EasyOCR のインストールと動作確認(多言語の文字認識)(Python,PyTorch を使用)(Windows 上)

概要EasyOCR は,PythonとPyTorchを使用した多言語対応の文字認識ソフトウェアである.テキスト検出にはCRAFTが使用されている.Windows上で動作させるためには,まず必要なツールやライブラリをインストールする必要がある.それらは,Git,Python,Visual Studioのビルドツール,NVIDIAドライバ,NVIDIA CUDAツールキット,NVIDIA cuDNN,そしてPyTorchである.EasyOCRのインストールは,公式のGitHubからクローンしたソースコードを利用する.動作確認では,easyocrコマンドを使用して文字認識を実行する.また,PythonプログラムとしてEasyOCRを利用する方法も紹介しており,具体的なプログラムコードを示している.

学習用のソースコードも公開されている.

目次

  1. 前準備
  2. EasyOCR のインストール(Windows 上)
  3. EasyOCR の動作確認(Windows 上)
  4. EasyOCR を使う Python プログラムの実行(Windows 上)

関連する外部ページ

前準備

Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

インストールの判断Build Tools for Visual Studio は,開発ツールセットである. Visual Studio は統合開発環境であり,いくつかの種類があり,Build Tools for Visual Studioの機能を含むか連携して使用するものである.インストールは以下の基準で判断してください:

不明な点がある場合は,Visual Studio 全体をインストール を行う方が良い.

Build Tools for Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)

    次のコマンドを実行

    次のコマンドは,Build Tools for Visual Studio 2022と VC2015 再配布可能パッケージをインストールするものである.

    winget install --scope machine Microsoft.VisualStudio.2022.BuildTools 
    winget install --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
    
  2. Build Tools for Visual Studio 2022 での C++ によるデスクトップ開発,CLI,ATL,MFC のインストール(Windows 上)
    1. Visual Studio Installer の起動

      起動方法: スタートメニューの「Visual Studio Installer」を選ぶ.

    2. Visual Studio Build Tools 2022 で「変更」を選ぶ.
    3. C++ によるデスクトップ開発」をクリック.そして,画面右側の「インストール」の詳細で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」,「ATL」,「MFC」をチェックする.その後,「変更」をクリック.

Visual Studio のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)

    次のコマンドを実行

    1. コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
    2. インストールコマンドの実行
      winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC"
      winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
      

      インストールされるコンポーネントの説明:

      • NativeDesktop:C++によるデスクトップアプリケーション開発のためのワークロード一式
      • NativeDesktop.Core:C++デスクトップ開発に必要な基本コンポーネント群
      • VC.CLI.Support:マネージドコードとネイティブコードの統合開発を可能にするC++/CLIサポート
      • CoreEditor:コード編集,デバッグ,検索などの基本機能を提供するVisual Studioのコアエディタ
      • NuGet:.NETライブラリの依存関係を管理するパッケージ管理システム
      • Windows.SDK.Latest:Windows 向けアプリケーション開発用SDK(Software Development Kit)
      • VC.Tools.x86.x64:32ビット及び64ビット向けC++コンパイラとビルドツール
      • VC.ATL:Windowsコンポーネント開発用のActive Template Library
      • VC.ATLMFC:デスクトップアプリケーション開発用のMicrosoft Foundation Class Library

      システム要件と注意事項:

      • 管理者権限でのインストールが必須
      • 必要ディスク容量:10GB以上
      • 推奨メモリ:8GB以上のRAM
      • インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性がある
      • 安定したインターネット接続環境が必要

      追加のコンポーネントが必要な場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能である.

    3. インストール完了の確認
      winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
      

      トラブルシューティング:

      インストール失敗時は,以下のログファイルを確認:

      %TEMP%\dd_setup_<timestamp>.log
      %TEMP%\dd_bootstrapper_<timestamp>.log
  2. Visual Studio での C++ によるデスクトップ開発,CLI のインストール(Windows 上)
    1. Visual Studio Installer の起動

      起動方法: スタートメニューの「Visual Studio Installer」を選ぶ.

    2. Visual Studio Community 2022 で「変更」を選ぶ.
    3. C++ によるデスクトップ開発」をチェック.そして,画面右側の「インストール」の詳細で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」をチェックする.その後,「インストール」をクリック.

Python 3.10,Git のインストール(Windows 上)

Pythonは,プログラミング言語の1つ. Gitは,分散型のバージョン管理システム.

手順

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)

    次のコマンドを実行

    次のコマンドは,Python ランチャーとPython 3.10とGitをインストールし,Gitパスを通すものである.

