Python 3.10,関連パッケージ,Python 開発環境のインストール(winget を使用しないインストール)(Windows 上)
Windows での Python 3.10 のインストール,インストール後の設定,Python の各種パッケージのインストール,性能確認の手順をスクリーンショット等で説明する.
【目次】
- Python 3.10 のインストール,pip と setuptools の更新(Windows 上)
- Python に関しての情報取得
- Python 開発環境として,Jupyter Qt Console, Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook), Jupyter Lab, Nteract, spyder のインストール
- 性能の確認
【関連する外部ページ】 https://docs.python.org/ja/3/using/windows.html
Python 3.10 のインストール,pip と setuptools の更新(Windows 上)
インストールする Python のバージョンの確認
Python 3.10 の根拠:
- この記事作成 (2024年8月) 時点の Python の最新版は 3.12 であるが,必ずしも最新版がよいわけではない.
- Python 3.10 は,
TensorFlow 2.10.1 にも対応している.
【関連する外部ページ】
このことは,https://pypi.org/project/tensorflow-gpu/2.10.1/#files で確認できる.
【サイト内の関連ページ】
使用する TensorFlow と Python のバージョンの組み合わせの確認: 別ページ »で説明
【サイト内の関連ページ】
使用する TensorFlow と Python のバージョンの組み合わせの確認:
- 古い PyTorch を使う場合には,Python 3.10 よりも古いバージョンが必要な場合がある.
使用する PyTorch と Python のバージョンの組み合わせの確認: 別ページ »で説明
Python 3.10 のインストール,pip と setuptools の更新,Python 開発環境,Python コンソール(Jupyter Qt Console, Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook), Jupyter Lab, Nteract, spyder)のインストール
(1) 古いバージョンの Python のアンインストール
すでに,Python がインストール済みのとき.
ここで示すインストール手順とは異なる設定ですでに Python をインストールしていた場合は,それをそのまま使うよりも, アンインストールしておいたほうがトラブルが少ない可能性がある.
- Python をインストール済みであるかを確認.
- インストール済みのときは,Pythonをすべてアンインストールしてから,ここから先の操作を開始した方がトラブルが少ない.
- Python 関係のファイルの削除
Windows では,コマンドプロンプトを管理者として実行し, 次のコマンドを実行する.
コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明
この操作は,必ずPython をすべてアンインストールした後に行うこと.
次のコマンドは,rmdir を使用して,%APPDATA%\Python ディレクトリを再帰的に削除する.次に,"C:\Program Files" ディレクトリに移動し,Python3 で始まるディレクトリを検索し,見つかったディレクトリを再帰的に削除する.
rmdir /s /q %APPDATA%\Python cd "C:\Program Files" for /F %i in ('dir /ad /b /w Python3*') do rmdir /s /q %i
(2) Python 3.10 64 ビット版のインストール(Windows 上)
【Python のインストールでの注意点】
- Python 64-bit 版を使用してください.
- Python をシステム領域にインストールすることを推奨する.
Windowsでは,Python をユーザ領域(既定の設定)またはシステム領域にインストールできる. しかし,ユーザー名に日本語が含まれている場合,Python をユーザ領域にインストールすると問題が発生する可能性がある.システム領域にインストールすることで,ファイルパスに日本語が含まれることを避けることができ,問題を防ぐことができる.
- TensorFlow 2.10.1 の利用
TensorFlow 2.10.1 は次のPythonのバージョンと互換性がある: Python 3.10, Python 3.9, Python 3.8, Python 3.7
この互換性情報は,https://pypi.org/project/tensorflow/2.10/#files で確認できる. 注意点として, TensorFlow 2.10.1 は, Python 3.6以前のバージョン,Python 3.11以降のバージョンではサポートされていない(2024/7時点). 最新の互換性情報は変更される可能性があるため,https://pypi.org/project/tensorflow/2.10/#files などの公式ドキュメントで再確認すること.
- Windows では, Python の 3.6.A,3.7.B, 3.8.C, 3.9.D, 3.10.E のように,複数のバージョンの Python を同時にインストールできる.詳しくは,別ページ »で説明
Windows での Python 3.10 のインストール(あとのトラブルが起きにくいような手順を定めている)
- TensorFlow のインストール予定がある場合には, 次のページで,必要な Python のバージョンを確認
- Python の URL を開く
- Windows 版の Python 3.10 をダウンロード
ページの上の方にある「Downloads」をクリック. 「Downloads」の下にメニューが出るので,その中の「Windows」をクリック
- 「Stable Releases」から,Python のバージョンを選ぶ
ここでは,Python 3.10 系列の最新版を探して,選ぶ.
以下,Python 3.10.9 を選んだとして説明を続ける.他のバージョンでも以下の手順はほぼ同じである.
TensorFlow を使う予定がある場合は,https://pypi.org/project/tensorflow-gpu/#filesで,必要な Python のバージョンを確認しておく. 2024/5 時点では,TensorFlow バージョン 2.10 が動くのは,Python 3.10 または Python 3.9 または Python 3.8 または Python 3.7 (https://pypi.org/project/tensorflow/2.10/#files)
- ファイルの種類を選ぶ.
