はじめに:Windowsのメモ帳で始めるPythonプログラム作成と実行
【概要】Windowsのメモ帳とPythonを使用してプログラミングを始める方法を解説する。Pythonのインストール、プログラムの作成・保存・実行の手順、よくあるエラーへの対処法、次のステップを説明する。
【この記事の対象読者】Windowsの標準機能(メモ帳)を使って、手軽にPythonプログラミング実行の基礎(作成・保存・実行)を体験し,今後,さまざまな開発ツールでプログラミングを始めるための基礎を習得したい人を対象としている。
【重要概念】
- テキストエディタ(メモ帳): 文字を入力・編集するためのソフトウェア。本記事ではWindowsに標準で搭載されている「メモ帳」を使用してプログラムを記述する。
- コマンドプロンプト: 文字で命令を入力する画面(黒い画面)。Pythonのインストールや、作成したプログラムの実行に使用する。
- PATH(パス): Windowsがプログラムを探す場所のリスト。この設定を行うことで、どのフォルダからでも「python」と入力するだけで実行できるようになる。
- 拡張子 (.py): ファイルの種類を表す部分(ファイル名の末尾)。WindowsがファイルをPythonプログラムとして認識するために、保存時に「.py」を指定する必要がある。
【目次】
第1章 プログラミングへの第一歩
プログラミング(コンピュータへの命令を記述すること)を始めようと思ったとき、「どのように操作したらよいのだろう」「専用のツールが必要なのでは」と不安になることがある。しかし、心配は不要である。Windowsに標準で搭載されているメモ帳(テキストエディタ:文字を入力・編集するためのソフトウェア)と、無料でダウンロードできるPython(プログラミング言語:コンピュータに命令を伝えるための言語)があれば十分である。
この方法は本格的なPythonプログラミングの第一歩となる。メモ帳でプログラムを書き、保存し、実行するという基本的な手順を説明していく。
まずは簡単なプログラムから始める。「Hello, World!」(プログラミング学習で最初に作成する基本的なプログラム)と表示するプログラムを動かしたり、簡単な計算をするプログラムを実行したりできる。ここで学ぶメモ帳の使い方とプログラムの実行方法は、プログラミングの基礎となる重要な知識である。
第2章 プログラミングの準備
プログラムを動かすための準備をする。Python(プログラミング言語)をインストールする方法は2つある。
Pythonのインストール手順
【方法1:winget(Windowsパッケージマネージャー)を使用したインストール】
- Windowsで、管理者権限(システム全体の設定を変更できる特別な権限)でコマンドプロンプト(文字で命令を入力する画面)を起動する
- 手順:Windowsキーまたはスタートメニュー →
cmdと入力 → 右クリック → 「管理者として実行」
- 手順:Windowsキーまたはスタートメニュー →
- winget(Windowsパッケージマネージャー)が利用可能か確認する:
winget --version
- Pythonのインストール(以下のコマンドにより Python 3.12 がインストールされる)
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements REM パス長制限の解除 reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled /t REG_DWORD /d 1 /f reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled REM Python のパス設定 set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312" set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts" if exist "%PYTHON_PATH%" setx PYTHON_PATH "%PYTHON_PATH%" /M >nul if exist "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" setx PYTHON_SCRIPTS_PATH "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b" echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul if errorlevel 1 setx PATH "%PYTHON_PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%;%SYSTEM_PATH%" /M >nul上記のコマンドにおいて、「REM」で始まる行はコメント(説明文)であり、実行されない。コマンドの内容を理解しやすくするための注釈である。
