Windows AI支援Python開発環境構築ガイド
AI支援機能を含むPython開発環境を一から構築したい場合、および既存環境でAI支援機能が正常に動作せず困っている場合の実践的なセットアップガイドである。 Windows環境でPython 3.12、Git、NVDIA CUDA 12.6、PyTorch、AIエディタ(Windsurf、Cursor、Visual Studio Code)という開発環境を構築する手順を示す。
AIエディタのメリットと注意事項
Python 3.12、Git、NVDIA CUDA 12.6、PyTorch、AIエディタ(Windsurf, Cursor, Visual Studio Code)の環境構築手順を説明する。Pythonプログラム開発環境の構築、GPUを搭載している場合はGPUの利用を行う。AIエディタは、次のAI機能を備えたエディタであり、Pythonやその他のプログラミング言語でも開発環境として欠かせないものになっている。
AIエディタの機能:
- コード生成支援: 自然言語での指示からPythonコードを生成
- エラー検出支援: 構文エラーの検出と修正提案
- コード改善提案: 既存コードの改善案を提示
- 学習支援: プログラミング概念の説明とコーディング例の提示
- デバッグ支援: エラーの可能性のある箇所の指摘と対処法の提案
注意事項:
AIエディタは開発を支援するツールであり、コード生成や修正提案には限界がある。生成されたコードや提案内容は検証・理解してから使用し、最終的な判断は開発者自身が行うものである。
ここで紹介する 3つのAIエディタ
以下の3つのエディタは無料で利用でき、Python開発に使用できる。他にもJetBrains製品やVim系エディタなど多くの選択肢が存在する。
1. Windsurf
Codeium社開発のAI統合IDE。開発者とAIの協調編集機能(Cascade)を搭載。
2. Cursor
Visual Studio Codeをベースに構築されたAI強化エディタ。複数のAIモデルを統合し、チャット機能でコード生成から説明まで幅広く対応する。
3. Visual Studio Code + AI拡張
マイクロソフト製エディタ。GitHub Copilot拡張機能でAI支援機能を追加できる。
Python、Git、NVIDIA CUDAのインストール
Python 3.12のインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
REM Python をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent
REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_PATH%" /M >nul
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul

【関連する外部ページ】
Python の公式ページ: https://www.python.org/
Gitのインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
REM Git をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent
REM Git のパス設定
set "GIT_PATH=C:\Program Files\Git\cmd"
if exist "%GIT_PATH%" (
echo "%PATH%" | find /i "%GIT_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%GIT_PATH%" /M >nul
)

CUDA 12.6、PyTorchのインストール
AIプログラムのGPU実行に必要なCUDA、そしてPyTorchを、管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行してインストールする。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
REM CUDA をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Nvidia.CUDA --version 12.6 -e
REM CUDA のパス設定
set "CUDA_PATH=C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.6"
if exist "%CUDA_PATH%" setx CUDA_PATH "%CUDA_PATH%" /M >nul
if exist "%CUDA_PATH%" setx CUDNN_PATH "%CUDA_PATH%" /M >nul
REM PyTorch をシステム領域にインストール
pip install -U torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu126

Python、Git、NVIDIA CUDAの動作確認
Python 3.12の動作確認
コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してPythonのバージョンを確認する。
python --version
「Python 3.12.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。

Gitの動作確認
コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してGitのバージョンを確認する。
git --version
「git version x.x.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。

CUDA 12.6の動作確認
コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してCUDAのバージョンを確認する。
nvcc --version
「Cuda compilation tools, release 12.6」と表示されれば正常にインストールが完了している。

PyTorchの動作確認
コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してPyTorchバージョン,CUDAの動作,GPU数を確認する。
python -c "import torch; print(torch.__version__)"
python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"
python -c "import torch; print(torch.cuda.device_count())"
次はGPUを搭載していないパソコンでの実行結果

AI エディタ Windsurf, Cursor, Visual Studio Code のインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行して3つのエディタをシステム全体にインストール。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
winget install --scope machine Codeium.Windsurf Anysphere.Cursor Microsoft.VisualStudioCode -e --silent

導入後の設定と使い始め
Windsurf
- スタートメニューからWindsurfを起動
- 初回起動時にアカウント作成またはログイン
- Python実行環境の確認:Terminal(ターミナル)で
python --version
を実行 - Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P > "Python: Select Interpreter" > システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
- 新規Pythonファイル作成:File > New File > ファイル名を入れる(例:a.py)
その後,フォルダ(ディレクトリ)を選ぶ > Create File をクリック
なお,左側のメニューで,既存のファイルを開くことも可能
- 作成した新しいファイルに
print("Hello")
と入力 > 上の実行ボタンで実行,実行結果を確認 - 主な機能確認
- Cascadeチャット起動: Ctrl+L (Windows/Linux)
- インライン編集: Ctrl+スペース
- デバッガー: F5
- プログラミング言語の選択: Ctrl+K M


Cursor
- 初回起動時にアカウント作成またはログイン(GoogleアカウントやGitHubアカウント可)
- Python拡張機能のインストール:拡張機能画面でPythonを検索,「Python language support ...」をインストール
- Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P > "Python: Select Interpreter" > システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
- 新規Pythonファイル作成:File > New Text File > File > Save As > ファイル名を入れる(例:a.py)
- 作成した新しいファイルに
print("Hello")
と入力 > 上の実行ボタンで実行,実行結果を確認 - AI機能の基本操作:
- AIチャット起動:
Ctrl+L
- インライン編集:
Ctrl+K
- デバッガー: F5
- AIチャット起動:

サイドバーが表示されていない場合は CTRL + B でサイドバーを表示.サイドバー内のExtensions(拡張機能)のボタンをクリックして,拡張機能画面を表示

Visual Studio Code
- スタートメニューからVS Codeを起動
- Python拡張機能のインストール:拡張機能画面でPythonを検索,「Python language support ...」をインストール
- GitHub Copilot拡張機能インストール(必要に応じて)
- Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P > "Python: Select Interpreter" > システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
- 新規Pythonファイル作成:File > New File > ファイル名を入れる(例:a.py)
その後,フォルダ(ディレクトリ)を選ぶ > Create File をクリック
- 作成した新しいファイルに
print("Hello")
と入力 > 上の実行ボタンで実行,実行結果を確認- AI機能の基本操作:
- Copilot Chat起動: Ctrl+Alt+I
- インラインチャット: Ctrl+I
- デバッガー: F5
- プログラミング言語の選択: Ctrl+K M
これらのAIエディタにより、Python学習の支援と開発作業の効率化を行う環境が構築される。
- AI機能の基本操作:

サイドバー内のExtensions(拡張機能)のボタンをクリックして,拡張機能画面を表示
