Windows Python 開発環境とビルドツール構築ガイド
【概要】本ガイドでは、Windows環境でAIプログラミングを始めるための開発環境を構築する。Python、GPU計算基盤、ビルドツール、AIエディタを導入することで、機械学習モデルの実行や実験、AIによるコード生成支援を活用した開発が可能になる。各ソフトウェアのインストールとパスの設定は、コマンドラインから一括で行える。
【重要概念】
- AIエディタ: AI機能を統合したエージェント型IDE(統合開発環境)。コード生成や修正をAIが自律的に実行したり、エラー検出や学習支援を行ったりして開発を支援する。
- ビルドツール: ソースコードを実行可能な形式に変換するツール群(VS Build Toolsなど)。Python開発では、C/C++で書かれた拡張ライブラリのコンパイルなどに使用する。
- GPU計算基盤 (CUDA): NVIDIA GPU用の並列計算基盤。GPUをGPGPU(汎用GPU計算:グラフィックス処理以外の計算にGPUを利用する技術)として活用し、行列演算などを高速に処理する。
- 環境変数 PATH: Windowsがプログラムを探す場所のリスト。ここにPythonやGitなどのディレクトリを追加することで、コマンドプロンプトから直接コマンドを実行できるようになる。
【目次】
- 目標と全体像
- AIエディタのメリットと注意事項
- ここで紹介する2つのAIエディタ
- 開発環境とビルドツールのインストール
- インストール後の動作確認
- エディタと開発環境のインストール
- 導入後の設定と使い始め
- 次のステップ
【サイト内のPython関連主要ページ】
- Windows AI支援Python開発環境構築ガイド: 別ページ »で説明
- AIエディタ Windsurf の活用: 別ページ »で説明
- Google Colaboratory: 別ページ »で説明
- Python(Google Colaboratoryを含む)のまとめ: 別ページ »で説明
- 機械学習の Python 実現ガイド: 別ページ »で説明
- 行列計算の Python 実現ガイド: 別ページ »で説明
- 統計分析の Python 実現ガイド: 別ページ »で説明
- 音声信号処理の Python 実現ガイド: 別ページ »で説明
- カラー画像処理の Python 実現ガイド: 別ページ »で説明
- Python 言語によるとても簡単なアドベンチャーゲーム(変数、式、if、while、関数、print、time.sleep、def、globalを使用): 別ページ »で説明
- Pythonプログラミング講座:基礎から応用まで(授業資料、全15回): 別ページ »で説明
- Pythonプログラミングの例と実践ガイド: 別ページ »で説明
【外部リソース】
- Pythonの公式サイト: https://www.python.org
- 東京大学の「Pythonプログラミング入門」: https://utokyo-ipp.github.io/IPP_textbook.pdf
- ITmedia社の「Pythonチートシート」の記事: https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2004/20/news015.html
1. 目標と全体像
目標
本ガイドの目標は、自身のパソコンでAIプログラミングの実行と実験が可能な環境を構築することである。本ガイドを完了すると、さまざまなAIプログラムを動作させたり、ソースコードの確認や修正ができる環境が整う。
Pythonの役割
PythonはAIプログラミングにおいて広く利用されているプログラミング言語である。機械学習やディープラーニングのライブラリが豊富であり、初学者にも扱いやすいという特徴がある。
AIプログラミングにおける開発環境の全体像
本ガイドでは以下のソフトウェアをインストールする。
開発環境とビルドツール
| ソフトウェア | 説明 | 用途 |
|---|---|---|
| Python 3.12 | 汎用プログラミング言語。3.12では型ヒント(変数や引数の型を明示する記法)の強化、インタープリタの最適化、サブインタープリタ(独立したPython実行環境)による並列処理の基盤を導入。 | AI開発、データ解析、Web開発 |
| VS Build Tools | MSVC(Microsoft Visual C++コンパイラ)、リンカ、Windows SDKを含む。C/C++のビルドやPython拡張ライブラリのコンパイルに使用する。 | C/C++ビルド |
| Rust | システムプログラミング言語。所有権システム(メモリ管理機構)によりメモリ安全性をコンパイル時に保証する。VS Build Toolsが必要。 | システム開発、高速化 |
| Git | 分散型バージョン管理システム(ソースコードの変更履歴を管理するツール)。変更履歴をDAG(有向非巡回グラフ:履歴の分岐と統合を表現するデータ構造)として管理し、共同開発を支援する。 | ソースコード管理 |
| CMake | クロスプラットフォームのビルド自動化ツール。定義ファイルからOSやコンパイラに応じたビルド構成を生成する。 | ビルド構成の自動生成 |
| 7-Zip | 圧縮・解凍ツール。LZMA/LZMA2(高圧縮アルゴリズム)による.7z形式のほか、tar.gz等のUnix系形式にも対応する。 | ファイル圧縮・解凍 |
| CUDA | NVIDIA GPU用の並列計算基盤。GPUをGPGPU(汎用GPU計算:グラフィックス処理以外の計算にGPUを利用する技術)として活用し、行列演算などを高速に処理する。 | GPU並列計算 |
| PyTorch | pipでインストール。Metaが開発した機械学習フレームワーク。動的計算グラフ(実行時にグラフを構築する方式)による柔軟な記述ができる。 | 機械学習モデル開発 |
| Windsurf | AI機能を統合したエージェント型IDE(AIが主体的にタスクを遂行する開発環境)。コード生成や修正をAIが自律的に実行する。 | AI駆動開発 |
