ISO イメージファイルからライブ USB メモリの作成 (Ventoy を使用)
【目次】
この記事では、Ventoy を使用したライブUSBメモリの作成手順を解説する。
Ventoy の特徴:
- 方式: USB メモリに Ventoy を1回インストールすると、USB メモリは2つのパーティションに分割される。第1パーティション(既定では exFAT)に ISO ファイルをコピーするだけで、起動時にメニューへ一覧表示される。ISO ごとに USB メモリを作り直す必要がない。
- ファイルサイズ: exFAT のため、4GB を超える ISO ファイルを扱える。Ubuntu 24.04 LTS、Ubuntu 26.04 LTS のデスクトップ版 ISO は 4GB を超えるが、そのまま使用できる。
- 複数 ISO: 空き容量の許す限り、複数のディストリビューションの ISO ファイルを1本の USB メモリに置ける。
- Secure Boot: Ventoy 1.0.76 以降で Secure Boot に対応している。初回起動時に鍵の登録(Enroll Key)操作が必要である。
- 動作環境: Windows と Linux(x86_64、i386、arm64、mips64el)で動作する。macOS 版は提供されていないため、macOS では balenaEtcher を使用する。
- 注意: Ventoy のインストール時に、USB メモリ内のデータはすべて消去される。事前にバックアップすること。
他の選択肢: 1つの ISO を書き込むだけでよい場合は、Ubuntu 公式の Startup Disk Creator (usb-creator-gtk)、Windows 用の Rufus、クロスプラットフォームの balenaEtcher も使用できる。
Ventoy のダウンロード
- 公式サイトへのアクセス: Webブラウザで、Ventoy の公式サイトのダウンロードページにアクセスする。
https://www.ventoy.net/en/download.html
公式サイトの配信が混雑している場合は、SourceForge のファイル置き場からダウンロードする。
- パッケージの選択: Ventoy を実行するパソコンの OS に対応するパッケージをダウンロードする。
- Windows で実行する場合: ventoy-x.x.xx-windows.zip
- Linux(Ubuntu を含む)で実行する場合: ventoy-x.x.xx-linux.tar.gz
(注意: ここで選択するのは Ventoy を実行するパソコンの OS であり、ライブUSBに入れる Linux ディストリビューションではない。)
- チェックサムの確認: ダウンロードしたファイルの SHA-256 値を、公式サイトが公開している値と照合し、ファイルが破損していないことを確認する。
Ubuntu の端末での確認例
cd ~/Downloads sha256sum ventoy-1.1.17-linux.tar.gzWindows のコマンドプロンプトでの確認例
cd %USERPROFILE%\Downloads certutil -hashfile ventoy-1.1.17-windows.zip SHA256
USB メモリへの Ventoy のインストール手順
- USBメモリ内のすべてのデータが消去されることを理解し、必要なバックアップを完了していること。
- 作成対象として正しいUSBメモリを選択していること。誤って別のドライブ(外付けHDDなど)を選択すると、そのドライブのデータがすべて失われる。作業前に、対象以外の外付けドライブは取り外しておく。
- インストール中は、USBメモリを取り外したり、パソコンの電源を切ったりしないこと。データ破損やUSBメモリの故障の原因となる。
- 事前準備
- USBメモリの用意: ライブUSBとして使用するUSBメモリを用意する。置く ISO ファイルの合計サイズ+永続領域(設定する場合)+αの容量が必要である。Ubuntu 26.04 LTS の ISO を1つ置く場合でも、16GB 以上のものを推奨する。
- フォーマット: Ventoy のインストール時に USB メモリ全体が再構成されるため、事前のフォーマットは不要である。
- ISOイメージのダウンロード: 使用したい Linux ディストリビューションの公式サイトから、ISO イメージファイルをダウンロードしておく。Ubuntu の場合は https://jp.ubuntu.com/download から入手する。ダウンロード後、公式サイトが公開しているチェックサム(SHA256)と照合して破損がないことを確認する。
- Windows での Ventoy のインストール手順
- ダウンロードした ventoy-x.x.xx-windows.zip を展開する。
- USB メモリをパソコンに接続する。
- 展開したフォルダ内の Ventoy2Disk.exe を実行する。管理者権限を要求される場合がある。
- 「Device」欄に、対象の USB メモリが表示されていることを確認する。表示されているドライブレターと容量を、エクスプローラの表示と照合して確認する。
- 「Option」メニューで、パーティション形式(MBR または GPT)と Secure Boot 対応の有無を必要に応じて設定する。既定は MBR であり、多くのパソコンではそのままでよい。
- 「Install」をクリックする。確認のダイアログが表示されるので、内容を確認して実行する。
- 完了のメッセージが表示されたら、Ventoy2Disk.exe を終了する。
