OpenMM のインストール,動作確認,PDBFixer のインストール(ソースコードを用いたインストール)(Windows 上)
Windows上でOpenMMをソースコードからインストールし,動作確認を行う手順を説明している.主な内容としては,SWIGとDoxygenのインストール,GitHubからのOpenMMソースコードのクローン,Visual Studioを使用したビルド,システム環境変数の設定,Python用OpenMMのインストールである.特に,cmake の実行,Visual Studioのバージョン選択,環境変数(PATH,OPENMM_INCLUDE_PATH,OPENMM_LIB_PATH,OPENMM_ROOT)の設定方法について,具体的に示している.動作確認では,OpenMMが提供するテストプログラムと公式サンプルプログラムの実行方法を説明している.さらに,関連ツールであるPDBFixerのインストール手順も示している.各ステップでは,具体的なコマンドラインの操作を示している.
(個人的には,conda は運用しにくい印象があります.そのため,conda を使わずにインストールする手順を説明しています).
前準備
Visual Studio 2022 Build Toolsとランタイムのインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。
REM Visual Studio 2022 Build Toolsとランタイムのインストール
winget install --scope machine Microsoft.VisualStudio.2022.BuildTools Microsoft.VCRedist.2015+.x64
set VS_INSTALLER="C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\Installer\setup.exe"
set VS_PATH="C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\2022\BuildTools"
REM C++開発ワークロードのインストール
%VS_INSTALLER% modify --installPath %VS_PATH% ^
--add Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools ^
--add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 ^
--add Microsoft.VisualStudio.Component.Windows11SDK.22621 ^
--includeRecommended --quiet --norestart
Python 3.12 のインストール
インストール済みの場合は実行不要。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要である。
REM Python をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent
REM Python のパス設定
set "PYTHON_PATH=C:\Program Files\Python312"
set "PYTHON_SCRIPTS_PATH=C:\Program Files\Python312\Scripts"
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_PATH%" /M >nul
echo "%PATH%" | find /i "%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%PYTHON_SCRIPTS_PATH%" /M >nul
【関連する外部ページ】
Python の公式ページ: https://www.python.org/
AI エディタ Windsurf のインストール
Pythonプログラムの編集・実行には、AI エディタの利用を推奨する。ここでは,Windsurfのインストールを説明する。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行して、Windsurfをシステム全体にインストールする。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
winget install --scope machine Codeium.Windsurf -e --silent
【関連する外部ページ】
Windsurf の公式ページ: https://windsurf.com/
Gitのインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
REM Git をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent
REM Git のパス設定
set "GIT_PATH=C:\Program Files\Git\cmd"
if exist "%GIT_PATH%" (
echo "%PATH%" | find /i "%GIT_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%GIT_PATH%" /M >nul
)
CMakeのインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)し、以下を実行する。管理者権限は、wingetの--scope machineオプションでシステム全体にソフトウェアをインストールするために必要となる。
REM CMake をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Kitware.CMake -e --silent
REM CMake のパス設定
set "GMAKE_PATH=C:\Program Files\CMake\bin"
if exist "%GMAKE_PATH%" (
echo "%PATH%" | find /i "%GMAKE_PATH%" >nul
if errorlevel 1 setx PATH "%PATH%;%GMAKE_PATH%" /M >nul
)
NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)
NVIDIA ドライバ
NVIDIA ドライバは,NVIDIA製GPUを動作させるための重要なソフトウェアである.このドライバをインストールすることにより,GPUの性能を引き出すことができ,グラフィックス関連のアプリ,AI関連のアプリの高速化が期待できる.
ドライバはNVIDIA公式サイトである https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp からダウンロードできる.このサイトからダウンロードするときには,グラフィックスカードとオペレーティングシステムを選択する. なお,NVIDIA GeForce Experiance を用いてインストールすることも可能である.
【サイト内の関連ページ】
- NVIDIA グラフィックス・ボードの確認
Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロード
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる.
- ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)
NVIDIA CUDA ツールキットのインストール時の注意点
NVIDIAのGPUを使用して並列計算を行うためのツールセット
主な機能: GPU を利用した並列処理,GPU のメモリ管理,C++をベースとした拡張言語とAPIとライブラリ
【NVIDIA CUDA ツールキットの動作に必要なもの】
- CUDA対応のNVIDIA GPUが必要.
そのために,NVIDIA グラフィックス・ボードを確認する. Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロードとインストール
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる. ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
- Windows では,インストール前に,Build Tools for Visual Studio もしくは Visual Studio をインストールしておくことが必要である.
【Windows でインストールするときの注意点】
- Windows では, NVIDIA CUDA ツールキットのインストール中は,なるべく他のウインドウはすべて閉じておくこと.
