金子邦彦研究室インストールWindows の種々のソフトウェア(インストール)OpenBLAS (BLAS, CBLAS, LAPACK, LAPACKE)のインストール(ソースコードを使用)(MSYS2 ,make を利用 )(Windows 上)

OpenBLAS (BLAS, CBLAS, LAPACK, LAPACKE)のインストール(ソースコードを使用)(MSYS2 ,make を利用 )(Windows 上)

【要約】 Windows上でOpenBLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)をインストールし,動作確認を行う手順を説明している.BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)は,行列演算,ベクトル演算の機能をもったプログラム群である.主な内容としては,GitHubからのソースコードのクローン,MSYS2環境でのビルド,システム環境変数の設定,そしてgccとVisual Studioの両方を使用した動作確認である.インストール手順の説明として,具体的なコマンドラインの操作を示し,環境変数の設定方法も説明している.動作確認では,OpenBLASとLAPACKの両方のプログラム例を使用し,gccとVisual Studio Build Toolsの両方でコンパイルと実行を行う方法を示している.各ステップでエラーチェックについても触れている.Visual Studioの入手方法についても触れている.

目次

  1. 前準備
  2. Windows で OpenBLAS のインストール(ソースコードを使用)
  3. OpenBLAS のプログラムをコンパイルし,実行する

OpenBLAS

OpenBLAS はオープンソースの BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)ライブラリである.行列演算や線形代数計算のための関数を提供する.

主な機能:行列乗算(DGEMM)などの関数,マルチスレッド対応,自動的にCPUを検出してコンパイル,

BLAS を用いたプログラムは, https://gist.github.com/xianyi/6930656 などで公開されている.

【BLAS の主な関数】

関連する外部ページ

関連項目BLAS, LAPACK

前準備

Git のインストール(Windows 上)

Gitは,分散型のバージョン管理システム.

手順

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者として実行

    コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明

    次のコマンドを実行

    次のコマンドは,Gitをインストールし,Gitパスを通すものである.

    次のコマンドでインストールされるGitは 「git for Windows」と呼ばれるものであり, Git,MinGW などから構成されている.

    winget install --scope machine Git.Git
    powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\Program Files\Git\cmd\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
    

関連する外部ページ

関連項目Git バージョン管理システム, Git の利用

OpenBLAS のインストール(Windows 上)

関連する外部ページhttps://github.com/xianyi/OpenBLAS/wiki/Installation-Guide

MSYS2 の C/C++/Fortran のインストール(Windows 上)

Windows でのMSYS2 の MINGW64 環境のインストールと,LLVM(Clang, Flang, LLD, LLDB)のインストールと,GNU ツールチェーン類 (gcc, g++, gfortran, gdb, make, ninja, ccache, svn 等) のインストール(MSYS2 を利用 ): 別ページ »で説明

OpenBLAS のインストール(Windows 上)

  1. OpenBLAS のウェブページを開く

    https://www.openblas.net/

  2. このウェブページで利用条件などを確認

    必ず、最新情報を確認すること

    [image]
  3. Windowsコマンドプロンプトを実行する.
  4. ソースコードのダウンロード
    C:
    cd %HOMEPATH%
    rmdir /s /q OpenBLAS
    git clone --recursive https://github.com/xianyi/OpenBLAS.git
    
    [image]
  5. gcc, gfortran のフルパスの確認
    where gcc
    where gfortran
    
    [image]
  6. cmake の実行

    https://github.com/xianyi/OpenBLAS/wiki/Installation-Guide の記述による

    cd %HOMEPATH%
    cd OpenBLAS
    make FC=gfortran BINARY=64
    
    [image]
  7. make の結果の確認

    エラーメッセージが出なければ OK.

    [image]
  8. インストール

    「make install」でインストール.

    make PREFIX="C:/OpenBLAS" install
    
    [image]
  9. 終了の確認

    エラーメッセージが出なければ OK.

