NCCL のインストール(Windows 上)
Windows上でNCCL(NVIDIA Collective Communications Library)をインストールする手順を説明している.主な手順としては,GitHubからのソースコードのクローン,Visual Studioを使用したプロジェクトの再ターゲット,x64 Native Toolsコマンドプロンプトを用いたビルド,そしてシステム環境変数へのパス追加である.インストールでは,Visual Studioでのプロジェクト設定や,CUDAツールキットとの連携に関して注意する必要がある.また,ビルド時に発生する可能性のあるエラーとその解決方法についても説明している.インストールの各ステップについて,具体的なコマンドラインの操作を示している.インストールは,管理者権限で行う.
前準備
Visual Studio Community 2022 のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
次のコマンドを実行
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- インストールコマンドの実行
winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC" winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
インストールされるコンポーネントの説明:
NativeDesktop
:C++によるデスクトップアプリケーション開発のためのワークロード一式NativeDesktop.Core
:C++デスクトップ開発に必要な基本コンポーネント群VC.CLI.Support
:マネージドコードとネイティブコードの統合開発を可能にするC++/CLIサポートCoreEditor
:コード編集,デバッグ,検索などの基本機能を提供するVisual StudioのコアエディタNuGet
:.NETライブラリの依存関係を管理するパッケージ管理システムWindows.SDK.Latest
:Windows 向けアプリケーション開発用SDK(Software Development Kit)VC.Tools.x86.x64
:32ビット及び64ビット向けC++コンパイラとビルドツールVC.ATL
:Windowsコンポーネント開発用のActive Template LibraryVC.ATLMFC
:デスクトップアプリケーション開発用のMicrosoft Foundation Class Library
システム要件と注意事項:
- 管理者権限でのインストールが必須
- 必要ディスク容量:10GB以上
- 推奨メモリ:8GB以上のRAM
- インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性がある
- 安定したインターネット接続環境が必要
追加のコンポーネントが必要な場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能である.
- インストール完了の確認
winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
トラブルシューティング:
インストール失敗時は,以下のログファイルを確認:
%TEMP%\dd_setup_<timestamp>.log %TEMP%\dd_bootstrapper_<timestamp>.log
- Visual Studio での C++ によるデスクトップ開発,CLI のインストール(Windows 上)
- Visual Studio Installer の起動
起動方法: スタートメニューの「Visual Studio Installer」を選ぶ.
- Visual Studio Community 2022 で「変更」を選ぶ.
- 「C++ によるデスクトップ開発」をチェック.そして,画面右側の「インストール」の詳細で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」をチェックする.その後,「インストール」をクリック.
- Visual Studio Installer の起動
NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)
NVIDIA ドライバ
NVIDIA ドライバは,NVIDIA製GPUを動作させるための重要なソフトウェアである.このドライバをインストールすることにより,GPUの性能を引き出すことができ,グラフィックス関連のアプリ,AI関連のアプリの高速化が期待できる.
ドライバはNVIDIA公式サイトである https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp からダウンロードできる.このサイトからダウンロードするときには,グラフィックスカードとオペレーティングシステムを選択する. なお,NVIDIA GeForce Experiance を用いてインストールすることも可能である.
【サイト内の関連ページ】
- NVIDIA グラフィックス・ボードの確認
Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロード
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる.
- ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)
NVIDIA CUDA ツールキットのインストール時の注意点
NVIDIAのGPUを使用して並列計算を行うためのツールセット
主な機能: GPU を利用した並列処理,GPU のメモリ管理,C++をベースとした拡張言語とAPIとライブラリ
【NVIDIA CUDA ツールキットの動作に必要なもの】
- CUDA対応のNVIDIA GPUが必要.
そのために,NVIDIA グラフィックス・ボードを確認する. Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロードとインストール
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる. ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
- Windows では,インストール前に,Build Tools for Visual Studio もしくは Visual Studio をインストールしておくことが必要である.
【Windows でインストールするときの注意点】
- Windows では, NVIDIA CUDA ツールキットのインストール中は,なるべく他のウインドウはすべて閉じておくこと.
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
【関連する外部ページ】
- NVIDIA CUDA ツールキットのアーカイブの公式ページ: https://developer.nvidia.com/cuda-toolkit-archive
- NVIDIA CUDA ツールキット の公式のドキュメント: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-installation-guide-linux/index.html
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールに関する,NVIDIA CUDA クイックスタートガイドの公式ページ: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-quick-start-guide/index.html
【関連項目】 NVIDIA CUDA ツールキット, NVIDIA CUDA ツールキット 12.5 のインストール(Windows 上), NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)
- Windows では,NVIDIA CUDA ツールキットのインストール中は,なるべく他のウインドウはすべて閉じておくこと.
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- 次のコマンドを実行
次のコマンドは,NVIDIA GeForce Experience,NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 をインストールするものである.
wmic path win32_VideoController get name winget install --scope machine Nvidia.CUDA --version 11.8 powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"CUDA_HOME\", \"C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\", \"Machine\")"
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
NVIDIA cuDNN 8.9.7 のインストール(Windows 上)
NVIDIA cuDNN
NVIDIA cuDNN は,NVIDIA CUDA ツールキット上で動作する、高性能なディープラーニング用ライブラリです.畳み込みニューラルネットワーク (CNN) やリカレントニューラルネットワーク (RNN) など,さまざまなディープラーニングモデルのトレーニングと推論を高速化します.
