ポータブル版 VirtualBox を使って,ライブ USB メモリの Ubuntu を起動してみる
Windows マシン上で、USBメモリに格納したポータブル版VirtualBoxを使い、同じUSBメモリ内のUbuntuライブ環境を仮想マシンとして起動する手順を説明します。Ubuntu、VirtualBox、仮想マシンの設定ファイルのすべてが1本のUSBメモリ内に置かれ、Windows側にはファイルを残しません。
<PC本体をライブ起動する場合と比べた違い>
- BIOS/UEFI の設定変更が不要:PC本体の起動デバイスの順序を変更せずにUbuntuを試せます。
- Windows と同時に使用可能:UbuntuがWindowsの1つのウィンドウ内で動作するため、Windowsのアプリケーションと並べて操作できます。
必要な準備物
- USBメモリ(Ubuntu 26.04 LTS のISOイメージファイルは約6GBのため、16GB以上のものを使用します)
- Ubuntu の ISO イメージファイル(公式サイトよりダウンロード)
- インターネット接続(ポータブル版VirtualBoxとVirtualBox本体のダウンロードに使用)
- Windows の管理者権限(VirtualBox のドライバのインストールと、物理ディスクへのアクセスに必要)
手順概要
- Ubuntuの公式ISOイメージファイルを入手する。
- 入手したISOイメージファイルを使って、UbuntuライブUSBメモリを作成する。(作成ツール例: Rufus, BalenaEtcher)
- 作成したライブUSBメモリに、ポータブル版VirtualBoxのファイルをコピーする。(後述)
- VirtualBoxで、USBメモリを仮想ハードディスクとして扱う設定を行い、起動する。(後述)
ポータブル版 VirtualBox のダウンロードと初期設定
- vbox.me の Web ページを開く
- 「Download」の下の「Newest」をダウンロード
- ダウンロードが始まる
- ダウンロードした .exe ファイルを実行する
- 展開(解凍)するディレクトリを指定し,「OK」をクリック.
- 展開(解凍)してできたディレクトリのファイルを確認する
- Portable-VirtualBox.exe を,右クリックして「管理者として実行」で実行する
ポータブル版 VirtualBox は、実行時に VirtualBox のカーネルドライバをインストールし、終了時に削除します。この処理に管理者権限が必要です。
- 起動直後に言語を選ぶ.
既定では「english」であり、「japanese」に変更できます.
- VirtualBox本体のファイルをダウンロードするか尋ねられる.
「VirtualBox インストールファイルのダウンロード」をクリックします.
すでにPC内にVirtualBoxのインストーラがある場合は、「VirtualBox インストールファイルのパス」でそのファイルを指定することもできます.
* ダウンロードを選んだ場合,ダウンロードが終わるとパスが自動設定されます.
- 「OK」をクリック
- 設定が終わったら、Portable-VirtualBox.exe を、右クリックして「管理者として実行」で再度実行する.VirtualBoxのメイン画面が表示されます。
準備
- USB メモリの準備
16GB以上のUSBメモリを準備します。中のデータはライブUSBメモリの作成時に消去されます.
* VirtualBox は USB メモリを物理ディスクとして直接読み書きします。そのため、USBメモリのファイルシステムの種類(FAT32, exFAT, NTFS)は、仮想マシンからの起動の可否に影響しません.
- Ubuntu の ISO イメージファイルを準備
- Ubuntuの公式ウェブサイト (https://ubuntu.com/download/desktop) から、Ubuntu 26.04 LTS (64-bit) のISOイメージファイルをダウンロードします。(ファイルサイズは約6GB)
- Ubuntu ライブUSBメモリの作成
準備したUSBメモリと、ダウンロードしたUbuntu の ISO イメージファイルを使用します.
ライブUSBメモリの作成手順 » (別ページ参照)
Windows上でライブUSBメモリを作成するには、Rufus (https://rufus.ie/) や BalenaEtcher (https://www.balena.io/etcher/) を使用します。
- Windows から書き込める領域をUSBメモリ内に用意する
ISOイメージファイルをそのまま書き込む方式(Rufus の DD モード、BalenaEtcher)で作成したライブUSBメモリは、書き込まれた領域が読み取り専用になり、残りの領域は未割り当てのままです。この状態では、次の手順のファイルのコピーができません。
Windowsの「ディスクの管理」(ファイル名を指定して実行で
diskmgmt.mscと入力)を開き、対象のUSBメモリの未割り当て領域を右クリックして「新しいシンプル ボリューム」を選び、FAT32 または NTFS のパーティションを作成します。作成したパーティションにドライブレターが割り当てられ、Windowsから読み書きできます。* Rufus の ISO モードで作成し、USBメモリに空き容量がある場合は、この手順は不要です。
- ライブ USB メモリにポータブル版 VirtualBox のディレクトリ「Portable-VirtualBox」をコピーする
先ほど展開した「Portable-VirtualBox」ディレクトリ全体を、ライブUSBメモリの書き込める領域にコピーします.
コピーの結果,USBメモリ内に「Portable-VirtualBox」ディレクトリが置かれた状態になります.
