Iris データセットの主成分分析プロット(Python, matplotlib, seaborn を使用)

1. エグゼクティブサマリー

Iris データセットの主成分分析を行い,第1主成分スコアと第2主成分スコアをプロットする.

主成分分析により次元削減ができる.

ある花の属性は,「5.1 3.5 1.4 0.2」という4つの数値属性を持ち, 別の花の属性は,「4.9 3.0 1.4 0.2」という4つの数値属性を持つとする.

数値属性の個数のことを「次元」と呼ぶ.

上で書いた花は,どちらも4次元である.

次元が大きすぎると,解析や人工知能の学習がうまくいかない可能性がある. 元のデータで,互いの類似性を保ったままで,より少ない個数の数値属性を作ることを 次元削減という.

本記事では,Python の matplotlib,seaborn,scikit-learn を使用し,Iris データセットに主成分分析を適用して,第1・第2主成分スコアの散布図を作成する.

Google Colaboratory のページ:

次のリンクをクリックすると,Google Colaboratory のノートブックが開く. Google アカウントでログインすると,Google Colaboratory のノートブック内のコード等を編集・再実行できる.編集しても他の人に影響はない.編集後のものを各自の Google ドライブ内に保存することもできる.

https://colab.research.google.com/drive/1nWjnjxgPrldV75OCUcp3RFEV_baeCs4D?usp=sharing

2. 前準備(必要ソフトウェアの入手)

ここでは、最低限の事前準備について説明する。機械学習や深層学習を行う場合は、NVIDIA CUDA、Visual Studio、Cursorなどを追加でインストールすると便利である。これらについては別ページ https://www.kkaneko.jp/cc/dev/aiassist.htmlで詳しく解説しているので、必要に応じて参照してください。

Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。

方法1:winget によるインストール

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

winget install -e --id Python.Python.3.12 --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 AssociateFiles=1 InstallLauncherAllUsers=1"

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。

方法2:インストーラーによるインストール

  1. Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
  2. ダウンロードしたインストーラーを実行する。
  3. 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから python コマンドを実行できない。
  4. 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。

インストールの確認

コマンドプロンプトで以下を実行する。

python --version

バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。

AIエディタ Windsurf のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

winget install -e --id Codeium.Windsurf --scope machine --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/VERYSILENT /NORESTART /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。

関連する外部ページ

Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/

numpy,pandas,matplotlib,seaborn,scikit-learn のインストール [クリックして展開]

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する.管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには,Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し,表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する.

python -m pip install -U numpy pandas matplotlib seaborn scikit-learn scikit-learn-intelex

3. 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)

3.1 プログラムファイルの準備

第5章に掲載するソースコードをテキストエディタ(メモ帳,Windsurf 等)に貼り付け,iris_pca.py として保存する(文字コード:UTF-8).%matplotlib inline は Jupyter Notebook / Google Colaboratory 用のマジックコマンドであるため,Python スクリプトとして実行する場合はこの行を削除する.

3.2 実行コマンド

コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を実行する.

python iris_pca.py

3.3 動作確認チェックリスト

確認項目期待される結果
Iris データセットの読み込みsns.load_dataset('iris') により DataFrame が取得され,iris.head() で先頭5行が表示される
データの形の確認iris.shape(150, 5)iris.ndim2 と表示される
0〜3列目の表示iris.iloc[:,0:4] により sepal_length,sepal_width,petal_length,petal_width の4列150行分が表示される
主成分分析プロットの表示pcaplot(X, y, 0.4) により,3種類の花が色分けされた散布図が表示され,軸ラベルに寄与率が付記される
寄与率の確認各主成分の寄与率と累積寄与率が数値で表示される

4. 概要・使い方・実行上の注意

4.1 Iris データセットの概要

Iris データセットは150件の花のデータから構成される.各データは sepal_length,sepal_width,petal_length,petal_width の4つの数値属性と,花の種類を表す species 列を持つ.サイズは 150 × 5,次元数は 2(行方向と列方向)である.最後の列(species 列)は花の種類を表すデータである.