- Ubuntu での Ventoy のインストール手順(GUI 版)
- USB メモリをパソコンに接続する。
- 端末を開き、ダウンロードしたファイルを展開して、展開先のディレクトリに移動する。
cd ~/Downloads tar zxf ventoy-1.1.17-linux.tar.gz cd ventoy-1.1.17 - GUI 版のプログラムを実行する。x86_64 の Ubuntu では次のコマンドを実行する。
sudo ./VentoyGUI.x86_64GTK 版と QT 版のどちらを使うかは自動的に選択される。QT 版を使いたい場合は
sudo ./VentoyGUI.x86_64 --qt5を実行する。 - 「Device」欄で対象の USB メモリを選択し、「Install」をクリックする。
- Ubuntu での Ventoy のインストール手順(コマンドライン版)
GUI 版が起動しない場合は、コマンドライン版を使用する。
- USB メモリをパソコンに接続する。
- 端末を開き、次のコマンドを実行して、USB メモリのデバイス名を確認する。
lsblk -o NAME,SIZE,MODEL,TRAN,MOUNTPOINT「TRAN」列が usb となっている行のデバイス名(/dev/sdb など)と、容量が対象の USB メモリと一致することを確認する。デバイス名を間違えると、そのディスクのデータがすべて失われる。
- 端末で、展開先のディレクトリに移動する。
cd ~/Downloads/ventoy-1.1.17 - 次のコマンドを実行して、Ventoy を USB メモリにインストールする。/dev/sdX の部分は、手順2で確認したデバイス名(パーティション番号を付けない、ディスク全体を指す名前)に置き換える。
sudo sh Ventoy2Disk.sh -i -s /dev/sdX主なオプションは次のとおりである。
-
-i: Ventoy をインストールする(既にインストール済みの場合は中止される) -
-I: 強制的にインストールする -
-u: インストール済みの Ventoy を更新する -
-l: インストール済みの Ventoy の情報を表示する -
-s: Secure Boot 対応を有効にする -
-g: GPT パーティション形式を使用する(既定は MBR)
-
ISO イメージファイルのコピー
Ventoy のインストールが完了すると、USB メモリは2つのパーティションに分割される。第1パーティション(既定では exFAT、ラベルは Ventoy)に ISO ファイルをコピーする。
- USB メモリを接続し直すと、第1パーティションがファイルマネージャに表示される。
- ダウンロードした ISO ファイルを、第1パーティションにコピーする。ルートディレクトリでもサブディレクトリでもよい。Ventoy は起動時に全てのディレクトリを再帰的に検索し、見つかった ISO ファイルをアルファベット順にメニューへ表示する。
Ubuntu の端末でコピーする場合の例(マウント先のパスは環境により異なる)
cp ~/Downloads/ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso /media/$USER/Ventoy/ syncsync コマンドは、書き込みバッファの内容をディスクへ確実に書き出すために実行する。
- コピーが完了したら、USB メモリを安全に取り外す。
ライブUSBからの起動
- 作成したライブUSBをパソコンに接続したまま、パソコンを再起動する。
- パソコンの起動直後(メーカーロゴ表示中など)に、特定のキー(例: F2、F10、F12、Del、Esc など。パソコンのメーカーや機種により異なる)を押して、BIOS/UEFI設定画面またはブートメニューを呼び出す。
- ブート順序(Boot Order)の設定で、USBメモリを最優先の起動デバイスに設定する。あるいは、ブートメニューから USB メモリを直接選択する。
- 設定を保存して再起動すると、Ventoy の起動メニューが表示される。コピーした ISO ファイルの一覧から、起動したいものをカーソルキーで選び、Enter キーを押す。
- ISO ごとの起動方式を選ぶ画面が表示された場合は、「Boot in normal mode」を選ぶ。この方式で起動しない ISO については、「Boot in grub2 mode」など他の方式を試す。
Secure Boot について: Secure Boot が有効なパソコンで Ventoy を初めて起動すると、鍵の登録画面(Enroll Key)が表示される。画面の指示に従って鍵を登録すると、以後は通常どおり起動する。この操作は、パソコンごとに初回の1回だけ必要である。機種によっては、UEFI 設定で「Allow Microsoft 3rd Party UEFI CA」を有効にする必要がある。
永続的保存領域(Persistence)の設定
ライブ起動した OS 上で行った変更(設定変更、ファイル作成、パッケージのインストールなど)は、既定では再起動するとすべて消去される。変更を保存して次回の起動時にも引き継ぐには、永続的保存領域(Persistence)を設定する。Ventoy では、保存用のデータファイルを第1パーティションに置き、設定ファイルで対応づける方式をとる。
この機能は、Ubuntu、Linux Mint、MX Linux、Arch Linux など、永続化に対応したディストリビューションで利用できる。ディストリビューションによって使用するラベル名が異なり、Ubuntu 系は casper-rw、Arch Linux 系は vtoycow である。
