Windows ローカル AI エディタ活用ガイド(Windsurf・VS Code・JupyterLab)
【概要】本ガイドでは、Windows 環境で AI プログラミングを行うための AI エディタを導入し、使い方を学ぶ。AI エディタには、AI が自律的にファイル編集を行うエージェント型の Windsurf と、Cline 拡張を導入した Visual Studio Code、対話的開発環境の JupyterLab を扱う。Cline は登録不要・無料で安全に使えるローカル AI(Ollama)に接続して動作させる。AI によるコード生成支援を活用した開発が可能になる。各ソフトウェアのインストールとパスの設定は、コマンドラインから一括で実行できる。
【本ガイドの前提と方針】
- 対象 OS と前提ツール:Windows 11。winget(Windows パッケージマネージャ)およびインターネット接続が必要である。
- 対象ハードウェアと GPU の有無による分岐:本ガイドは NVIDIA GPU 搭載 PC を主対象とする。GPU 非搭載 PC でも本ガイドは進められるが、その場合は CUDA Toolkit のインストールをスキップし、PyTorch は CPU 版を導入する(後述の「PyTorch のインストール」節で
CUDA_TAG=cpuに置き換える方法を示す)。 - NVIDIA ドライバの事前確認:CUDA をインストールする前に、コマンドプロンプトで
nvidia-smiを実行し、NVIDIA ドライバの存在とバージョンを確認する。コマンドが認識されない場合は NVIDIA の公式サイトから最新ドライバを導入する。 - インストール順序の意図:Build Tools(C/C++ ビルド基盤)→ CUDA(GPU 計算基盤、ビルドツールに依存)→ PyTorch(CUDA に依存)の順で導入する。各ソフトウェアが下層の機能に依存しているため、この順序を守る。
- 管理者権限と
--scope machineの方針:本ガイドではすべてのソフトウェアをシステム全体(全ユーザ向け)にインストールする。これは教育機関や研究室の共用 PC でも利用しやすくするためである。したがって、本ガイドのすべてのインストール作業は、管理者権限で起動したコマンドプロンプトで実行する。各節では「管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する」とのみ記載する。 - 必要ディスク容量の目安:合計 40GB 以上。内訳は Build Tools が約 6〜10GB、CUDA Toolkit が約 3GB、Python とその他ツールが約 2GB、PyTorch および依存ライブラリが約 5GB、Ollama とモデル群が約 12GB 以上である。
- AI エディタ・AI 補完利用上の注意(学習者・技術者向け):
- 機密情報、個人情報、成績評価対象のコード等を送信する前に、各 AI サービスの利用規約とデータ取扱いポリシーを確認すること。なお、本ガイドの Cline は Ollama によるローカル AI に接続するため、コードが外部に送信されない。
- AI が生成したコードの動作と妥当性は、必ず自分自身で読解・検証してから使用すること。
【目次】
- 重要概念
- 目標と全体像
- AI エディタの機能と注意事項
- ここで紹介する 3 つの AI エディタ
- 開発環境とビルドツールのインストール
- Ollama・モデル・Open WebUI のインストール
- インストール後の動作確認
- AI エディタのインストール
- 導入後の設定と使い始め
- 次のステップ
【外部リソース】
- Python の公式サイト: https://www.python.org
- Ollama の公式サイト: https://ollama.com/
- Cline の公式ページ: https://cline.bot/
- Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
- Visual Studio Code の公式ページ: https://code.visualstudio.com/
重要概念
- AI エディタ: AI 機能を統合したコードエディタおよび IDE(統合開発環境)の総称。コード補完、コード生成、エラー修正提案、対話による開発支援等の機能を持つ。本ガイドでは、AI が自律的にファイル編集を行うエージェント型の Windsurf、Cline 拡張を導入した Visual Studio Code、対話的開発環境の JupyterLab の 3 種類を扱う。
- Cline: Visual Studio Code の拡張機能。AI によるファイル操作、ターミナル実行、複数ファイルの編集ができるエージェント型ツールである。接続先の AI モデルを設定でき、本ガイドでは Ollama によるローカル AI に接続する。
- Ollama: ローカル AI モデルの実行基盤。PC 上でモデルを動かし、ローカル API(
http://localhost:11434)として提供する。アカウント登録や API キーが不要であり、コードやデータが外部に送信されない。 - ビルドツール: ソースコードを実行可能な形式に変換するツール群(VS Build Tools 等)。Python 開発では、C/C++ で書かれた拡張ライブラリのコンパイル等に使用する。
- GPU 計算基盤 (CUDA): NVIDIA GPU 用の並列計算基盤。GPU を GPGPU(汎用 GPU 計算:グラフィックス処理以外の計算に GPU を利用する技術)として活用し、行列演算等を高速に処理する。
- 環境変数 PATH: Windows がプログラムを探索するディレクトリのリスト。ここに Python や Git 等のディレクトリを追加することで、コマンドプロンプトから直接コマンドを実行できる。
目標と全体像
目標
本ガイドの目標は、自身のパソコンで AI エディタを使った AI プログラミングの実行と実験が可能な環境を構築し、AI エディタを使いこなすことである。本ガイドを完了すると、AI プログラムを動作させ、AI 支援を受けながらソースコードを確認・修正できる環境が整う。
Python の役割
Python は AI プログラミングで広く利用されているプログラミング言語である。機械学習やディープラーニングのライブラリが豊富であり、初学者にも扱いやすいという特徴がある。
AI プログラミングにおける開発環境の全体像
本ガイドでは以下のソフトウェアをインストールする。
開発環境とビルドツール
| ソフトウェア | 説明 | 用途 |
|---|---|---|
| Python 3.12 | 汎用プログラミング言語。3.12 では型ヒント(変数や引数の型を明示する記法)の強化、インタープリタの最適化、サブインタープリタ(独立した Python 実行環境)による並列処理の基盤を導入。 | AI 開発、データ解析、Web 開発 |
