3次元ゲームエンジン Unreal Engine 5 のインストール(ソースコードを使用)(Ubuntu 上)
Linux 向けには,ソースコードからのビルド以外に Installed Build(ビルド済みバイナリ)も配布されている。ビルド済みバイナリは https://www.unrealengine.com/en-US/linux から入手でき,展開後に Engine/Binaries/Linux/UnrealEditor を実行するだけで使用できる。サーバービルドを行う場合や,エンジン本体のソースコードを変更する場合は,ソースコードからビルドする。
前準備
動作環境とディスク容量
Epic Games の公式ドキュメントでは,Linux での開発環境として Ubuntu 22.04 または Rocky Linux 8 が推奨されている。エンジンの実行には glibc 2.28 以上,Linux カーネル 4.18 以上が必要である。エディタを快適に動かすための推奨構成は,4コア以上の CPU,32 GB の主記憶,VRAM 8 GB 以上の GPU である。Linux では描画に Vulkan を用いるため,VRAM の少ない GPU では動作が厳しい。
ソースコードからのビルドでは,ソースコード,依存ファイル,中間ファイル,ビルド結果を合わせて 数百 GB(400 GB 以上)のディスク空き容量が必要である。ビルド時間も数時間に及ぶ。作業前に空き容量を確認する。
df -h .
Ubuntu のシステム更新
Ubuntu で OS のシステム更新を行うときは, 端末で,次のコマンドを実行する。これは、パッケージ情報を最新の状態に保ち、インストール済みのパッケージをセキュリティアップデートやバグ修正を含めて更新するためである。
# パッケージリストの情報を更新
sudo apt update
# インストール済みのパッケージを包括的に更新 (依存関係も考慮)
sudo apt full-upgrade
# カーネル更新等で実際に再起動が必要な場合のみ実行を推奨
# sudo shutdown -r now
ビルドツール,Git, Git LFS のインストール
端末で,次のコマンドを実行する。C/C++ のビルドに必要なツールは build-essential にまとめられている。Setup.sh は Git LFS を用いて大容量の依存ファイルを取得するため,git-lfs も必要である。
# パッケージリストの情報を更新
sudo apt update
sudo apt -y install build-essential git git-lfs unzip curl xdg-user-dirs
C++ のコンパイルには Epic Games が配布する clang ツールチェインを使用する。ツールチェインは Setup.sh の実行時に自動で取得される。
ソースコードのダウンロード
Unreal Engine のソースコードは GitHub の EpicGames/UnrealEngine リポジトリで公開されているが,これは非公開リポジトリであり,Epic Games アカウントと GitHub アカウントを連携させて閲覧権限を得る必要がある。
- GitHub アカウントの作成
で,ユーザ名,メールアドレス,パスワードを登録して,GitHub アカウントを作成する
- Epic Games アカウントの作成
で Epic Games アカウントを作成し,メールアドレスの確認(verify)を済ませる。
- Epic Games アカウントの「接続済みアカウント」のページを開く
- 「アカウント」タブの一覧にある「GITHUB」の「接続する」をクリック
- GitHub のページに移動するので,「Authorize EpicGames」をクリックして連携を許可する
- GitHub に登録したメールアドレスに,Epic Games の GitHub organization への招待メールが届く。メール中のリンク,または https://github.com/orgs/EpicGames/invitation で招待を承諾する。
- Epic のソースコードレポジトリを開く
- ブランチまたはタグを選ぶ
release ブランチが,公開済みの最新の安定版である。特定のバージョンを使うときは
5.6のようなブランチ,あるいはタグを選ぶ。ue5-main は開発中のブランチであり,安定性は保証されない。 - 「Code」をクリックし,「Download ZIP」を選ぶと .zip ファイルのダウンロードが始まる。
git を使う場合は,次のコマンドでも取得できる。
--depth 1により履歴を省略して取得量を減らしている。git clone --depth 1 -b release https://github.com/EpicGames/UnrealEngine.git - 利用条件(Unreal Engine End User License Agreement)を確認する。Epic のソースコードレポジトリから入手したソースコードやビルドの成果物を,第三者に配布したり公開したりすることは,ライセンスで禁止されている。
インストール(Ubuntu 上)
ビルド手順は Epic Games の公式ドキュメント Downloading Unreal Engine Source Code および Linux Development Quickstart for Unreal Engine に記載されている。
- ダウンロードした .zip ファイルを展開(解凍)する
git clone で取得した場合は,この操作は不要である。
unzip UnrealEngine-release.zip - Setup.sh の実行
clang ツールチェインや,リポジトリに含まれない大容量の依存ファイル(Commit.gitdeps.xml に基づく約 10 GB 以上)のダウンロードが行われる。
cd UnrealEngine-release ./Setup.sh実行結果の末尾を確認し,エラーメッセージが出ている場合は,メッセージの内容に従って対処する。ダウンロードが途中で失敗したときは
./Setup.shを再実行する。
- GenerateProjectFiles.sh の実行
ビルドに使うプロジェクトファイルが生成される。Visual Studio Code 用のワークスペースを作るときは
-vscodeオプションを付ける。./GenerateProjectFiles.sh
- make の実行
エンジン本体のビルドが行われる。数時間かかる。
make
- Unreal Editor の起動
Linux 版では
make installによるシステムへのインストールは行わない。ビルドしたディレクトリ内の実行ファイルを直接起動する。./Engine/Binaries/Linux/UnrealEditor