ImageJ 1.54 のインストール、ImageJ の主な機能(Windows 上)
【概要】ImageJは、米国国立衛生研究所(NIH)によって開発されたパブリックドメインの画像処理ソフトウェアであり、生物学・医学分野を中心に科学研究で広く利用されています。無料で利用できる高機能なツールです。
【目次】
主な機能一覧
- ファイル読み書き:一般的な画像形式(JPEG、PNG)から専門的な形式(TIFF、FITS)まで、幅広い種類の画像ファイルを扱える(プラグインで対応形式を増やすことも可能)。
- 画像表示:高精度な画像表示とズーム、パン操作。
- 選択ツール:マウス操作で関心領域(ROI)や線、点をピクセル単位で正確に指定できる。
- 画質改善(フィルタ適用):ぼかし、鮮鋭化(くっきり)、エッジ検出、ノイズ除去、明るさとコントラストの調整など、画質を改善するための多様なフィルタが用意されている。
- 幾何演算:画像の切り取り(クロップ)、サイズ変更、回転、反転(左右/上下)などの変形機能。
- 測定・解析:選択領域の面積、画素値の統計量(平均、標準偏差、最小値、最大値など)の算出、線分の長さや角度の計測、輝度プロファイル分析などが可能である。
- 編集:切り取り、コピー、貼り付けといった基本的な編集操作に加え、画像の合成、文字、矢印、図形(四角形、楕円、多角形)の描画機能。
- 色空間操作:RGB各チャンネルの調整や、HSV色空間での色相・彩度・明度の変更など、高度な色編集を行える。
など
ImageJ のインストール手順(Windows パソコン向け)
- パソコンのウェブブラウザ(Edge、Chrome、Firefoxなど)でImageJ の公式サイトを開く。
- 表示されたページの「Download」(ダウンロード)という部分をクリック。
- Windowsの部分にある「ImageJ bundled with 64-bit Java 8」をクリック(現在使用している多くのWindowsパソコンは64ビット版である。このパッケージにはImageJの動作に必要なJava実行環境が同梱されており、別途Javaをインストールする必要はない)。
- ファイルのダウンロードが自動的に始まる。ブラウザによっては保存場所を尋ねられるので、その場合はデスクトップなど、わかりやすい場所を選ぶ。
- ダウンロードした .zip ファイル(圧縮ファイル)を右クリックし、「すべて展開」を選んで解凍する。展開先は、デスクトップなど、見つけやすい場所を指定する。
- 解凍してできたフォルダを開き、「ImageJ.exe」をダブルクリックしてソフトウェアが正しく起動するか確認する。
Windowsでの圧縮ファイルの解凍には、(Windows標準機能でも解凍できるが)無料ソフトの7-Zipが便利である:別ページ »で詳しい使い方を説明している。
ImageJ でメモリ不足のエラーが表示された場合の対処方法
解凍したフォルダ内にある「Imagej.cfg」というファイルをメモ帳などのテキストエディタで開き、メモリ割り当ての設定値を調整する。多くの場合、-Xmxに続く値(例:4096m これは最大ヒープサイズを示す)を、お使いのPCの搭載メモリ量に応じて適切な値に下げる(例:2048m)ことで解決が期待できる(設定値はPCの搭載メモリ量に応じて調整すること。変更後はImageJを再起動する必要がある)。
ImageJ の基本的な機能の説明
ImageJの多くの機能の中から、特に基本的で重要な以下の機能について説明する。
- スライス表示機能(スタック画像を1枚ずつ表示する機能)
- 3D表示機能(画像を立体的に表示する機能)
- ファイルの読み込み機能(画像をソフトウェアに取り込む機能)
- ファイルの書き出し機能(編集した画像を保存する機能)
画像ファイルの読み込み方法
- 画面上部のメニューから「File」→「Open...」をクリックする(多くの一般的な画像形式はこの方法で開ける)。
- (あるいは、画像ファイルをImageJのメインウィンドウやツールバーに直接ドラッグ&ドロップすることでも開ける)。
- 表示されるファイル選択ダイアログで、目的の画像ファイルを選択し、「開く」をクリックする。
- 画像が新しいウィンドウに表示されることを確認する。
- (Rawデータ、URL、特殊な形式のファイルを読み込む場合は、「File」→「Import」から適切な項目を選択する)。
連番画像(1、2、3...と番号が付いた一連の画像)の読み込み方法
- (一連の画像ファイルを一つのスタック(重ね合わされた画像群)として読み込む)画面上部のメニューから「File」→「Import」→「Image Sequence...」の順にクリックする。
- 連番の画像ファイルが保存されているフォルダを選び、その中にある連番画像の最初のファイル(例:image001.tif)を選択する。
注意:選択するフォルダには連番の画像ファイルだけを入れておくとスムーズである。
- すべての画像が順番に読み込まれ、スタックとして表示されることを確認する。
スライス表示機能の使い方
連番画像やマルチフレームのTIFFなどを読み込むと、画像はスタックとして表示される。ウィンドウ下部に表示されるスライドバー(またはキーボードの左右矢印キー)を使って、各スライス(画像一枚一枚)を順番に表示・確認することができる。
編集した画像の保存方法
- 画面上部のメニューから「File」→「Save As」をクリックし、続いて保存したい画像の形式(JPEGやPNG、TIFFなど)を選ぶ。
- 保存先のフォルダを選び、ファイルの名前を付けて保存する。
連番画像として保存する方法
- 画面上部のメニューから「File」→「Save As」→「Image Sequence...」の順にクリックする。
- 表示されるダイアログで保存に必要な設定(保存形式、ファイル名の命名規則、開始番号、桁数など)を行い、「OK」をクリックする。
3D表示機能の使い方(例:Volume Viewer)
- (スタック画像を開いた状態で)画面上部のメニューから「Plugins」→「3D」→「Volume Viewer」の順にクリックする。
- 表示されるVolume Viewerのウィンドウで、表示方法の詳細な設定(表示モード、色、閾値、サンプリングレートなど)を必要に応じて調整する。
- 3D表示画面が開き、マウスでドラッグすることで画像を自由な角度から見ることができる。
この記事ではImageJの基本的なインストールと使い方を紹介した。ImageJは豊富なプラグインにより機能を拡張できる。次のステップとして、ご自身の研究分野に関連する解析プラグインを探したり、繰り返し作業を自動化するマクロ機能について学んだりすることをお勧めする。