Windows の VirtualBox 上で動く仮想マシンとして起動してみる
VirtualBox の設定(Windows 上)
- Portable-VirtualBox\Portable-VirtualBox.exe を,右クリックして「管理者として実行」で実行します。
- VirtualBox マネージャー画面で「新規(N)」をクリックし、新しい仮想マシンを作成します。
- 名前とオペレーティングシステムの設定
仮想マシンの名前を設定し(例: Ubuntu Live USB)、「タイプ」を「Linux」、「バージョン」を「Ubuntu (64-bit)」に設定します。
「フォルダー」に表示される仮想マシンの保存先が、USBメモリ内であることを確認します。Windows側のディスクになっている場合は、USBメモリ内のディレクトリに変更します。
- メモリ量とプロセッサ数の設定
Canonical が示す Ubuntu Desktop 26.04 LTS の最小メモリは 6GB です。仮想マシンには 6144MB 以上を割り当てます。ホストのWindowsが動作できるよう、割り当て量はPCの搭載メモリの半分以下にします。プロセッサ数は 2 以上に設定します。
- ハードディスクの設定
「仮想ハードディスクを作成しない」を選択して、「作成」をクリックします。(USBメモリを仮想ハードディスクとして後から割り当てるため)
- 作成した仮想マシンを選択し、「設定(S)」をクリックします。
ストレージ設定: USBメモリからの起動
ライブUSBメモリから起動するために、USBメモリを仮想ハードディスクとしてVirtualBoxに認識させます。この設定には、コマンドプロンプトでの操作が伴います。
- 物理ドライブ番号の確認:
- Windowsの「ディスクの管理」(ファイル名を指定して実行で
diskmgmt.mscと入力)を開き、対象のUSBメモリのディスク番号(例: ディスク 1, ディスク 2)を確認します。 - ディスク番号を誤ると、別のディスクの内容を破壊します。容量とドライブレターの両方で、対象がUSBメモリであることを確認してください。
- Windowsの「ディスクの管理」(ファイル名を指定して実行で
- 仮想ディスクファイル(VMDK)の作成:
- コマンドプロンプト(cmd)を管理者として実行します。(スタートメニューで「cmd」と検索し、右クリックして「管理者として実行」を選択)
- VirtualBox の実行ファイルがあるディレクトリに移動します。ポータブル版では、展開先の app64 ディレクトリに
VBoxManage.exeがあります。ドライブが異なる場合はcdに/dを付けます。
例:cd /d "F:\Portable-VirtualBox\app64"(F: はUSBメモリのドライブレターに置き換えてください) - 次のコマンドを実行して、物理ドライブを参照するVMDKファイルを、USBメモリ内に作成します。
Nは手順1で確認したディスク番号、F:はUSBメモリのドライブレターに置き換えてください。ファイル名は絶対パスで指定します。VBoxManage createmedium disk --filename "F:\Portable-VirtualBox\usb.vmdk" --format=VMDK --variant RawDisk --property RawDrive=\\.\PhysicalDriveN - 作成されるVMDKファイルは、物理ドライブの番号を記録した数百バイトのファイルです。USBメモリの内容自体はコピーされません。
- 仮想マシンへのVMDKの割り当て:
- VirtualBoxの仮想マシンの設定画面で、「ストレージ」を選択します。
- 「コントローラー: SATA」 を選択し、「ハードディスクの追加」アイコンをクリックします。
- 「追加」で、手順2で作成した
usb.vmdkファイルを指定し、「選択」をクリックします。 - 追加したVMDKファイルがSATAポートに接続されていることを確認します。
- 起動順序の設定: 左側のメニューで「システム」を選択し、「マザーボード」タブを開きます。「起動順序」の一覧で「ハードディスク」にチェックを入れ、一覧の先頭に移動させます。
- EFI の設定: 同じ「マザーボード」タブで「EFIを有効化」にチェックを入れます。UEFI用に作成されたライブUSBメモリは、この設定で起動します。起動しない場合は、チェックを外して再度試します。
仮想マシンの起動と使用
- Portable-VirtualBox\Portable-VirtualBox.exe を,右クリックして「管理者として実行」で実行し、作成した仮想マシンを選択して「起動」をクリックします。物理ディスクへのアクセスには管理者権限が必要です。
キーボードの自動キャプチャ機能についての説明が表示される場合があります.
- 仮想マシンが起動すると、Ubuntuのブートメニューが表示されます。「Try or Install Ubuntu」を選択します。
デスクトップ画面が表示されるまで待ちます(画面が変化しない時間があります).
- Ubuntu が起動します
これは GNOME デスクトップ環境の画面です。
別の PC で使うとき
VMDKファイルには、\\.\PhysicalDriveN というディスク番号が記録されています。この番号は、PCや接続するUSBポートによって変わります。別のPCでこのUSBメモリを使うときは、VMDKファイルを作り直します。
- Windowsの「ディスクの管理」(ファイル名を指定して実行で
diskmgmt.mscと入力)を開き、そのPCでのUSBメモリのディスク番号を確認します。 - コマンドプロンプト(cmd)を管理者として実行します。(スタートメニューで「cmd」と検索し、右クリックして「管理者として実行」を選択)
- 次のコマンドで、古いVMDKファイルを削除してから作り直します。
Nは手順1で確認したディスク番号、F:はUSBメモリのドライブレターに置き換えてください。cd /d "F:\Portable-VirtualBox\app64" del "F:\Portable-VirtualBox\usb.vmdk" VBoxManage createmedium disk --filename "F:\Portable-VirtualBox\usb.vmdk" --format=VMDK --variant RawDisk --property RawDrive=\\.\PhysicalDriveN - ファイル名とパスを変えずに作り直すため、仮想マシンへの割り当ての設定はそのまま使えます。
注意事項
- VMDKファイルの作成と、VMDKファイルを割り当てた仮想マシンの起動には、管理者権限が必要です。Portable-VirtualBox.exe とコマンドプロンプトは、右クリックして「管理者として実行」で実行します。
- 仮想マシンの動作中は、WindowsのエクスプローラーからそのUSBメモリを操作しないでください。ホストとゲストが同じディスクに同時に書き込むと、ファイルシステムが壊れます。
この手順により、Windows PCにUbuntuをインストールせずに、また Windows 側にファイルを残さずに、USBメモリ1本からUbuntu 26.04 LTS を起動できます。