Blender でパーティクルアニメーション
【概要】 Blenderを使用したパーティクルアニメーション(多数の小さな粒子を制御して動きのある視覚効果を生み出す技術)の作成と設定について解説する.パーティクルは3D空間内で生成・制御できる小さな粒子であり,様々なパラメータ設定により多様な視覚効果を実現できる.パーティクルの発生源(エミッター)として,Blender起動時に配置される立方体(Cube)や,新たに追加できる平面(Plane)を使用する. パーティクルの基本設定として,生成されるパーティクルの総数,生成から消滅までの寿命(ライフタイム),発生源からの出力速度(ベロシティ)を指定できる.より高度な設定として,物理演算プロパティによるコリジョン(衝突)シミュレーションがある.コリジョン設定では透過度(パーティクルの通過率)を0から1の間で調整することで,パーティクルがオブジェクトを通り抜ける比率を制御できる. アニメーションはスペースキーによる再生・一時停止の制御が可能であり,オブジェクトの編集や設定変更時には一時停止機能を活用する.これらの機能を組み合わせることで,豊かな表現力を持つパーティクルアニメーションを作成することができる.
【目次】
【サイト内の関連ページ】
- Blender の機能の説明,実演など: 別ページ »にまとめ
- Windows での Blender 4 のインストール: 別ページ »で説明
- Ubuntu での Blender 3 のインストールは,別ページ »で説明
【関連する外部ページ】
- Blender の公式ページ: https://www.blender.org/
前準備
Blender のインストール
【Blender のインストール】
- Windows での Blender 4 のインストール: 別ページ »で説明
- Ubuntu での Blender 3 のインストールは,別ページ »で説明
メニューの日本語化を行っておくと操作がより直感的になる.Blender では初回起動時に言語設定を選択できるため,日本語を選択することでメニューやインターフェースが日本語表示される.
Blender の基本操作のまとめ
【サイト内の関連ページ】
- Blender の基本操作(立体の新規作成と配置の調整,立体の操作,カメラ視野(カメラビュー)の調整,レンダリング,マテリアル,元に戻す,やり直す): 別ページ »で説明
- Blender の種々の操作と設定: 別ページ »で説明
パーティクルの生成とアニメーションの再生
- 新しくBlender を起動する
- 起動すると、立方体(Cube:Blenderのデフォルト3Dオブジェクト)の立体がある.そのまま使用する.
* 立方体(Cube) の立体は削除しない
- パーティクルを発生させるため,立方体(Cube) の3次元オブジェクトをマウスの「左ボタンクリック」で選択する(選択されたオブジェクトはハイライト表示される)
- 画面右側のプロパティパネル(オブジェクトのプロパティや設定を編集するためのパネル)で,「パーティクル」ボタン(小さな点が集まったアイコン)をクリックする
- パーティクルを追加するため,「+」をクリックする
- 設定は,既定(デフォルト)のままにしておく
- シミュレーションとアニメーションを実行するため,スペースキーを押す(タイムラインの再生ボタンをクリックするか,Alt+Aキーの組み合わせでも実行可能)
パーティクルアニメーションの種々の設定
- スペースキーにより,アニメーションを一時停止する(タイムラインの一時停止ボタンをクリックするか,Alt+Aキーの組み合わせでも一時停止可能).
- 一時停止したら,下図のボタンをクリックして,「先頭のフレームにジャンプ」できる.
- 立方体(Cube) の立体を選び,DEL キーで削除する
- 平面(Plane)のオブジェクトを追加する(画面上部の「追加」メニューから「メッシュ」→「平面」を選択するか,Shift+Aキーを押して表示されるメニューから「メッシュ」→「平面」を選択)
- 平面(Plane)の立体の位置やサイズを調整する(位置の移動はGキー,サイズ変更はSキー,回転はRキーを押した後にマウスで操作,または画面左側の「ツール」パネルのツールアイコンを使用しても調整可能).
- プロパティ画面で,「パーティクル」ボタンをクリックする
- パーティクルを追加するため,「+」をクリックする
- 設定は,既定(デフォルト)のままにしておく
- シミュレーションとアニメーションを実行するため,スペースキーを押す
パーティクルの数,寿命の設定
- 「放射」(Emission:パーティクルの放出に関する設定カテゴリ)の下の「数」(Number:生成される総パーティクル数)の項目で,パーティクルの総数を設定できる
数値をキーボードで入力した場合はEnterキーで確定する.値が大きいほど多くのパーティクルが生成されるが,処理負荷も高くなる.
アニメーションで変更を確認する
- 「放射」の下の「寿命」(Lifetime:パーティクルが生成されてから消滅するまでのフレーム数)の項目で,パーティクルの存続時間を設定できる
演習1:
- パーティクルの数を変更してみる.
- アニメーション再生して効果を確認する.複数のパターンで試してみる
演習2:
- パーティクルの寿命を変更してみる.
- アニメーション再生して効果を確認する.複数のパターンで試してみる
パーティクルの出力速度
- 「速度」(Velocity:パーティクルの動きの速さと方向を制御)の下の「ノーマル」(Normal:オブジェクト表面の法線方向への初期速度)で,パーティクルの出力速度を設定できる
アニメーションで効果を確認する
演習:
- パーティクルの出力速度を変更してみる.
- アニメーション再生して効果を確認する.複数のパターンで試してみる
- 平面を回転させてみる.
回転操作を行う際は, スペースキーによりアニメーションを一時停止すると操作性が向上する.
- アニメーション再生して効果を確認する.複数の角度で試してみる
パーティクルのコリジョン(衝突)のシミュレーション
以下の手順で, パーティクルのコリジョン(衝突)シミュレーション を実現する
- スペースキーにより,アニメーションを一時停止する.
- 一時停止したら,下図のボタンをクリックして,「先頭のフレームにジャンプ」する.
- 新たに平面(Plane)オブジェクトを追加する
- 新しく追加した平面(Plane)オブジェクトを拡大する
- 新しく追加した平面(Plane)オブジェクトを,
パーティクルが落下する経路上に配置する.
- 新しく追加した平面(Plane)オブジェクトを選択した状態で,「物理演算プロパティ」(Physics Properties:物理法則に基づいたシミュレーションを設定するためのパネル)ボタンをクリックする
- コリジョン(衝突:オブジェクト間の物理的な接触判定と反応を制御する機能)シミュレーションを設定するため,「コリジョン」をクリックする
- シミュレーションとアニメーションを実行するため,スペースキーを押す
パーティクルが衝突して跳ね返る効果を確認する.
- 透過度の値(Permeability:コリジョンオブジェクトの透過性)を0から1の範囲で調整する.
この値はパーティクルがオブジェクトを通過する割合を制御する.0に設定すると完全に跳ね返り,1に設定すると完全に通過する.中間値では一部のパーティクルが通過し,一部が跳ね返る.