Eclipse に C/C++ 開発ツール (CDT) をインストール
【概要】
本記事では、統合開発環境 Eclipse に C/C++ Development Tooling (CDT) プラグインをインストールし、C/C++ プロジェクトの作成、ビルド、実行を行うための基本的な手順を解説します。Eclipse を利用して C/C++ 開発を始めたい人を対象としています。
この記事の手順は、他のバージョンの Eclipse でも同様に設定できます。ただし、画面の項目名や配置は多少異なる場合があります。
【目次】
第1章 前提条件(前準備)
CDT をインストールして利用するには、次のソフトウェアが事前にインストールされている必要があります。
Java 25(Temurin 25 JDK)のインストール
Eclipse Temurin(Adoptium)のインストールを行い、Javaのプログラムをコンパイル・実行する環境を整える。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。現時点(2026年6月)での最新LTS版である Java 25(Temurin 25 JDK)を推奨する。
[Windows での Java 25(Temurin 25 JDK) のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Java 25(Temurin 25 JDK) のインストール
以下のいずれかの方法で Java 25(Temurin 25 JDK)をインストールする。JDKがインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法 1:winget によるインストール
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
Temurin の Windows インストーラー(.msi)は、ユーザー単位ではなくマシン単位でインストールされる(1台に1つのインストール)。そのため、システム全体(全ユーザー向け)にインストールするには管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動するとPATHが反映される。
REM Java 25(Temurin 25 JDK) をインストール(PATH と JAVA_HOME を更新)
winget install --id EclipseAdoptium.Temurin.25.JDK -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "ADDLOCAL=FeatureMain,FeatureEnvironment,FeatureJarFileRunWith,FeatureJavaHome INSTALLDIR=\"C:\Program Files\Eclipse Adoptium\jdk-25\" /quiet"
上記の --override 内の指定の意味は次のとおりである。FeatureEnvironment はPATH環境変数の更新、FeatureJavaHome は JAVA_HOME 環境変数の更新、FeatureJarFileRunWith は .jar ファイルとJavaアプリケーションの関連付けである。INSTALLDIR はインストール先フォルダの指定である。
方法 2:インストーラーによるインストール
- Adoptium公式サイト(https://adoptium.net/temurin/releases/)にアクセスし、Version として「25 - LTS」、Operating System として「Windows」を選び、
.msi形式のWindows用インストーラーをダウンロードする。 - ダウンロードした
.msiファイルを実行し、インストールプログラムを起動する。 - ライセンス条項を確認し、同意できる場合はチェックを入れて次へ進む。
- 「Installation Scope」画面では「Install for all users of this machine」を選ぶ
- 「Custom Setup(カスタムセットアップ)」画面で、インストールする機能を選択する。既定では「Add to PATH(PATH環境変数への追加)」と「Associate .jar」(.jarファイルの関連付け)が有効になっている。さらに、ツリー内でバツ印(×)が付いている「Set JAVA_HOME variable(JAVA_HOME環境変数の更新)」をクリックして有効に変更することを推奨する。これらを有効にしないと、コマンドプロンプトから
javaコマンドを実行できなかったり、開発ツールがJDKを見つけられなかったりする。 - 「次へ (Next)」をクリックし、続いて「インストール (Install)」をクリックしてインストールを開始する。完了後「Finish」で閉じる。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
java --version
バージョン番号(例:openjdk 25.x.x)が表示されればインストール成功である。「'java' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していないか、PATHが反映されていない(コマンドプロンプトを再起動して再度確認する)。
あわせて、コンパイラと JAVA_HOME も確認しておくとよい。
