Blender 最新版のインストール(ソースコードを使用)(Ubuntu 上)

Blenderは,3次元コンピュータグラフィックス・アニメーションソフトウェア. 3次元モデルの編集,レンダリング,光源やカメラ等を設定しての3次元コンピュータグラフィックス・アニメーション作成機能がある.

このページでは,Blender の開発版(main ブランチ)または任意のリリースブランチのソースコードを取得し,Ubuntu 上でビルドする手順を説明する. ビルドには数十分から数時間を要し,ソースコードとライブラリ,ビルド生成物を合わせて数十 GB のディスク容量を使用する. ビルドを行わずに Blender を使う場合は,Blender 公式サイトが配布するビルド済みバイナリを用いる方法がある(別ページ »で説明).

目次

  1. 前準備
  2. Blender 最新版のインストール(ソースコードを使用)(Ubuntu 上)
  3. Blenderに Wavefront OBJ形式ファイルをインポート
  4. Blender の Python コンソール (Blender Python console) を使ってみる

サイト内の関連 Web ページ:

キーワード:Blender, ソースコードからのビルド, CMake, Git LFS, Wavefront OBJ, インポート

前準備

Ubuntu のシステム更新

Ubuntu で OS のシステム更新を行うときは, 端末で,次のコマンドを実行する。これは,パッケージ情報を最新の状態に保ち,インストール済みのパッケージをセキュリティアップデートやバグ修正を含めて更新するためである。

Ubuntu のインストールはこちらの別ページで説明する。
# パッケージリストの情報を更新
sudo apt update
# インストール済みのパッケージを包括的に更新 (依存関係も考慮)
sudo apt full-upgrade
# カーネル更新等で実際に再起動が必要な場合のみ実行を推奨
# sudo shutdown -r now

C/C++ コンパイラと Make とビルドツールのインストール

ソフトウェアをソースコードからビルドするには,C/C++コンパイラ (通常はGCC) や make ユーティリティといった開発ツールが必要である。Ubuntuでは,これらのツールは build-essential パッケージにまとめられている。インストールするには,端末で,次のコマンドを実行する。

sudo apt -y install build-essential libtool texinfo dpkg-dev pkg-config

libtool, texinfo, dpkg-dev, pkg-config は,ビルドやパッケージ管理の際に用いられる開発関連ツールである。

Blender が使用する Python のバージョン

Blender は,Blender 専用の Python を同梱して動作する。同梱される Python のバージョンは Blender のバージョンごとに決まっており, Blender 4.2 LTS,4.5 LTS,5.0 では Python 3.11,Blender 5.1 以降では Python 3.13 である(Blender 5.1 で VFX Reference Platform 2026 に合わせて更新された)。

ビルドした Blender が実際に使用している Python のバージョンは, 端末で,次のコマンドを実行して確認できる。

~/blender-git/build_linux/bin/blender --background --python-expr "import sys; print(sys.version)"

Blender 最新版のインストール(ソースコードを使用)(Ubuntu 上)

公式の手順書 https://developer.blender.org/docs/handbook/building_blender/linux/ に記載の手順で行う。
Blender のソースコードとライブラリの配布は,2023年に Subversion から Git および Git LFS に移行した。 ソースコードの取得元は https://projects.blender.org/blender/blender.git であり, プリコンパイル済みライブラリは make update が自動で取得する。
  1. Blender のビルドに必要な基本ツールのインストール

    ソースコードとライブラリの取得には gitgit-lfs が必要である。 端末で,次のコマンドを実行する。

    sudo apt update
    sudo apt -y install python3 git git-lfs
    
  2. Blender のソースコードの取得

    端末で,次のコマンドを実行する。 ここでは,ホームディレクトリの下の blender-git ディレクトリを使用する。

    mkdir -p ~/blender-git
    cd ~/blender-git
    git clone https://projects.blender.org/blender/blender.git
    
    git clone で取得されるのは,開発版である main ブランチである。 リリース版のソースコードをビルドする場合は,取得後にリリースブランチを指定する (次の例は Blender 5.2 LTS のリリースブランチ)。
    cd ~/blender-git/blender
    git checkout blender-v5.2-release
    
  3. Blender のビルドの前提ソフトウェアのインストール

    Blender のソースコードに付属のスクリプト install_linux_packages.py が, ディストリビューションに応じた前提パッケージをインストールする。 端末で,次のコマンドを実行する。 スクリプトの内部で sudo が使用されるため,パスワードの入力を求められる。

    cd ~/blender-git/blender
    ./build_files/linux/install_linux_packages.py
    
    同等のパッケージを apt で直接インストールする場合は次の通りである。
    sudo apt update
    sudo apt -y install build-essential git git-lfs cmake libx11-dev libxxf86vm-dev libxcursor-dev libxi-dev libxrandr-dev libxinerama-dev libegl-dev
    sudo apt -y install libwayland-dev wayland-protocols libxkbcommon-dev libdbus-1-dev linux-libc-dev
    
