Blender 内蔵の Python で Python パッケージのインストール

【概要】Blender の Python システムにパッケージをインストールする手順を説明する。Windows では管理者権限のコマンドプロンプトから pip を使用し、Ubuntu では apt コマンドでパッケージをインストールする方法を解説する。

  1. 前準備
  2. Blender 内蔵の Python パッケージのインストール

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前準備

Blender のインストール

【Blender のインストール】

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Blender 内蔵の Python パッケージのインストール

Windows の場合

Windows を使用する場合は、次のように操作する。

  1. Blender を起動する
  2. Blender Python コンソール(Blender に内蔵された Python プログラミング環境)を開くために、Blender のワークスペース(作業画面のレイアウト)を「スクリプト作成」(Blender 4 では「Scripting」)に変更する
  3. コンソール画面(Python プログラムを対話的に実行するための画面)が開くので確認する

    コンソール画面の中では、IPython シェル(対話型 Python シェル)が動作している。

  4. Blender 内蔵の Python のバージョンを確認する

    下の実行例(Blender 3.4.1)では、バージョン 3.10.8 であることが分かる。

  5. Windows で、管理者権限コマンドプロンプトを起動する(手順: Windows キーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)
  6. pip のインストール(古いバージョンの Blender の場合)

    Blender 2.79 などでは、Blender の Python に pip(Python パッケージ管理ツール)が存在しないため、次の操作でpip をインストールする必要がある。

    この操作は、Blender 2.8 以上(Blender 3 系、Blender 4 系を含む)では不要である。

    「2.79」のところは「Blender のバージョン」に読み替えること。

    "C:\Program Files\Blender Foundation\Blender\2.79\python\bin\python.exe" -m ensurepip
    
  7. pip の更新

    「3.4」のところは「Blender のバージョン」に読み替えること。

    Blender 4 では、パスの書式が異なる場合があるため、インストールディレクトリを確認すること(例: 「C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 4.0\4.0\python\bin\python.exe」)。

    "C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 3.4\3.4\python\bin\python.exe" -m pip install --upgrade pip
    
  8. インストール済みのパッケージの確認

    「3.4」のところは「Blender のバージョン」に読み替えること。

    Blender 4 では、正確なパスを使用すること(例: 「C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 4.0\4.0\python\bin\python.exe」)。

    "C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 3.4\3.4\python\bin\python.exe" -m pip list
    
  9. pip を用いて、パッケージのインストール

    「pandas(データ分析ライブラリ)tensorflow(機械学習ライブラリ)tensorflow_datasets(データセットライブラリ)opencv-python(画像処理ライブラリ)opencv-contrib-python(OpenCV の拡張機能)」のところは、インストールしたいパッケージ名に読み替えること。

    Blender 4 では、Python のバージョンが 3.10 以上になっており、一部のパッケージでは互換性の問題が生じる場合がある。その場合は、バージョンを指定してインストールすること(例: tensorflow==2.15.0)。

    "C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 3.4\3.4\python\bin\python.exe" -m pip install -U pandas tensorflow tensorflow_datasets opencv-python opencv-contrib-python
    

    (以下省略)
  10. TensorFlow の動作確認

    Blender の Python コンソールで次のコードを実行して動作確認を行う。Blender 4 では、Python コンソールは「Scripting」ワークスペースにある「Python Console」エディタで利用できる。

    結果として「[[ 12.]]」のように表示されれば正常に動作している。TensorFlow(機械学習フレームワーク)が正しく行列計算を実行できていることを意味する。

    import tensorflow as tf
    matrix1 = tf.constant([[3., 3.]])
    matrix2 = tf.constant([[2.],[2.]])
    print( tf.matmul(matrix1, matrix2) )
    

Ubuntu の場合

Ubuntu(Linux ディストリビューション)の場合、必要なパッケージは「apt」コマンド(パッケージ管理ツール)を使用してインストールする。Blender 4 でも同様の方法で対応可能である。

scipy の場合(科学技術計算ライブラリ)

Ubuntu の Blender コンソールで、試しに「import scipy」と入力すると、次のようにエラーメッセージが表示される。Blender 4 でも同様の問題が発生する場合がある。

そこで、端末で次のコマンドを実行する。

# パッケージリストの情報を更新
sudo apt update
sudo apt -y install python3-scipy

これにより、Blender コンソールで「import scipy」が正常に実行できるようになる。

gdal の場合(地理空間データ処理ライブラリ)

Ubuntu の Blender コンソールで、試しに「import gdal」と入力すると、次のようにエラーメッセージが表示される。Blender 4 での最新バージョンでも同様の手順で解決可能である。

そこで、端末で次のコマンドを実行する。

# パッケージリストの情報を更新
sudo apt update
sudo apt -y install python3-gdal

これにより、Blender コンソールで「import gdal」が正常に実行できるようになる。