Python で SWIG を使ってみる
1. エグゼクティブサマリー
https://www.swig.org/Doc4.3/Python.html#Python_nn6 に記載のサンプルプログラムを用いて,SWIG の基本的な使い方を確認する.C 言語で実装した階乗関数 fact および最大公約数関数 gcd に対して SWIG インターフェースファイルを作成し,setuptools で Python 拡張モジュールをビルドし,Python から C 関数を呼び出す一連の手順を示す.
2. 前準備(必要ソフトウェアの入手)
ここでは、最低限の事前準備について説明する。機械学習や深層学習を行う場合は、NVIDIA CUDA、Visual Studio、Cursorなどを追加でインストールすると便利である。これらについては別ページ https://www.kkaneko.jp/cc/dev/aiassist.htmlで詳しく解説しているので、必要に応じて参照してください。
Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法1:winget によるインストール
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_pip=1 Include_test=0 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
方法2:インストーラーによるインストール
- Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
AIエディタ Windsurf のインストール(Windows 上) [クリックして展開]
Pythonプログラムの編集・実行には、AIエディタの利用を推奨する。ここでは、Windsurfのインストールを説明する。Windsurf がインストール済みの場合、この手順は不要である。
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。
winget install --scope machine --id Codeium.Windsurf -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --custom "/SP- /SUPPRESSMSGBOXES /NORESTART /CLOSEAPPLICATIONS /DIR=""C:\Program Files\Windsurf"" /MERGETASKS=!runcode,addtopath,associatewithfiles,!desktopicon"
powershell -Command "$env:Path=[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine')+';'+[System.Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','User'); windsurf --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja --force; windsurf --install-extension ms-python.python --force; windsurf --install-extension Codeium.windsurfPyright --force"
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。
【関連する外部ページ】
Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
必要なライブラリのインストール [クリックして展開]
管理者権限のコマンドプロンプトで以下を実行する.管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには,Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し,表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する.
pip install -U setuptools
3. 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)
3.1 プログラムファイルの準備
第5章に掲載する4つのソースコードをテキストエディタ(メモ帳,Windsurf 等)にそれぞれ貼り付け,以下のファイル名で同一ディレクトリに保存する(文字コード:UTF-8).
example.i(SWIG インターフェースファイル)example.c(C 言語ソースファイル)example.h(C 言語ヘッダファイル)setup.py(ビルド設定ファイル)
3.2 実行コマンド
コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を順に実行する.
swig -python example.i
python setup.py build_ext --inplace
ビルド完了後,Python を起動してモジュールの動作を確認する.
python
Python の対話モードで以下を入力する.
import example
print(example.fact(4))
print(example.gcd(12, 8))
3.3 動作確認チェックリスト
| 確認項目 | 期待される結果 |
|---|---|
swig -python example.i の実行 | example_wrap.c と example.py が生成される |
python setup.py build_ext --inplace の実行 | 共有ライブラリ(_example.pyd 等)が生成される |
print(example.fact(4)) の実行 | 24 が表示される |
print(example.gcd(12, 8)) の実行 | 4 が表示される |
4. 概要・使い方・実行上の注意
本記事では,SWIG 公式ドキュメントのサンプルプログラムを用いる.各ファイルの役割は以下のとおりである.
- example.i:SWIG インターフェースファイル.
%module exampleでモジュール名を指定し,Python に公開する C 関数(fact,gcd)を宣言する. - example.c:C 言語ソースファイル.階乗を計算する
fact関数と,ユークリッドの互除法で最大公約数を計算するgcd関数を実装している. - example.h:C 言語ヘッダファイル.
fact関数とgcd関数のプロトタイプ宣言を記載している. - setup.py:
setuptoolsによるビルド設定ファイル.Extensionで拡張モジュール_exampleを定義し,example_wrap.cとexample.cをソースファイルに指定する.
ビルドは2段階で行う.まず swig -python example.i で,SWIG がラッパーコード example_wrap.c と Python モジュールファイル example.py を生成する.次に python setup.py build_ext --inplace で,setuptools が C コンパイラを呼び出して共有ライブラリをビルドし,カレントディレクトリに配置する.
ビルド完了後,Python から import example を実行すると,C 関数を Python 関数として呼び出せる.ソースコードは第5章に掲載する.
5. ソースコード
example.i(SWIG インターフェースファイル)
%module example
%{
#include "example.h"
%}
int fact(int n);
int gcd(int x, int y);
example.c(C 言語ソースファイル)
#include "example.h"
int fact(int n) {
if (n == 0) return 1;
return n * fact(n - 1);
}
int gcd(int x, int y) {
if (y == 0) return x;
return gcd(y, x % y);
}
example.h(C 言語ヘッダファイル)
int fact(int n);
int gcd(int x, int y);
setup.py(ビルド設定ファイル)
from setuptools import setup, Extension
example_module = Extension('_example', sources=['example_wrap.c', 'example.c'])
setup(name='example',
version='0.1',
ext_modules=[example_module],
py_modules=['example'])
Python 実行例
import example
print(example.fact(4))
print(example.gcd(12, 8))
6. まとめ
SWIG インターフェースファイル
SWIG インターフェースファイル(.i)で %module によりモジュール名を指定し,Python に公開する C 関数を宣言する.このファイルがラッパーコード生成の起点となる.
C 関数の Python からの呼び出し
C 言語で実装した fact 関数や gcd 関数を,import example のあとに example.fact(4) のように Python 関数として呼び出せる.
setuptools によるビルド
setup.py で setuptools の Extension を用いて拡張モジュールを定義し,python setup.py build_ext --inplace で共有ライブラリをビルドする.
2段階のビルド手順
swig -python example.i でラッパーコードと Python モジュールファイルを生成し,python setup.py build_ext --inplace で共有ライブラリをビルドする.この2段階の操作で Python から C 関数を利用可能になる.