ISO イメージファイルからライブ USB メモリの作成 (UNetbooin を使用)
◆ この記事では、LinuxディストリビューションのISOイメージファイルから、起動可能な「ライブUSBメモリ」を作成する方法を解説します。特に、クロスプラットフォーム対応のツール「UNetbootin」の使用手順に焦点を当てます。
作成のポイント:
- ツール: UNetbootin (Windows, macOS, Linux で利用可能)
- 対象OS: Ubuntuをはじめ、多くのLinuxディストリビューションに対応
- USBメモリ: FAT32フォーマット推奨(※注意点あり)
- 注意: USBメモリ内のデータはすべて消去されます。必ず事前にバックアップを取得してください。
- ISOサイズ制限: UNetbootinでFAT32フォーマットのUSBメモリを使用する場合、一般的にISOイメージファイルのサイズは4GB未満である必要があります。近年のOSイメージは4GBを超える場合があるため注意が必要です。(※後述の補足参照)
◆ ライブUSBメモリとは,そのUSBメモリをパソコンに接続して起動することで,オペレーティングシステムを直接起動できるようにしたものです。内蔵ハードディスクへのインストールが不要で,OSの試用やトラブルシューティングなどにすぐに利用可能です。
◆ UNetbootinでライブUSBメモリを作成する際には、主に2つの動作モードを選択できます。
- Live モード: USBメモリから起動したOS上で行った変更(設定変更、ファイル作成など)は、再起動するとすべて消去されます。OSの試用や一時的な利用に適しています。
- Persistent モード (永続モード): 指定した容量の範囲内で、OS上で行った変更がUSBメモリ上に保存され、次回の起動時にも引き継がれます。カスタマイズした環境を持ち運びたい場合に便利です。このモードを利用するかどうか、また保存領域のサイズは、UNetbootinでの作成時に設定します。
◆ このライブUSBメモリを使用して,パソコンの内蔵ディスクへのLinuxのインストールも実行可能である.
* (補足) Fedoraディストリビューションに特化したライブUSB作成ツールとして、Fedora公式の「Fedora Media Writer」 (以前の liveusb-creator の後継) もあります。 [リンクは最新のものに更新推奨]
UNetbootinのダウンロードとインストール手順
- 公式サイトへのアクセス: Webブラウザで,UNetbootinの公式サイトにアクセスします。
- バージョンの選択: サイト上で、現在使用しているPCのオペレーティングシステム(Windows, macOS, Linux)に対応するバージョンを選択してください。
(注意: ここで選択するのは、UNetbootinを実行するPCのOSです。作成したいライブUSBのLinuxディストリビューションの種類ではありません。)
- ダウンロード: 選択したOS用のファイルをダウンロードします。
(例: Windows版であれば、通常は実行形式ファイル `.exe` がダウンロードされます。)
ライブUSBの具体的な作成手順
- 事前準備
- USBメモリの用意: ライブUSBとして使用するUSBメモリを用意します。十分な容量があることを確認してください (通常、OSイメージのサイズ + 永続化領域(設定する場合) +α が必要)。
- フォーマット: USBメモリを FAT32 でフォーマットします。
- 注意: フォーマットするとUSBメモリ内のデータはすべて消去されます。必要なデータは必ず事前にバックアップしてください。
- 補足 (FAT32の4GB制限): FAT32ファイルシステムは、単一で4GBを超えるファイルを扱えません。多くのLinux ISOイメージはこの制限内に収まりますが、一部の大きなイメージでは問題になることがあります。UNetbootinは通常FAT32を要求しますが、4GB超のISOを使用したい場合は、他のツール(例: Ventoy, BalenaEtcher, Rufus (DDモード))の利用も検討してください。
- ISOイメージのダウンロード: 作成したいLinuxディストリビューションの公式サイトなどから、ISOイメージファイルを事前にダウンロードしておきます。
- UNetbootinの起動
* Windows環境でのUNetbootin起動手順:
ダウンロードした `.exe` ファイルを実行します。管理者権限を要求される場合があります。
* macOS環境でのUNetbootin起動手順:
ダウンロードした `.dmg` ファイルを開き、中のアプリケーションを実行します。
* Linux環境でのUNetbootin起動手順:
