REM 拡張機能のインストール
set "CODE=C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd"
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot-chat
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.python
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.vscode-pylance
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.debugpy
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension saoudrizwan.claude-dev
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension rust-lang.rust-analyzer
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension tamasfe.even-better-toml
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension anthropic.claude-code
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension almenon.arepl
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --list-extensions --show-versions
echo === セットアップ完了 ===
2. Python インタプリタの選択
同一マシンに複数の Python がインストールされている場合,VS Code で使用する Python 本体(インタプリタ:Python プログラムを解釈・実行するソフトウェア)を選択する必要がある.
- コマンドパレット(コマンド名で機能を呼び出す VS Code の入力欄)を開く(
Ctrl+Shift+P) Python: Select Interpreterと入力する
- 表示される一覧から,使用する Python(例:
C:\Program Files\Python312\python.exe)を選択する.
| 概念 | Visual Studio Codeでの対応 |
|---|---|
| テキストエディタ | 画面上部の編集領域で直接作成・編集する。シンタックスハイライトや自動補完が使える |
| AI支援機能(補足) | Visual Studio Code自体は標準ではAI支援機能を持たないが、Claude Code拡張機能(anthropic.claude-code)を導入するとAI支援機能が使える。設定方法と利用方法は本ガイドでは扱わない |
| コマンドプロンプト(コマンド入力) | 画面下部の統合ターミナルに入力する |
| カレントディレクトリ | 「フォルダーを開く」で開いたディレクトリが統合ターミナルのカレントディレクトリになる |
.pyファイルの編集 |
画面上部の編集領域で直接作成・編集する |
| 実行 | 統合ターミナルで python ファイル名.py を実行するか、エディタ右上の実行ボタン(▷)を押す |
| pip | 統合ターミナルで pip install を実行する。管理者権限が必要な場合はVisual Studio Code自体を管理者として起動する |
| ファイル入出力 | 「フォルダーを開く」で開いたディレクトリがカレントディレクトリの基準になる(詳細は後半10章参照) |
「フォルダーを開く」を使わずにファイル単体を開いた場合、統合ターミナルのカレントディレクトリがユーザーのホームディレクトリ(C:\Users\YourName)になることがある。ファイル入出力の基準が意図と異なるため、作業用ディレクトリごと開く必要がある。
8. pipでライブラリを追加する
8.1 pip とは
pip は Python に付属するパッケージ管理ツールである。他の開発者が公開しているライブラリを、インターネット経由でインストールできる。
用語を整理する。モジュールは機能のまとまりの最小単位であり、1つの.pyファイルに相当する。パッケージは複数のモジュールをまとめたものである。ライブラリは特定用途のために作られたパッケージ・モジュールの総称で、pipでは「パッケージ」として配布される。本資料では文脈に応じてこれらを使い分ける。
代表的なライブラリ:
| ライブラリ名 | 用途 |
|---|---|
requests |
Webページの取得、ファイルのダウンロード |
pandas |
表形式データの読み込み・集計・分析 |
openpyxl |
Excelファイル(.xlsx)の読み書き |
matplotlib |
グラフや画像の表示・描画 |
8.2 管理者として実行する方法
通常起動のコマンドプロンプトでは、管理者権限が必要な操作(システム領域へのファイル書き込みなど)でエラーになる。pipのインストール時にこのエラーが起きることがある。以下の手順で管理者権限のコマンドプロンプトを起動する。
- スタートメニューの検索欄に
cmdと入力する - 検索結果の「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選ぶ
管理者として実行中のコマンドプロンプトは、タイトルバーに「管理者:」と表示される。この表示がなければ通常権限で動作している。
8.3 基本コマンド
| コマンド | 動作 |
|---|---|
pip install パッケージ名 |
パッケージをインストールする |
pip uninstall パッケージ名 |
パッケージをアンインストールする |
pip list |
インストール済みパッケージの一覧を表示する |
pip show パッケージ名 |
パッケージの詳細情報を表示する |
例:requests をインストールする
C:\python_work> pip install requests
8.4 権限エラーへの対処
通常権限で pip install を実行すると、以下のエラーが出ることがある。
ERROR: Could not install packages due to an OSError: [WinError 5] アクセスが拒否されました。
