Lama Cleaner のインストール,動作確認(イメージ・インペインティング)(Python を使用)(Windows 上)

Lama Cleaner は,イメージ・インペインティング (image inpainting) の機能を持つ. 不要部分の除去,欠損の補間に役立つ.

  1. 前準備
  2. Build Tools for Visual Studio 2022,NVIDIA ドライバ,NVIDIA CUDA ツールキット,NVIDIA cuDNN のインストール
  3. Python のインストール,pip と setuptools の更新,Python 開発環境のインストール
  4. Lama Cleaner のインストール
  5. Lama Cleaner の動作確認

【関連する外部ページ】

前準備

Python のインストール(Windows上)

注:既にPython(バージョン3.12を推奨)がインストール済みの場合は,この手順は不要である.

winget(Windowsパッケージマネージャー)を使用してインストールを行う

  1. Windowsで,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
  2. winget(Windowsパッケージマネージャー)が利用可能か確認する:
    winget --version
    
  3. Pythonのインストール(下のコマンドにより Python 3.12 がインストールされる).
    winget install --scope machine Python.Launcher
    winget install --scope machine Python.Python.3.12
    
  4. 【関連する外部サイト】

    【サイト内の関連ページ】

Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

CUDAツールキットは、GPU上でコードをコンパイルするためにC++コンパイラを必要とします。そのため、事前にMicrosoft C++ Build Tools または Visual Studio (C++開発ワークロードを含む) をインストールしておく必要があります。

インストールの判断Build Tools for Visual Studio は,C++コンパイラなどを含む開発ツールセットです. Visual Studio は統合開発環境であり,いくつかのエディションがあり,Build Tools for Visual Studioの機能を含むか連携して使用します.インストールは以下の基準で判断してください:

不明な点がある場合は,Visual Studio 全体をインストール する方が、後で機能を追加する手間が省ける場合があります.

Build Tools for Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動します(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)。

    以下のwingetコマンドを実行します。wingetはWindows標準のパッケージマネージャーです。

    --scope machine オプションはシステム全体にインストールすることを意味します。

    次のコマンドは,Build Tools for Visual Studio 2022と、多くのプログラムで必要とされるVC++ 2015以降の再頒布可能パッケージをインストールします.

    winget install --scope machine Microsoft.VisualStudio.2022.BuildTools
    winget install --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
    
  2. Build Tools for Visual Studio 2022 で C++ によるデスクトップ開発関連コンポーネントのインストール

    CUDA開発には、標準のC++開発ツールに加えて、特定のコンポーネントが必要になる場合があります。

    1. Visual Studio Installer を起動します。

      起動方法: スタートメニューから「Visual Studio Installer」を探して実行します.

    2. Visual Studio Build Tools 2022 の項目で「変更」ボタンをクリックします.
    3. 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」をクリックして選択します。画面右側の「インストールの詳細」で、必要に応じて「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」、「ATL」、「MFC」などをチェックします(これらは一般的なC++開発や特定のプロジェクトタイプで必要になる場合があります)。その後、「変更」をクリックしてインストールまたは変更を適用します.

Visual Studio Community 2022 のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動します。
  2. インストールコマンドの実行

    以下のwingetコマンドを実行します。--override "--add ..." 部分で、インストールするワークロードやコンポーネントを指定しています。

    winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC"
    winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
    

    インストールされる主要なコンポーネントの説明:

    • NativeDesktop (C++によるデスクトップ開発): CUDA開発に必要なC++コンパイラ(VC.Tools.x86.x64)やWindows SDK (Windows.SDK.Latest)など、基本的な開発ツール一式を含みます。
    • CoreEditor: Visual Studioの基本的なコードエディタ機能を提供します。
    • VC.CLI.Support: C++/CLIを用いた開発サポート(通常、純粋なCUDA C++開発では不要な場合もあります)。
    • NuGet: .NETライブラリ管理用(C++プロジェクトでも利用されることがあります)。
    • VC.ATL / VC.ATLMFC: 特定のWindowsアプリケーション開発フレームワーク(通常、CUDA開発自体には直接必要ありません)。

    システム要件と注意事項:

    • 管理者権限でのインストールが必須です。
    • 必要ディスク容量:10GB以上(選択するコンポーネントにより変動)。
    • 推奨メモリ:8GB以上のRAM。
    • インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性があります。
    • 安定したインターネット接続環境が必要です。

    後から追加のコンポーネントが必要になった場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能です.

  3. インストール完了の確認

    インストールが成功したか確認するには、管理者権限のコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行します。

    winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
    

    リストに表示されればインストールされています。

    トラブルシューティング:

    インストール失敗時は,以下のログファイルを確認すると原因究明の手がかりになります:

    %TEMP%\dd_setup_.log
    %TEMP%\dd_bootstrapper_.log

    ( は実行日時に対応する文字列)

  4. (オプション) Visual Studio Installer での確認と変更

    wingetでのインストール後も、Visual Studio Installerを使ってインストール内容を確認・変更できます。

    1. Visual Studio Installer を起動します。
    2. Visual Studio Community 2022 の項目で「変更」をクリックします。
    3. 「ワークロード」タブで「C++ によるデスクトップ開発」がチェックされていることを確認します。必要であれば、「個別のコンポーネント」タブで特定のツール(例: 特定バージョンのMSVCコンパイラ、CMakeツールなど)を追加・削除できます。「インストールの詳細」で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」などが選択されているかも確認できます。変更後、「変更」または「インストール」をクリックします。

NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)

NVIDIA ドライバとは

NVIDIA ドライバは,NVIDIA製GPUをWindowsシステム上で適切に動作させるための基盤となるソフトウェアです.このドライバをインストールすることにより,GPUの性能を最大限に引き出し,グラフィックス処理はもちろん,CUDAを利用したAI関連アプリケーションなどの計算速度を向上させることが期待できます.

