AV Linux MX Edition のインストール
AV Linux MX Edition は,音楽制作,動画編集,グラフィックス制作のためのアプリケーションをあらかじめ組み込んだ Linux ディストリビューションである. MX Linux 25(Debian 13 (trixie) ベース)の上に構築され,デスクトップ環境は Enlightenment,音声処理の基盤は PipeWire である. 低遅延の音声処理のために Liquorix カーネル(preempt,threaded IRQ)を採用している. Ardour(DAW),Kdenlive,Cinelerra-GG,GIMP,Inkscape などが標準で導入されている.
本ページ執筆時点の最新版は AV Linux MX Edition 25.2 "Ease" である.配布は 64 ビット (x86_64) 版のみで,MX Linux の AHS (Advanced Hardware Support) リポジトリを利用する構成である.
【サイト内の関連ページ】 「Linux のインストール」 の Web ページ
公式サイト: https://www.bandshed.net/avlinux/
DistroWatch の Web ページ: https://distrowatch.com/table.php?distribution=avlinux
準備
システム設定項目(事前に決めておく事項/調べておく事項)
| 設定項目 | データ型 | 本 Web ページでの設定値 |
| OS の種類 | 文字列 | AV Linux MX Edition 25.2(MX Linux 25 / Debian 13 trixie ベース) |
| Linux カーネルの種類 | 文字列 | Liquorix カーネル (x86_64, 64ビット) |
| マシン名(コンピュータの名前) | 文字列 | avlmxe |
| ドメイン名(インターネットのドメイン) | 文字列 | kunihikokaneko.com |
| ネットワークアドレスは固定 IP アドレスか DHCP か | ブール値 | true または false ※ 1) |
| IP アドレス | IP アドレス | |
| ネットマスク(プレフィックス長) | 文字列 | |
| デフォルトルータ(ゲートウエイ) | IP アドレスまたは完全修飾形式のホスト名 | |
| DNS サーバ(ネームサーバ) | IP アドレスまたは完全修飾形式のホスト名 | |
| 初期ユーザのフルネーム | 文字列 | kunihiko kaneko |
| 初期ユーザのユーザ名 | 文字列 | kaneko |
| 初期ユーザのユーザ ID | 正の整数 | 8010 |
| 初期ユーザのパスワード | 文字列 | <秘密の文字列> |
| 特権ユーザのパスワード (root のパスワード) | 文字列 | <秘密の文字列> |
| ロケール | 文字列 | ja_JP.UTF-8 または C |
| タイムゾーン | 文字列 | Asia/Tokyo |
| システムコンソールのキーマップ | 文字列 | Japanese / Japanese または English (US) / English (US) |
※ 1) ネットワークアドレスは固定 IP アドレスか DHCP か
- 固定 IP アドレス: サーバマシンとして使うなど,IP アドレスを固定的に割り当てる場合に選ぶ.
- DHCP: DHCP クライアントとして設定する場合に選ぶ.
上記の設定は,インストール後にも変更できる.
ハードウェアの条件
- 64 ビット (x86_64) の CPU.32 ビット版は配布されていない.
- ISO イメージファイルのサイズは 5 GB を超えるため,8 GB 以上の USB メモリを用意する.
- インストール先のディスクには 30 GB 以上の空き領域を用意する.音声・動画データを扱うため,実際にはこれより大きい容量を確保する.
AV Linux MX Edition のダウンロード
- AV Linux の Web ページを開く
- 「DOWNLOADS」の節にある「Bandshed VPS Download」をクリックする
- ISO イメージファイルと,同じディレクトリにある SHA256 ファイルをダウンロードする
- ダウンロードしたファイルの検証を行う
Linux 上では次のコマンドを実行し,表示された値が SHA256 ファイルに記載された値と一致することを確認する.
sha256sum AVL-MXe-25.2_x64.isoWindows 上では,コマンドプロンプトで次のコマンドを実行し,表示された値が SHA256 ファイルに記載された値と一致することを確認する.
certutil -hashfile AVL-MXe-25.2_x64.iso SHA256 - ISO イメージファイルを USB メモリに書き込む
Windows 上では Rufus または balenaEtcher を使用する. Linux 上では,書き込み先のデバイス名(例: /dev/sdb)を lsblk コマンドで確認した上で,次のコマンドを実行する.
lsblk sudo dd if=AVL-MXe-25.2_x64.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress oflag=sync指定したデバイスのデータは全て消える.デバイス名を取り違えないよう,lsblk の出力で容量とデバイス名を確認してから実行する.
インストール
- 作成した USB メモリを接続し,マシンを起動する
起動デバイスの選択画面(多くの機種では起動直後の F12,F11,Esc キー)で,USB メモリを選ぶ.
- ライブセッションが起動する
ライブセッションのユーザ名とパスワードは,いずれも「demo」である.
ライブセッションの起動と,インストール後の初回起動には時間がかかる.
- インストーラを起動する
デスクトップ上のインストーラのアイコン,またはメニューから「Installer」を選ぶ.
Enlightenment のメニューは「Super + m」,端末は「Super + t」,ファイルマネージャは「Super + f」で開く.
- キーボードレイアウトの選択
使用するキーボードを選ぶ.日本語キーボードの場合は Japanese / Japanese,英語キーボードの場合は English (US) / English (US) を選ぶ.
インストール後のシステムでロケールやキーボードを日本語にする場合は,インストール中に選択する.ライブセッションで行った設定は,インストール後のシステムには引き継がれない.