4.2 主成分分析プロットの動作

Iris データセットの0, 1, 2, 3列目について,主成分分析によりサイズ 150 × 4 を 150 × 2 に変換する.変換後の第1主成分スコアと第2主成分スコアを散布図としてプロットする.散布図では花の種類(setosa,versicolor,virginica)ごとに色分けされ,各軸のラベルに寄与率が表示される.

4.3 寄与率

各主成分がデータ全体の分散をどの程度説明するかを示す値を寄与率(explained variance ratio)という.寄与率を確認することで,次元削減後にどの程度の情報が保持されているかを把握できる.

4.4 Google Colaboratory での実行

本記事のコードは Google Colaboratory 上でも実行できる.%matplotlib inline は Jupyter Notebook / Google Colaboratory 用のマジックコマンドであり,ノートブック内にグラフを表示するために使用する.

5. ソースコード

5.1 Iris データセットの読み込みと確認

import pandas as pd
import seaborn as sns
sns.set()
iris = sns.load_dataset('iris')
print(iris.head())
print(iris.shape)
print(iris.ndim)
print( iris.iloc[:,0:4] )

5.2 主成分分析プロットの前準備

import numpy as np
import sklearn.decomposition
%matplotlib inline
import matplotlib.pyplot as plt

def pca_transform(A, n):
    """主成分分析により n 個の成分に次元削減する"""
    pca = sklearn.decomposition.PCA(n_components=n)
    transformed = pca.fit_transform(A)
    return transformed, pca

def scatter_label_plot(M, b, alpha, xlabel='PC1', ylabel='PC2'):
    """M の最初の2列を,b で色分けしてプロットする"""
    a12 = pd.DataFrame(M[:, 0:2], columns=['a1', 'a2'])
    f = pd.factorize(b)
    a12['target'] = f[0]
    g = sns.scatterplot(x='a1', y='a2', hue='target', data=a12, palette=sns.color_palette("hls", np.max(f[0]) + 1), legend="full", alpha=alpha)
    for i, label in enumerate(f[1]):
        g.legend_.get_texts()[i].set_text(label)
    plt.xlabel(xlabel)
    plt.ylabel(ylabel)
    plt.show()

def pcaplot(A, b, alpha):
    """主成分分析を行い,第1・第2主成分スコアをプロットする"""
    transformed, pca = pca_transform(A, 2)
    r = pca.explained_variance_ratio_
    scatter_label_plot(transformed, b, alpha, xlabel=f'PC1 ({r[0]:.2%})', ylabel=f'PC2 ({r[1]:.2%})')

5.3 主成分分析プロットの実行

X = iris.iloc[:,0:4].to_numpy()
y = iris.iloc[:,4]

pcaplot(X, y, 0.4)

5.4 寄与率の確認

pca = sklearn.decomposition.PCA(n_components=2)
pca.fit(X)
print("各主成分の寄与率:", pca.explained_variance_ratio_)
print("累積寄与率:", np.sum(pca.explained_variance_ratio_))

6. まとめ

6.1 次元と次元削減

数値属性の個数を「次元」と呼ぶ.元のデータで互いの類似性を保ったまま,より少ない個数の数値属性を作ることを次元削減という.

6.2 主成分分析

主成分分析により次元削減ができる.本記事では Iris データセットの4つの数値属性(150 × 4)を,2つの主成分スコア(150 × 2)に変換した.

6.3 主成分分析プロット

第1・第2主成分スコアを散布図としてプロットすることで,データの分布構造を視覚的に確認できる.花の種類ごとに色分けすることで,種類間の分離の程度を把握できる.

6.4 寄与率

各主成分がデータ全体の分散をどの程度説明するかを示す値を寄与率(explained variance ratio)という.次元削減後にどの程度の情報が保持されているかを把握できる.

6.5 Iris データセット

Iris データセットは150件の花のデータから構成され,4つの数値属性と花の種類を表す species 列を持つ.主成分分析の基本的な動作確認に用いられる代表的なデータセットである.