分散共分散行列からデータ生成(Python, Google Colaboratory を使用)
【概要】
本記事では,Python(ローカル実行または Google Colaboratory)を使用して,分散共分散行列から多変量正規分布に従うデータを生成する方法を扱う。numpy.random.multivariate_normal により,指定した平均ベクトルと分散共分散行列に従うデータを生成し,Matplotlib で散布図として可視化する。
N はデータ数,c は平均ベクトル,corv は分散共分散行列である。これらのパラメータから 20 個のデータを生成し,散布図で分布の形状を確認する。
【目次】
1. 前準備
Python 3.12 のインストール
Pythonのインストールを行い、Pythonのプログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。金子研究室では、Python 3.12.10を推奨する。
[Windows での Python 3.12 のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 3.12 のインストール
以下のいずれかの方法でPython 3.12をインストールする。Pythonがインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法 1:winget によるインストール
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動するとPATHが反映される。
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""
REM Python と Scripts を PATH 先頭に追加
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\") -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$s;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$p;$s;$c\",'Machine')}"
方法 2:インストーラーによるインストール
- Python公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンからWindows用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
Python の開発環境 Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定
Python の開発環境Visual Studio Code(プログラムを編集するソフトウェア。以下、VS Code)を整える。
[Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順
1. VS Code と拡張機能のインストール
以下のコマンドにより,既存の VS Code を削除し,全ユーザー共有の設定で再インストールしたうえで,拡張機能(VS Code に機能を追加するソフトウェア)をまとめて導入する.
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
インストールコマンド
REM ============================================================
REM Microsoft Visual Studio Code
REM ============================================================
winget uninstall -e --id Microsoft.VisualStudioCode --silent --disable-interactivity --accept-source-agreements
rmdir /s /q C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
rmdir /s /q "%APPDATA%\Code" 2>nul
rmdir /s /q "%USERPROFILE%\.vscode" 2>nul
rmdir /s /q "%LOCALAPPDATA%\Microsoft\vscode-update" 2>nul
REM VS Code をシステム領域に新規インストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM 全ユーザー共有の拡張機能フォルダ
mkdir C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
icacls "C:\ProgramData\vscode-extensions" /grant "Everyone:(OI)(CI)M" /T
REM スタートメニューのショートカットを --extensions-dir 付きで再作成
rmdir /s /q "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code" 2>nul
del "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk" 2>nul
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); $lnk.TargetPath='C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe'; $lnk.Arguments='--extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\"'; $lnk.Save()"
REM ショートカットの検証
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); Write-Host 'TargetPath:' $lnk.TargetPath; Write-Host 'Arguments:' $lnk.Arguments"
REM ファイル / フォルダ右クリックの「Code で開く」を登録
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\*\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\Background\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%V\"" /f
REM --extensions-dir 付きで起動する code.cmd ラッパを作成
REM (%* を echo で書くと対話的 cmd で失われるため、PowerShell で [char]37+'*' を書き出す)
powershell -NoProfile -Command "$pct=[char]37; $q=[char]34; $c='@echo off'+[char]13+[char]10+$q+'C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd'+$q+' --extensions-dir '+$q+'C:\ProgramData\vscode-extensions'+$q+' '+$pct+'*'+[char]13+[char]10; [IO.File]::WriteAllText('C:\ProgramData\vscode-extensions\vscode.cmd',$c,[Text.Encoding]::ASCII)"
REM 拡張機能のインストール
set "CODE=C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd"
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot-chat
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.python
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.vscode-pylance
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.debugpy
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension saoudrizwan.claude-dev
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension rust-lang.rust-analyzer
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension tamasfe.even-better-toml
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension anthropic.claude-code
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension almenon.arepl
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --list-extensions --show-versions
echo === セットアップ完了 ===
2. Python インタプリタの選択
同一マシンに複数の Python がインストールされている場合,VS Code で使用する Python 本体(インタプリタ:Python プログラムを解釈・実行するソフトウェア)を選択する必要がある.
- コマンドパレット(コマンド名で機能を呼び出す VS Code の入力欄)を開く(
Ctrl+Shift+P) Python: Select Interpreterと入力する
- 表示される一覧から,使用する Python(例:
C:\Program Files\Python312\python.exe)を選択する.
