Python の overpass を用いて OpenStreetMap のデータをダウンロード
Python の overpass パッケージは, OpenStreetMap の Overpass API を Python から使えるようにする機能を持ったソフトウェア.
前準備
Python のインストール(Windows上)
注:既にPython(バージョン3.12を推奨)がインストール済みの場合は,この手順は不要である.
winget(Windowsパッケージマネージャー)を使用してインストールを行う
- Windowsで,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- winget(Windowsパッケージマネージャー)が利用可能か確認する:
winget --version
- Pythonのインストール(下のコマンドにより Python 3.12 がインストールされる).
- Python詳細ガイド:Pythonまとめ »
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Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)
CUDAツールキットは、GPU上でコードをコンパイルするためにC++コンパイラを必要とします。そのため、事前にMicrosoft C++ Build Tools または Visual Studio (C++開発ワークロードを含む) をインストールしておく必要があります。
【インストールの判断】 Build Tools for Visual Studio は,C++コンパイラなどを含む開発ツールセットです. Visual Studio は統合開発環境であり,いくつかのエディションがあり,Build Tools for Visual Studioの機能を含むか連携して使用します.インストールは以下の基準で判断してください:
- コマンドラインからのビルドなど、C++コンパイラ機能のみが必要な場合:
- Visual Studioのエディタやデバッガなどの統合開発環境機能が必要な場合、あるいは、どちらをインストールすべきかよく分からない場合:
Visual Studio Community (または他のエディション) をインストール します.
Visual Studio 2022 をインストールする際に,「C++ によるデスクトップ開発」ワークロードを選択することで,必要なBuild Toolsの機能も一緒にインストールされます.
不明な点がある場合は,Visual Studio 全体をインストール する方が、後で機能を追加する手間が省ける場合があります.
Build Tools for Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動します(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)。
以下の
winget
コマンドを実行します。winget
はWindows標準のパッケージマネージャーです。--scope machine
オプションはシステム全体にインストールすることを意味します。次のコマンドは,Build Tools for Visual Studio 2022と、多くのプログラムで必要とされるVC++ 2015以降の再頒布可能パッケージをインストールします.
- Build Tools for Visual Studio 2022 で C++ によるデスクトップ開発関連コンポーネントのインストール
CUDA開発には、標準のC++開発ツールに加えて、特定のコンポーネントが必要になる場合があります。
- Visual Studio Installer を起動します。
起動方法: スタートメニューから「Visual Studio Installer」を探して実行します.
- Visual Studio Build Tools 2022 の項目で「変更」ボタンをクリックします.
- 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」をクリックして選択します。画面右側の「インストールの詳細」で、必要に応じて「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」、「ATL」、「MFC」などをチェックします(これらは一般的なC++開発や特定のプロジェクトタイプで必要になる場合があります)。その後、「変更」をクリックしてインストールまたは変更を適用します.
- Visual Studio Installer を起動します。
Visual Studio Community 2022 のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動します。
- インストールコマンドの実行
以下の
winget
コマンドを実行します。--override "--add ..."
部分で、インストールするワークロードやコンポーネントを指定しています。winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC" winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
インストールされる主要なコンポーネントの説明:
NativeDesktop
(C++によるデスクトップ開発): CUDA開発に必要なC++コンパイラ(VC.Tools.x86.x64
)やWindows SDK (Windows.SDK.Latest
)など、基本的な開発ツール一式を含みます。CoreEditor
: Visual Studioの基本的なコードエディタ機能を提供します。VC.CLI.Support
: C++/CLIを用いた開発サポート(通常、純粋なCUDA C++開発では不要な場合もあります)。NuGet
: .NETライブラリ管理用(C++プロジェクトでも利用されることがあります)。VC.ATL
/VC.ATLMFC
: 特定のWindowsアプリケーション開発フレームワーク(通常、CUDA開発自体には直接必要ありません)。
システム要件と注意事項:
- 管理者権限でのインストールが必須です。
- 必要ディスク容量:10GB以上(選択するコンポーネントにより変動)。
- 推奨メモリ:8GB以上のRAM。
- インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性があります。
- 安定したインターネット接続環境が必要です。
後から追加のコンポーネントが必要になった場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能です.