    次のコマンドでインストールされるGitは 「git for Windows」と呼ばれるものであり, Git,MinGW などから構成されている.

    winget install --scope machine Python.Launcher
    winget install --scope machine Python.Python.3.10
    winget install --scope machine Git.Git
    powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\Program Files\Git\cmd\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
    

関連する外部ページ

サイト内の関連ページ

関連項目Python, Git バージョン管理システム, Git の利用

Build Tools for Visual Studio 2022,NVIDIA ドライバ,NVIDIA CUDA ツールキット 11.8,NVIDIA cuDNN 8.9.7 のインストール(Windows 上)

サイト内の関連ページNVIDIA グラフィックスボードを搭載しているパソコンの場合には, NVIDIA ドライバNVIDIA CUDA ツールキットNVIDIA cuDNN のインストールを行う.

関連する外部ページ

PyTorch のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
  2. PyTorch のページを確認

    PyTorch の公式ページ: https://pytorch.org/index.html

  3. 次のようなコマンドを実行(実行するコマンドは,PyTorch のページの表示されるコマンドを使う).

    次のコマンドを実行することにより, PyTorch 2.3 (NVIDIA CUDA 11.8 用)がインストールされる. 但し,Anaconda3を使いたい場合には別手順になる.

    事前に NVIDIA CUDA のバージョンを確認しておくこと(ここでは,NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 が前もってインストール済みであるとする).

    PyTorch で,GPU が動作している場合には,「torch.cuda.is_available()」により,True が表示される.

    python -m pip install -U --ignore-installed pip
    python -m pip uninstall -y torch torchvision torchaudio torchtext xformers
    python -m pip install -U torch torchvision torchaudio numpy --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
    
    python -c "import torch; print(torch.__version__, torch.cuda.is_available())" 
    

    Anaconda3を使いたい場合には, Anaconda プロンプト (Anaconda Prompt)管理者として実行し, 次のコマンドを実行する. (PyTorch と NVIDIA CUDA との連携がうまくいかない可能性があるため,Anaconda3を使わないことも検討して欲しい).

    conda install -y pytorch torchvision torchaudio pytorch-cuda=11.8 cudnn -c pytorch -c nvidia
    py -c "import torch; print(torch.__version__, torch.cuda.is_available())" 
    

    サイト内の関連ページ

    関連する外部ページ

EasyOCR のインストール(Windows 上)

  1. Windows で,コマンドプロンプト管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
  2. インストール

    試してみたが,「pip install easyocr」でインストールするよりも,下の手順の方がトラブルが少なそう.

    cd /d c:%HOMEPATH%
    rmdir /s /q EasyOCR
    git clone --recursive https://github.com/JaidedAI/EasyOCR
    cd EasyOCR
    pip install -e .
    

    (以下省略)

EasyOCR の動作確認(Windows 上)

動作確認を行う.

  1. 動作確認(日本語に英語が混ざっているもの)

    次のコマンドを実行.easyocr コマンドを使用.

    cd /d c:%HOMEPATH%
    cd EasyOCR
    cd examples
    easyocr -l ja en -f japanese.jpg --detail=1 --gpu=True
    

    これは,次の画像についての文字認識結果である.

  2. 動作確認(英語)

    次のコマンドを実行.easyocr コマンドを使用.

    cd /d c:%HOMEPATH%
    cd EasyOCR
    cd examples
    easyocr -l en -f easyocr_framework.jpeg --detail=1 --gpu=True
    

    これは,次の画像についての文字認識結果である.

EasyOCR を使う Python プログラムの実行(Windows 上)

  • エディタを起動
    cd /d c:%HOMEPATH%\EasyOCR
    notepad a.py
    
  • エディタで,次のプログラムを保存

    このプログラムは, 公式ページの GitHub のページ https://github.com/JaidedAI/EasyOCR で公開されていたものを変更して使用している.

    import easyocr
    reader = easyocr.Reader(lang_list = ['ja','en'], gpu = True) 
    
    import tkinter as tk
    from tkinter import filedialog
    from PIL import Image
    
    root = tk.Tk()
    root.withdraw()
    fpaths = filedialog.askopenfilenames()
    
    for fpath in root.tk.splitlist(fpaths):
        print("file name: ", fpath)
        Image.open(fpath).show()
        result = reader.readtext(fpath)
        for i in result:
            print(i)
    
  • Python プログラムの実行

    Python プログラムの実行

    【サイト内の関連ページ】 Python のまとめ: 別ページ »

    プログラムを a.pyのようなファイル名で保存したので, 「python a.py」のようなコマンドで行う.

    python a.py
    

    ファイル選択画面が出るので,画像ファイルを選択する.ファイルは複数選択可能である.

  • 結果の確認

    画像が表示される.画像の表示を確認したらその表示を閉じる. 閉じたあとに,文字認識結果が表示される.