| VS Build Tools | MSVC(Microsoft Visual C++ コンパイラ)、リンカ、Windows SDK を含む。C/C++ のビルドや Python 拡張ライブラリのコンパイルに使用する。 | C/C++ ビルド |
| Git | 分散型バージョン管理システム(ソースコードの変更履歴を管理するツール)。変更履歴を DAG(有向非巡回グラフ:履歴の分岐と統合を表現するデータ構造)として管理し、共同開発を支援する。 | ソースコード管理 |
| CMake | クロスプラットフォームのビルド自動化ツール。定義ファイルから OS やコンパイラに応じたビルド構成を生成する。 | ビルド構成の自動生成 |
| NVIDIA CUDA | NVIDIA GPU 用の並列計算基盤。GPU を GPGPU(汎用 GPU 計算:グラフィックス処理以外の計算に GPU を利用する技術)として活用し、行列演算等を高速に処理する。GPU 非搭載 PC ではインストール不要。 | GPU 並列計算 |
| PyTorch | Meta が開発した機械学習フレームワーク。動的計算グラフ(実行時にグラフを構築する方式)による柔軟な記述ができる(pip でインストール)。 | 機械学習モデル開発 |
| Ollama | ローカル AI モデルの実行基盤。PC 上でモデルを動かし、ローカル API として提供する。登録・API キー不要で安全に利用できる。 | ローカル AI 実行 |
| Windsurf | AI 機能を統合したエージェント型 IDE(AI が主体的にタスクを遂行する開発環境)。コード生成や修正を AI が自律的に実行する。 | AI 駆動開発 |
| Visual Studio Code | LSP(Language Server Protocol:言語サーバ規格、エディタと言語解析機能を分離する仕組み)対応のコードエディタ。拡張機能により各種言語の開発環境として使用できる。 | コード編集 |
| Cline | VS Code 拡張機能。AI によるファイル操作、ターミナル実行、複数ファイルの編集ができる。本ガイドでは Ollama によるローカル AI に接続する。 | AI 駆動開発 |
| JupyterLab | 対話的プログラミング環境。コードと実行結果を一つのノートブックに記録しながら分析できる(pip でインストール)。 | 対話的データ分析 |
実行前の確認事項
- ディスク空き容量が 40GB 以上あることを確認する(内訳の目安は冒頭の【本ガイドの前提と方針】を参照)。
- NVIDIA GPU 搭載 PC の場合:コマンドプロンプトで
nvidia-smiを実行し、NVIDIA ドライバが導入済みであることを確認する。コマンドが認識されない場合は、NVIDIA 公式サイトから最新ドライバを導入してから本ガイドを進める。 - GPU 非搭載 PC の場合:CUDA Toolkit のインストール節をスキップし、PyTorch は CPU 版を導入する(後述)。
AI エディタの機能と注意事項
AI エディタは次の機能を備えており、Python やその他のプログラミング言語の開発に使用されている。
AI エディタの機能:
- コード生成支援:自然言語での指示から Python コードを生成
- エラー検出支援:構文エラーの検出と修正提案
- コード改善提案:既存コードの改善案の提示
- 学習支援:プログラミング概念の説明とコーディング例の提示
- デバッグ支援:エラーの可能性のある箇所の指摘と対処法の提案
注意事項:
AI エディタは開発を支援するツールであり、コード生成や修正提案が正確でない場合がある。生成されたコードや提案内容は理解し検証してから使用し、最終的な判断は開発者自身が行うものである。授業課題や研究での利用可否については、担当教員・指導教員の指示に従うこと。
ここで紹介する 3 つの AI エディタ
本ガイドでは、以下の 3 つの AI エディタを扱う。いずれも基本機能を無料で利用でき、Python 開発に適している。Cline は Ollama によるローカル AI に接続するため、登録不要・無料で、コードを外部に送信せずに利用できる。なお、他に JetBrains 製品や Vim 系エディタ等の選択肢も存在する。
1. Windsurf
AI 統合 IDE(統合開発環境:プログラムの編集、実行、デバッグを一つのソフトウェアで行える環境)。開発者の指示に基づき AI がコードを編集する機能(Cascade)を搭載する。AI が自律的に複数ファイルを編集するエージェント型の利用に向く。
2. Visual Studio Code + Cline
マイクロソフト製エディタに、Cline 拡張機能で AI 支援機能を追加した構成。Cline はエージェント型で、AI がファイル操作・ターミナル実行・複数ファイルの編集を行う。本ガイドでは Cline を Ollama によるローカル AI に接続し、登録不要・無料で安全に利用する。
3. JupyterLab
Web ブラウザ上で動作する対話的開発環境。「セル」と呼ばれるブロック単位でコードを書き、実行するとその結果(数値、表、グラフ等)がすぐ下に表示される。データ分析、アルゴリズムの検証、学習過程や結果の可視化に向く。
Python 3.12 のインストール
本章では、Python のインストール を行い、Python のプログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows 搭載パソコンである。金子研究室では、Python 3.12.10 を推奨する。
[Windows での Python 3.12 のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 3.12 のインストール
以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする.Python がインストール済みの場合,この手順は不要である.
方法 1:winget によるインストール
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
--scope machine を指定することで,システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる.このオプションの実行には管理者権限が必要である.インストール完了後,コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される.
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""
REM Python と Scripts を PATH 先頭に追加