- 保存用データファイルの作成
Ventoy 公式サイトから CreatePersistentImg.sh をダウンロードし、Linux の端末で実行する。
https://www.ventoy.net/download/CreatePersistentImg.sh
cd ~/Downloads sudo bash CreatePersistentImg.sh -s 4096 -t ext4 -l casper-rw上の例では、サイズ 4096MB(4GB)、ファイルシステム ext4、ラベル casper-rw の persistence.dat が作成される。オプションを省略した場合は、サイズ 1GB、ext4、ラベル casper-rw となる。
作成済みのデータファイルは、https://github.com/ventoy/backend/releases からダウンロードすることもできる。
- データファイルの配置
作成した persistence.dat を、USB メモリの第1パーティションにコピーする。ルートディレクトリでもサブディレクトリでもよい。
mkdir -p /media/$USER/Ventoy/persistence cp persistence.dat /media/$USER/Ventoy/persistence/ubuntu.dat sync - 設定ファイルの作成
USB メモリの第1パーティションに /ventoy/ventoy.json を作成し、ISO ファイルとデータファイルの対応を記述する。
{ "persistence": [ { "image": "/ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso", "backend": "/persistence/ubuntu.dat" } ] }imageには ISO ファイルのパスを、backendにはデータファイルのパスを、いずれも第1パーティションのルートからの絶対パスで記述する。この JSON ファイルは、GUI の設定ツール VentoyPlugson で作成することもできる。 - 起動時の選択
設定した ISO を選んで起動すると、永続領域を使用するかどうかを選ぶメニューが表示される。永続領域を使用する項目を選ぶと、変更内容が persistence.dat に保存される。
永続領域の容量が不足した場合は、ExtendPersistentImg.sh でデータファイルを拡張できる(ext4 のみ対応)。
sudo bash ExtendPersistentImg.sh persistence.dat 2048
Ventoy の更新
Ventoy の新しいバージョンが公開された場合、USB メモリ上の Ventoy を更新できる。更新操作では第1パーティションのファイルは変更されないため、コピー済みの ISO ファイルはそのまま残る。
Windows の場合は、新しいバージョンの Ventoy2Disk.exe を実行し、対象の USB メモリを選択して「Update」をクリックする。
Ubuntu の場合は、新しいバージョンを展開したディレクトリで、次のコマンドを実行する。/dev/sdX の部分は、lsblk コマンドで確認した USB メモリのデバイス名に置き換える。
sudo sh Ventoy2Disk.sh -u /dev/sdX
起動しない場合のトラブルシューティング
作成したライブUSBから起動できない場合、以下の点を確認すること。
- BIOS/UEFIのブート設定: USBメモリが起動デバイスとして認識されているか、ブート順序が正しく設定されているかを確認する。
- Secure Bootの設定: Ventoy の初回起動時に鍵の登録(Enroll Key)を行ったかを確認する。UEFI 設定に「Allow Microsoft 3rd Party UEFI CA」の項目がある場合は、これを有効にする。それでも起動しない場合は、Secure Boot を一時的に無効化して起動を試みる。
- ISOファイルの整合性: ダウンロードしたISOファイルが破損していないか、公式サイトで提供されているチェックサム(SHA256など)で検証する。Ventoy の起動メニューでは、ISO を選んだ状態で
mキーを押すとチェックサムを計算できる。 - ISOごとの起動方式: 通常モードで起動しない ISO の場合、Ventoy の起動メニューで
rキー(grub2 モード)、wキー(wimboot モード)、Ctrl+d(memdisk モード)を押して、別の起動方式を試す。 - ファイルのコピー漏れ: ISO ファイルのコピー直後に USB メモリを取り外した場合、書き込みが完了していないことがある。端末で sync コマンドを実行してから、安全な取り外し操作を行う。
- USBメモリの状態: USBメモリ自体に問題がないか、別のUSBメモリで試す。実際の容量を偽装した粗悪品では正常に動作しない。
- Ventoy のバージョン: 新しいディストリビューションでは、古いバージョンの Ventoy で起動できない場合がある。Ventoy を最新版に更新して試す。
- 別のツールの使用: 上記で解決しない場合は、Ubuntu公式のStartup Disk Creator、Rufus(Windows)、balenaEtcher など、別のツールでの作成を試す。
*(補足)Fedoraディストリビューションに特化したライブUSB作成ツールとして、Fedora公式の「Fedora Media Writer」がある。詳細はFedora公式サイト(https://fedoraproject.org/)を参照すること。