Windows AI支援Python開発環境構築ガイド

【概要】Windows環境でPython、Git、NVIDIA CUDA、PyTorch、AIエディタを使用した開発環境の構築手順を解説する。AI支援機能を含むPython開発環境を構築する際の実践的なセットアップガイドである。

【目次】

  1. AIエディタのメリットと注意事項
  2. ここで紹介する3つのAIエディタ
  3. Python、Git、NVIDIA CUDAのインストール
  4. Python、Git、NVIDIA CUDAの動作確認
  5. AIエディタWindsurf、Cursor、Visual Studio Codeのインストール
  6. 導入後の設定と使い始め

AIエディタのメリットと注意事項

Python 3.12、Git、NVIDIA CUDA 12.6、PyTorch、AIエディタ(Windsurf、Cursor、Visual Studio Code)の環境構築手順を説明する。Pythonプログラム開発環境の構築と、GPUを搭載している場合のGPU利用を行う。AIエディタは次のAI機能を備えたエディタであり、Pythonやその他のプログラミング言語の開発環境として重要なツールになっている。

AIエディタの機能:

注意事項:

AIエディタは開発を支援するツールであり、コード生成や修正提案には限界がある。生成されたコードや提案内容は検証し理解してから使用し、最終的な判断は開発者自身が行うものである。

ここで紹介する3つのAIエディタ

以下の3つのエディタは無料で利用でき、Python開発に使用できる。他にもJetBrains製品やVim系エディタなど多くの選択肢が存在する。

1. Windsurf

Codeium社開発のAI統合IDE。開発者とAIの協調編集機能(Cascade)を搭載する。

2. Cursor

Visual Studio Codeをベースに構築されたAI強化エディタ。複数のAIモデルを統合し、チャット機能でコード生成から説明まで幅広く対応する。

3. Visual Studio Code + AI拡張

マイクロソフト製エディタ。GitHub Copilot拡張機能でAI支援機能を追加できる。

Python、Git、NVIDIA CUDAのインストール

Python 3.12のインストール

管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー、cmdと入力、右クリック、「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。

REM Python をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent
REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_PATH%" /M >nul
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul
Pythonのインストール画面

関連する外部ページ:

Pythonの公式ページ:https://www.python.org/

Gitのインストール

管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー、cmdと入力、右クリック、「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。

REM Git をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent
REM Git のパス設定
set "GIT_PATH=C:\Program Files\Git\cmd"
if exist "%GIT_PATH%" (
    echo "%PATH%" | find /i "%GIT_PATH%" >nul
    if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%GIT_PATH%" /M >nul
)
Gitのインストール画面

CUDA 12.6、PyTorchのインストール

AIプログラムのGPU実行に必要なCUDAとPyTorchを、管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー、cmdと入力、右クリック、「管理者として実行」)し、以下を実行してインストールする。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。

REM CUDA をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Nvidia.CUDA --version 12.6 -e
REM CUDA のパス設定
set "CUDA_PATH=C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.6"
if exist "%CUDA_PATH%" setx CUDA_PATH "%CUDA_PATH%" /M >nul
if exist "%CUDA_PATH%" setx CUDNN_PATH "%CUDA_PATH%" /M >nul
REM PyTorch をシステム領域にインストール
pip install -U torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu126
CUDAとPyTorchのインストール画面

Python、Git、NVIDIA CUDAの動作確認

Python 3.12の動作確認

コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してPythonのバージョンを確認する。

python --version

「Python 3.12.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。

Pythonバージョン確認画面

Gitの動作確認

コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してGitのバージョンを確認する。

git --version

「git version x.x.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。

Gitバージョン確認画面

CUDA 12.6の動作確認

コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してCUDAのバージョンを確認する。

nvcc --version

「Cuda compilation tools, release 12.6」と表示されれば正常にインストールが完了している。

CUDAバージョン確認画面

PyTorchの動作確認

コマンドプロンプトを起動し、以下を実行してPyTorchバージョン、CUDAの動作、GPU数を確認する。

python -c "import torch; print(torch.__version__)"
python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"
python -c "import torch; print(torch.cuda.device_count())"

次はGPUを搭載していないパソコンでの実行結果である。

PyTorch動作確認画面

AIエディタWindsurf、Cursor、Visual Studio Codeのインストール

管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー、cmdと入力、右クリック、「管理者として実行」)し、以下を実行して3つのエディタをシステム全体にインストールする。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。

winget install --scope machine Codeium.Windsurf Anysphere.Cursor Microsoft.VisualStudioCode -e --silent
AIエディタのインストール画面

導入後の設定と使い始め

Windsurf

  1. スタートメニューからWindsurfを起動
  2. 初回起動時にアカウント作成またはログイン
  3. Python実行環境の確認:Terminal(ターミナル)でpython --versionを実行
Windsurf起動画面
  1. Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P、「Python: Select Interpreter」、システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
Windsurf Python設定画面
  1. 新規Pythonファイル作成:File、New File、ファイル名を入れる(例:a.py)、フォルダ(ディレクトリ)を選ぶ、Create Fileをクリック
Windsurf新規ファイル作成画面

左側のメニューで既存のファイルを開くこともできる。

  1. 作成したファイルにprint("Hello")と入力、上の実行ボタンで実行、実行結果を確認
Windsurf実行画面
  1. 主な機能確認
    • Cascadeチャット起動:Ctrl+L
    • インライン編集:Ctrl+スペース
    • デバッガー:F5
    • プログラミング言語の選択:Ctrl+K M

Cursor

  1. 初回起動時にアカウント作成またはログイン(GoogleアカウントやGitHubアカウント可)
  2. Python拡張機能のインストール:拡張機能画面でPythonを検索、「Python language support ...」をインストール
Cursor Python拡張機能インストール画面

サイドバーが表示されていない場合はCtrl+Bでサイドバーを表示する。サイドバー内のExtensions(拡張機能)のボタンをクリックして拡張機能画面を表示する。

  1. Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P、「Python: Select Interpreter」、システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
Cursor Python設定画面
  1. 新規Pythonファイル作成:File、New Text File、File、Save As、ファイル名を入れる(例:a.py)
Cursor新規ファイル作成画面
  1. 作成したファイルにprint("Hello")と入力、上の実行ボタンで実行、実行結果を確認
Cursor実行画面
  1. AI機能の基本操作:
    • AIチャット起動:Ctrl+L
    • インライン編集:Ctrl+K
    • デバッガー:F5

Visual Studio Code

  1. スタートメニューからVS Codeを起動
  2. Python拡張機能のインストール:拡張機能画面でPythonを検索、「Python language support ...」をインストール
VS Code Python拡張機能インストール画面

サイドバー内のExtensions(拡張機能)のボタンをクリックして拡張機能画面を表示する。

  1. GitHub Copilot拡張機能インストール(必要に応じて)
  2. Python実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P、「Python: Select Interpreter」、システムにインストールされたPython 3.12が選択されていることを確認(選択されていなければ変更)
VS Code Python設定画面
  1. 新規Pythonファイル作成:File、New File、ファイル名を入れる(例:a.py)、フォルダ(ディレクトリ)を選ぶ、Create Fileをクリック
VS Code新規ファイル作成画面
  1. 作成したファイルにprint("Hello")と入力、上の実行ボタンで実行、実行結果を確認
VS Code実行画面
  1. AI機能の基本操作:
    • Copilot Chat起動:Ctrl+Alt+I
    • インラインチャット:Ctrl+I
    • デバッガー:F5
    • プログラミング言語の選択:Ctrl+K M

これらのAIエディタにより、Python学習の支援と開発作業の効率化を行う環境が構築される。