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\") -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$s;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$p;$s;$c\",'Machine')}"
方法 2:インストーラーによるインストール
- Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし,「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする.
- ダウンロードしたインストーラーを実行する.
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する.このチェックを入れ忘れると,コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない. - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ,「Install」をクリックする.
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する.
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である.「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は,インストールが正常に完了していない.
以降の章では、必要に応じて題材に応じた必要なソフトウェアを追加する。
Build Tools・CUDA Toolkit・PyTorch のインストール
本章では、C++ ビルドツール、NVIDIA CUDA Toolkit、PyTorch のインストールを行い、GPU を活用した機械学習プログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows 搭載パソコンである。
[Build Tools・CUDA Toolkit・PyTorch のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Build Tools for Visual Studio 2026 のインストール
Build Tools for Visual Studio 2026 は、C++ ソースコードを Windows 用バイナリにコンパイルするための開発ツール群である。unsloth 等の一部 Python パッケージは、インストール時に C++ コードのビルドを必要とするため、これらのツールが必須となる。
以下のコマンドは、Build Tools が未インストールの場合は winget で新規インストールし、インストール済みの場合は setup.exe modify でコンポーネントを追加する(バージョンは変更しない)。
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
REM VC++ ランタイム
winget install --scope machine --id Microsoft.VCRedist.2015+.x64 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet /norestart"
REM ============================================================
REM Visual Studio Build Tools + Desktop development with C++
REM (VCTools、MSBuildTools、CMake連携、Clang、Windows 11 SDK)
REM ============================================================
REM 進行中のインストーラーを停止(ロック競合回避)
taskkill /F /IM vs_setup.exe /T >nul 2>&1
taskkill /F /IM vs_installer.exe /T >nul 2>&1
taskkill /F /IM vs_installerservice.exe /T >nul 2>&1
REM 未インストール時: winget で新規インストール
REM インストール済み時: setup.exe modify でコンポーネント追加(バージョンは変更しない)
winget list --id Microsoft.VisualStudio.BuildTools 2>nul | findstr /i "BuildTools" >nul 2>&1
if %ERRORLEVEL% EQU 0 (
for /f "usebackq delims=" %P in (`"C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\vswhere.exe" -products Microsoft.VisualStudio.Product.BuildTools -property installationPath`) do start /wait "" "C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\setup.exe" modify --installPath "%P" --add Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools --add Microsoft.VisualStudio.Workload.MSBuildTools --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CMake.Project --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.Clang --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.ClangToolset --add Microsoft.VisualStudio.Component.Windows11SDK.26100 --includeRecommended --quiet --norestart --nocache
) else (
