Ubuntu, Fedora での Octave のインストールとテスト実行

概要

Octave(オクターブ、MATLAB 互換の数値解析ソフトウェア)を Ubuntu と Fedora にインストールし、動作を確認する手順を説明する。

現在の Octave は、各 Linux ディストリビューションのパッケージ管理システム(Ubuntu は apt、Fedora は dnf)で導入するのが標準的で、最も簡単で確実である。以前はソースコードからのビルドが必要だった高速な行列演算ライブラリ(BLAS)も、いまはパッケージの OpenBLAS を入れるだけで利用できる。このページでは、パッケージによる標準の導入手順を中心に説明し、あわせて演算ライブラリを切り替えたときの性能比較の例を示す。

BLAS とは

BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)とは、行列演算・ベクトル演算の基本機能をまとめたプログラム群である。無料で使える最適化実装としては OpenBLAS が広く使われている。OpenBLAS は GotoBLAS2 を基に開発が続けられている後継で、BSD ライセンスで配布されている。かつて使われた GotoBLAS は 2008 年頃に開発が終了しており、ATLAS も現在はあまり使われない。商用の高性能実装として Intel oneMKL(旧称 Intel Math Kernel Library)もある。

LAPACK とは

LAPACK とは、連立1次方程式や固有値問題など、行列に関する種々の計算を行うソフトウェアである。Octave の動作に必要で、パッケージでまとめて導入される。

* このページでは Linux(Ubuntu と Fedora)を対象とする。Windows での Octave の導入は、Octave 公式のダウンロードページにインストーラーが用意されている。

* 関連 Web ページ: Octave の活用

目次

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第1章 Ubuntu での Octave のインストール(パッケージを使用)

Ubuntu では、apt(パッケージ管理システム)を使って Octave をインストールする。標準リポジトリにも Octave は含まれるが、より新しいバージョンを使いたい場合は Octave 公式の PPA(個人用パッケージアーカイブ)を追加する。

  1. パッケージ情報の更新
    sudo apt -y update
    sudo apt -y upgrade
    
  2. Octave のインストール

    標準リポジトリからインストールする場合は、次を実行する。

    sudo apt -y install octave
    

    より新しいバージョンを使いたい場合は、Octave 公式の PPA を追加してからインストールする。

    sudo apt-add-repository -y ppa:octave/stable
    sudo apt -y update
    sudo apt -y install octave
    
  3. (オプション)高速な行列演算ライブラリ(OpenBLAS)のインストール

    行列演算を速くしたい場合は、OpenBLAS を入れておく。インストールすると、Octave はこれを自動的に利用する。

    sudo apt -y install libopenblas-dev
    
  4. バージョンの確認
    octave --version
    

第2章 Fedora での Octave のインストール(パッケージを使用)

Fedora では、dnf(パッケージ管理システム)を使って Octave をインストールする。

  1. パッケージの更新

    インストール前に全パッケージを更新しておくと、トラブルが減る。

    sudo dnf -y upgrade
    
  2. Octave のインストール
    sudo dnf -y install octave
    

    Octave を使う C++ プログラムのビルドなど、開発用のヘッダファイルも必要な場合は、次も入れる。

    sudo dnf -y install octave-devel
    
  3. (オプション)高速な行列演算ライブラリ(OpenBLAS)のインストール
    sudo dnf -y install openblas
    
  4. バージョンの確認
    octave --version
    

第3章 高速な BLAS(OpenBLAS)を使う

Octave の行列演算の速さは、リンクされている BLAS 実装で決まる。標準の参照実装(reference BLAS)は動作するが速くない。OpenBLAS をインストールしておくと、大きな行列の計算が速くなる。

インストール後、Octave がどの BLAS を使っているかは、Octave のプロンプトで次を実行して確認できる(version -blas_version は、リンクされている BLAS ライブラリの情報を表示する関数である)。

version -blas_version

第4章 Octave パッケージ(Octave Forge)のインストール

Octave の追加機能はパッケージとして提供される(かつて Octave Forge と呼ばれた仕組みで、現在は gnu-octave.github.io/packages に一覧がある)。パッケージは、Octave の pkg コマンドでインストールする。

  1. パッケージのインストール

    Octave を起動し、プロンプトで pkg install を実行する。例えば画像処理の image パッケージと信号処理の signal パッケージを入れるには、次のようにする(-forge は公式パッケージ配布元から取得する指定である)。

    pkg install -forge image
    pkg install -forge signal
    
  2. インストール済みパッケージの確認
    pkg list
    
  3. パッケージの読み込み

    インストールしたパッケージは、使う前に pkg load で読み込む。

    pkg load image
    
  4. テスト実行

    ためしに、行列を作って表示してみる。

    X = rand(3, 3)
    Y = X * X'