Blenderで、テクスチャ・ペインティング (Texture Painting) を行う

【概要】Blenderでのテクスチャ・ペインティング(3Dモデルの表面に直接色や模様を描き込む機能)の手順を説明する。立体の作成、テクスチャ画像の新規作成、マテリアル設定、写真を活用したテクスチャ作成までの一連の流れを、スクリーンショットを用いて解説する。Blenderは3次元コンピュータグラフィックス・アニメーションソフトウェアであり、立体の編集、レンダリング、ライトやカメラの設定などの機能を持つ。

【目次】

  1. 前準備
  2. Blenderの基本操作のまとめ
  3. テクスチャ・ペインティング (Texture Painting) を学ぶ
  4. 写真を手がかりとした、テクスチャ・ペインティングの手順を学ぶ
  5. 全体まとめ

テクスチャ画像の作成・編集は、BlenderのテクスチャペイントモードでPaint行う。このとき、画像ファイルをBlenderの中で重ね合わせ表示し、画像ファイルの中の画素の色をテクスチャ画像に写し取ることができる。画像ファイルは写真撮影などで得られるが、撮影時に斜めから撮影している場合には、正面画像に変換してから使う。

テクスチャペイントの例
完成したテクスチャペイント

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前準備

Blenderのインストール

【Blenderのインストール】

メニューの日本語化を行っておくと使いやすい。

Blenderの基本操作のまとめ

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テクスチャ・ペインティング (Texture Painting) を学ぶ

2つの立体(立方体と平面)の作成

テクスチャ・ペインティング(3Dモデルの表面に直接色や模様を描き込む機能)を行う。そのために2つの立体(立方体と平面)を作成する。

立方体と平面
  1. カーソルを別の場所に移動する。カーソルの移動は、ツールバーのカーソルツールでできる。カーソルツールを選んだ後で、左クリックする。
    カーソルツールの選択
  2. 平面を追加する。平面の追加(新規作成)は、メニューでできる。[SHIFT] + aキーでもできる。
    平面の追加
  3. 平面を選択する。選択は、マウスの左クリックである。左クリックで選択できないときは、ツールバーの選択ツールを選んだ後で、左クリックする。
    平面の選択
  4. 平面を拡大縮小する。拡大縮小(スケール)ツールを利用する。拡大縮小ツールへの切り替えは、sキーでもできる。
    平面の拡大縮小
  5. 平面を移動する。平面は、立方体の下になるようにする。移動ツールを利用する。移動ツールへの切り替えは、gキーでもできる。
    平面の移動

    以上で、2つの立体(立方体と平面)の作成ができた。

テクスチャ・ペインティングを行ってみる

次の設定を行いながら、テクスチャ・ペインティングと、レンダープレビュー画面(3Dモデルの最終的な表示結果をリアルタイムでプレビューする機能)での確認を行う。

  1. テクスチャ画像を作成する。
  2. そして、立体のテクスチャスロットに、作成したテクスチャ画像を設定する。
  3. 立体のマテリアルとして、作成したテクスチャ画像を設定する。
テクスチャペイント完成例
  1. 立方体を選択する。選択は、マウスの左クリックである。左クリックで選択できないときは、ツールバーの選択ツールを選んだ後で、左クリックする。
    立方体の選択
  2. これから立方体で作業することとし、作業するオブジェクト以外は非表示にする。表示、非表示はアウトライナー(シーン内のすべてのオブジェクトを階層表示するパネル)で行うことができる。「平面」の右横の、「ビューポートで隠す」をクリックする。
    平面を非表示に設定
  3. Blenderのワークスペース(特定の作業に適したツールとレイアウトの組み合わせ)を「テクスチャペイント (Texture Paint)」に変える。
    ワークスペースの切り替え
  4. 「テクスチャ・ペイント (Texture Paint)」のワークスペースに変わるので確認する。
    テクスチャペイントワークスペース