Windows の 64ビット版のインストーラをダウンロードしたいので、「Windows Installer (64-bit)」を選ぶ
- ダウンロードが始まる
- インストール時の設定
- いまダウンロードした .exe ファイルを右クリック,
右クリックメニューで「管理者として実行」を選ぶ.
-
Python ランチャーをインストールするために,「Install launcher for all users (recommended)」をチェック.
* すでに Python ランチャーをインストール済みのときは, 「Install launcher for all users (recommended)」がチェックできないようになっている場合がある.そのときは,チェックせずに進む.
- 「Add Python.exe to PATH」をチェック.
- 「Customize installation」をクリック.
- オプションの機能 (Optional Features)は,既定(デフォルト)のままでよい.
「Next」をクリック
- 「Install Python 3.10 for all users」を選ぶ.
「Install Python 3.10 for all users」を選ぶ理由.
ユーザ名が日本語のときのトラブルを防ぐため.
- そして,Python のインストールディレクトリは,「C:\Program Files\Python310」のように自動設定されることを確認.
- 「Install」をクリック
- インストールが始まる
- 「Disable path length limit」が表示される場合がある.クリックして、パス長の制限を解除する
表示されない場合は問題ない.そのまま続行.
- インストールが終了したら,「Close」をクリック
- いまダウンロードした .exe ファイルを右クリック,
右クリックメニューで「管理者として実行」を選ぶ.
- インストールのあと,Windows のスタートメニューに「Python 3.10」が増えていることを確認.
- システムの環境変数 Path の確認のため,新しくコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する.
py とpip にパスが通っていることの確認である.
where py where pip
where py では「C:\Windows\py.exe」 が表示され, where pip では「C:\Program Files\Python310\Scripts\pip.exe」 が表示されることを確認. (「310」のところは使用する Python のバージョンに読み替えること).
表示されないときは, システムの環境変数Pathに,C:\Program Files\Python310 と C:\Program Files\Python310\Scripts が追加済みであることを確認(「310」のところは使用する Python のバージョンに読み替えること).無ければ追加し,再度コマンドプロンプトを開いて,再度「where py」,「where pip」を実行して確認.
それでもうまく行かない場合は,いろいろ原因が考えられる.対処としては,Python のアンインストールを行う.過去,アンインストールがうまく行かなかった可能性を疑う(Python の Scripts の中のファイルで,アンインストール操作により削除されるべきファイルが残っている可能性があるなど)
(3) pip と setuptools の更新
Python に関しての情報取得
Python にトラブルがあった時に役に立つように,情報取得の手順をまとめている.
- Windows のシステム環境変数Path
インストール時に,「Add Python ... to PATH」をチェックしたので、 Python についての設定が自動で行われる.
- python のバージョンの確認
python --version
-
Python のビルドに用いられたコンパイラのバージョン番号の確認
python
下の実行例では、バージョン番号として「1929」が表示されている
- 次のPythonプログラムを実行し,バージョン番号を確認
下の実行例では,バージョン番号として「14.2」が表示されている.
from distutils.msvc9compiler import * get_build_version()
- exit() で終了
- pip の動作確認
Python のパッケージも同時にインストールされることが分かる.
* エラーメッセージが出ないことを確認.
pip list
Windows での Python 開発環境として,Jupyter Qt Console, Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook), Jupyter Lab, Nteract, spyder のインストール
Python, pip, Python 開発環境,Python コンソールのコマンドでの起動のまとめ.
python, pip, Jupyter Qt Console, Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook), Jupyter Lab, Nteract, Spyder は,次のコマンドで起動できる.
Windows で複数の Python をインストールしているときは,環境変数 Path で先頭の Python が使用される.
- python: Windows では python (Ubuntu では python3)
- pip: Windows では python -m pip または pip (Ubuntu では sudo pip3)
Ubuntu では,「sudo pip3 install」でパッケージをインストールする前に,「apt-cache search <キーワード>」で Ubuntu のパッケージを検索し,Ubuntu パッケージが見つかった場合にはそちらを 「apt install <Ubuntu のパッケージ名>」でインストール.
- Jupyter Qt Console: jupyter qtconsole あるいは python -m jupyter qtconsole
- Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook): jupyter notebook
- Jupyter Lab: jupyter lab あるいは python -m jupyter lab
- Nteract: jupyter nteract
- Spyder: spyder
Windows の Python ランチャーでバージョン指定
- インストール済み Python のバージョン一覧: py -0
- python: py -3.10 (Python 3.10 を使う場合)
- pip: py -3.10 -m pip (Python 3.10 の pip を使う場合)
- Jupyter Qt Console: py -3.10 -m qtconsole (Python 3.10 を使う場合)
- Jupyter ノートブック (Jupyter Notebook): py -3.10 -m notebook (Python 3.10 を使う場合)
- Jupyter Lab: py -3.10 -m jupyterlab (Python 3.10 を使う場合)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者として実行
- 次のコマンドを実行する.