javac --version
echo %JAVA_HOME%
Eclipse のインストール
Eclipse をインストールする。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。
Windows での Eclipse のインストール 以下のいずれかの方法で Java 25(Temurin 25 JDK)をインストールする。JDKがインストール済みの場合、この手順は不要である。 方法 1:winget によるインストール 【インストールコマンドの実行方法】 管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → winget が使えない場合や,インストール先・パッケージ種類を画面で選びながら導入したい場合は,次の方法を用いる。 方法 2:インストーラーによるインストール 公式サイトからダウンロードしてインストールできる。詳しくはhttps://www.kkaneko.jp/tools/win/eclipse.htmlで説明している。 Eclipse の初期設定、使用方法の基本 詳しくはhttps://www.kkaneko.jp/tools/win/eclipse.htmlで説明している。[Windows での Eclipse のインストール手順を見るには、ここをクリック]
cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。REM Temurin 25 JDK をインストール
winget install --id EclipseAdoptium.Temurin.25.JDK -e --accept-source-agreements --accept-package-agreements
C/C++ 言語処理系(コンパイラ)のインストール
利用したい C/C++ コンパイラ(ツールチェーン。コンパイラやリンカなど、ビルドに使う一連のツールをまとめたもの)がインストール済みである必要があります。
(1) Windows で Visual Studio の C++ を使いたい場合
Windows での Visual Studio(例: Community 2022) のインストール手順は、 別ページ »で説明しています。
(2) Windows で Cygwin を使いたい場合
- Cygwin の Web ページの記述に従って、Cygwin のインストールが済んでいること。
- Cygwin の次のパッケージ(GCC C/C++ コンパイラと make ユーティリティ)をインストール済みであること。
- Devel/gcc-core
- Devel/gcc-g++
- Devel/make
- Cygwin の bin ディレクトリ(例: C:\cygwin\bin)を、Windows の環境変数 PATH に含めていること。
(注意) 以前は cygwin1.dll を C:\Windows\System32 にコピーする方法が紹介されることもありましたが、システムディレクトリへのファイルコピーは予期しない問題を引き起こす場合があるため、通常は PATH の設定だけで十分です。Eclipse からの実行時に DLL が見つからない旨のエラーが出る場合は、PATH の設定が正しく反映されているかを確認し、必要であれば Eclipse を再起動してください。
(3) Linux で GCC を使いたい場合
通常は、Linux ディストリビューションのパッケージマネージャ(apt, yum など)を用いて GCC (g++) や make をインストールします。
第2章 C/C++ 開発ツール (C/C++ Development Tooling, CDT) のインストール
Eclipse に C/C++ 開発機能を追加するための CDT プラグインをインストールします。
- Eclipse の起動
- 「新規ソフトウェアのインストール」の開始
メニューバーから「ヘルプ (Help)」→「新規ソフトウェアのインストール (Install New Software ...)」を選択します。
- 作業対象として「--すべての使用可能なサイト-- (--All Available Sites--)」を選択します。
(Eclipse のバージョンによっては、メインのアップデートサイト(例:
https://download.eclipse.org/releases/YYYY-MM)を選択する必要がある場合もあります)
- フィルタ欄に
CDTと入力するか、「プログラミング言語」カテゴリを展開します。
- CDT の主要コンポーネントを選択します。
通常は、次の項目を選択します。必要に応じて他の関連機能も選択してください。
- C/C++ 開発ツール (C/C++ Development Tools)(必須)
- C/C++ 開発ツール SDK (C/C++ Development Tools SDK)(CDT 自体の開発や拡張を行わない場合は任意)
- C/C++ Visual C++ サポート(Windows で Visual Studio を使用する場合に推奨)
- インストール詳細の確認
選択した項目を確認し、「次へ」をクリックします。
- ライセンス条項の確認と同意
ライセンス条項を確認し、同意する場合はチェックを入れて「完了」をクリックします。
- インストールの開始
署名なしコンテンツに関する警告が表示された場合は、内容を確認のうえ「インストール」をクリックします。
