イメージスティッチング
1. エグゼクティブサマリー
OpenCV のスティッチング API(cv2.Stitcher クラス)を用いて,複数の画像から1枚のパノラマ画像を合成する「イメージスティッチング」の手順を説明する。Python と OpenCV を組み合わせ,サンプル画像(boat1.jpg〜boat6.jpg)に対してスティッチングを実行し,結果を Matplotlib で表示する。
- OpenCV について [PDF] , [パワーポイント]
- OpenCV のインストール,画像表示を行う C++ プログラムの実行手順: 別ページ »で説明
- OpenCV と Python を活用した画像・ビデオ処理プログラム: 別ページ »にまとめ
- OpenCV 4 の C/C++ プログラム: 別ページ »にまとめている.
【OpenCV の公式情報】
- OpenCV の公式ページ: https://opencv.org
- GitHub の OpenCV のページ: https://github.com/opencv/opencv/releases
2. 前準備(必要ソフトウェアの入手)
ここでは、最低限の事前準備について説明する。機械学習や深層学習を行う場合は、NVIDIA CUDA、Visual Studio、Cursorなどを追加でインストールすると便利である。これらについては別ページ https://www.kkaneko.jp/cc/dev/aiassist.htmlで詳しく解説しているので、必要に応じて参照してください。
Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法1:winget によるインストール
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_pip=1 Include_test=0 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
方法2:インストーラーによるインストール
- Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
AIエディタ Windsurf のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/SP- /SUPPRESSMSGBOXES /NORESTART /CLOSEAPPLICATIONS /DIR=""C:\Program Files\Windsurf"" /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
【関連する外部ページ】
Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
opencv-python,opencv-contrib-python,numpy のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
次のコマンドは,旧バージョンを削除し,Python 用 opencv-python のインストールを行う。 「python -c "import sys, cv2; print(f'Python version: {sys.version}\nOpenCV version: {cv2.__version__}')"」はバージョン確認用のコマンドである。
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
python -m pip uninstall -y opencv-python
python -m pip uninstall -y opencv-python-headless
python -m pip uninstall -y opencv-contrib-python
python -m pip install -U opencv-python opencv-contrib-python numpy
python -c "import sys, cv2; print(f'Python version: {sys.version}\nOpenCV version: {cv2.__version__}')"
3. 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)
3.1 プログラムファイルの準備
第5章のソースコードをテキストエディタ(メモ帳,Windsurf 等)に貼り付け,stitch.py として保存する(文字コード:UTF-8)。
3.2 実行コマンド
コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を実行する。
python stitch.py
3.3 動作確認チェックリスト
| 確認項目 | 期待される結果 |
|---|---|
| サンプル画像の存在 | boat1.jpg〜boat6.jpg がユーザーのホームディレクトリに存在する |
| プログラム実行後 | スティッチングされたパノラマ画像が Matplotlib のウィンドウに表示される |
| 表示されたパノラマ画像 | 6枚の画像が1枚に合成され,タイトル「Stitched Panorama」が表示される |
| 軸の表示 | 画像表示領域に座標軸の目盛りが表示されない(plt.axis('off') による) |
4. 概要・使い方・実行上の注意
サンプル画像
本記事で使用するサンプル画像は,OpenCV の公式リポジトリで提供されているスティッチング用テストデータである。
画像のダウンロード
curl コマンドまたは Web ブラウザでダウンロードできる。
cd /d c:%HOMEPATH%
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat1.jpg?raw=true -o boat1.jpg
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat2.jpg?raw=true -o boat2.jpg
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat3.jpg?raw=true -o boat3.jpg
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat4.jpg?raw=true -o boat4.jpg
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat5.jpg?raw=true -o boat5.jpg
curl -L https://github.com/opencv/opencv_extra/raw/4.x/testdata/stitching/boat6.jpg?raw=true -o boat6.jpg
プログラムの動作
本プログラムは,cv2.Stitcher.create() で Stitcher オブジェクトを生成し,stitch() メソッドに画像リストを渡してパノラマ画像を合成する。合成結果は cv2.cvtColor() で BGR から RGB に変換し,Matplotlib の plt.imshow() で表示する。
画像パスの設定
実行結果
スティッチングが正常に完了すると,以下のようなパノラマ画像が表示される。ソースコードは第5章に掲載している。
5. ソースコード
以下は,6枚のサンプル画像を読み込み,イメージスティッチングを実行してパノラマ画像を表示する Python プログラムである。実行環境に応じて IMROOT の値を変更すること(第4章「画像パスの設定」を参照)。
import os
import cv2
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import warnings
warnings.filterwarnings('ignore')
IMROOT = os.path.expanduser('~') + '/'
image_names = [IMROOT + f"boat{i}.jpg" for i in range(1, 7)]
images = [cv2.imread(name) for name in image_names]
stitcher = cv2.Stitcher.create()
status, pano = stitcher.stitch(images)
plt.style.use('default')
plt.figure(figsize=(12, 6))
plt.imshow(cv2.cvtColor(pano, cv2.COLOR_BGR2RGB))
plt.axis('off')
plt.title('Stitched Panorama')
plt.show()
6. まとめ
イメージスティッチング
イメージスティッチングは,複数の画像から1枚のパノラマ画像を合成する技術である。本記事では OpenCV の cv2.Stitcher クラスを用いて,6枚のサンプル画像からパノラマ画像を生成した。
OpenCV の高水準スティッチング API
cv2.Stitcher.create() で Stitcher オブジェクトを生成し,stitch() メソッドに画像リストを渡すことで,特徴点の検出・マッチング・変換推定・合成までの一連の処理を実行できる。
サンプル画像の取得
OpenCV の公式リポジトリ(opencv_extra)にスティッチング用テストデータが提供されており,curl コマンドまたは Web ブラウザでダウンロードできる。
画像パスの設定
Windows では os.path.expanduser('~') でユーザーのホームディレクトリを取得する。Google Colaboratory では ./ に書き換える。
結果の表示
合成されたパノラマ画像は cv2.cvtColor() で BGR から RGB に変換し,Matplotlib の plt.imshow() で表示する。plt.axis('off') により座標軸を非表示にしている。