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudio.BuildTools -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "--quiet --wait --norestart --nocache --add Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools --includeRecommended --add Microsoft.VisualStudio.Workload.MSBuildTools --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CMake.Project --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.Clang --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.ClangToolset --add Microsoft.VisualStudio.Component.Windows11SDK.26100"
)
REM 破損時の修復(任意、動作がおかしくなった場合)
REM "C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\setup.exe" repair --installPath "C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\18\BuildTools" --quiet --norestart
REM 導入確認(インストールパスが表示されれば正常)
"C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\vswhere.exe" -products * -requires Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools -property installationPath
上記のコマンドでは、Build Tools 本体と Visual C++ 再頒布可能パッケージをインストールし、続いて以下のコンポーネントを追加している。
- VCTools:C++ デスクトップ開発ワークロード(
--includeRecommendedにより、MSVC コンパイラ、C++ AddressSanitizer、vcpkg、CMake ツール、Windows 11 SDK 等の推奨コンポーネントが含まれる) - MSBuildTools:MSBuild によるビルドツールのワークロード
- VC.CMake.Project:Windows 向け C++ CMake ツール
- VC.Llvm.Clang:Windows 向け C++ Clang コンパイラ
- VC.Llvm.ClangToolset:MSBuild から Clang を使用するための clang-cl ツールセット
- Windows11SDK.26100:Windows 11 SDK(ビルド 10.0.26100)
追加のコンポーネントが必要になった場合は Visual Studio Installer で個別にインストールできる。
Windows での NVIDIA CUDA Toolkit のインストール
NVIDIA CUDA Toolkit は、NVIDIA GPU 上で計算を行うためのコンパイラ・ライブラリ群である。PyTorch や vLLM 等が GPU を利用するために必要となる。GPU を使用しない場合、この手順は不要である。
前提条件:NVIDIA GPU、NVIDIA ドライバ、Build Tools for Visual Studio もしくは Visual Studio が必要である。
インストール中の注意:他のウインドウは閉じておくこと。
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
REM NVIDIA CUDA Toolkit 12.8 をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Nvidia.CUDA --version 12.8 -e --silent --disable-interactivity --force --uninstall-previous --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "-s -n"
REM 環境変数TEMP, TMPの設定(一時ファイルの保存先を短いパスに変更)
mkdir C:\TEMP
setx TEMP "C:\TEMP" /M
setx TMP "C:\TEMP" /M
環境変数 TEMP および TMP を C:\TEMP に変更しているのは、後続のインストール処理で長いパス名や空白を含むパス名がエラーの原因となる場合があるためである。
Windows での PyTorch のインストール
https://pytorch.org のインストールガイドに従い、自環境の CUDA バージョンに対応したコマンドを取得して実行する。CUDA バージョンは以下で確認できる。
nvcc --version
Python 3.12、CUDA 12.6 以上の場合は、管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、以下を実行する。cu128 は CUDA 12.8 用のタグである。CUDA バージョンが異なる場合は、上記公式サイトで該当するタグを確認し、URL 末尾の cu128 を置き換えること。GPU 非搭載 PC では、--index-url 以降を付けずに pip install --no-user -U numpy torch torchvision torchaudio を実行して CPU 版を導入する。
pip install --no-user -U numpy torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu128
以降の章では、必要に応じて題材に応じた必要なソフトウェアを追加する。
Ollama・モデル・Open WebUI のインストール
Ollama、3 つのモデル(LFM2.5-1.2B-Instruct、gemma4:e2b-it-qat、gemma4:12b-it-qat)、埋め込みモデル bge-m3、および Open WebUI を導入する。あわせて、本手順で使う設定(コンテキスト長 262144、KV キャッシュ q8_0、Flash Attention)を一度だけ設定する。Flash Attention は KV キャッシュの量子化に必要な高速化機能である。
ハードウェアの前提
- ディスク空き容量 20GB 以上、メモリ搭載量 16GB 以上を推奨(モデル 3 種で合計約 12GB + Open WebUI 等)。少 VRAM の GPU や CPU のみの PC でも動作するが、gemma4:12b-it-qat は時間がかかる場合がある。