| Visual Studio Code | LSP(Language Server Protocol:言語サーバー規格、エディタと言語解析機能を分離する仕組み)対応のコードエディタ。拡張機能により各種言語の開発環境として使用できる。 | コード編集 |
| Cline | VS Code拡張機能。AIによるファイル操作、ターミナル実行、複数ファイルの編集ができる。MCP(Model Context Protocol:AIと外部ツールの連携規格)に対応。 | AI駆動開発 |
| GitHub Copilot Free | AIによるコード補完ツール。既存のコードを基に、関数の実装や次の行を予測して提示する。 | コード補完 |
| JupyterLab | pipでインストール。対話的プログラミング環境。コードと実行結果を一つのノートブックに記録しながら分析できる。 | 対話的データ分析 |
実行前の確認事項
- ディスク空き容量が20GB以上あることを確認する
2. AIエディタのメリットと注意事項
AIエディタは次の機能を備えており、Pythonやその他のプログラミング言語の開発に使用されている。
AIエディタの機能:
- コード生成支援:自然言語での指示からPythonコードを生成
- エラー検出支援:構文エラーの検出と修正提案
- コード改善提案:既存コードの改善案を提示
- 学習支援:プログラミング概念の説明とコーディング例の提示
- デバッグ支援:エラーの可能性のある箇所の指摘と対処法の提案
注意事項:
AIエディタは開発を支援するツールであり、コード生成や修正提案が正確でない場合がある。生成されたコードや提案内容は理解し検証してから使用し、最終的な判断は開発者自身が行うものである。
3. ここで紹介する2つのAIエディタ
以下の2つのエディタは基本機能を無料で利用でき、Python開発に適している。AI支援機能には有料プランが必要な場合がある。他にもJetBrains製品やVim系エディタなど他の選択肢が存在する。
1. Windsurf
Codeium社開発のAI統合IDE(統合開発環境:プログラムの編集、実行、デバッグを一つのソフトウェアで行える環境)。開発者の指示に基づきAIがコードを編集する機能(Cascade)を搭載する。
2. Visual Studio Code + AI拡張
マイクロソフト製エディタ。GitHub Copilot拡張機能でAI支援機能を追加できる。
4. 開発環境とビルドツールのインストール
重要:以下のすべてのインストール作業は、管理者権限でコマンドプロンプトを起動して実行する。
管理者権限でのコマンドプロンプト起動手順:
- Windowsキーまたはスタートメニュー →
cmdと入力 → 右クリック → 「管理者として実行」
管理者権限が必要な理由:wingetの--scope machineオプションでシステム全体(すべてのユーザーが利用できる領域)にソフトウェアをインストールするため。
Pythonのインストール
以下のコマンドを実行する。
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM パス長制限の解除
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled /t REG_DWORD /d 1 /f
reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem" /v LongPathsEnabled
REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
if exist "%PYTHON_PATH%" setx PYTHON_PATH "%PYTHON_PATH%" /M >nul
if exist "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" setx PYTHON_SCRIPTS_PATH "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PYTHON_PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%;%SYSTEM_PATH%" /M >nul
上記のコマンドでは、Pythonのインストールに加えて、Windowsのパス長制限を解除している。Windowsの既定ではファイルパス(ファイルやフォルダの場所を示す文字列)が260文字に制限されているが、AIプロジェクトでは深い階層のディレクトリ構造を持つことがあるため、この制限を解除することで問題を回避できる。
また、環境変数PATH(Windowsがプログラムを探す場所のリスト)にPythonのディレクトリを追加することで、コマンドプロンプトからpythonコマンドを実行できるようにしている。
【関連する外部ページ】
Python の公式ページ: https://www.python.org/
Visual Studio 2022 Build Toolsとランタイムのインストール
以下のコマンドを実行する。
REM Visual Studio 2022 Build Toolsとランタイムをシステム領域にインストール
winget install --scope machine --wait --accept-source-agreements --accept-package-agreements Microsoft.VisualStudio.2022.BuildTools Microsoft.VCRedist.2015+.x64
REM インストーラーとインストールパスの設定
set "VS_INSTALLER=C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\vs_installer.exe"