ダウンロードしたファイル (例: `unetbootin-linux64-*.bin`) に実行権限を付与します (`chmod +x unetbootin-linux64-*.bin`)。
ターミナルから実行します。環境によっては `sudo` が必要になる場合があります。
# 例: ターミナルでダウンロードしたディレクトリに移動し実行 cd ~/Downloads sudo ./unetbootin-linux64-*.bin
(※) 以前のUbuntuバージョン (例: 18.04) では `QT_X11_NO_MITSHM=1` 環境変数の設定や `libicu` 関連ライブラリのインストールが必要な場合がありましたが、最近のバージョンでは不要になっていることが多いです。もし起動時にライブラリ関連のエラーが発生した場合は、エラーメッセージに従って必要なパッケージ (`libicu` を含む名前のパッケージなど) を `apt` コマンド等でインストールしてください。
(例: UbuntuでUNetbootinを起動した際に、「Unable to load library icui18n "Cannot load library icui18n: (icui18n: 共有オブジェクトファイルを開けません: そのようなファイルやディレクトリはありません)"」というエラーが発生した場合、「apt-cache search libicu」コマンドで必要なパッケージを検索し,該当するパッケージをインストールすることで解決できることがあります。)
- UNetbootinでの設定: (a) ディストリビューション/ISOイメージの選択
UNetbootinが起動したら、以下の項目を設定します。
- 方法1 (リストから選択): UNetbootinの上部で「ディストリビューション」を選択し、プルダウンリストから希望のLinuxディストリビューションとバージョンを選ぶと、UNetbootinが自動でISOファイルをダウンロードします。(※ネットワーク接続が必要)
- 方法2 (手持ちのISOを指定): 事前にダウンロードしておいたISOイメージファイルを使用する場合は、「ディスクイメージ」ラジオボタンを選択し、「ISO」が選択されていることを確認後、「...」ボタンをクリックして、ダウンロード済みのISOファイルを指定します。
- UNetbootinでの設定: (b) 永続的保存領域の設定 (オプション)
- Persistentモードを使用したい場合、「再起動してもファイルを維持するために使用する領域」の入力欄に、保存領域として確保したいサイズをMB単位で指定します (例: 1024 で 1GB)。Liveモードで良い場合は「0」のままにします。
- (注意: この機能の安定性は、ディストリビューションやUNetbootinのバージョンによって異なる場合があります。)
- UNetbootinでの設定: (c) 対象USBドライブの選択
- 「タイプ」が「USBドライブ」になっていることを確認します。
- 「ドライブ」のプルダウンメニューから、ライブUSBを作成する 正しいUSBメモリ を選択します。間違ったドライブを選択すると、そのドライブのデータが消去されてしまうため、細心の注意を払ってください。 (PCに複数のUSBデバイスが接続されている場合は特に注意が必要です。)
- 作成プロセスの開始と完了: (d) 設定確認と開始
上記(a)〜(c)の設定内容をよく確認し、問題がなければ「OK」ボタンをクリックします。作成プロセスが開始されます。
- 作成プロセスの開始と完了: (e) 待機
ファイルのコピーやブートローダーの設定が行われます。完了まで数分〜数十分かかる場合があります。
- 作成プロセスの開始と完了: (f) 完了
「インストールが完了しました。」(または類似のメッセージ) が表示されたら、「終了」をクリックします。これでブート可能なライブUSBメモリの作成は完了です。USBメモリを安全に取り外してください。
- ライブUSBからの起動確認 (オプション)
作成したライブUSBメモリが正しく機能するかを確認するには、実際にPCをそのUSBメモリから起動してみるのが確実です。
- ライブUSBをPCに接続したまま、PCを再起動します。
- PC起動直後(メーカーロゴ表示中など)に、特定のキー (例: F2, F10, F12, Del, Escなど。PCメーカーや機種により異なります) を押して、BIOS/UEFI設定画面またはブートメニューを呼び出します。
- ブート順序 (Boot Order) の設定で、USBメモリを最優先の起動デバイスに設定します。
- 設定を保存して再起動すると、USBメモリからLinuxディストリビューションが起動するはずです。
(注意: Secure Bootが有効になっている場合、Linuxディストリビューションによっては起動できないことがあります。その場合は一時的にSecure Bootを無効にする必要があるかもしれません。)