- 推論時のメモリ占有は 1 モデル分(モデル切替時に Ollama が自動でアンロードおよびロードを行う)。
ハードウェア要件の事前確定は難しい。新規に PC を準備する前に、現有の機器で本手順を試行し、性能面の問題の有無を確認したうえで、本格運用のハードウェアを決定する。
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。winget の --scope machine オプションでシステム全体にインストールするには、管理者権限が必要である。実行時はコマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
REM ============================================================
REM 管理者権限チェック
net session >nul 2>&1
if errorlevel 1 ( echo [エラー] 管理者権限で実行してください & pause & exit /b 1 )
REM winget パッケージ一覧のローカルキャッシュを更新
winget source update
REM === 1. Ollama 環境変数を Machine スコープで事前設定 ===
REM インストール前に設定することで、Ollama 起動時から正しい設定が読み込まれる
powershell -NoProfile -Command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable('OLLAMA_FLASH_ATTENTION', '1', 'Machine')"
powershell -NoProfile -Command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable('OLLAMA_KV_CACHE_TYPE', 'q8_0', 'Machine')"
REM コンテキスト長:Ollama のデフォルトは 4096。
REM ここでは gemma4:12b-it-qat の上限 262144 に設定する
powershell -NoProfile -Command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable('OLLAMA_CONTEXT_LENGTH', '262144', 'Machine')"
powershell -NoProfile -Command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable('OLLAMA_MODELS', 'C:\Ollama\models', 'Machine')"
set "OLLAMA_FLASH_ATTENTION=1"
set "OLLAMA_KV_CACHE_TYPE=q8_0"
set "OLLAMA_CONTEXT_LENGTH=262144"
set "OLLAMA_MODELS=C:\Ollama\models"
REM === 2. 既存の Ollama プロセスを停止(ファイルロック解除のため) ===
taskkill /IM ollama.exe /F >nul 2>&1
taskkill /IM "ollama app.exe" /F >nul 2>&1
REM === 3. モデルフォルダの作成と権限設定 ===
if not exist "C:\Ollama\models" mkdir "C:\Ollama\models"
icacls "C:\Ollama\models" /grant *S-1-5-32-545:(OI)(CI)(M) /T /C
REM === 4. 既存モデルの移動(ユーザープロファイルに残っている場合) ===
REM Ollama 停止状態で実行するためファイルロックが起きない
if exist "%USERPROFILE%\.ollama\models" robocopy "%USERPROFILE%\.ollama\models" "C:\Ollama\models" /E /MOVE
if exist "%USERPROFILE%\.ollama\models" rd /s /q "%USERPROFILE%\.ollama\models"
REM === 5. winget パッケージ一覧のローカルキャッシュを更新 ===
winget source update
REM === 6. Ollama のインストール(Inno Setup) ===
winget uninstall --id Ollama.Ollama -e --silent --disable-interactivity --accept-source-agreements
REM uninstall 後にプロセスが残ることがあるため再度停止
taskkill /IM ollama.exe /F >nul 2>&1
taskkill /IM "ollama app.exe" /F >nul 2>&1
winget install --id Ollama.Ollama -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/DIR=C:\Ollama"
winget upgrade --id Ollama.Ollama -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/DIR=C:\Ollama"
REM === 7. Ollama のパス設定(システム PATH に未登録の場合のみ追加) ===
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Ollama'; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$c;$p\",'Machine')}"
REM Ollama のパスを現在のセッションに反映
set "PATH=C:\Ollama;%PATH%"
REM === 8. Ollama サービスの起動(モデルダウンロードの前に必要) ===
where ollama >nul 2>&1
if errorlevel 1 echo Ollama のパスが見つかりません。再起動後に再実行してください。 & exit /b 1
tasklist /fi "imagename eq ollama.exe" | find "ollama.exe" 2>&1
if errorlevel 1 start "" "C:\Ollama\ollama.exe" serve & timeout /t 10 /nobreak
REM === 9. モデルのダウンロード ===
REM 動作確認用(テキスト専用、約 731MB)。
echo LFM2.5-1.2B-Instruct モデルをダウンロード中...