Python プログラム実行手順
[Windows での Python プログラム実行手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 実行手順(Visual Studio Codeを使用)
プログラムファイルの作成と保存
- 左サイドバーの「エクスプローラー」アイコン(
Ctrl+Shift+E)をクリックする
- 「NO FOLDER OPENED」(作業対象フォルダが未選択の状態)と表示される場合は,「Open Folder」をクリックし,プログラムを保存するフォルダを選択する
続いて「フォルダを信用するか」を確認する画面(フォルダ内のコードを実行してよいか確認する VS Code の仕組み)が表示されるので,チェックして Yes を選択する
- フォルダ名の右側に表示される「新しいファイル」アイコンをクリックする
- ファイル名(例:
aitask.py.ファイル名は何でも良い)を入力しEnterを押す.拡張子は.py(Python ファイルを示す拡張子)とする
- 実行したいコードを選択し,
Ctrl+Cでコピーする.VS Code のエディタ領域にCtrl+Vで貼り付ける Ctrl+Sで保存する
プログラムの実行
- エディタ右上の三角形「▷」アイコン(Run Python File:現在開いている Python ファイルを実行するボタン)をクリックする.または,エディタ上で右クリックし「ターミナルで Python ファイルを実行」を選択する
- VS Code 下部のターミナル(コマンドの入出力を表示する画面)に,実行結果(
print関数の出力等)が表示される
- tkinter(Python 標準の GUI ライブラリ)のファイル選択ダイアログを使うプログラムを実行した場合は,ダイアログが開くので対象画像を選択する
- VS Code 下部のターミナルで実行結果を確認する.OpenCV ウィンドウ(OpenCV が画像を表示するために開く専用ウィンドウ)が開いた場合はそちらも確認する.OpenCV ウィンドウは,マウスクリックでウィンドウをアクティブ(操作対象の状態)にしてからキーを押すと終了する
2. 必要なライブラリのインストール
Google Colaboratory では NumPy および Matplotlib がプリインストールされているため,追加のインストールは不要である。ローカル環境で実行する場合は,管理者権限でコマンドプロンプトを起動する
(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。起動したコマンドプロンプトで以下を実行する。
pip install -U --no-user numpy matplotlib
3. 実行のための準備と確認手順
プログラムファイルの準備
Google Colaboratory を使用する場合は,ブラウザで Google Colaboratory にアクセスし,新規ノートブックを作成して,ソースコードの章のコードを各セルに貼り付ける。ローカル環境で実行する場合は,ソースコードの章のコードをテキストエディタ(Visual Studio Code やメモ帳など)に貼り付けて保存する(文字コード:UTF-8)。
実行コマンド
Google Colaboratory では,各セルの実行ボタンをクリックするか,Shift + Enter キーでセルを実行する。ローカル環境では,コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を実行する(メモ帳を用いる場合は a.py のようなファイル名で保存して実行)。
python a.py
動作確認チェックリスト
| 確認項目 | 期待される結果 |
|---|---|
| データ生成コードの実行 | 20 行 2 列の数値配列が表示される |
| 生成データの値 | 平均ベクトル c = [5, 10] 付近を中心とした数値が出力される |
| 散布図の表示 | 20 個のデータ点が赤色でプロットされる |
| 軸ラベルの表示 | 横軸に「x1」,縦軸に「x2」が表示される |
| 凡例の表示 | 「Generated Data」の凡例が表示される |
4. 概要・使い方・実行上の注意
本プログラムは,numpy.random.multivariate_normal を用いて,指定した平均ベクトルと分散共分散行列に従う多変量正規分布からデータを生成する。平均ベクトルは分布の中心,分散共分散行列は各変数の広がりと変数間の相関を定める。
プログラムは2つのステップで構成される。第1ステップでは,データ数 N = 20,平均ベクトル c = [5, 10],分散共分散行列 corv = [[3, 2], [2, 8]] を設定し,numpy.random.multivariate_normal でデータを生成して配列 a に格納する。生成結果は print で出力される。なお,乱数を使用するため,実行のたびに具体的な数値は変わる。
第2ステップでは,生成した 20 個のデータを散布図としてプロットする。plt.scatter でデータ点を赤色で描画し,横軸に「x1」,縦軸に「x2」の軸ラベルを付与する。描画スタイルには ggplot(R の ggplot2 風の見た目を与える Matplotlib のスタイル)を使用する。
5. ソースコード
以下はデータ生成のソースコードである。平均ベクトルと分散共分散行列を定義し,多変量正規分布からデータを生成する。
import numpy as np
N = 20
c = [5, 10]
corv = [[3, 2], [2, 8]]
a = np.random.multivariate_normal(c, corv, N)
print(a)
以下は生成データの散布図を描画するソースコードである。データ生成のコードに続けて実行する。
import matplotlib.pyplot as plt
plt.style.use('ggplot')
plt.scatter(a[:, 0], a[:, 1], c='red', label='Generated Data')
plt.xlabel('x1')
plt.ylabel('x2')
plt.legend()
plt.show()
6. まとめ
- 多変量正規分布によるデータ生成:
numpy.random.multivariate_normalにより,指定した平均ベクトルと分散共分散行列に従うデータを生成できる。 - 分散共分散行列によるデータ特性の制御:分散共分散行列 corv を設定することで,生成データの分散と変数間の共分散を制御でき,本記事では corv = [[3, 2], [2, 8]] を使用した。
- 散布図による可視化:生成した 20 個のデータを
plt.scatterで散布図としてプロットし,分布の形状を確認した。描画スタイルにはggplotを使用した。 - Google Colaboratory の活用:Google Colaboratory では NumPy および Matplotlib がプリインストールされているため,追加のインストールなしにデータ生成と可視化を実行できる。