    左側の画面は、画像エディタ (Image Editor: 画像の編集や作成を行うためのエディタ) になっている。

    画像エディタ

    立方体の表面の展開図が自動作成される。

    UV展開図
  5. 画像エディタのモードは、ペイントモード (paint mode: 画像に直接ペイントを行うためのモード) になっていることを確認する。
    ペイントモードの確認
  6. 次の手順で、テクスチャ画像(3Dオブジェクトの表面に適用するための2D画像)を新規作成する。後で、テクスチャ・ペインティングに使う。
    1. 新規をクリックする。
      新規ボタンをクリック
    2. 分かりやすい名前を英語で付ける。
      画像名の入力
    3. 幅、高さ、ベースカラーを設定する。
      画像設定
    4. 今回は、Alphaは不要なので、チェックを外す。「OK」をクリックする。
      Alpha設定とOKボタン
    5. テクスチャ画像ができるので確認する。
    作成されたテクスチャ画像
  7. 画像エディタのモードは、ペイントモードになっている。左側の画面で、マウスを使いテクスチャ画像にペイントができることを確認する。
    ペイント操作
  8. 次の手順で、テクスチャ画像を設定する。
    1. まず、「テクスチャ」を選ぶ。その後、テクスチャが未設定の場合には「新規」をクリックする。
      テクスチャの新規作成
    2. タイプが「画像または動画」になっていることを確認する。
      タイプの確認
    3. テクスチャ画像(テクスチャ・ペインティングのために作成した画像)を選ぶ。
      テクスチャ画像の選択
    4. これで、両方の画面でテクスチャ・ペイントができるようになったので確認する。右側の画面でも、マウスによるペイント操作ができるようになる。右側の画面と左側の画面は連動する。
      両画面での連動
  9. 次の手順で、立方体のマテリアル(オブジェクトの表面特性を定義する設定)として、作成したテクスチャ画像を設定する。
    1. プロパティの画面で、「マテリアルプロパティ」をクリックする。
      マテリアルプロパティ
    2. 下のように「新規 (New)」のボタンが表示されるときは、新規 (New) をクリックする。
      新規マテリアル
    3. マテリアルプロパティの画面が表示される。
      マテリアルプロパティ画面
    4. 「ベースカラー」(Blender 4では「基本色」とも表示される)の左横の「○」をクリックする。
      ベースカラーの設定
    5. 「画像テクスチャ」を選ぶ。
      画像テクスチャの選択
    6. 下図のように操作して、テクスチャ画像(テクスチャ・ペインティングのために作成した画像)を選ぶ。
      テクスチャ画像の割り当て
  10. レンダープレビューモード(リアルタイムでレンダリング品質を確認できるモード)で確認する。レンダープレビューモードへの切り替えは、メニューでできる。右上のビューポートシェーディングメニューからも切り替え可能である。
    レンダープレビューへの切り替え

    レンダープレビューモードが行われる。

    レンダープレビュー結果

演習

平面にもテクスチャ・ペインティングを行ってみなさい。このときテクスチャ・ペイント画面では、新しい画像を作成すること。

平面へのテクスチャペイント

写真を手がかりとした、テクスチャ・ペインティングの手順を学ぶ

テクスチャ画像の準備(写真からテクスチャを作成する方法)

  1. 写真を撮影する。
  2. 画像を、正面画像に補正する。PixTOPOによるpixFrontでの作業の様子を下に示す。
    正面画像への補正
  3. 正面画像は、door.pngのような分かりやすいファイル名で保存しておく。

このあとの演習には、この画像ファイルをダウンロードして利用する。

door.png

ドアの正面画像

直方体の準備

テクスチャ・ペインティング (Texture Painting) の体験のため、次のサイズの直方体の作成を行う。サイドバーで、寸法を指定しながら作成する。

  1. Blenderを新しく起動する。
  2. 次の手順で、サイドバーを使用して、寸法を直接指定する。
    1. まず、サイドバーを表示する。サイドバーの表示、非表示は、画面右側の縦線をクリックしてできる。nキーでもできる。右上のメニューからも「サイドバー」を選択して表示できる。選択は、マウスの左クリックである。左クリックで選択できないときは、ツールバーの選択ツールを選んだ後で、左クリックする。
      サイドバーの表示
    2. サイドバーで寸法を指定する。
      • X: 0.03 m
      • Y: 0.95 m
      • Z: 2 m
      寸法の指定
    3. この結果、「拡大縮小」の値が、変化する。このままでは困るので、次の操作で「拡大縮小」の値を「1」に設定する。立体を選択する。
      立体の選択

      [CTRL] + aで、メニューを出し、「スケール」を選ぶ。

      スケールの適用

      拡大縮小と、寸法が設定されるので確認する。

    以上で、直方体の準備ができた。

テクスチャ・ペインティングの設定を行う(直方体用)