【方法2:インストーラーを使用したインストール】
- Pythonの公式サイト(https://www.python.org)にアクセスし、画面上部の「Downloads」(ダウンロード)をクリックする
- メニューから「Windows」を選ぶ
- 表示される「Python 3.12.X」(Xは数字)の中から、「Windows installer (64-bit)」(64ビット版Windowsインストーラー)を選択する。Xの数字が最も大きいものを選ぶ
- 「64-bit」は、最近のWindowsパソコン(Windows 10以降のほとんど)で使用する版である。自分のパソコンが64ビット版か32ビット版か分からない場合は、64ビット版を選んで問題ない
- 「32-bit」は、古いパソコンや特定の環境のための版である
- ダウンロードしたファイル(python-3.12.X-amd64.exe)をダブルクリックする
- 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか」と表示されたら「はい」をクリックする
- インストーラーが開いたら、以下の設定を行う:
- 「Add python.exe to PATH」にチェックを入れる(必須)
- PATH(パス:Windowsがプログラムを探す場所のリスト)にPythonを登録することで、どのフォルダからでも「python」と入力するだけでPythonを実行できるようになる。この設定を忘れると、Pythonをインストールしてもコマンドプロンプトから実行できない
- 「Use admin privileges when installing py.exe」(推奨):チェックを入れる
- 「Customize installation」(推奨):これをクリックする
- 「Add python.exe to PATH」にチェックを入れる(必須)
- 「Next」をクリックすると、「Optional Features」(オプション機能:追加で選択できる機能)の画面が表示される
- すべての項目にチェックが入っていることを確認する
- 「Next」をクリックする
- 「Advanced Options」(詳細オプション:高度な設定項目)の画面が表示される
- 「Install Python 3.12 for all users」(すべてのユーザー用にインストール)にチェックを入れる
- この設定により、インストール先が自動的に「C:\Program Files\Python312」に変更される。これは推奨される設定であるため、変更しない
- その他の項目は初期設定のままで問題ない
- 「Install」をクリックしてインストールを開始する
- インストールには数分かかることがある
- インストール中は他の操作を控える
- 「Setup was successful」(セットアップ成功)と表示されたら「Close」をクリックする
インストールの確認
どちらの方法でインストールした場合も、必ず以下の手順で確認する。
- 新しくコマンドプロンプトを開く:
- 「Windowsキー」+「R」を押す
- 「cmd」と入力して「OK」をクリックする
- インストール前に開いていたコマンドプロンプトでは、PATH設定が反映されないため、必ず新しく開く必要がある
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す:
python --versionこのコマンド(
python --version)は、インストールされているPythonのバージョン番号を表示する命令である。「Python 3.12.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
メモ帳でのプログラム作成と保存
メモ帳の起動
- スタートメニュー(画面左下のWindowsマーク)をクリックする
- 「メモ帳」と入力する
- 「メモ帳」アプリが表示されるので、クリックして起動する
プログラムの入力
以下のプログラム例を入力する(または貼り付ける)。このプログラムは、入力された文字を10回繰り返して表示するプログラムである。
x = input("x:")
print(x * 10)
プログラムの保存
- 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選択する
- 保存場所を選ぶ。初心者には「デスクトップ」を推奨する
- 画面下の「ファイルの種類」を「すべてのファイル(*.*)」に変更する
- 初期設定の「テキスト文書(*.txt)」のままだと、ファイル名に自動的に「.txt」が追加されてしまい、「test.py.txt」のようになってしまう。これを防ぐため、必ず「すべてのファイル(*.*)」に変更する
- ファイル名を「○○○.py」と入力する
- ○○○は任意の名前(例:test)
- .pyはPythonプログラムであることを示す拡張子(ファイルの種類を表す部分)である。この拡張子により、WindowsがこのファイルをPythonプログラムとして認識する