  4. ライブラリの取得とビルド

    make update は,ソースコード,アドオン,およびプリコンパイル済みライブラリを最新の状態に更新する。 その後,make でビルドを行う。 端末で,次のコマンドを実行する。

    cd ~/blender-git/blender
    make update
    make
    
    Intel および AMD の x86_64 Linux では,プリコンパイル済みライブラリの使用が公式に推奨されている。 これらは Rocky Linux 8 上で VFX Reference Platform に準拠してビルドされたものであり,他のディストリビューションでも動作する。 かつて用いられていた install_deps.sh による依存ライブラリのソースからのビルドは, Blender のプラットフォーム保守者向けの用途に限られる。
  5. 終了の確認

    エラーメッセージが出ていないことを確認する。 ビルドされた実行ファイルは ~/blender-git/build_linux/bin に置かれる。

    ソースコードの更新後にビルドが失敗する場合は,ビルドディレクトリ ~/blender-git/build_linux を削除し, make をやり直すことで解決する場合がある。
  6. Blender が使用する Python の確認

    端末で,次のコマンドを実行する。

    ls -al ~/blender-git/build_linux/bin/*/python/bin
    
  7. Blender が使用する Python での pip の有効化と更新

    Blender 同梱の Python には ensurepip が含まれている。 端末で,次のコマンドを実行して pip を有効化し,更新を行う。

    cd ~/blender-git/build_linux/bin/*/python/bin
    ./python3.* -m ensurepip --upgrade
    ./python3.* -m pip install -U pip setuptools
    
  8. 確認のため,Blender が使用する Python で lxml, six のインストールを行ってみる
    Blender が使用する Python でパッケージをインストールするときは,同様の手順になる。 なお,numpy は Blender に同梱されているため,通常は追加インストールを行わない。
    cd ~/blender-git/build_linux/bin/*/python/bin
    ./python3.* -m pip install -U lxml
    ./python3.* -m pip install -U six
    
  9. Blender を起動して動作を確認する

    端末で,次のコマンドを実行する。

    ~/blender-git/build_linux/bin/blender
    
  10. パスを通す設定

    端末で,次のコマンドを実行する.

    export PATH=${HOME}/blender-git/build_linux/bin:${PATH}
    echo 'export PATH=${HOME}/blender-git/build_linux/bin:${PATH}' >> ${HOME}/.bashrc
    

Blenderに Wavefront OBJ形式ファイルをインポート

<前準備>

説明のため Wavefront OBJ形式ファイル,Wavefront MTL形式ファイルを使う. この資料で使用している Wavefront OBJ形式ファイル, Wavefront MTL形式ファイルは,次からダウンロードできる

Wavefront OBJ 形式ファイルとは 3次元コンピュータグラフィックスのファイル形式.頂点座標や面(ポリゴン)などの形状情報が書かれているファイル.

Wavefront MTL 形式ファイルとは マテリアル(材質)の情報が書かれているファイル.OBJ ファイルから参照される.

インポート手順
  1. Blender を起動

    端末で,次のコマンドを実行する。 パスが通っている場合は「blender」だけでよい。

    ~/blender-git/build_linux/bin/blender
    
  2. Blender が起動するので確認
  3. Blender のメニュー等の日本語化

    メニューで「Edit(編集)」,「Preferences(プリファレンス)」と操作し, 「Interface(インターフェイス)」の「Translation(翻訳)」をオンにしたうえで, 「Language(言語)」を「Japanese (日本語)」に設定する. 「Interface(インターフェイス)」,「Tooltips(ツールチップ)」, 「New Data(新規データ)」のチェックにより,翻訳の適用範囲を選べる.

  4. Wavefront obj ファイルをインポートする. メニューで「ファイル (File)」,「インポート (Import)」と操作し「Wavefront (.obj)」を選択
  5. インポートしたいファイルを選び,「OBJ をインポート」をクリック. (ここでは sample.obj を選んでいる)
    次の2つのファイルをダウンロードして使っている.
  6. インポート結果の確認

    sample.obj をインポートした場合,マウスホイールを操作してズームアウトしていくと,オブジェクトが現れる.

Blender の Python コンソール (Blender Python console) を使ってみる

Blender での画面の切り替え

  1. 画面上部のワークスペースタブで「Scripting(スクリプティング)」を選ぶ. あるいは,任意の領域の左上にあるエディタータイプのアイコンから「Python コンソール」を選ぶ.
  2. Python コンソールの画面が開くので確認する

    このコンソールは Blender 組み込みの Python インタプリタであり, 起動時に bpy モジュールがインポート済みの状態になっている.

Blender Python コンソール (Blender Python console) で Python スクリプトを実行してみる

  1. Blender オブジェクトの一覧表示を行ってみる.

    コンソール画面で次を実行

    for i in bpy.data.objects:
        print(i.name)
    

    Blender オブジェクトが確認できる(起動直後の初期シーンでは Camera, Cube, Light の 3つ)