    [image]
  10. C:\OpenBLAS の下にファイルができるので確認する
    dir C:\OpenBLAS
    dir C:\OpenBLAS\include
    dir C:\OpenBLAS\lib
    dir C:\OpenBLAS\bin
    
    [image]
  11. Windowsシステム環境変数 Path に次の値を追加することにより,パスを通す

    Windows で,コマンドプロンプト管理者として実行

    コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明

    次のコマンドを実行

    powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";C:\OpenBLAS\bin\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
    
    [image]
  12. Windowsシステム環境変数 OpenBLAS, OpenBLAS_ROOTC:\OpenBLAS を設定

    Windows で,コマンドプロンプト管理者として実行

    コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明

    次のコマンドを実行

    powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OpenBLAS\", \"C:\OpenBLAS\", \"Machine\")"
    powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OpenBLAS_ROOT\", \"C:\OpenBLAS\", \"Machine\")"
    
    [image]

OpenBLAS のプログラムをコンパイルし,実行する

https://gist.github.com/xianyi/6930656 に掲載の プログラムを利用

gcc による動作確認

Windows での確認手順と結果は次の通り

  1. Windows で,コマンドプロンプトを実行
  2. プログラムの準備

    https://gist.github.com/xianyi/6930656 に掲載の プログラムを利用. hoge.cのようなファイル名で保存.

  3. ビルドして実行
    gcc -I"C:\OpenBLAS\include" -c -o hoge.o hoge.c
    gcc -L"C:\OpenBLAS\lib" -o a.exe hoge.o -lopenblas
    .\a.exe
    
    [image]

Build Tools for Visual Studio による動作確認

https://gist.github.com/xianyi/6930656 に掲載の プログラムを利用

Windows での確認手順と結果は次の通り

  1. Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動.

    * その起動は,Windows のスタートメニューで「Visual Studio 2022」の下の「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2022」で起動する.(あるいは類似のものを探す)

    [image]

    「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」がないとき:

    C++ ビルドツール (Build Tools) のインストールを行うことで, 「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」がインストールされる.その手順は,別ページ »で説明

  2. プログラムの準備

    https://gist.github.com/xianyi/6930656 に掲載の プログラムを利用. hoge.cのようなファイル名で保存.

  3. ビルドして実行
    cl /I"C:\OpenBLAS\include" hoge.c /link /LIBPATH:"C:\OpenBLAS\lib" libopenblas.dll.a
    .\hoge.exe
    
    [image]

LAPACK のプログラムをコンパイルし,実行する

eig_lapack.c を使用

gcc による動作確認

Windows での確認手順と結果は次の通り

  1. Windows で,コマンドプロンプトを実行
  2. プログラムの準備

    eig_lapack.c を使用

  3. ビルドして実行
    gcc -I"C:\OpenBLAS\include" -c -o eig_lapack.o eig_lapack.c
    gcc -L"C:\OpenBLAS\lib" -o a.exe eig_lapack.o -lopenblas
    .\a.exe
    
    [image]

Build Tools for Visual Studio による動作確認

https://gist.github.com/xianyi/6930656 に掲載の プログラムを利用

Windows での確認手順と結果は次の通り

  1. Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動.

    * その起動は,Windows のスタートメニューで「Visual Studio 2022」の下の「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2022」で起動する.(あるいは類似のものを探す)

    [image]

    「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」がないとき:

    C++ ビルドツール (Build Tools) のインストールを行うことで, 「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」がインストールされる.その手順は,別ページ »で説明

  2. プログラムの準備

    eig_lapack.c を使用

  3. ビルドして実行
    cl /I"C:\OpenBLAS\include" eig_lapack.c /link /LIBPATH:"C:\OpenBLAS\lib" libopenblas.dll.a
    .\eig_lapack.exe
    
    [image]

【まとめ】WindowsでのOpenBLASのインストールから,gccとVisual Studioの両方での動作確認までの一連のプロセスを説明.