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
【関連する外部ページ】
- NVIDIA CUDA ツールキットのアーカイブの公式ページ: https://developer.nvidia.com/cuda-toolkit-archive
- NVIDIA CUDA ツールキット の公式のドキュメント: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-installation-guide-linux/index.html
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールに関する,NVIDIA CUDA クイックスタートガイドの公式ページ: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-quick-start-guide/index.html
【関連項目】 NVIDIA CUDA ツールキット, NVIDIA CUDA ツールキット 12.6 のインストール(Windows 上), NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)
- Windows では,NVIDIA CUDA ツールキットのインストール中は,なるべく他のウインドウはすべて閉じておくこと.
- Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。 - 次のコマンドを実行
次のコマンドは,NVIDIA GeForce Experience,NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 をインストールするものである.
wmic path win32_VideoController get name winget install --scope machine Nvidia.CUDA --version 11.8 powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"CUDA_HOME\", \"C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\", \"Machine\")"
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
OpenMM のインストール(ソースコードを使用)(Windows 上)
SWIG のインストール(Windows 上)
【インストール手順】
- Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。 - 次のコマンドを実行
次のコマンドは,SWIG をインストールするものである.
winget install --scope machine SWIG.SWIG powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"SWIG_PATH\", \"C:\Program Files\WinGet\Links\", \"Machine\")"
【関連する外部ページ】
- SWIG の公式ページ: https://www.swig.org/
Doxygen のインストール(Windows 上)
Doxygen のダウンロードのページ: https://www.doxygen.nl/download.html
OpenMM のインストール(ソースコードを使用)(Windows 上)
- Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。.コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明
- OpenMM のインストール
OpenMM の GitHub のページ: https://github.com/openmm/openmm
cmake のオプションの 「Visual Studio 17 2022」のところは, 使用する Visual Studio のバージョンにあわせること. Visual Studio 2022 のときは,「Visual Studio 17 2022」. Visual Studio 2019 のときは,「Visual Studio 16 2019」
cd /d %USERPROFILE% rmdir /s /q openmm git clone https://github.com/openmm/openmm cd openmm rmdir /s /q build mkdir build cd build del CMakeCache.txt rmdir /s /q CMakeFiles\ cmake .. -G "Visual Studio 17 2022" -A x64 -T host=x64 ^ -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release ^ -DCMAKE_INSTALL_PREFIX="C:/openmm" cmake --build . --config RELEASE cmake --build . --config RELEASE --target INSTALL
エラーメッセージが出ていないことを確認
- Windows の システム環境変数 Pathに,c:\openmm\lib を追加することにより,パスを通す.
Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。次のコマンドを実行
powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\openmm\lib\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
- Windows の システム環境変数 OPENMM_INCLUDE_PATH,OPENMM_LIB_PATH の設定
Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。次のコマンドを実行
powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_INCLUDE_PATH\", \"c:\openmm\include\", \"Machine\")" powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_LIB_PATH\", \"c:\openmm\lib\", \"Machine\")"
- Windows の システム環境変数 OPENMM_ROOT に,c:\openmm を設定
Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。次のコマンドを実行
powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_ROOT\", \"c:\openmm\", \"Machine\")"
- Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。.コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明
- Python 用の OpenMM のインストール
cd /d c:%HOMEPATH% cd openmm\build\python python setup.py build python setup.py install
エラーメッセージが出ていないことを確認
OpenMM の動作確認
- Windows のコマンドプロンプトを開く.
- インストールができたかのテストプログラム(OpenMM が定めるもの)を実行
エラーメッセージが出ていないことを確認
python -m openmm.testInstallation
- 確認のため,公式のサンプルプログラムを実行してみる.
まず,次のコマンドを実行
cd c:\openmm cd examples python
次のページに記載のサンプルプログラムを実行.
http://docs.openmm.org/latest/userguide/application/02_running_sims.html
エラーメッセージが出ていないことを確認
PDBFixer のインストール(Windows 上)
- Windows で,管理者権限でコマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー >
cmd
と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。.コマンドプロンプトを管理者として実行: 別ページ »で説明
- PDBFixer のインストール
PDBFixer の GitHub のページ: https://github.com/openmm/pdbfixer
C: cd /d %USERPROFILE% rmdir /s /q pdbfixer git clone https://github.com/openmm/pdbfixer cd pdbfixer python setup.py build python setup.py install
エラーメッセージが出ていないことを確認
【まとめ】 WindowsでのOpenMMのソースコードからのインストール,環境設定,動作確認,および関連ツールのセットアップまでの一連のプロセスを説明.