ollama pull LiquidAI/lfm2.5-1.2b-instruct
REM 画像入力対応(軽量、約 4.3GB)
echo gemma4:e2b-it-qat モデルをダウンロード中...
ollama pull gemma4:e2b-it-qat
REM 画像入力対応(上位、約 7.2GB)
echo gemma4:12b-it-qat モデルをダウンロード中...
ollama pull gemma4:12b-it-qat
echo モデルダウンロード完了
REM === 10. 埋め込みモデルのダウンロード(RAG 演習で使用) ===
echo bge-m3 埋め込みモデルをダウンロード中...
ollama pull bge-m3
echo 埋め込みモデルダウンロード完了
REM === 11. Open WebUI のインストール ===
REM open-webui パッケージにより、依存パッケージ(FastAPI、ChromaDB、
REM sentence-transformers 等)が一括インストールされる
python -m pip install --no-user --upgrade pip
python -m pip install --no-user --upgrade open-webui
python -m pip uninstall -y open-webui
python -m pip install --user --upgrade open-webui
REM === 12. Git のインストール ===
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/VERYSILENT /NORESTART /NOCANCEL /SP- /CLOSEAPPLICATIONS /RESTARTAPPLICATIONS /COMPONENTS=""icons,ext\reg\shellhere,assoc,assoc_sh"" /o:PathOption=Cmd /o:CRLFOption=CRLFCommitAsIs /o:BashTerminalOption=MinTTY /o:DefaultBranchOption=main /o:EditorOption=VIM /o:SSHOption=OpenSSH /o:UseCredentialManager=Enabled /o:PerformanceTweaksFSCache=Enabled /o:EnableSymlinks=Disabled /o:EnableFSMonitor=Disabled"
REM Git のパスを現在のセッションに反映
set "PATH=C:\Program Files\Git\cmd;%PATH%"
REM === 13. スタートメニュー ショートカット作成 ===
REM gemma4:e2b-it-qat 起動ショートカット(CUI で質問・応答を行う)
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $l=$s.CreateShortcut([Environment]::GetFolderPath('CommonPrograms')+'\Ollama Gemma4 e2b.lnk'); $l.TargetPath='cmd.exe'; $l.Arguments='/k \"start cmd /k ollama serve ^& timeout /t 3 /nobreak ^>nul ^& ollama run gemma4:e2b-it-qat\"'; $l.Save()"
echo インストール完了
インストール後の動作確認
重要:動作確認は、新しくコマンドプロンプトを開いて実行する。インストール前に開いていたコマンドプロンプトでは、環境変数の変更が反映されない。
Python 3.12 の動作確認
新しくコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行して Python のバージョンを確認する。
python --version
「Python 3.12.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
Git の動作確認
以下のコマンドを実行して Git のバージョンを確認する。
git --version
「git version x.x.x」と表示されれば正常にインストールが完了している。
CUDA 12.8 の動作確認
GPU 搭載 PC のみ実施する。以下のコマンドを実行して CUDA のバージョンを確認する。
nvcc --version
「Cuda compilation tools, release 12.8」と表示されれば正常にインストールが完了している。
PyTorch の動作確認
以下のコマンドを実行して PyTorch バージョン、CUDA の動作、GPU 数を確認する。
python -c "import torch; print(torch.__version__)"
python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"
python -c "import torch; print(torch.cuda.device_count())"
NVIDIA 製 GPU を搭載している場合、torch.cuda.is_available() は True を返し、torch.cuda.device_count() は GPU の数(1 以上)を返す。GPU を搭載していないパソコンでは、torch.cuda.is_available() は False、torch.cuda.device_count() は 0 を返す。
Ollama の動作確認
以下のコマンドを実行して Ollama のバージョンと、ダウンロード済みモデルの一覧を確認する。
ollama --version
ollama list
バージョン番号が表示され、ollama list に gemma4:e2b-it-qat や LiquidAI/lfm2.5-1.2b-instruct 等のモデルが表示されれば正常である。次のコマンドで、ローカル AI に実際に質問して応答を確認できる。