テクスチャ・ペインティングのための次の設定を行う。

  1. テクスチャ画像を作成する。
  2. そして、立体のテクスチャスロットに、作成したテクスチャ画像を設定する。
  3. 立体のマテリアルとして、作成したテクスチャ画像を設定する。
直方体へのテクスチャペイント
  1. 直方体を選択する。選択は、マウスの左クリックである。左クリックで選択できないときは、ツールバーの選択ツールを選んだ後で、左クリックする。
    直方体の選択
  2. Blenderのワークスペースを「テクスチャペイント (Texture Paint)」に変える。
    ワークスペースの切り替え
  3. 「テクスチャ・ペイント (Texture Paint)」のワークスペースに変わるので確認する。
    テクスチャペイントワークスペース
  4. 次の手順で、テクスチャ画像を新規作成する。
    1. 新規をクリックする。
      新規ボタン
    2. 分かりやすい名前を英語で付ける。
      画像名の入力
    3. 幅、高さ、ベースカラーを設定する。
      画像設定
    4. Alphaは不要なので、チェックを外す。「OK」をクリックする。
      Alpha設定とOK
    5. テクスチャ画像ができるので確認する。
      作成された画像
  5. 次の手順で、立体のDrawプロパティのテクスチャに、作成したテクスチャ画像を設定する。
    1. テクスチャ (texture) で、モードを、「マテリアル」から「単一画像」に変更する。
      単一画像モードへの変更
    2. テクスチャ画像(テクスチャ・ペインティングのために作成した画像)を選ぶ。
      テクスチャ画像の選択
    3. これで、両方の画面でテクスチャ・ペイントができるようになったので確認する。右側の画面でも、マウスによるペイント操作ができるようになる。右側の画面と左側の画面は連動する。
      両画面での連動確認
  6. 次の手順で、直方体のマテリアルとして、作成したテクスチャ画像を設定する。
    1. プロパティの画面で、「マテリアルプロパティ」をクリックする。
      マテリアルプロパティ
    2. 下のように「新規 (New)」のボタンが表示されるときは、新規 (New) をクリックする。
      新規マテリアル
    3. マテリアルプロパティの画面が表示される。
      マテリアルプロパティ画面
    4. 「ベースカラー」(Blender 4では「基本色」とも表示される)の左の「●」をクリックする。
      ベースカラー設定
    5. 「画像テクスチャ」を選ぶ。
      画像テクスチャの選択
    6. テクスチャ画像(テクスチャ・ペインティングのために作成した画像)を選ぶ。
      テクスチャ画像の割り当て
  7. レンダープレビューモードで確認する。レンダープレビューモードへの切り替えは、メニューでできる。
    レンダープレビューへの切り替え

    レンダープレビューモードが行われる。

    レンダープレビュー結果

画像ファイルを、半透明で、3Dビューポート内に表示(マスク機能を使用)

  1. マスク(参照用の画像を3D空間に重ねて表示する機能)により、画像ファイルを、半透明で、3Dビューポート内に表示する。
  2. テクスチャ・ペイントにより、画像ファイルの中の画素をテクスチャ画像に取り込む。
    マスク表示とペイント
  1. 次の手順で、マスクの機能により、画像ファイルを、半透明で、3Dビューポート内に表示する。
    1. プロパティの画面で、「テクスチャ」をクリックする。
      テクスチャプロパティ
    2. 下のように「新規 (New)」のボタンが表示されるときは、新規 (New) をクリックする。
      新規テクスチャ
    3. 「画像」の下の「開く」をクリックする。
      画像を開く
    4. 半透明で表示したい画像ファイルを選ぶ。ここでは、door.pngを用いている。
      画像ファイルの選択
    5. プロパティの画面で、「Draw」(描画設定)をクリックする。「Draw」が選べないというときは、Blenderのワークスペースを「テクスチャペイント (Texture Paint)」に変えること。右側のパネルにある「ツール」タブから「描画」設定にアクセスすることもできる。
      Draw設定
    6. 「テクスチャ」を展開する。
      テクスチャの展開
    7. マッピング(テクスチャの適用方法)は、「マスク」を選ぶ。
      マスクマッピングの選択
    8. 画像ファイルが表示されるので確認する。
      マスク表示の確認
    9. アスペクト比の調整のため「画像アスペクト比率 (Image Aspect)」をクリックする。
      アスペクト比の調整
  2. マスク表示されている画像を操作し、画像と直方体を合わせる。
    • 右ドラッグで移動する。
      画像の移動
    • [SHIFT] + 右ドラッグで拡大縮小も行いながらあわせる。
      画像の拡大縮小
  3. 右側の画面で、マウスの左ボタンを押しながらマウスを動かすと、画像データがテクスチャに取り込まれる。テクスチャに取り込まれたことは、左側の画面で確認できる。
    テクスチャへのペイント
  4. レンダープレビューモードで確認する。レンダープレビューモードへの切り替えは、メニューでできる。
    レンダープレビューでの確認

演習

今の、直方体の裏面について、テクスチャ画像ファイルを裏返した後、テクスチャ・ペインティングを行いなさい。

まず、直方体を裏返す。

直方体を裏返す

半透明表示されているテクスチャ画像も裏返す。そのためには、「サイズX」を「-1」に設定する。

画像を裏返す

そして作業を続ける。作業しながら、レンダリングのプレビューで確認する。

裏面のテクスチャペイント完成

演習

MakeHumanからエクスポートし、Blenderでインポートしたとき、顔と手については、マテリアルが未設定である。

MakeHumanモデル

顔について、テクスチャペイントの機能を使って、自分の顔写真をペイントしてみなさい。数分程度の作業でも次のように、肌色を設定できる。

顔のテクスチャペイント

全体まとめ