- Eclipse の再起動
インストール完了後、Eclipse の再起動を促されるので、「今すぐ再起動」をクリックします。
第3章 基本的な C/C++ プロジェクトの作成と実行
CDT をインストールした後、簡単な C プロジェクトを作成し、ビルドと実行を行う流れを確認します。C++ プロジェクトの場合も、プロジェクト作成時に「C++ プロジェクト」を選択する以外は同様の手順です。
あらかじめ決めておく事項(例)
- プロジェクト名: Hello
- プロジェクト・タイプ: Hello World ANSI C プロジェクト(実行可能なサンプルプロジェクト)
プロジェクトの新規作成
次の手順で、新しい C/C++ プロジェクトを作成します。
プロジェクトを作成すると、Eclipse のワークスペースディレクトリの下に、プロジェクト名のディレクトリが作成されます。その下には、ソースコードを格納する src フォルダや、ビルド成果物を格納する Debug(または Release)フォルダなどが標準で生成されます。
- プロジェクトの新規作成の開始
メニューバーから「ファイル」→「新規 (New)」→「プロジェクト (Project)」を選択します。
または、左側の「プロジェクト・エクスプローラ」ビュー内で右クリックし、「新規 (New)」→「プロジェクト (Project)」を選択します。
- ウィザードで「C/C++」カテゴリを展開します。
- 「C プロジェクト」(または「C++ プロジェクト」)を選択し、「次へ」をクリックします。
- プロジェクト名とプロジェクトタイプの指定
開いたウィザードで、プロジェクト名(例: Hello)と プロジェクト・タイプ を指定します。
- プロジェクト名: 半角英数字で分かりやすい名前を推奨します。
- プロジェクトタイプ: ここではサンプルとして「実行可能 (Executable)」の下にある「Hello World ANSI C プロジェクト」を選択します。これにより、簡単な main 関数を含むソースファイルが自動生成されます。
- ツールチェーン: 使用するコンパイラを選択します。通常、Eclipse がシステムにインストールされているコンパイラを自動検出します(例: Windows で Visual Studio があれば「Microsoft Visual C++」、Linux で GCC があれば「GCC」)。必要に応じて手動で選択・設定します。
Windows で Microsoft Visual C++ を使いたい場合は、ツールチェーンに「Microsoft Visual C++」が表示されていることを確認します。
設定後、「次へ」をクリックします。
- 基本設定
必要に応じて著者情報などを入力します(通常は標準のままで問題ありません)。「次へ」をクリックします。
- 構成の選択
ビルド構成(Debug/Release)を選択します(通常は標準の「Debug」のままで問題ありません)。「完了」をクリックします。
- 「C/C++ パースペクティブを開きますか?」と表示された場合は、「パースペクティブを開く」をクリックします。これにより、C/C++ 開発に適した画面レイアウトに切り替わります。
ソース・ファイルの操作
プロジェクト作成後、ソースコードの確認、編集、追加を行います。
- ソース・ファイルの確認・表示
左側の「プロジェクト・エクスプローラ」で、作成したプロジェクト(Hello)の src フォルダを展開すると、ソースファイル(例: Hello.c)が表示されます。
Hello World ANSI C プロジェクト を選択した場合、
Hello.cが自動生成されています。
- ソース・ファイルの編集
編集したいソースファイル(例: Hello.c)をダブルクリックすると、中央のエディタ領域でファイルが開き、編集できます。
- ソース・ファイルの追加
プロジェクト内の src フォルダなどを右クリックし、「新規」→「ソース・ファイル」を選択して、新しいソースファイルを作成できます。
- ソース・ファイルの保存
編集中のファイルは、CTRL + S(コントロールキーを押しながら「S」)を押すか、メニューバーの「ファイル」→「保管」で保存します。
ビルド(コンパイルとリンク)
ソースコードを実行可能な形式に変換します。
CTRL + B(コントロールキーを押しながら「B」)を押すか、メニューバーの「プロジェクト」→「すべてビルド」を選択します。
ビルドが成功すると、通常はプロジェクト内の Debug フォルダ(または選択したビルド構成のフォルダ)に実行可能ファイル(例: Windows なら Hello.exe、Linux なら Hello)が生成されます。
ビルド時のエラーや警告は、Eclipse 下部の「コンソール」ビューや「問題」ビューに表示されます。「問題」ビューのエラー一覧でエラー箇所をクリックすると、エディタ内の該当箇所が強調表示されます。
実行
ビルドしたプログラムを実行します。
「プロジェクト・エクスプローラ」でプロジェクト名(Hello)を右クリックし、「実行」→「ローカル C/C++ アプリケーション」を選択します。
これにより、ビルドされた実行可能ファイルが実行され、標準出力(printf などによる出力)は下部の「コンソール」ビューに表示されます。
第4章 環境別の設定詳細
特定の開発環境(ツールチェーン)を使用する場合、追加の設定が必要になることがあります。
Windows で Visual Studio の C++ を使用する場合の設定
