Blender 5.2 における煙シミュレーションと Cycles 描画

【概要】

Blender 5.2 LTS の標準機能を用いて,煙のクイックシミュレーション(Quick Smoke)を作成し,Fluid モディファイア(流体・気体シミュレーション機能)でベイクした結果を Cycles レンダラーで描画する手順を解説する.Blender には Mantaflow(物理ベースの流体・煙シミュレーションシステム)が標準のシミュレーションエンジンとして統合されているため,追加のアドオンなしで煙の生成から Cycles による描画まで行える.

【目次】

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1. 前準備

Blenderは,3次元コンピュータグラフィックス・アニメーションソフトウェアである.3次元モデルの編集,レンダリング,光源やカメラ等の設定による3次元コンピュータグラフィックス・アニメーション作成機能がある.本ページは Blender 5.2 LTS(2026年7月公開)での操作を前提とする.

メニューの日本語化を行っておくと使いやすい.「編集(Edit)→プリファレンス(Preferences)→インターフェイス(Interface)→翻訳(Translation)」で設定できる.

2. Quick Smoke による煙シミュレーションの作成と Cycles 描画

煙のシミュレーションは Fluid モディファイアで行う.Fluid モディファイアは Domain(ドメイン:シミュレーション領域)と Flow(フロー:煙を発生させる物体)から構成される.Quick Smoke(クイック煙)機能を使うと,選択したオブジェクトが Flow に設定され,それを取り囲む Domain が自動で作られる.

  1. 3Dビューポート(3Dモデルを操作・編集する主要な表示領域)で,煙の発生源とする立体をマウスの左クリックで選択する.
    煙の発生源とする立体の選択

    上部メニューの「Object (オブジェクト)」から,「Quick Effects (クイックエフェクト)」→「Quick Smoke (クイック煙)」を選ぶ.

    Quick Smoke の選択
  2. 「Quick Smoke (クイック煙)」が設定される.選択した立体が Flow オブジェクト(Flow Type: Smoke)になり,それを取り囲む立方体状の Domain オブジェクトが作られる.
    Quick Smoke による Domain の生成
  3. 設定を確認するために,画面下部のタイムライン(時間軸)エディタにあるアニメーションの再生ボタンをクリックする.煙が表示される.
    アニメーション再生による煙の確認
  4. 煙の表示を確認したら,メニューバーから「File (ファイル)」→「Save (保存)」と操作する.
    ファイルの保存
  5. 名前を指定して保存する.

    * ベイク(シミュレーション結果を事前計算してディスクに保存する処理)の前に,プロジェクトを保存しておく必要がある.保存していない状態ではキャッシュファイルの出力先が決まらず,ベイクが正しく実行されない.

  6. 3Dビューポートで Domain オブジェクト(Quick Smoke により生成された立方体)を選択する.
  7. 画面右側のプロパティパネルで「Physics(物理演算)」タブを選ぶ.
    Physics タブの選択
  8. 「Fluid(流体)」設定で,Type が「Domain」,Domain Type が「Gas(気体)」になっていることを確認する(Quick Smoke により自動で設定されている).
  9. 「Cache(キャッシュ:シミュレーション結果の保存領域)」セクションを開き,「Type(キャッシュタイプ)」を既定の「Replay」から「Modular」に変更する.「Bake Data(ベイクデータ:シミュレーション結果のディスクへの書き出し)」ボタンが表示されるので,クリックしてシミュレーションを実行する.
    Cache タイプの変更と Bake Data の実行

    Bake Data ボタンは Cache Type が「Modular」のときに使える(既定の「Replay」では表示されない).より細かい煙が必要な場合は,Bake Data の完了後に「Noise(ノイズ:ベースシミュレーションに細部を追加する処理)」を有効にし,Bake Noise を実行する.

  10. シミュレーション処理中は,画面下部にプログレスバー(進行状況表示)が表示される.処理が終わるまで待つ.
  11. 処理が終わったら,プロパティパネルの「Render(レンダー)」タブを選び,「Render Engine(レンダーエンジン)」を「Cycles」に設定する.

    Quick Smoke により,Domain オブジェクトには Principled Volume(プリンシプルボリューム:物理ベースのボリュームシェーダ)を使ったマテリアルが設定されている.このシェーダはベイク結果に含まれる density(密度)属性を参照して煙を描画するため,マテリアルの追加設定は不要である.

  12. F12 キーを押すか,メニューから「Render(レンダー)」→「Render Image(画像をレンダリング)」を選び,煙をレンダリングする.
  13. レンダリング結果に問題がなければ,再度「File(ファイル)」→「Save(保存)」でプロジェクトを保存する.