- インストール完了の確認
インストールが成功したか確認するには、管理者権限のコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行します。
winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
リストに表示されればインストールされています。
トラブルシューティング:
インストール失敗時は,以下のログファイルを確認すると原因究明の手がかりになります:
%TEMP%\dd_setup_
.log %TEMP%\dd_bootstrapper_ .log (
は実行日時に対応する文字列) - (オプション) Visual Studio Installer での確認と変更
winget
でのインストール後も、Visual Studio Installerを使ってインストール内容を確認・変更できます。- Visual Studio Installer を起動します。
- Visual Studio Community 2022 の項目で「変更」をクリックします。
- 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」がチェックされていることを確認します。必要であれば、「個別のコンポーネント」タブで特定のツール(例: 特定バージョンのMSVCコンパイラ、CMakeツールなど)を追加・削除できます。「インストールの詳細」で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」などが選択されているかも確認できます。変更後、「変更」または「インストール」をクリックします。
必要なPythonライブラリのインストール(Windows上)
- Windowsで,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- 以下のコマンドを実行し,必要なライブラリをインストールする.
pip install -U overpass pip install -U geopandas
Google Map を用いて緯度経度を調べてみる
あとでデータをダウンロードするときのために,Google Map を使って緯度・経度を調べてみる
- Google Map を開く
- Google Map で好きな場所に移動する
- 右クリックして,「この場所について」を選ぶ
- 緯度,経度が表示されるので,メモしておく
Python を用いて OpenStreetMap のデータをダウンロード
Python プログラムの実行
- Windows では python (Python ランチャーは py)
- Ubuntu では python3
【サイト内の関連ページ】 Python のまとめ: 別ページ »
- Python で,ダウンロードしたい地図の緯度と経度の設定
次の Python プログラムを実行
*さきほど調べた緯度と経度
(実行例)
import overpass lat = 34.4461 lon = 133.2315 api = overpass.API() map_query = overpass.MapQuery(lat - 0.001, lon - 0.001, lat + 0.001, lon + 0.001) response = api.Get(map_query)
- 結果である response オブジェクトの確認
GeoJSON 形式のデータになっていることを確認
print(response)
- 欲しいデータのタイプの設定
OpenStreetMapの「ライン」のデータのうち,「highway」であるようなデータが欲しいとする.OpenStreetMap には,ポイントやラインやエリアには,「highway」のようなタグが付いている.
次の Python プログラムを実行
import json # GeoJSON データから必要な情報を抽出 data = json.loads(response) # highway タグを持つラインのみを抽出 highways = [] for feature in data['features']: if feature['geometry']['type'] == 'LineString': if 'highway' in feature['properties']: highways.append(feature) print(f"highway タグを持つラインの数: {len(highways)}") # 最初の highway を表示 if highways: print(highways[0])
- 「ライン」のデータの確認
- ラインが線分のとき: 端のポイントが2個
- ラインが折れ線のとき: 端のポイントが2個で,途中のポイントがある
次の Python プログラムを実行
# ラインのデータ構造を確認 for i, highway in enumerate(highways[:3]): # 最初の3つだけ表示 print(f"ライン {i+1}:") print(f" ID: {highway['id']}") print(f" タイプ: {highway['properties'].get('highway', '不明')}") print(f" 名前: {highway['properties'].get('name', '名前なし')}") # 座標点の数を確認 coords = highway['geometry']['coordinates'] print(f" ポイント数: {len(coords)}") print(f" 座標: {coords}") print()
- 表示の1行: 1個の「ライン」オブジェクト
- 各行の nodes = [] の中身: 端のポイントや途中のポイントのID
- 「ノード」のデータの確認
次の Python プログラムを実行
# ノード(ポイント)のデータを抽出 nodes = [] for feature in data['features']: if feature['geometry']['type'] == 'Point': nodes.append(feature) print(f"ポイントの総数: {len(nodes)}") # 最初の数個のノードを表示 for i, node in enumerate(nodes[:3]): # 最初の3つだけ表示 print(f"ノード {i+1}:") print(f" ID: {node['id']}") print(f" 緯度経度: {node['geometry']['coordinates']}") print(f" タグ: {node['properties']}") print()
- 表示の1行: 1個の「ポイント」オブジェクト
- 各行の中身: ID,緯度,経度
まとめ
- ラインのデータ: ポイントのIDが2個以降並んでいる
- ポイントのデータ: ID,緯度,経度