Eclipse が Visual Studio のコンパイラ、リンカ、ライブラリ、ヘッダファイルなどのパスを自動で認識できない場合は、次の手順でプロジェクトのプロパティから手動設定を行います。
- 必要なパス情報の確認
次のコマンドを x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt) で実行します(手順: スタートメニュー →「Visual C++ Build Tools」の下の「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」を選ぶ)。
「x64 Native Tools コマンドプロンプト」がないときは、ビルドツール (Build Tools) をインストールすると、x64 Native Tools コマンドプロンプトもインストールされます。その手順は、別ページ »で説明しています。
表示されるパスをメモしておきます。これらは後で Eclipse の設定で使用します。
echo %LIB%: ライブラリファイルの検索パスecho %INCLUDE%: ヘッダファイルの検索パスwhere cl: C/C++ コンパイラ (cl.exe) のフルパスwhere link: リンカ (link.exe) のフルパス
echo %LIB% echo %INCLUDE% where cl where link
- Eclipse を起動し、設定対象のプロジェクトを開きます。
- 「プロジェクト・エクスプローラ」でプロジェクト名を右クリックし、「プロパティー」を選択します。
- 環境変数の設定 (LIB, INCLUDE)
左のペインで「C/C++ ビルド」を展開し、「環境」を選択します。右側で「追加」をクリックします。
まず、名前に「LIB」、値に先ほど
echo %LIB%で確認したパス全体をコピー&ペーストして「OK」をクリックします。
同様に、「追加」をクリックし、名前に「INCLUDE」、値に先ほど
echo %INCLUDE%で確認したパス全体をコピー&ペーストして「OK」をクリックします。
これらの設定により、Eclipse のビルドプロセスが Visual Studio のライブラリとヘッダファイルを見つけられるようになります。「適用」をクリックします。
- コンパイラパスの設定 (cl)
左のペインで「設定」を選択します。右側の「ツール設定」タブを選びます。
「C コンパイラー (cl)」(または「C++ Compiler (cl)」)を選択し、「コマンド」の欄にある「cl」を、先ほど
where clで確認した cl.exe のフルパス に置き換えます(例:C:\Program Files\Microsoft Visual Studio\...\cl.exe)。
- リンカパスの設定 (link)
左のペインで「Linker (link)」を選択します。
「コマンド」の欄にある「link」を、先ほど
where linkで確認した link.exe のフルパス に置き換えます。
最後に「適用して閉じる」をクリックして設定を保存します。
Windows で Cygwin を使用する場合の注意点
Cygwin 環境でビルドや実行がうまくいかない場合は、次の点を確認してください。
- 前提条件で述べたように、Cygwin の bin ディレクトリ(例:
C:\cygwin\bin)が Windows の環境変数 PATH に正しく設定されているか。 - Eclipse が PATH の変更を認識しているか(必要であれば Eclipse を再起動)。
- プロジェクトのツールチェーン設定で Cygwin GCC が正しく選択されているか。
Linux で GCC を使用する場合
通常、Linux 環境では Eclipse がシステムにインストールされた GCC を自動検出し、プロジェクト作成時にツールチェーンとして「GCC」が選択されます。特別な設定は不要な場合が多いですが、GCC が見つからない旨のエラーが出る場合は、GCC (g++) および make がシステムにインストールされているか、そして Eclipse のツールチェーン設定を確認してください。
第5章 C++ プロジェクトの実例
C++ プロジェクトを作成する場合も、基本的な流れは C プロジェクトと同様です。プロジェクト作成ウィザードで「C++ プロジェクト」を選択し、必要に応じて「Hello World C++ プロジェクト」テンプレートなどを利用します。ビルド・実行の手順も同じです。
第6章 CDT の便利な機能(一部紹介)
CDT は C/C++ 開発を効率化するための多くの機能を提供します。
- シンタックスハイライト: コードの要素(キーワード、変数、コメントなど)を自動で色分け表示し、可読性を高めます。
- 自動インデント: コードの整形を補助します。
- コード補完機能: 変数名、関数名、キーワードなどの入力を支援します(例:
Ctrl + Space)。 - デバッグ機能: ブレークポイントの設定、変数値の確認、ステップ実行(ステップイン、ステップオーバー、ステップリターン)などのデバッグツールを提供します。
- リファクタリング: 変数名や関数名の一括変更など、コードの構造を安全に変更する機能があります。
- 静的コード解析: コード中の潜在的な問題を検出する機能(Cppcheck 連携など)もあります。
- 逆アセンブル表示: ビルドされたコードのアセンブリ言語表現を確認できます。