ollama run gemma4:e2b-it-qat "こんにちは。あなたは何ができますか。"
コマンドが認識されない場合の確認手順
上記いずれかのコマンドが「内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません」と表示される場合、以下の順に確認する。
- 新しいコマンドプロンプトを開き直す:環境変数の変更は、変更後に新規に起動したプロセスにのみ反映される。
- PATH の内容を確認する:
echo %PATH%を実行し、対象ソフトウェア(Python、Git、CUDA、Ollama 等)のディレクトリが含まれているかを確認する。 - 実体の所在を確認する:
where python、where git、where ollama等で実行ファイルが見つかるかを確認する。見つからない場合は当該ソフトウェアのインストール自体が失敗している可能性がある。 - システム環境変数とユーザ環境変数を確認する:「設定」→「システム」→「バージョン情報」→「システムの詳細設定」→「環境変数」で、システム環境変数の PATH に対象ディレクトリが含まれていることを確認する。
AI エディタのインストール
Python プログラムの編集・実行には、AI エディタを使用できる。本節では、第 3 節で紹介した 3 つの AI エディタ(Windsurf、Visual Studio Code + Cline、JupyterLab)をインストールする。
JupyterLab のインストール(Windows 上)
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行して、JupyterLab をインストールする。
REM JupyterLab をインストール
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
"%PYTHON_PATH%\Scripts\pip" install -U jupyterlab
AI エディタ Windsurf のインストール(Windows 上)
Windsurf をインストールする。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。
winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/SP- /SUPPRESSMSGBOXES /NORESTART /CLOSEAPPLICATIONS /DIR=""C:\Program Files\Windsurf"" /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザ向け)にインストールされる。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が反映される。
Visual Studio Code と Cline のインストール(Windows 上)
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行して、Visual Studio Code をシステム全体にインストールし、関連する拡張機能(Cline を含む)を導入する。
REM Microsoft VS Code をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM VS Code 拡張機能のインストール(Python 環境、日本語化、Cline)
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" cd "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin"
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension ms-python.python
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension ms-python.vscode-pylance
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension dongli.python-preview
if exist "C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin" code --install-extension saoudrizwan.claude-dev
上記のコマンドでは、Visual Studio Code のインストールに加えて、以下の拡張機能を自動的にインストールしている。
- ms-python.python:Python 言語サポート(構文ハイライト、デバッグ機能等)
- ms-python.vscode-pylance:Python 用の言語サーバ(コード補完、型チェック等)
- MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja:日本語言語パック
- dongli.python-preview:Python コードの実行結果プレビュー
- saoudrizwan.claude-dev(Cline):AI によるファイル操作、ターミナル実行、複数ファイルの編集ができる拡張機能
導入後の設定と使い始め
7.1 Windsurf の設定と基本操作
Windsurf は、AI 補完機能(Tab)と AI チャット機能(Cascade)を統合したエディタである。AI が複数ファイルを自律的に編集するエージェント的な利用に向く。
初期設定
- スタートメニューから Windsurf を起動する
- アカウント登録は任意である。登録なしでも AI 補完機能は利用できる
- Python 実行環境の確認:Terminal(ターミナル:コマンド入力画面)を開き、
python --versionを実行する
- Python 実行環境の設定確認:Ctrl+Shift+P を押し、「Python: Select Interpreter」を選択する。システムにインストールされた Python 3.12 が選択されていることを確認する(選択されていなければ変更する)