ドライバは通常、NVIDIA公式サイトからダウンロードするか、NVIDIA GeForce Experienceソフトウェアを通じてインストール・更新します。

公式サイト: https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp

サイト内の関連ページ

  1. (再掲) NVIDIA グラフィックス・ボードの確認

    インストールするドライバを選択するために、まずご使用のPCに搭載されているNVIDIAグラフィックス・ボードの種類を確認します。(確認済みであれば、この手順は不要です。) Windows のコマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

    wmic path win32_VideoController get name
    
  2. NVIDIA ドライバのダウンロード

    確認したグラフィックス・ボードのモデル名と、お使いのWindowsのバージョン(例: Windows 11, Windows 10 64-bit)に対応するドライバを、以下のNVIDIA公式サイトからダウンロードします.

    https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp

    サイトの指示に従い、製品タイプ、製品シリーズ、製品ファミリー、OS、言語などを選択して検索し、適切なドライバ(通常は最新のGame Ready ドライバまたはStudio ドライバ)をダウンロードします。

  3. ドライバのインストール

    ダウンロードしたインストーラー(.exeファイル)を実行し、画面の指示に従ってインストールを進めます。「カスタムインストール」を選択すると、インストールするコンポーネント(ドライバ本体、GeForce Experience、PhysXなど)を選ぶことができます。通常は「高速(推奨)」で問題ありません。

    インストール完了後、システムの再起動を求められる場合があります。

  4. NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)

    CUDAツールキットには、GPUでプログラムを実行するためのライブラリ、`nvcc`コンパイラ、開発ツールなどが含まれています。ここでは`winget`を使ってCUDA 11.8をインストールする手順を示します。

    NVIDIA CUDA ツールキットの概要と注意点

    NVIDIAのGPUを使用して並列計算を行うための開発・実行環境です。

    主な機能: GPU を利用した並列処理のコンパイルと実行、GPU のメモリ管理、C++をベースとした拡張言語(CUDA C/C++)とAPI、ライブラリ(cuBLAS, cuFFTなど)を提供します。

    NVIDIA CUDA ツールキットの動作に必要なもの

    • CUDA対応のNVIDIA GPU。
    • 対応するNVIDIA ドライバ。
    • サポートされているバージョンのC++コンパイラ (Visual StudioまたはBuild Toolsをインストール済み)。

    Windows でインストールするときの一般的な注意点

    • Windows では,NVIDIA CUDA ツールキットインストール中は,予期せぬ問題を避けるため、なるべく他のアプリケーションは終了しておくことが推奨されます。
    • インストール後に環境変数が正しく設定されているか確認することが重要です。

    関連する外部ページ

    関連項目NVIDIA CUDA ツールキットの概要, NVIDIA CUDA ツールキットの他バージョンのインストール

    1. (再掲) 他のウィンドウを閉じる:インストール中のコンフリクトを避けるため、可能な限り他のアプリケーションを終了します。
    2. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動します。
    3. winget コマンドで CUDA 11.8 をインストールします。

      以下のコマンドは、(必要であれば)NVIDIA GeForce Experienceと、指定したバージョンのNVIDIA CUDA ツールキット (11.8) をインストールします。また、CUDA_HOME 環境変数を設定します(一部のツールで参照されることがあります)。

      rem グラフィックボードの確認 (参考)
      wmic path win32_VideoController get name
      
      
      
      rem CUDA Toolkit 11.8 のインストール
      winget install --scope machine Nvidia.CUDA --version 11.8
      
      rem CUDA_HOME 環境変数の設定 (システム環境変数として設定)
      powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"CUDA_HOME\", \"C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\", \"Machine\")"
      

      注釈: これは特定のバージョン(11.8)をインストールする例です。他のバージョンをインストールする場合は --version オプションを適宜変更してください(例: --version 11.2)。利用可能なバージョンは winget search Nvidia.CUDA で確認できます。

    4. (重要) ユーザ環境変数 TEMP の設定(日本語ユーザ名の場合)

      Windowsユーザ名に日本語(マルチバイト文字)が含まれている場合、CUDAコンパイラ nvcc が一時ファイルの作成に失敗し、コンパイルが正常に動作しないことがあります(エラーメッセージが表示されない場合もあるため注意が必要です)。この問題を回避するために、ユーザ環境変数 TEMP および TMP を、ASCII文字のみのパス(例: C:\TEMP)に変更します。

      管理者権限のコマンドプロンプトで,次のコマンドを実行して C:\TEMP ディレクトリを作成し、ユーザ環境変数 TEMPTMP を設定します。

      mkdir C:\TEMP
      powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
      powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
      

      この設定は、コマンドプロンプトを再起動するか、Windowsに再サインインした後に有効になります。

    Lama Cleaner のインストール

    1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)

      次のコマンドを実行する.

      python -m pip uninstall -y opencv-python
      python -m pip install -U opencv-python
      python -m pip install -U lama-cleaner
      

    Lama Cleaner の動作確認

    1. コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
      • --device=cuda, --device=cpu: それぞれ CUDA を使うか,CPU を使うか
      • --model=lama, --model=ldm, --model=zits, --model=mat, --model=fcs, --model=sd1.5, --model=cv: モデルの選択
      lama-cleaner --model=ldm --device=cuda --gui --port=8080
      
    2. 画像を読み込む
    3. マウスで不要部分を指定できる
    4. 結果を確認