- 「保存」をクリックする
第3章 プログラムの実行
コマンドプロンプトの起動
- キーボードの「Windowsキー」+「R」を押す
- 表示された「ファイル名を指定して実行」に「cmd」と入力する
- 「OK」をクリックすると黒い画面(コマンドプロンプト)が開く
プログラムの実行手順
手順1:プログラムを保存したフォルダへ移動する
cdコマンド(フォルダ間を移動する命令)を使用する。デスクトップに保存した場合は、以下のように入力する:
cd Desktop
フォルダ名にスペースや日本語が含まれる場合は、「"」で囲む。例:
cd "Desktop\Python練習"
手順2:プログラムを実行する
以下のように入力してEnterキーを押す:
python test.py
プログラム名は作成時に付けた名前である。大文字と小文字は区別されるため注意が必要である(「Test.py」と「test.py」は異なるファイルとして扱われる)。
プログラムが実行されると「x:」と表示される。任意の文字(例:A)を入力してEnterキーを押すと、その文字が10回繰り返して表示される(例:AAAAAAAAAA)。
よくあるエラーとその対処法
「'python' は内部コマンドまたは外部コマンド...」と表示される場合
- 方法1(winget)でインストールした場合:コマンドプロンプトを開き直す
- 方法2(インストーラー)でインストールした場合:Pythonのインストールをやり直し、「Add python.exe to PATH」にチェックを入れる
「No such file or directory」と表示される場合
- cdコマンドでフォルダを正しく移動できていない可能性がある
- 「dir」と入力してEnterを押すと、現在のフォルダの内容が確認できる
- dirコマンド(ディレクトリ内容表示命令)は、現在いるフォルダに保存されているファイルやフォルダの一覧を表示する
- 目的のファイル(例:test.py)が表示されることを確認する
「ModuleNotFoundError」と表示される場合
- プログラムが必要としているモジュール(プログラムの部品として使用される機能のまとまり)が不足している
- エラーメッセージをメモして、解決策を調べる
「アクセスが拒否されました」と表示される場合
- コマンドプロンプトを管理者として実行する
- 手順:スタートメニューで「cmd」と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」を選択する
インストーラーがダウンロードできない場合
- Microsoft EdgeまたはGoogle Chrome(Webブラウザ:インターネットを閲覧するためのソフトウェア)を使用する
- ダウンロードフォルダに書き込み権限があることを確認する
第4章 次のステップ
メモ帳とコマンドプロンプトでプログラミングの基本を学んだ後は、より使いやすい開発環境に移行することを推奨する。
- 統合開発環境の利用
Visual Studio Codeなど(無料の統合開発環境)は、プログラムの記述、実行、デバッグ(エラーの発見と修正)を1つのソフトウェアで行える。メモ帳に比べて、コードの色分け表示、自動補完、エラー箇所の表示などの機能があり、プログラミング作業を効率化できる。初心者にも扱いやすく、世界中で広く使用されている。
- パッケージ管理ツール pip の活用
pip(Pythonに標準搭載されているパッケージ管理ツール)を使用すると、他の開発者が作成した便利な機能(ライブラリ)を簡単に追加できる。例えば、データ分析、画像処理、Webアプリケーション開発など、様々な分野の専門的な機能を利用できるようになる。
【サイト内の関連ページ】
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【概要】本ガイドでは、Windows環境でAIプログラミングを始めるための開発環境を構築する。Python、GPU計算基盤、ビルドツール、AIエディタを導入することで、機械学習モデルの実行や実験、AIによるコード生成支援を活用した開発が可能になる。各ソフトウェアのインストールとパスの設定は、コマンドラインから一括で行える。
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【概要】第1章では、Windows環境にPython、GPU計算基盤、AIエディタを導入し、開発環境を構築する。第2章では、構築した環境でAIプログラムを実行し、パラメータ変更による効果を観察する探求手法を学ぶ。たとえば学習率を0.1から0.01や0.5に変更し、損失の収束過程がどう変化するかをグラフで確認する。仮説を立て、プログラムを実行し、結果を観察するサイクルを通じて、AIの動作原理を体験的に理解できる。第3章では、探求を研究に発展させる方法を扱う。探求対象の特定、仮説立案、結果観察、記録整理という4つのステップを学び、予想外の結果からも知見を得る柔軟な思考を身につける。さらに、再現性の確保や研究倫理の遵守といった、研究者としての基本も習得する。