マーカー付きの OpenStreetMap 地図(Python + leaflet.js + folium を使用)
1. エグゼクティブサマリー
本記事では,Python の folium パッケージを使い,OpenStreetMap のタイル地図を表示する leaflet.js プログラムを作成する方法を扱う.地図の表示,マーカーの自動配置とポップアップ表示,マーカーのカスタマイズ(アイコンと色の変更),CircleMarker による円形マーカーの表示までを段階的に説明する.
folium の組み込みタイルセットとして,OpenStreetMap(既定),CartoDB Positron,CartoDB dark_matter があり,それぞれの使用例も示す.
2. 前準備(必要ソフトウェアの入手)
ここでは、最低限の事前準備について説明する。機械学習や深層学習を行う場合は、NVIDIA CUDA、Visual Studio、Cursorなどを追加でインストールすると便利である。これらについては別ページ https://www.kkaneko.jp/cc/dev/aiassist.htmlで詳しく解説しているので、必要に応じて参照してください。
Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法1:winget によるインストール
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_pip=1 Include_test=0 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
方法2:インストーラーによるインストール
- Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
AIエディタ Windsurf のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/SP- /SUPPRESSMSGBOXES /NORESTART /CLOSEAPPLICATIONS /DIR=""C:\Program Files\Windsurf"" /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
【関連する外部ページ】
Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
必要なライブラリのインストール [クリックして展開]
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
以下のコマンドで必要なライブラリをインストールする.
pip install -U pandas folium
3. 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)
3.1 プログラムファイルの準備
第5章に掲載する各 Python ソースコードをテキストエディタ(メモ帳,Windsurf 等)に貼り付け,それぞれ対応するファイル名(map_basic.py,map_cartodb_positron.py,map_cartodb_dark.py,map_marker.py,map_icon.py,map_circle.py)で保存する(文字コード:UTF-8).
ファイルはカレントディレクトリに作成される.カレントディレクトリを確認するには,次の Python プログラムを実行する. カレントディレクトリが不明だと,生成ファイルの所在が分からなくなる.
import os
print(os.getcwd())
3.2 実行コマンド
コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下のように実行する.
python map_basic.py
実行すると,カレントディレクトリに HTML ファイル(例:a.html)が生成される.生成された HTML ファイルをウェブブラウザで開くと地図が表示される.
3.3 動作確認チェックリスト
| 確認項目 | 期待される結果 |
|---|---|
カレントディレクトリの確認(import os; print(os.getcwd())) | カレントディレクトリのパスが表示される |
基本地図の生成(map_basic.py を実行) | カレントディレクトリに a.html が生成される |
a.html をウェブブラウザで開く | 緯度経度 34.4461, 133.2315 付近の OpenStreetMap 地図がズームレベル 12 で表示される |
| 地図上でマウス操作 | 拡大縮小,移動ができる |
マーカー付き地図の生成(map_marker.py を実行) | カレントディレクトリに b.html が生成される |
b.html をウェブブラウザで開く | マーカーが2個表示される |
| マーカーをクリック | ポップアップ(例:'Mt. Hood Meadows')が表示される |
CircleMarker 地図の生成(map_circle.py を実行) | カレントディレクトリに d.html が生成され,青い円形マーカーが表示される |
4. 概要・使い方・実行上の注意
Google Map を用いて緯度経度を調べる
緯度経度を設定するために,Google Map で緯度・経度を調べる.
- Google Map を開く
- Google Map で好きな場所に移動する
- 右クリックして,「この場所について」を選ぶ
- 緯度,経度が表示されるので,メモしておく
folium による基本的な地図表示
Python の folium パッケージを使い,プログラムを簡単なコマンドで作成できる.
- 緯度経度: 34.4461, 133.2315
- ズームレベル: 12
OpenStreetMap を使い,緯度経度 34.4461, 133.2315 の地点を含むタイル地図を,ズームレベル 12 で表示する.HTML + JavaScript(leaflet.js 使用)のファイル a.html が生成される.
先ほど調べた「カレントディレクトリ」に a.html が作成される.
a.html をウェブブラウザで開く.
マウスで拡大縮小,移動できるので確認しておく.
a.html の中身は次のようになっている.
folium パッケージが扱える地図の種類(データソースの種類)
folium の組み込みタイルセット(データソースの種類)は次の通りである.
- OpenStreetMap ※ 既定(デフォルト)
- CartoDB Positron
- CartoDB dark_matter
このほかにも,タイルプロバイダの URL とアトリビューション(帰属表示)を指定することで,さまざまなタイルセットを利用できる.詳細は folium 公式ドキュメントを参照のこと.