【cuDNN利用時の注意点: zlibwapi.dll エラー】
Windows環境でcuDNNを利用するアプリケーションを実行した際に、「Could not locate zlibwapi.dll. Please make sure it is in your library path!」というエラーが表示されることがあります。これは、cuDNNの一部の機能が圧縮ライブラリである zlib
に依存しているためです。このエラーが発生した場合は、後述する手順で ZLIB DLL をインストールする必要があります。
【関連する外部ページ】
- NVIDIA cuDNN の公式ページ(ダウンロードにはDeveloper Programへの登録が必要): https://developer.nvidia.com/cudnn
NVIDIA cuDNN のインストール(Windows 上)の概要
- NVIDIA Developer Program メンバーシップへの加入: cuDNNのダウンロードには無料のメンバーシップ登録が必要です。
NVIDIA Developer Program の公式ページ: https://developer.nvidia.com/developer-program
- 互換バージョンの選択とダウンロード: インストール済みのCUDAツールキットのバージョン (今回は11.x) に適合するcuDNNのバージョン (今回はv8.9.7) を選択し、Windows用のzipファイルをダウンロードします。
- ファイルの展開と配置: ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)し、中のファイル(
bin
,include
,lib
フォルダ内)を、CUDAツールキットのインストールディレクトリにコピーします。 - (オプション) 環境変数の設定: 必要に応じてシステム環境変数
CUDNN_PATH
を設定します。 - (必要に応じて) ZLIB DLL のインストール:
zlibwapi.dll
が見つからないエラーが発生する場合にインストールします。 - 動作確認: cuDNNライブラリ (
cudnn64_*.dll
) にパスが通っているか確認します。
zlib のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- 次のコマンドを実行
次のコマンドは,zlibをインストールし,パスを通すものである.
cd /d c:%HOMEPATH% rmdir /s /q zlib git clone https://github.com/madler/zlib cd zlib del CMakeCache.txt rmdir /s /q CMakeFiles\ cmake . -G "Visual Studio 17 2022" -A x64 -T host=x64 -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=c:/zlib cmake --build . --config RELEASE --target INSTALL powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\zlib\bin\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")" powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"ZLIB_HOME\", \"C:\zlib\", \"Machine\")"
【関連する外部ページ】
- zlib の公式ページ: https://www.zlib.net/
【関連項目】 zlib
NVIDIA cuDNN 8.9.7 のインストール(Windows 上)
- NVIDIA cuDNN のウェブページを開く
- ダウンロードしたいので,cuDNNのところにある「Download cuDNN」をクリック.
- cuDNN Downloads のページで「Archive of Previous Releases」をクリック
- 「cuDNN 8.x - 1.x」をクリック
- ダウンロードしたいバージョンを選ぶ
ここでは「NVIDIA cuDNN v8.9.7 for CUDA 11.x」を選んでいる.
このとき,画面の「for CUDA ...」のところを確認し,使用するNVIDIA CUDA のバージョンに合うものを選ぶこと.
- Windows にインストールするので Windows 版を選ぶ
- NVIDIA Developer Program メンバーシップに入る
NVIDIA cuDNN のダウンロードのため.
「Join now」をクリック.その後,画面の指示に従う. 利用者本人が,電子メールアドレス,表示名,パスワード,生年月日を登録.利用条件等に合意.
- ログインする
- 調査の画面が出たときは,調査に応じる
- ライセンス条項の確認
- ダウンロードが始まる.
- ダウンロードした .zip ファイルを展開(解凍)する.
その中のサブディレクトリを確認しておく.
- NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリを確認する.「C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8」のようになっている.
- 確認したら,
さきほど展開してできたすべてのファイルとディレクトリを,NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリにコピーする
- パスが通っていることを確認.
次の操作により,cudnn64_8.dll にパスが通っていることを確認する.
Windows のコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する.エラーメッセージが出ないことを確認.
where cudnn64_8.dll
- Windows の システム環境変数 CUDNN_PATH の設定を行う.
Windows では,
コマンドプロンプトを管理者として開き,
次のコマンドを実行することにより,
システム環境変数 CUDNN_PATH の設定を行うことができる.
コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明
powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"CUDNN_PATH\", \"C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\", \"Machine\")"
NCCL のインストール(Windows 上)
https://github.com/MyCaffe/NCCLを使用.
の説明に従い,インストールを行う.
「再ターゲットの終了: 完了 1、失敗 0、スキップ 0」と表示されるので確認する.
起動は,Windows のメニューで「Visual Studio 20..」の下の「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」を選ぶ.「x64」は,64ビット版の意味である.
Windows のシステム環境変数 Path に c:\NCCL\windows\x64\Debug を追加することにより,パスを通す.
Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
次のコマンドを実行
WindowsでのNCCLのソースコードからのインストールとシステム設定の手順を説明.
cd c:\
rmdir /s /q NCCL
git clone https://github.com/MyCaffe/NCCL
cd c:\NCCL
cd windows
nccl.11.8.vcxproj
cd c:\
cd NCCL
msbuild windows\nccl.11.8.vcxproj /p:Platform=x64
copy "C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\extras\visual_studio_integration\MSBuildExtensions\*.*" "C:\Program Files\Microsoft Visual Studio\2022\Community\MSBuild\Microsoft\VC\v170\BuildCustomizations"
powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\NCCL\windows\x64\Debug\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"