Ubuntu のライブ USB メモリに persistent 領域の作成(mkusb, Rufus)
はじめに
この記事では、Ubuntu のライブ USB メモリに Persistent(永続)領域 を作成する手順を説明します.Persistent 領域を作成すると、ライブ USB 環境で行った設定変更、インストールしたソフトウェア、作成したファイルなどを、再起動後も保持できます.
かつて使われていた PDL Casper RW Creator は開発が終了しており、公式の配布元がありません.現在 Persistent 領域を作成する場合は、Ubuntu 上で動作する mkusb、または Windows 上で動作する Rufus を使用します.この記事では、その両方の手順を説明します.
1. Persistent 領域の仕組み
Ubuntu のライブ環境は casper という仕組みで動作します.通常のライブ USB では、ファイルシステムへの変更はメモリ上(tmpfs)にだけ書かれ、電源を切ると失われます.
Persistent 領域は、casper-rw または writable というラベルを付けた ext4 のパーティション(あるいは同名のファイル)です.カーネルの起動パラメータに persistent が指定されていると、casper はこの領域を上書き用の書き込み層として使用し、ライブ環境での変更内容がここに保存されます.
2. 準備するもの
- USB メモリ: 容量 16 GB 以上を推奨します.ライブイメージ本体が数 GB を占めるため、8 GB では Persistent 領域をほとんど確保できません.
- Ubuntu の ISO イメージファイル: https://ubuntu.com/download/desktop からダウンロードします.長期サポート版は Ubuntu 26.04 LTS(2026年4月リリース、2031年4月までサポート)と Ubuntu 24.04 LTS です.
- バックアップ: 作業対象の USB メモリの内容は消去されます.必要なデータは事前に別の場所へ退避してください.
USB メモリの選択は慎重に行ってください.外付け HDD などを誤って選択すると、そのデバイスのデータが消去されます.デバイス名と容量を確認し、作業対象以外の USB デバイスは取り外してから作業してください.
3. Ubuntu 上で mkusb を使う手順
mkusb は、Persistent 領域付きのライブ USB メモリを作成する Ubuntu 用のツールです.
- mkusb のインストール
端末で次のコマンドを実行します.
sudo add-apt-repository universe sudo add-apt-repository ppa:mkusb/ppa sudo apt update sudo apt -y install mkusb mkusb-nox usb-pack-efi* PPA が使用中の Ubuntu のバージョンに対応していない場合は、対応する版が公開されるまで待つか、Windows 環境で Rufus を使う方法を選びます.
- USB メモリを接続する
Persistent 領域を作成する USB メモリを接続します.接続されているデバイスは、端末で次のコマンドを実行して確認できます.
lsblk - mkusb の起動
端末で次のコマンドを実行します.パスワードを聞かれたら、自分のパスワードを入力します.
sudo -H mkusb - 動作の選択
メニューで「i Install (make a boot device)」を選びます.次に「p 'Persistent live' - only Debian and Ubuntu」を選びます.
- ISO イメージファイルの選択
ダウンロードした Ubuntu の ISO イメージファイルを選びます.
- 書き込み先の USB メモリの選択
一覧から、書き込み先の USB メモリを選びます.デバイス名と容量を確認し、作業対象の USB メモリであることを確認してから選びます.
- Persistent 領域のサイズの指定
USB メモリの残り容量のうち、Persistent 領域に割り当てる割合をパーセントで指定します.初期値は 50 % です.設定とアプリケーションを保存する用途では、数 GB 以上を確保します.
- 書き込みの実行
確認画面で「Go」を選ぶと、書き込みが始まります.完了するまで USB メモリを取り外さないでください.
完了すると、USB メモリには usbboot(ライブイメージ)、usbdata(他の OS からも読み書きできる領域)、casper-rw(Persistent 領域)のパーティションが作成されます.
4. Windows 上で Rufus を使う手順
Rufus は、Windows 上で起動可能な USB メモリを作成するツールです.Persistent 領域の作成に対応しています.
- Rufus のダウンロード
https://rufus.ie/ から、最新版をダウンロードします.
* Ubuntu 側のカーネル起動パラメータの変更に伴い、Persistent 領域の扱いは Rufus の更新で修正されてきました(例:Rufus 4.5 で Ubuntu 24.04 LTS の Persistent 領域の作成が修正されています).新しいバージョンの Ubuntu を使う場合は、最新版の Rufus を使用します.
- USB メモリを接続する
Persistent 領域を作成する USB メモリを接続します.
- Rufus の起動
ダウンロードした Rufus の .exe ファイルを実行します.
- デバイスの選択
「デバイス」の欄で、書き込み先の USB メモリを選びます.デバイス名と容量を確認し、作業対象の USB メモリであることを確認してから選びます.
- ISO イメージファイルの選択
「選択」をクリックし、ダウンロードした Ubuntu の ISO イメージファイルを指定します.
- Persistent 領域のサイズの指定
「永続パーティションのサイズ」のスライダーで、Persistent 領域のサイズを指定します.0 にすると Persistent 領域は作成されません.
- 書き込みの実行
「スタート」をクリックします.書き込みモードを選ぶダイアログが表示された場合は「ISO イメージモードで書き込む」を選びます.USB メモリのデータが消去される旨の確認が表示されるので、対象を確認してから続行します.
進捗バーが「準備完了」になるまで、USB メモリを取り外さないでください.
5. 起動と動作の確認
- 作成した USB メモリを接続し、PC の起動デバイスとして USB メモリを選んで起動します.
- ブートメニューでは、Persistent 領域を使う項目(Ubuntu を通常起動する項目)を選びます.
- ライブ環境で、デスクトップに適当なファイルを作成する、設定を変更するなどの操作を行います.
- 再起動し、同じ USB メモリで起動して、変更が保持されていることを確認します.
6. Persistent 領域の制限事項
Persistent 領域を使うライブ USB には、次の制限があります.
- ユーザアカウントの追加作成やセッションの切り替えができない場合があります.複数ユーザで使い分ける必要がある場合は、USB メモリへの完全インストール(Full Install)を行います.
- USB メモリの読み書き速度が内蔵ストレージより遅いため、起動とシャットダウンに時間がかかります.USB 3.0 以上のポートと、ランダムアクセス性能の高い USB メモリまたは外付け SSD を使うと改善します.
- Persistent 領域への書き込みが繰り返されるため、安価な USB メモリでは寿命が短くなります.常用する場合は、外付け SSD への完全インストールを検討します.
- カーネルやブートローダの更新は、ライブイメージ側(読み取り専用)には反映されません.新しいバージョンを使う場合は、USB メモリを作り直します.
7. セキュリティに関する注意
Persistent 領域には、個人設定、ログイン情報、ダウンロードしたファイルなどが保存されます.USB メモリを紛失・盗難した場合、内容を読み取られる可能性があります.重要な情報を扱う場合は、Persistent 領域に保存するデータを暗号化してください.具体的には、Ubuntu の「ディスク」アプリや cryptsetup を用いて LUKS 暗号化した領域を別に作成し、そこに保存する方法があります.