Physically Based Rendering のインストール(GitHub の mmp/pbrt-v4 を使用,Windows 上)

前準備(Git, cmake, マイクロソフト C++ ビルドツール等のインストール)

Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

CUDAツールキットは、GPU上でコードをコンパイルするためにC++コンパイラを必要とします。そのため、事前にMicrosoft C++ Build Tools または Visual Studio (C++開発ワークロードを含む) をインストールしておく必要があります。

インストールの判断Build Tools for Visual Studio は,C++コンパイラなどを含む開発ツールセットです. Visual Studio は統合開発環境であり,いくつかのエディションがあり,Build Tools for Visual Studioの機能を含むか連携して使用します.インストールは以下の基準で判断してください:

不明な点がある場合は,Visual Studio 全体をインストール する方が、後で機能を追加する手間が省ける場合があります.

Build Tools for Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動します(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)。

    以下のwingetコマンドを実行します。wingetはWindows標準のパッケージマネージャーです。

    --scope machine オプションはシステム全体にインストールすることを意味します。

    次のコマンドは,Build Tools for Visual Studio 2022と、多くのプログラムで必要とされるVC++ 2015以降の再頒布可能パッケージをインストールします.

    winget install --scope machine Microsoft.VisualStudio.2022.BuildTools
    winget install --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
    
  2. Build Tools for Visual Studio 2022 で C++ によるデスクトップ開発関連コンポーネントのインストール

    CUDA開発には、標準のC++開発ツールに加えて、特定のコンポーネントが必要になる場合があります。

    1. Visual Studio Installer を起動します。

      起動方法: スタートメニューから「Visual Studio Installer」を探して実行します.

    2. Visual Studio Build Tools 2022 の項目で「変更」ボタンをクリックします.
    3. 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」をクリックして選択します。画面右側の「インストールの詳細」で、必要に応じて「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」、「ATL」、「MFC」などをチェックします(これらは一般的なC++開発や特定のプロジェクトタイプで必要になる場合があります)。その後、「変更」をクリックしてインストールまたは変更を適用します.

Visual Studio Community 2022 のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動します。
  2. インストールコマンドの実行

    以下のwingetコマンドを実行します。--override "--add ..." 部分で、インストールするワークロードやコンポーネントを指定しています。

    winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC"
    winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
    

    インストールされる主要なコンポーネントの説明:

    • NativeDesktop (C++によるデスクトップ開発): CUDA開発に必要なC++コンパイラ(VC.Tools.x86.x64)やWindows SDK (Windows.SDK.Latest)など、基本的な開発ツール一式を含みます。
    • CoreEditor: Visual Studioの基本的なコードエディタ機能を提供します。
    • VC.CLI.Support: C++/CLIを用いた開発サポート(通常、純粋なCUDA C++開発では不要な場合もあります)。
    • NuGet: .NETライブラリ管理用(C++プロジェクトでも利用されることがあります)。
    • VC.ATL / VC.ATLMFC: 特定のWindowsアプリケーション開発フレームワーク(通常、CUDA開発自体には直接必要ありません)。

    システム要件と注意事項:

    • 管理者権限でのインストールが必須です。
    • 必要ディスク容量:10GB以上(選択するコンポーネントにより変動)。
    • 推奨メモリ:8GB以上のRAM。
    • インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性があります。
    • 安定したインターネット接続環境が必要です。

    後から追加のコンポーネントが必要になった場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能です.

  3. インストール完了の確認

    インストールが成功したか確認するには、管理者権限のコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行します。

    winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
    

    リストに表示されればインストールされています。

    トラブルシューティング:

    インストール失敗時は,以下のログファイルを確認すると原因究明の手がかりになります:

    %TEMP%\dd_setup_.log
    %TEMP%\dd_bootstrapper_.log

    ( は実行日時に対応する文字列)

  4. (オプション) Visual Studio Installer での確認と変更

    wingetでのインストール後も、Visual Studio Installerを使ってインストール内容を確認・変更できます。

    1. Visual Studio Installer を起動します。
    2. Visual Studio Community 2022 の項目で「変更」をクリックします。
    3. 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」がチェックされていることを確認します。必要であれば、「個別のコンポーネント」タブで特定のツール(例: 特定バージョンのMSVCコンパイラ、CMakeツールなど)を追加・削除できます。「インストールの詳細」で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」などが選択されているかも確認できます。変更後、「変更」または「インストール」をクリックします。

Git のインストール

Git のページ https://git-scm.com/ からダウンロードしてインストール:

CMake のインストール

CMake の公式ダウンロードページ: https://cmake.org/download/

github の mmp/pbrt-v4 のインストール

URL: https://github.com/mmp/pbrt-v4

Windows での手順を下に示す.Ubuntu でも同様の手順である.

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
  2. github の mmp/pbrt-v4 のダウンロード

    glog,openexr,ptex,zlib が合わせてダウンロードされる.

    cd /d c:%HOMEPATH%
    rmdir /s /q pbrt-v4
    git clone --recursive https://github.com/mmp/pbrt-v4
    

    (以下省略)
  3. cmake の実行

    cmake のオプションの 「Visual Studio 17 2022」の部分は, 使用する Visual Studio のバージョンに合わせること. Visual Studio 2022 のときは,「Visual Studio 17 2022」. Visual Studio 2019 のときは,「Visual Studio 16 2019」.

    cd /d c:%HOMEPATH%
    cd pbrt-v4
    rmdir /s /q build
    mkdir build
    cd build
    cmake .. -G "Visual Studio 17 2022" -A x64 -T host=x64
    

    (以下省略)
  4. cmake の結果の確認

    エラーメッセージが出ていないことを確認する.

  5. ビルド操作,インストール操作
    cmake --build . --config RELEASE --target INSTALL -- /m:4
    
  6. 結果の確認

    エラーメッセージが出ていないことを確認する.

  7. Windowsシステム環境変数 PATH に,c:\Program Files\PBRT-V4\bin を追加することにより,パスを通す

    Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)

    次のコマンドを実行する.

    powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\Program Files\PBRT-V4\bin\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
    

試しにレンダリングを行ってみる

  1. Windows では,コマンドプロンプト管理者として実行する.
  2. GitHub の mmp/pber-v4-scenes のダウンロード
    cd /d c:%HOMEPATH%
    git clone --recursive https://github.com/mmp/pbrt-v4-scenes
    
    cd /d c:%HOMEPATH%
    cd pbrt-v4
    "c:\Program Files\PBRT-V4\bin\pbrt.exe" --outfile a.png ..\pbrt-v4-scenes\killeroos\killeroo-simple.pbrt