Windows で Graphviz のインストール
本記事では、Windows 環境にグラフ描画ソフトウェアである Graphviz をインストールし、簡単な dot
ファイルを使って実際にグラフを描画するまでの手順を解説します。Graphviz は、ノードとエッジで構成されるグラフ構造を視覚化するための強力なツールであり、データ構造の理解や関係性の可視化に役立ちます。(この記事ではスクリーンショットを一部利用して説明します)
この記事の情報は執筆時点(提案に基づき修正した日時)のものです。最新のダウンロード方法や手順については、Graphviz の公式サイトを確認してください。
ダウンロードとインストール
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Graphviz公式サイトへアクセス: まず、Graphviz の公式サイト (https://graphviz.gitlab.io/) を開きます。
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ダウンロードページへ移動: ページ上部またはサイドバーにある「Download」リンクをクリックします.
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Windows版インストーラの選択: ダウンロードページ内にある「Windows」セクションを探します。通常は、安定版である「Stable」リリースの利用が推奨されます。提供されているバージョンの中から最新の Stable 版を選びます。
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Windows 用のインストーラ形式である .msi ファイルのリンクをクリックします。クリックすると、インストーラ(
.msi
ファイル)のダウンロードが開始されます。 -
インストーラのダウンロード完了: ダウンロードが完了するのを待ちます。
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インストーラの実行: ダウンロードが完了したら、
.msi
ファイルをダブルクリックしてインストーラを起動します。 -
インストールウィザード - ようこそ画面: 「Next」をクリックします.
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インストールウィザード - ライセンス条項: 内容を確認し、同意する場合はチェックボックスをオンにして「Next」をクリックします。(スクリーンショットは省略されていますが、通常このステップが含まれます)
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インストールウィザード - インストール対象ユーザーとPATH設定: 「Install for all users of this machine (Every one)」を選択することを推奨します(PCの全ユーザーが利用可能になります)。【重要】「Add Graphviz to the system PATH for all users」や同様のPATH環境変数への追加オプションがあれば、必ずチェックを入れてください。 これにより、コマンドプロンプトで
dot
コマンドが利用可能になります。インストール先は通常デフォルトのままで問題ありません。「Next」をクリックします. -
インストールウィザード - インストールの確認: 「Install」をクリックしてインストールを開始します。(途中で管理者権限の許可を求められる場合があります)
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インストールウィザード - インストール中: インストールが完了するまで待ちます。
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インストールウィザード - 完了: インストールが完了したら、「Finish」または「Close」をクリックしてウィザードを閉じます。
サンプル .dot ファイルの作成
Graphviz でグラフを描画するには、まずグラフの構造を記述したテキストファイルを作成します。このファイルは一般的に .dot
という拡張子で保存します。
以下の内容をテキストエディタ(メモ帳など)にコピー&ペーストし、例えば sample.dot
という名前でデスクトップに保存してください。
graph sample_graph {
X -- Y;
Y -- Z [color=red];
X -- Z; // 説明のためエッジを追加
}
コードの簡単な説明:
graph sample_graph { ... }
:sample_graph
という名前の無向グラフを定義します。X -- Y;
: ノード X とノード Y の間に無向エッジを作成します。(行末のセミコロンは推奨されます)Y -- Z [color=red];
: ノード Y とノード Z の間に無向エッジを作成し、その色を赤に指定します。X -- Z;
: ノード X とノード Z の間に無向エッジを作成します。

コマンドプロンプトからのグラフ描画
作成した .dot
ファイルを元に、実際にグラフ画像を生成してみましょう。
作業ディレクトリへの移動:
cd
コマンドを使用して、先ほどsample.dot
を保存したディレクトリ(例:デスクトップ)に移動します.cd %USERPROFILE%\Desktop
グラフの描画コマンド実行: 以下のコマンドを実行して、PNG 形式と PDF 形式のグラフ画像を生成します。(インストール時にPATH環境変数が正しく設定されていれば、
dot
コマンドが認識されます。)dot -Tpng sample.dot -o sample.png dot -Tpdf sample.dot -o sample.pdf
コマンド解説:
dot
: Graphviz のレイアウトエンジンの一つ(主に階層型グラフに適しています)。-Tpng
/-Tpdf
: 出力ファイルの形式を指定します (PNG形式 / PDF形式)。他にも-Tsvg
(SVG形式) などがあります。sample.dot
: 入力となる dot ファイル名。-o sample.png
/-o sample.pdf
: 出力ファイル名を指定します。
生成ファイルの確認: コマンドが正常に終了すれば、デスクトップに
sample.png
とsample.pdf
というファイルが生成されているはずです。ファイルを開いて、X, Y, Z の3つのノードが線で結ばれ、Y-Z間の線が赤色になっているグラフが表示されることを確認してください。(補足)
dot
コマンドが見つからない場合:
もし'dot' は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。
というエラーが表示される場合は、インストール時にPATH環境変数の設定がされていない可能性があります。インストールの設定を確認するか、手動でPATHを設定する必要があります。(設定方法は別途解説ページなどを参照してください)
関連トピックと次のステップ
Graphviz は非常に多機能なツールです。さらに学習を進めるために、以下の点を試してみてはいかがでしょうか。
- 他のレイアウトエンジン:
neato
(スプリングモデル),fdp
(無向グラフ用),circo
(円形レイアウト) など、異なるアルゴリズムを試すことで、グラフの見え方が変わります。(例:neato -Tpng sample.dot -o sample_neato.png
) - カスタマイズ: ノードの形状 (
shape
)、色 (fillcolor
)、ラベル (label
)、エッジのスタイル (style
) などを変更して、より表現力豊かなグラフを作成できます。詳細は Graphviz 公式ドキュメント を参照してください。 - プログラミング言語との連携: Python (graphvizライブラリなど) や他の言語から Graphviz を利用することで、動的にグラフを生成・操作できます。