CartoDB Positron
- 次の Python プログラムを実行する(ソースコードは第5章に掲載).
- 「カレントディレクトリ」に HTML ファイル a2.html ができている
- a2.html をウェブブラウザで開くと,明るい配色のシンプルな地図が表示される
CartoDB dark_matter
- 次の Python プログラムを実行する(ソースコードは第5章に掲載).
- 「カレントディレクトリ」に HTML ファイル a3.html ができている
- a3.html をウェブブラウザで開くと,暗い配色の地図が表示される
マーカー付き地図の表示
マーカーはプログラムで自動配置できる. マーカーをクリックするとポップアップ表示も簡単に実現できる.
folium 公式ドキュメント(Getting started)に記載のサンプルプログラム(https://media.readthedocs.org/pdf/folium/latest/folium.pdf にも掲載)を実行する.
- 「カレントディレクトリ」に HTML ファイル b.html ができている
- b.html をウェブブラウザで開く.マーカーが2個あることを確認する.
- マーカーをクリックするとポップアップ表示が出る
マーカーのカスタマイズ(アイコンと色の変更)
folium.Icon を使うと,マーカーの色やアイコンを変更できる.以下の例では,2つのマーカーにそれぞれ異なる色とアイコンを設定している.
- c.html をウェブブラウザで開くと,赤色の雲アイコンと緑色の木アイコンのマーカーが表示される
CircleMarker による円形マーカーの表示
folium.CircleMarker を使うと,指定した位置に円形のマーカーを表示できる.半径,色,塗りつぶしの有無などを指定する.
- d.html をウェブブラウザで開くと,青い円形のマーカーが表示される.クリックするとポップアップも表示される
5. ソースコード
カレントディレクトリの確認
import os
print(os.getcwd())
基本的な地図表示(OpenStreetMap,ズームレベル 12)
import folium
m = folium.Map(location=[34.4461, 133.2315], zoom_start=12)
m.save("a.html")
CartoDB Positron タイルの地図表示
import folium
m = folium.Map(location=[34.4461, 133.2315], zoom_start=12, tiles='CartoDB Positron')
m.save("a2.html")
CartoDB dark_matter タイルの地図表示
import folium
m = folium.Map(location=[34.4461, 133.2315], zoom_start=12, tiles='CartoDB dark_matter')
m.save("a3.html")
マーカー付き地図の表示
import folium
m = folium.Map(location=[45.372, -121.6972], zoom_start=12)
folium.Marker([45.3288, -121.6625], popup='Mt. Hood Meadows').add_to(m)
folium.Marker([45.3311, -121.7113], popup='Timberline Lodge').add_to(m)
m.save("b.html")
マーカーのカスタマイズ(アイコンと色の変更)
import folium
m = folium.Map(location=[45.372, -121.6972], zoom_start=12)
folium.Marker([45.3288, -121.6625], popup='Mt. Hood Meadows', icon=folium.Icon(color='red', icon='cloud')).add_to(m)
folium.Marker([45.3311, -121.7113], popup='Timberline Lodge', icon=folium.Icon(color='green', icon='tree-conifer')).add_to(m)
m.save("c.html")
CircleMarker による円形マーカーの表示
import folium
m = folium.Map(location=[34.4461, 133.2315], zoom_start=12)
folium.CircleMarker(location=[34.4461, 133.2315], radius=30, color='blue', fill=True, fill_color='cyan', popup='Circle Marker').add_to(m)
m.save("d.html")
6. まとめ
OpenStreetMap とタイル地図
OpenStreetMap は世界規模の無料のオンライン地図データベースシステムである.folium パッケージを使うことで,OpenStreetMap のタイル地図を表示する HTML + JavaScript(leaflet.js 使用)ファイルを簡単に生成できる.
folium の組み込みタイルセット
folium の組み込みタイルセットとして,OpenStreetMap(既定),CartoDB Positron,CartoDB dark_matter がある.タイルプロバイダの URL とアトリビューションを指定すれば,他のタイルセットも利用できる.
マーカーの自動配置とポップアップ表示
マーカーはプログラムで自動配置できる.マーカーをクリックするとポップアップ表示を行うことも簡単に実現できる.folium.Marker で位置と popup テキストを指定するだけでよい.
マーカーのカスタマイズ
folium.Icon を使うとマーカーの色やアイコンを変更できる.folium.CircleMarker を使うと円形のマーカーを表示でき,半径,色,塗りつぶしの有無などを指定できる.
緯度経度の調べ方
緯度経度の設定のために,Google Map を使って緯度・経度を調べることができる.Google Map で場所に移動し,右クリックして「この場所について」を選ぶと緯度,経度が表示される.