set "VS_PATH=C:\Program Files\Microsoft Visual Studio\2022\BuildTools"
REM C++開発ワークロードのインストール
"%VS_INSTALLER%" modify --installPath "%VS_PATH%" --add Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools --includeRecommended --quiet --norestart
"%VS_INSTALLER%" modify --installPath "%VS_PATH%" --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 --includeRecommended --quiet --norestart
上記のコマンドでは、Visual Studio 2022 Build Toolsのインストールに加えて、C++開発ワークロード(VCTools:C++コンパイラとビルドツールのセット)、x64用C++コンパイラ、Windows 11 SDK(Windows API開発キット)を追加している。これらはPythonパッケージ(特にC/C++で書かれた拡張モジュール)のビルド時に必要となる場合がある。
Rust のインストール
以下のコマンドを実行する。
REM Rust をシステム全体にインストール
curl -o rustup-init.exe https://static.rust-lang.org/rustup/dist/x86_64-pc-windows-msvc/rustup-init.exe
set "RUSTUP_HOME=C:\Rust\rustup"
set "CARGO_HOME=C:\Rust\cargo"
setx RUSTUP_HOME "%RUSTUP_HOME%" /M
setx CARGO_HOME "%CARGO_HOME%" /M
rustup-init.exe -y
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
setx PATH "%CARGO_HOME%\bin;%SYSTEM_PATH%" /M
del rustup-init.exe
上記のコマンドでは、Rustのインストールに加えて、環境変数RUSTUP_HOMEとCARGO_HOMEをシステム全体で共有するディレクトリ(C:\Rust配下)に設定している。これにより、すべてのユーザーがRustツールチェーン(Rustコンパイラとパッケージマネージャーのセット)を利用できる。
Gitのインストール
以下のコマンドを実行する。
REM Git をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM Git のパス設定
set "GIT_PATH=C:\Program Files\Git\cmd"
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
if exist "%GIT_PATH%" (
echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%GIT_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%GIT_PATH%;%SYSTEM_PATH%" /M >nul
)
上記のコマンドでは、Gitのインストールに加えて、システム環境変数PATHにGitのコマンドパスを追加している。これにより、コマンドプロンプトから直接gitコマンドを実行できる。
CMakeのインストール
以下のコマンドを実行する。
REM CMakeをシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Kitware.CMake -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM CMakeのパス設定
set "CMAKE_PATH=C:\Program Files\CMake\bin"
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
if exist "%CMAKE_PATH%" (
echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%CMAKE_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%CMAKE_PATH%;%SYSTEM_PATH%" /M >nul
)
上記のコマンドでは、CMakeのインストールに加えて、システム環境変数PATHにCMakeのコマンドパスを追加している。CMakeは、多くのC/C++プロジェクトのビルドに使用されるビルドシステムジェネレータ(ビルド手順を自動生成するツール)である。
7-Zipのインストール
以下のコマンドを実行する。
REM 7-Zip をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id 7zip.7zip -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM 7-Zip のパス設定
set "SEVENZIP_PATH=C:\Program Files\7-Zip"
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
if exist "%SEVENZIP_PATH%" (
echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%SEVENZIP_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%SEVENZIP_PATH%;%SYSTEM_PATH%" /M >nul
)