- ディスクの選択とパーティションの設定
インストール先のディスクを選ぶ.ディスク全体を使用する場合は「Use entire disk」を選ぶ.
選択したディスクのデータは全て削除される.必要なファイルは,事前に別のディスクなどにバックアップしておく.
既存の OS を残す場合は「Custom install on existing partitions」を選び,あらかじめ用意したパーティションを指定する.
ファイルシステムは ext4 を選ぶ.
- ブートローダ (GRUB) の設定
UEFI のマシンでは ESP (EFI System Partition),レガシー BIOS のマシンでは MBR を選ぶ.
- コンピュータ名の設定
「コンピュータの名前」(ホスト名,ここでは avlmxe)と, 「ドメイン名」(ここでは kunihikokaneko.com)を設定する.
- ロケールとタイムゾーンの設定
ロケールとして「ja_JP.UTF-8」,タイムゾーンとして「Asia/Tokyo」を選ぶ.
ハードウェアクロックは,Linux のみを使う場合は UTC を選ぶ.Windows とのデュアルブートの場合は ローカル時刻を選ぶ.
- ユーザアカウントの設定
「ユーザ名」(初期ユーザのユーザ名,ここでは kaneko)と, 「パスワード」(初期ユーザのパスワード), 「root のパスワード」(特権ユーザのパスワード)を設定する.
- インストールが始まる
ISO イメージファイルが大きいため,数分から数十分かかる.
- 再起動する
インストールの終了後,USB メモリを抜いて再起動する.
- 初回起動時のセットアップウィザードが動作する
Enlightenment のプロファイルの選択で「AVL-MXe」を選ぶ.これを選ばない場合,AV Linux 向けのデスクトップ設定は適用されない.
- ログイン画面が現れる
設定した初期ユーザのユーザ名とパスワードでログインする.これで,インストールは終了である.
- システム更新
端末を開き,次のコマンドを実行する.
sudo apt update sudo apt full-upgradeデスクトップの通知領域にある MX Updater でも同じ操作ができる.
- (オプション)パッケージリストの作成
インストール済みパッケージの一覧をファイルに保存する.
dpkg --get-selections > dpkg-avlmxe25-x64.txt
システム設定
ネットワークアドレスは固定 IP アドレスか DHCP か,ホスト IP アドレス,ネットマスク,デフォルトルータ(ゲートウエイ),DNS サーバ(ネームサーバ)の設定
ネットワークの設定は NetworkManager で行う.
画面上で設定する場合
- 通知領域のネットワークアイコン (nm-applet) を右クリックし,「Edit Connections...」を選ぶ.
- ネットワークの一覧(有線,無線)が表示されるので,設定する接続を選び,編集のボタンをクリックする.
- 「IPv4 Settings」のタブをクリックする.
- ネットワークアドレスを DHCP にする場合
「Method」で「Automatic (DHCP)」を選び,「Save」をクリックする.
- ネットワークアドレスを固定 IP アドレスにする場合
「Method」で「Manual」を選び,「Add」をクリックする. ホスト IP アドレス, ネットマスク, デフォルトルータ(ゲートウエイ), DNS サーバ(ネームサーバ) を設定し,「Save」をクリックする.
コマンドで設定する場合
端末を開き,次のコマンドを実行して,接続の名前とデバイス名を確認する.
nmcli connection show
ネットワークアドレスを DHCP にする場合は,次のコマンドを実行する(「Wired connection 1」は,確認した接続の名前に読み替える).
sudo nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.method auto
sudo nmcli connection up "Wired connection 1"
ネットワークアドレスを固定 IP アドレスにする場合は,次のコマンドを実行する.IP アドレス,プレフィックス長,ゲートウエイ,DNS サーバは,設定する値に読み替える.
sudo nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.method manual ipv4.addresses 192.168.33.10/24 ipv4.gateway 192.168.33.1 ipv4.dns 192.168.33.1
sudo nmcli connection up "Wired connection 1"
設定の結果を確認する.
ip address show
ip route show
(オプション)特権ユーザのパスワード (root のパスワード) を変更したい場合
root のパスワードはインストール時に設定している.変更する場合は,端末で「sudo su -」を実行し,「passwd」を実行して, 特権ユーザのパスワードを設定する(同じパスワードを 2 回入力する).
このとき,初期ユーザのパスワードを聞いてきたら入力する.
sudo su -
passwd
「exit」を実行し,初期ユーザに戻る.
exit
(オプション)初期ユーザのユーザ ID を設定したい場合
初期ユーザのユーザ ID を変更する手順は次の通りである. ユーザ ID を変更するユーザでログインした状態では実行できないため,別のユーザでログインするか,コンソールで root としてログインして実行する.
- 特権ユーザ (root) になる
sudo -i - usermod の実行
ユーザ名(ここでは kaneko)のユーザ ID を,設定したい値(ここでは 8010)に変更する. usermod は,ホームディレクトリ以下のファイルのオーナも合わせて変更する.
usermod -u 8010 kaneko - 結果の確認
ユーザ ID と,ホームディレクトリ以下のファイルのオーナを確認する.
id kaneko ls -l /home/kaneko - ホームディレクトリの外にあるファイルの変更
ホームディレクトリの外に,変更前のユーザ ID を持つファイルが残る場合がある.次のコマンドで検索し,見つかった場合は chown コマンドでオーナを変更する. 変更前のユーザ ID(ここでは 1000)は,実際の値に読み替える.
find / -xdev -uid 1000 -print