この場合、コマンドプロンプトを閉じ、8.2節の手順で管理者として再起動してから再実行する。
9. 操作チェックリスト(前半のまとめ)
ここまでが前半の内容である。以下の操作がすべてできることを確認してから、後半に進むこと。
| 順序 | やること | コマンド例 | 関連する章 |
|---|---|---|---|
| Step 1 | コマンドプロンプトを開く | スタートメニューの検索欄に cmd と入力 |
5章 |
| Step 2 | 作業用ディレクトリを作る | mkdir C:\python_work |
6章 |
| Step 3 | .pyファイルを作成し、作業用ディレクトリに保存する |
メモ帳またはVisual Studio Codeで保存 | 6章、7章 |
| Step 4 | cd で .pyファイルの場所に移動する |
cd C:\python_work |
6章 |
| Step 5 | python コマンドで実行する |
python test.py |
6章 |
| Step 6 | ライブラリが必要なら pip install する(権限エラーが出た場合は管理者として再起動する) |
pip install requests |
8章 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実行 | python ファイル名.py、またはVisual Studio Codeの実行ボタン |
| エラー対処 | エラーメッセージの行番号を確認して修正する(12章参照) |
― 後半:前半の知識を前提とする内容 ―
10. ファイル入出力とダウンロード保存
10.1 カレントディレクトリとファイル操作の関係
Pythonプログラム内でファイルを読み書きするとき、ファイル名だけを指定するとカレントディレクトリが基準になる。ここでのカレントディレクトリは、python コマンドを実行したときにいたディレクトリである。
以下のコードでは encoding="utf-8" を指定している。これは、ファイル内の文字をUTF-8として読み書きする指定である。日本語を含むテキストファイルを安全に扱うために指定する。
# カレントディレクトリにある data.txt を読み込む
with open("data.txt", "r", encoding="utf-8") as f:
content = f.read()
# カレントディレクトリに output.txt を書き出す
with open("output.txt", "w", encoding="utf-8") as f:
f.write("処理結果です")
(open() はファイルを開く関数で、第2引数の "r" は読み込み、"w" は書き込みを指定する。with ブロックを抜けると、ファイルは自動的に閉じられる)
このプログラムを C:\python_work で実行した場合、data.txt は C:\python_work\data.txt から読み込まれ、output.txt は C:\python_work\output.txt として作成される。
FileNotFoundError が出る場合、.pyファイルの場所ではなく、python コマンドを実行したディレクトリ(カレントディレクトリ)に対象ファイルがあるかを確認する。.pyファイルと同じディレクトリに cd で移動してから実行すれば、この問題は起きない。
10.2 絶対パスによるファイル指定
カレントディレクトリに依存せずファイルを指定するには、絶対パスを使う。
with open(r"C:\python_work\data.txt", "r", encoding="utf-8") as f:
content = f.read()
Pythonの文字列では \(バックスラッシュ)がエスケープ文字(特別な意味を持つ印)として扱われる。\n は改行、\t はタブになる。パスを正しく書くには次の2つの方法がある。
\\と2つ重ねる:"C:\\python_work\\data.txt"- 文字列の先頭に
rを付ける(raw文字列、エスケープを無効化する文字列):r"C:\python_work\data.txt"
10.3 ファイルのダウンロードと保存
requests ライブラリ(8章参照)を使うと、インターネット上のファイルをダウンロードして保存できる。
import requests
url = "https://example.com/data.csv"
response = requests.get(url)
# カレントディレクトリに保存する。保存先を指定する場合は絶対パスを使う。
# 例:r"C:\python_work\data.csv"
with open("data.csv", "wb") as f:
f.write(response.content)
(requests.get(url) は指定したURLからデータを取得する関数で、取得したデータの本体は response.content から得られる。"wb" はバイナリ書き込みモード(文字以外のデータをそのまま書き込むモード)を指定する)
10.4 保存時の注意点
- 保存先を指定しなければ、カレントディレクトリに保存される
- 保存先ディレクトリが存在しない場合はエラーになる。事前に
mkdirで作成しておく必要がある "wb"(バイナリ書き込みモード)で開くことで、画像やPDFなどのバイナリファイル(文字以外のデータを含むファイル)も正しく保存できる
11. キーボード入力のプログラム
6章までで扱った「10回繰り返しプログラム」は、input()で1行を受け取って処理する文字列処理の最小例である。本章では応用として、標準入力から複数行を受け取り、その全体のバイト数を数えるプログラムを扱う。
以下のコードを count.py として保存し、実行する。
なお、6章までで使った input() は1行ずつの入力を文字列として返す関数であるのに対し、本章で使う sys.stdin は標準入力をファイルのように扱い、EOF(入力の終わり)まで複数行を読み取れる。Windowsのコマンドプロンプトでは、行頭で Ctrl + Z を押して Enter を押すとEOFを送れる。
import sys
count = 0
for line in sys.stdin:
count = count + len(line.encode('utf-8'))
print("バイト数:", count)
11.1 各行の解説
| コード | 解説 |
|---|---|
import sys |
標準入力を扱うために sys モジュールを読み込む |
count = 0 |