Windsurf の AI コード補完機能(Autocomplete)の使い方
Windsurf の AI コード補完は、AI モデルがカーソル位置の文脈、変数の型、プロジェクト全体の構造を解析し、次に記述すべきコードを推論・提示する機能である。
基本動作:
入力を開始すると、AI が推論したコードが灰色の文字(ゴーストテキスト)としてエディタ上に表示される。
キー操作一覧(ショートカット、VS Code 版):
| 操作 | Windows / Linux | 説明 |
|---|---|---|
| 補完を受け入れる | Tab | 提案されたゴーストテキスト全体(複数行含む)を確定し、挿入する。 |
| 補完を拒否する | Esc | 現在の提案をキャンセルし、ゴーストテキストを消去する。 |
| 次/前の候補を表示 | Alt + ] / [ | AI が複数の実装パターンを提案している場合、候補を切り替える。 |
| 補完の手動トリガー | Alt + \ | 自動で提案が出ない場合に、AI 補完を呼び出す。 |
実践例:
Python におけるリスト操作関数の実装例である。コメントを記述することで、AI に意図を伝え、精度の高い補完を得られる。
# 数値リストを受け取り、その平均値を計算する関数
# 例外処理:リストが空の場合は0を返す
def calculate_average(numbers):
if not numbers:
return 0
return sum(numbers) / len(numbers)
上の 2 行のコメントを入れ、「def」まで入力すると、残りを AI が補完する。
Cascade(AI チャット機能)の使い方
Cascade は、AI と対話しながら複数ファイルの作成・編集、コードの説明、エラー修正等を行う機能である。無料プランでは利用回数に制限がある。
起動方法:
- Windows/Linux:Ctrl+L
モード:
- Code モード:複数ファイルの作成・編集が可能。AI が実際にファイルを変更する
- Ask モード:コードの説明や質問応答。ファイルは変更しない
実践例:
- Ctrl+L(または Cmd+L)で Cascade を起動する
- Code モードを選択する
- 例えば、「バグをすべて解決して」と入力する
バグの発見と解決、コメントの追加、説明文の作成、機能の追加や変更、コード内の冗長部分の削除等を依頼できる。
- AI がファイルを解析し、変更案を提示する
- 変更内容を確認して承認する(承認する場合には、「Accept」をクリック)
7.2 Visual Studio Code + Cline の設定と使い方
Cline は、AI がファイル操作・ターミナル実行・複数ファイルの編集を自律的に行うエージェント型の拡張機能である。本ガイドでは Cline を Ollama によるローカル AI に接続する。これにより、アカウント登録や API キーが不要で、コードを外部に送信せずに安全に利用できる。
初期設定
- スタートメニューから VS Code を起動する
- Cline 拡張機能がインストールされていることを確認する(左サイドバーに Cline のアイコンが表示される)
- Ollama が起動していることを確認する。「Ollama・モデル・Open WebUI のインストール」の手順で Ollama サービスは起動済みだが、起動していない場合は、コマンドプロンプトで
ollama serveを実行する
Cline を Ollama(ローカル AI)に接続する
登録不要・安全なローカル AI に接続するため、以下の手順で設定する。
- 左サイドバーの Cline アイコンをクリックして、Cline パネルを開く
- Cline パネル右上の設定(歯車)アイコンをクリックする
- API Provider のドロップダウンから Ollama を選択する
- Base URL に
http://localhost:11434を入力する(Ollama のローカル API のアドレスである) - Model に、ダウンロード済みのモデル名(例:
gemma4:e2b-it-qat)を入力する - 設定を保存する
以上で、Cline がローカル AI に接続される。Ollama はアカウント登録や API キーが不要であり、コードやデータが外部に送信されない。Ollama が起動していない場合は、コマンドプロンプトで ollama serve を実行する。
Cline の使い方
Cline は、開発者の指示に基づき AI が自律的にファイルを編集する。
- Cline パネルの入力欄に、行いたいことを自然言語で入力する(例:「バグをすべて解決して」)
- AI がファイルを解析し、変更案(編集内容やコマンド)を提示する
- 変更内容を確認して承認する。Cline は各ステップで承認を求めるため、内容を理解したうえで承認する
バグの発見と解決、コメントの追加、説明文の作成、機能の追加や変更、コード内の冗長部分の削除等を依頼できる。ローカル AI のモデルは、クラウドの大規模モデルに比べて性能が限られる場合がある。複雑なタスクでは、gemma4:12b-it-qat のような上位モデルに切り替えると精度が向上することがある(Model 欄のモデル名を変更する)。
7.3 JupyterLab の設定と使い方
JupyterLab は、セル単位でコードを書いて実行し、結果をその場で確認できる対話的開発環境である。データ分析や可視化に向く。
起動方法
コマンドプロンプトで以下を実行する。Web ブラウザが開き、JupyterLab の画面が表示される。
jupyter lab
基本操作
- 新しいノートブックを作成し、セルに Python コードを入力する
- Shift+Enter でセルを実行する。実行結果(数値、表、グラフ等)がセルのすぐ下に表示される
- コメント(自然言語)をセルに書くことで、AI 補完に意図を伝えられる
これらの AI エディタと拡張機能により、Python 開発の環境が構築される。各ツールの特性を理解し、用途に応じて使い分けることを推奨する。
次のステップ
パッケージ管理ツール pip の活用
pip(Python に標準搭載されているパッケージ管理ツール)を使用すると、他の開発者が作成したライブラリを追加できる。例えば、データ分析、画像処理、Web アプリケーション開発等、各分野の機能を利用できる。