上記のコマンドでは、7-Zipのインストールに加えて、システム環境変数PATHに7-Zipのコマンドパスを追加している。これにより、コマンドプロンプトから7zコマンドで圧縮・展開操作を実行できる。
CUDA 12.6、PyTorchのインストール
AIプログラムのGPU実行に必要なCUDAとPyTorchをインストールする。NVIDIA製GPUを搭載している場合は、これらをインストールすることでGPUを使用した高速な機械学習計算が可能になる。
以下のコマンドを実行する。
REM CUDAをシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Nvidia.CUDA --version 12.6 -e --silent --accept-package-agreements --accept-source-agreements
winget install --scope machine --id Microsoft.VCRedist.2015+.x64 -e --silent --accept-package-agreements --accept-source-agreements
REM CUDA のパス設定
set "CUDA_PATH=C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.6"
set "CUDNN_PATH=C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.6"
if exist "%CUDA_PATH%" setx CUDA_PATH "%CUDA_PATH%" /M >nul
if exist "%CUDNN_PATH%" setx CUDNN_PATH "%CUDNN_PATH%" /M >nul
for /f "skip=2 tokens=2*" %a in ('reg query "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Environment" /v Path') do set "SYSTEM_PATH=%b"
if exist "%CUDA_PATH%\bin" (
echo "%SYSTEM_PATH%" | find /i "%CUDA_PATH%\bin" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%CUDA_PATH%\bin;%SYSTEM_PATH%" /M >nul
)
REM 環境変数TEMP, TMPの設定
mkdir C:\TEMP
set "TEMP_PATH=C:\TEMP"
setx TEMP "%TEMP_PATH%" /M >nul
setx TMP "%TEMP_PATH%" /M >nul
REM PyTorch をインストール
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
"%PYTHON_PATH%\Scripts\pip" install -U torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu126
上記のコマンドでは、CUDAのインストールに加えて、環境変数CUDA_PATHとCUDNN_PATHを設定し、CUDAのbinディレクトリをシステムPATHに追加している。これにより、nvccコマンド(CUDAコンパイラ)やCUDAランタイムライブラリが利用可能になる。
また、環境変数TEMPとTMPをC:\TEMPに設定している。これは、一部のAIライブラリがビルド時に長いパスを生成するため、短いパスの一時ディレクトリを使用することでパス長制限の問題を回避するためである。
5. インストール後の動作確認
重要:動作確認は、新しくコマンドプロンプトを開いて実行する。インストール前に開いていたコマンドプロンプトでは、環境変数の変更が反映されない。
Python 3.12の動作確認
新しくコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行してPythonのバージョンを確認する。
python --version
「Python 3.12.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
Gitの動作確認
以下のコマンドを実行してGitのバージョンを確認する。
git --version
「git version x.x.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
CUDA 12.6の動作確認
以下のコマンドを実行してCUDAのバージョンを確認する。
nvcc --version
「Cuda compilation tools, release 12.6」と表示されれば正常にインストールが完了している。
PyTorchの動作確認
以下のコマンドを実行してPyTorchバージョン、CUDAの動作、GPU数を確認する。
python -c "import torch; print(torch.__version__)"
python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"
python -c "import torch; print(torch.cuda.device_count())"
NVIDIA製GPUを搭載している場合、torch.cuda.is_available()はTrueを返し、torch.cuda.device_count()はGPUの数(1以上)を返す。以下はGPUを搭載していないパソコンでの実行結果であり、torch.cuda.is_available()はFalse、torch.cuda.device_count()は0を返す。
Rustの動作確認
以下のコマンドを実行してRustのバージョンを確認する。
rustc --version