バイト数を数えるカウンタ(集計用の変数)を初期化する |
for line in sys.stdin: |
標準入力(キーボードからの入力など)から1行ずつ読み取り、EOFまで繰り返す |
len(line.encode('utf-8')) |
文字列をUTF-8でエンコード(符号化)し、そのバイト数を取得する |
print("バイト数:", count) |
バイト数を出力する |
11.2 実行例
python count.py
a b c d
^Z
バイト数: 8
(上記の ^Z は、Ctrl + Z を押したときに画面に表示される記号である。半角英数字 a b c d は7文字(英字4文字とスペース3文字)であり、これに改行1バイトを加えて8バイトとして数えられる)
入力の終わりを伝えるには、行の先頭で Ctrl + Z を押し、Enter を押す。
12. よくあるエラーとその対処法
12.1 エラーメッセージの読み方
Pythonのエラーメッセージには、エラーが発生したファイル名、行番号、該当するコード、エラーの種類と理由が含まれる。以下に例を示す。
Traceback (most recent call last):
File "test.py", line 3, in <module>
print(mesage)
NameError: name 'mesage' is not defined
| 表示内容 | 意味 |
|---|---|
File "test.py", line 3 |
エラーが起きたファイルと行番号 |
print(mesage) |
エラーが起きたコード |
NameError: ... |
エラーの種類と理由 |
まず行番号を確認し、そのコードを見直す。
12.2 構文エラー(SyntaxError)
例:SyntaxError: invalid syntax
→ 括弧の閉じ忘れ、コロンの欠落、インデント(行頭の字下げ)の誤りなどを確認する。
# 間違い
if x > 0
# 正しい
if x > 0:
12.3 名前エラー(NameError)
例:NameError: name 'prnt' is not defined
→ 関数名や変数名のスペルミス、または未定義の変数を使用している可能性がある。
スペルミスの例:
# 間違い(print のスペルミス)
prnt("Hello")
# 正しい
print("Hello")
変数が未定義の例:
# 間違い(x を定義する前に使っている)
print(x)
# 正しい
x = 10
print(x)
12.4 インデントエラー(IndentationError)
if や for の次の行はスペース4つで字下げする必要がある。
# 間違い
if x > 0:
print("正")
# 正しい
if x > 0:
print("正")
12.5 値エラー(ValueError)
数値に変換できない文字列を int() などに渡した場合に発生する。try-except(エラーが起きたときの処理を記述する構文)で対処できる。
try:
x = int(input())
except ValueError:
print("数値を入力してください")
12.6 インデックスエラー(IndexError)
リストの番号(インデックス)は0から始まる。存在しない番号へのアクセスはエラーになる。
array = [10, 20, 30] # 有効な番号は 0, 1, 2 のみ
# 間違い:array[3]
# 正しい:array[2]
12.7 「'python' は内部コマンドまたは外部コマンド...」と表示される場合
- 方法1(winget)でインストールした場合:コマンドプロンプトを開き直す
- 方法2(インストーラー)でインストールした場合:Pythonのインストールをやり直し、「Add python.exe to PATH」にチェックを入れる(4章参照)
12.8 「No such file or directory」と表示される場合
cdコマンドでディレクトリを正しく移動できていない可能性がある(6章参照)dirコマンドで現在のディレクトリの内容を確認するdirコマンドは、現在いるディレクトリに保存されているファイルやディレクトリの一覧を表示する
- 目的のファイル(例:
test.py)が表示されることを確認する
12.9 「ModuleNotFoundError」と表示される場合
- プログラムが必要とするモジュールが不足している
pip installで該当モジュールをインストールする(8章参照)
12.10 「アクセスが拒否されました」と表示される場合
- コマンドプロンプトを管理者として実行する。管理者として起動するには、スタートメニューの検索欄に
cmdと入力し、検索結果の「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選ぶ
12.11 インストーラーがダウンロードできない場合
- Microsoft EdgeまたはGoogle Chromeを使う
- ダウンロード先ディレクトリに書き込み権限があることを確認する
13. 次のステップ
メモ帳とコマンドプロンプトでプログラミングの基本を学んだ後は、統合開発環境に移行する方法がある。
- 統合開発環境の利用
本資料で扱ったVisual Studio Codeなどの無料の統合開発環境は、プログラムの記述、実行、デバッグ(エラーの発見と修正)を1つのソフトウェアで行える。メモ帳と比較して、コードの色分け表示、自動補完、エラー箇所の表示などの機能がある。各環境での8つの概念の対応については3章と7章を参照する。
- パッケージ管理ツール pip の活用
pip を使うと、他の開発者が作成したライブラリを追加できる。データ分析、画像処理、Webアプリケーション開発などの機能を利用できる。詳細は8章を参照する。
【サイト内の関連ページ】
- Windows Python 開発環境とビルドツール構築ガイド
【概要】本ガイドでは、Windows環境でAIプログラミングを始めるための開発環境を構築する。Python、GPU計算基盤、ビルドツール、AIエディタを導入することで、機械学習モデルの実行や実験、AIによるコード生成支援を活用した開発が可能になる。各ソフトウェアのインストールとパスの設定は、コマンドラインから一括で行える。
- AIプログラミング実践ガイド:環境構築から探求へ
【概要】第1章では、Windows環境にPython、GPU計算基盤、AIエディタを導入し、開発環境を構築する。第2章では、構築した環境でAIプログラムを実行し、パラメータ変更による効果を観察する探求手法を学ぶ。第3章では、探求を研究に発展させる方法を扱う。