次のコマンドを実行することにより,pipとsetuptoolsを更新する,Jupyter Notebook,PyQt5、Spyderなどの主要なPython環境がインストールされる.
python -m pip install -U pip setuptools requests notebook==6.5.7 jupyterlab jupyter jupyter-console jupytext PyQt5 nteract_on_jupyter spyder
Python の仮想環境を使用したいときは,次のような手順で, venv を用いて,Python の仮想環境を作る.
- Python の仮想環境の名前: py310
- 使用するPython のバージョン: 3.10
- Python の隔離された環境を置くディレクトリ: C:\venv\py310
Windows では,コマンドプロンプトを管理者として実行し, 次のコマンドを実行する.
Python の使用は「C:\venv\py310\Scripts\activate.bat」の後,「python」で行う.
(5) Jupyter Qt Console, NTeract が起動できるかを確認
- numpy, matplotlib のインストール
Windows では,コマンドプロンプトを管理者として実行し, 次のコマンドを実行する.
pip install -U numpy matplotlib
- Jupyter Qt Console の起動チェック
新しくコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する. Jupyter Qt Console が開けば OK.
jupyter qtconsole
- 確認のため,Jupyter Qt Console で,次の Python プログラムを実行してみる.
次のプログラムは,NumPy と Matplotlib を使用して,0から6までの範囲のsin関数のグラフを描画する.warnings モジュールを使用して Matplotlib の警告表示を抑制し,Matplotlib では,デフォルトのスタイルを使用する.
import numpy as np %matplotlib inline import matplotlib.pyplot as plt import warnings warnings.filterwarnings('ignore') # Suppress Matplotlib warnings x = np.linspace(0, 6, 100) plt.style.use('default') plt.plot(x, np.sin(x))
- nteract の起動チェック
新しくコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する. ntetact が開けば OK.
jupyter nteract
- 確認のため,nteract で,次の Python プログラムを実行してみる.
そのために「Start a new notebook」の下の「Python」をクリック,次のプログラムを入れ実行.
次のプログラムは,NumPy と Matplotlib を使用して,0から6までの範囲のsin関数のグラフを描画する.warnings モジュールを使用して Matplotlib の警告表示を抑制し,Matplotlib では,デフォルトのスタイルを使用する.
import numpy as np %matplotlib inline import matplotlib.pyplot as plt import warnings warnings.filterwarnings('ignore') # Suppress Matplotlib warnings x = np.linspace(0, 6, 100) plt.style.use('default') plt.plot(x, np.sin(x))
- Juypter Notebook で,保存のときに,.py ファイルと .ipyrb ファイルが保存されるように設定.(この設定を行わないときは .ipyrb ファイルのみが保存される)
- 次のコマンドで,設定ファイルを生成
jupyter notebook --generate-config
- jupyter/jupyter_notebook_config.py を編集し,末尾に,次を追加
c.NotebookApp.contents_manager_class = "jupytext.TextFileContentsManager"
- jupyter notebook を起動し,Edit, Edit Notbook Manager を選ぶ.次のように設定する.
"jupytext": {"formats": "ipynb,py"}
- 次のコマンドで,設定ファイルを生成
性能の確認
- コマンドプロンプトを管理者として開き次のコマンドを実行する.
python -m pip install -U numpy scikit-learn scikit-learn-intelex
- numpy の動作確認
python import numpy as np print(np.sin(0)) exit()
- Python の数値演算等の性能確認
次のプログラムは,NumPy と scikit-learn を使用して,行列計算とデータ分析を行う.
- 2000x2000 の乱数行列 X と Y を生成し、それらの行列積を計算する.
- scikit-learn の PCA を使用して,X の主成分分析を行い,2次元に次元削減する.
- NumPy の svd 関数を使用して、X の特異値分解を行う.
- scikit-learn の KMeans を使用して,X に対して10クラスタのk-means クラスタリングを行う.
各操作の実行時間を測定し,結果を出力するプログラムである.
import time import numpy import numpy.linalg import sklearn.decomposition import sklearn.cluster X = numpy.random.rand(2000, 2000) Y = numpy.random.rand(2000, 2000) # 行列の積 a = time.time(); Z = numpy.dot(X, Y); print(time.time() - a) # 主成分分析 pca = sklearn.decomposition.PCA(n_components = 2) a = time.time(); pca.fit(X); X_pca = pca.transform(X); print(time.time() - a) # SVD a = time.time(); U, S, V = numpy.linalg.svd(X); print(time.time() - a) # k-means a = time.time(); kmeans_model = sklearn.cluster.KMeans(n_clusters=10, random_state=10).fit(X) labels = kmeans_model.labels_ print(time.time() - a)
実行結果の例
- 行列の積: 0.04 秒
- 主成分分析: 0.14 秒
- SVD: 6.96 秒
- k-Means クラスタリング: 0.42 秒