「rustc x.x.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
6. エディタと開発環境のインストール
Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタを使用できる。
JupyterLab のインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行して、JupyterLabをインストールする。
REM JupyterLab をインストール
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
"%PYTHON_PATH%\Scripts\pip" install -U jupyterlab
AI エディタ Windsurf のインストール
Pythonプログラムの編集・実行には、AI エディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行して、Windsurfをシステム全体にインストールする。
REM Windsurf をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
if exist "C:\Program Files\Windsurf\bin" "C:\Program Files\Windsurf\bin\windsurf" --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
上記のコマンドでは、Windsurfのインストールに加えて、日本語言語パック(MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja)を自動的にインストールしている。
【関連する外部ページ】
Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
Visual Studio Code、Cline、GitHub Copilot のインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行して、Visual Studio Codeをシステム全体にインストールする。
REM Microsoft VS Code をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM VS Code 拡張機能のインストール(Python環境、日本語化、Cline、GitHub Copilot)
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" cd "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin"
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension ms-python.python
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension ms-python.vscode-pylance
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension dongli.python-preview
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension saoudrizwan.claude-dev
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension GitHub.copilot
上記のコマンドでは、Visual Studio Codeのインストールに加えて、以下の拡張機能を自動的にインストールしている。
- ms-python.python:Python言語サポート(構文ハイライト、デバッグ機能等)
- ms-python.vscode-pylance:Python用の高機能な言語サーバー(コード補完、型チェック等)
- MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja:日本語言語パック
- dongli.python-preview:Pythonコードの実行結果プレビュー
- saoudrizwan.claude-dev:Cline(AI駆動開発支援)
- GitHub.copilot:GitHub Copilot(AIコード補完)
【関連する外部ページ】
Visual Studio Code の公式ページ: https://code.visualstudio.com/
7. 導入後の設定と使い始め
7.1 Windsurf の設定と基本操作
Windsurfは、AI補完機能(Tab)とAIチャット機能(Cascade)を統合したエディタである。
初期設定
- スタートメニューからWindsurfを起動する
- アカウント登録は任意である。登録なしでもAI補完機能は利用できる
- Python実行環境の確認:Terminal(ターミナル:コマンド入力画面)を開き、
python --versionを実行する
- Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+Pを押し、「Python: Select Interpreter」を選択する。システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認する(選択されていなければ変更する)
Windsurf のAIコード補完機能(Autocomplete)の使い方
WindsurfのAIコード補完は、Windsurf独自のモデル(社内で開発された専用モデル)がカーソル位置の文脈、変数の型、プロジェクト全体の構造を解析し、次に記述すべきコードを推論・提示する機能である。
基本動作:
入力を開始すると、AIが推論したコードが灰色の文字(ゴーストテキスト)としてエディタ上に表示される。
キー操作一覧(ショートカット、VS Code版):
| 操作 | Windows / Linux | 説明 |
|---|---|---|
| 補完を受け入れる | Tab | 提案されたゴーストテキスト全体(複数行含む)を確定し、挿入する。 |
| 補完を拒否する | Esc | 現在の提案をキャンセルし、ゴーストテキストを消去する。 |
| 次/前の候補を表示 | Alt + ] / [ | AIが複数の実装パターンを提案している場合、候補を切り替える。 |
| 補完の手動トリガー | Alt + \ | 自動で提案が出ない場合に、強制的にAI補完を呼び出す。 |
実践例:
Pythonにおけるリスト操作関数の実装例である。コメントを記述することで、AIに意図を伝え、精度の高い補完を得ることができる。
# 数値リストを受け取り、その平均値を計算する関数
# 例外処理:リストが空の場合は0を返す
def calculate_average(numbers):
if not numbers:
return 0
return sum(numbers) / len(numbers)
上の2行のコメントを入れ、「def」まで入力すると、残りをAIが補完する。
Cascade(AIチャット機能)の使い方
Cascadeは、AIと対話しながら複数ファイルの作成・編集、コードの説明、エラー修正などを行う機能である。無料プランでは利用回数に制限がある。
起動方法:
- Windows/Linux:Ctrl+L
モード:
- Codeモード:複数ファイルの作成・編集が可能。AIが実際にファイルを変更する
- Askモード:コードの説明や質問応答。ファイルは変更しない
実践例:
- Ctrl+L(または Cmd+L)でCascadeを起動する
- Codeモードを選択する
- 例えば、「バグをすべて解決して」と入力する
バグの発見と解決、コメントの追加、説明文の作成、機能の追加や変更、コード内の無駄の削除などを依頼できる。
- AIがファイルを解析し、変更案を提示する
- 変更内容を確認して承認する(承認する場合には、「Accept」をクリック)
7.2 Visual Studio Code + Cline の設定と使い方
Clineは、AIが自律的に複数ファイルの編集、ターミナルコマンド実行、ブラウザ操作を行うVS Code拡張機能である。インライン補完機能は提供しない。
初期設定
- スタートメニューからVS Codeを起動する
- Cline拡張機能がインストールされていることを確認する(サイドバーのClineアイコンで確認)
- APIキーの設定(必須):
- ClineアイコンをクリックしてClineパネルを開く
- 「Settings」をクリックする
- 使用するAIモデル(Claude、GPT等)の種類、APIキーを設定する
- 重要:APIキーは各AIサービスからの取得が必要である。無料プランでは利用回数に制限がある
AIの効果を実感できる機能:複数ファイルの一括編集
Clineは、複数のファイルを同時に解析し、一貫性のある変更を自動的に適用できる。
実践例:
- Ctrl+Shift+Pを押し、「Cline: Open」を選択してClineパネルを開く
- 例えば、「バグをすべて解決して」と入力する
バグの発見と解決、コメントの追加、説明文の作成、機能の追加や変更、コード内の無駄の削除などを依頼できる。
「プロジェクト内のすべてのコードについて、バグをすべて解決して」のようにも指示できる。
- Clineがファイルを自動解析し、変更案を提示する
- 変更内容を確認して承認すると、ファイルが更新される
7.3 Visual Studio Code + GitHub Copilot の設定と使い方
GitHub Copilotは、コード入力中にAIが自動的に補完を提示するインライン補完ツールである。複数ファイルの一括編集機能は提供しない。
初期設定
- スタートメニューからVS Codeを起動する
- GitHub Copilot拡張機能がインストールされていることを確認する
- GitHubアカウントでサインイン(必須):
- VS Code右下のステータスバーにあるGitHub Copilotアイコンをクリックする
- 「Use AI Feature」をクリックする
- サインイン方法を選択する
- ブラウザが開き、GitHubアカウントでの認証を求められる
- 認証完了後、VS Codeに戻る
- VS Codeを再起動すると、GitHub Copilotが有効になる
- 無料プラン(GitHub Copilot Free)では利用回数に制限がある
これらのAIエディタと拡張機能により、Python開発を効率化する環境が構築される。各ツールの特性を理解し、用途に応じて使い分けることを推奨する。
8. 次のステップ
パッケージ管理ツール pip の活用
pip(Pythonに標準搭載されているパッケージ管理ツール)を使用すると、他の開発者が作成した便利な機能(ライブラリ)を簡単に追加できる。例えば、データ分析、画像処理、Webアプリケーション開発など、さまざまな分野の専門的な機能を利用できるようになる。
【サイト内の関連ページ】
- AIプログラミング実践ガイド:環境構築から探求へ
【概要】第1章では、Windows環境にPython、GPU計算基盤、AIエディタを導入し、開発環境を構築する。第2章では、構築した環境でAIプログラムを実行し、パラメータ変更による効果を観察する探求手法を学ぶ。たとえば学習率を0.1から0.01や0.5に変更し、損失の収束過程がどう変化するかをグラフで確認する。仮説を立て、プログラムを実行し、結果を観察するサイクルを通じて、AIの動作原理を体験的に理解できる。第3章では、探求を研究に発展させる方法を扱う。探求対象の特定、仮説立案、結果観察、記録整理という4つのステップを学び、予想外の結果からも知見を得る柔軟な思考を身につける。さらに、再現性の確保や研究倫理の遵守といった、研究者としての基本も習得する。