OpenMM のインストール,動作確認,PDBFixer のインストール(ソースコードを用いたインストール)(Windows 上)

Windows上でOpenMMをソースコードからインストールし,動作確認を行う手順を説明している.主な内容としては,SWIGとDoxygenのインストール,GitHubからのOpenMMソースコードのクローン,Visual Studioを使用したビルド,システム環境変数の設定,Python用OpenMMのインストールである.特に,cmake の実行,Visual Studioのバージョン選択,環境変数(PATH,OPENMM_INCLUDE_PATH,OPENMM_LIB_PATH,OPENMM_ROOT)の設定方法について,具体的に示している.動作確認では,OpenMMが提供するテストプログラムと公式サンプルプログラムの実行方法を説明している.さらに,関連ツールであるPDBFixerのインストール手順も示している.各ステップでは,具体的なコマンドラインの操作を示している.

(個人的には,conda は運用しにくい印象があります.そのため,conda を使わずにインストールする手順を説明しています).

  1. 前準備
  2. OpenMM のインストール
  3. OpenMM の動作確認
  4. PDBFixer の動作確認

前準備

Build Tools for Visual Studio 2026 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

Build Tools for Visual Studio は,Visual Studio の IDE を含まない C/C++ コンパイラ,ライブラリ,ビルドツール等のコマンドライン向け開発ツールセットである。インストール済みの場合、この手順は不要である。

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

REM VC++ ランタイム
winget install --scope machine --id Microsoft.VCRedist.2015+.x64 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet /norestart"

REM Build Tools + Desktop development with C++(VCTools)+ 追加コンポーネント(一括)
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudio.BuildTools -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "--quiet --wait --norestart --nocache --add Microsoft.VisualStudio.Workload.VCTools --includeRecommended --add Microsoft.VisualStudio.Workload.MSBuildTools --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CMake.Project --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.Clang --add Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Llvm.ClangToolset --add Microsoft.VisualStudio.Component.Windows11SDK.26100"

--add で追加されるコンポーネント

上記のコマンドでは,まず Build Tools 本体と Visual C++ 再頒布可能パッケージをインストールし,次に setup.exe を用いて以下のコンポーネントを追加している。

インストール完了の確認

winget list Microsoft.VisualStudio.BuildTools

上記以外の追加のコンポーネントが必要になった場合は Visual Studio Installer で個別にインストールできる。

Visual Studio の機能を必要とする場合は、追加インストールできる。

Python 3.12 のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

以下のいずれかの方法で Python 3.12 をインストールする。Python がインストール済みの場合、この手順は不要である。

方法1:winget によるインストール

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

winget install --scope machine --id Python.Python.3.12 -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_pip=1 Include_test=0 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1"

--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動すると PATH が自動的に設定される。

方法2:インストーラーによるインストール

  1. Python 公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンから Windows 用インストーラーをダウンロードする。
  2. ダウンロードしたインストーラーを実行する。
  3. 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから python コマンドを実行できない。
  4. 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。

インストールの確認

コマンドプロンプトで以下を実行する。

python --version

バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。

Git のインストール(Windows 上) [クリックして展開]

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する.管理者権限は,winget の --scope machine オプションでシステム全体にインストールするために必要となる.

REM Git をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Git.Git -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/VERYSILENT /NORESTART /NOCANCEL /SP- /CLOSEAPPLICATIONS /RESTARTAPPLICATIONS /COMPONENTS=""icons,ext\reg\shellhere,assoc,assoc_sh"" /o:PathOption=Cmd /o:CRLFOption=CRLFCommitAsIs /o:BashTerminalOption=MinTTY /o:DefaultBranchOption=main /o:EditorOption=VIM /o:SSHOption=OpenSSH /o:UseCredentialManager=Enabled /o:PerformanceTweaksFSCache=Enabled /o:EnableSymlinks=Disabled /o:EnableFSMonitor=Disabled"

CMakeのインストール(Windows 上) [クリックして展開]

管理者権限コマンドプロンプトで以下を実行する。管理者権限のコマンドプロンプトを起動するには、Windows キーまたはスタートメニューから「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択する。

REM CMake をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Kitware.CMake -e --silent --disable-interactivity --force --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/qn /norestart ADD_CMAKE_TO_PATH=System"

NVIDIA CUDA Toolkit 12.8のインストール

以下のコマンドを管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。

REM NVIDIA CUDA Toolkit 12.8 をシステム領域にインストール
winget install --scope machine --id Nvidia.CUDA --version 12.8 -e --silent --disable-interactivity --force --uninstall-previous --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "-s -n"

REM 環境変数TEMP, TMPの設定(一時ファイルの保存先を短いパスに変更)
mkdir C:\TEMP
set "TEMP_PATH=C:\TEMP"
setx TEMP "%TEMP_PATH%" /M >nul
setx TMP "%TEMP_PATH%" /M >nul

SWIG のインストール(Windows 上)

次のコマンドを管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。

次のコマンドは,SWIG をインストールするものである.

winget install --scope machine SWIG.SWIG
for /r "C:\Program Files\WinGet\Packages" %f in (swig.swg) do @if exist "%f" set "SWIG_LIB=%~dpf." & setx SWIG_LIB "%~dpf." /M

関連する外部ページ

Doxygen のインストール(Windows 上)

以下のコマンドを管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。

winget install -e --id DimitriVanHeesch.Doxygen

OpenMM のインストール(ソースコードを使用)(Windows 上)

  1. 以下の操作を管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。

  2. OpenMM のインストール

    OpenMM の GitHub のページ: https://github.com/openmm/openmm

    cd /d c:%HOMEPATH%
    rmdir /s /q openmm
    git clone https://github.com/openmm/openmm
    cd openmm
    rmdir /s /q build
    mkdir build
    cd build
    del CMakeCache.txt
    rmdir /s /q CMakeFiles
    cmake .. -A x64 -T host=x64 ^
        -DOPENMM_BUILD_C_AND_FORTRAN_WRAPPERS=OFF ^
        -DCMAKE_INSTALL_PREFIX="C:/openmm"
    cmake --build . --config Release --target INSTALL -- /m:4
    

    エラーメッセージが出ていないことを確認

  3. Windowsシステム環境変数 Pathに,c:\openmm\lib追加することにより,パスを通す

    Windows で,管理者権限コマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。

    次のコマンドを実行

    powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\openmm\lib\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")"
    
  4. Windowsシステム環境変数 OPENMM_INCLUDE_PATHOPENMM_LIB_PATH の設定

    Windows で,管理者権限コマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。

    次のコマンドを実行

    powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_INCLUDE_PATH\", \"c:\openmm\include\", \"Machine\")"
    powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_LIB_PATH\", \"c:\openmm\lib\", \"Machine\")"
    
  5. Windowsシステム環境変数 OPENMM_ROOT に,c:\openmm を設定

    Windows で,管理者権限コマンドプロンプトを起動(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー > cmd と入力 > 右クリック > 「管理者として実行」)。

    次のコマンドを実行

    powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"OPENMM_ROOT\", \"c:\openmm\", \"Machine\")"
    
  6. 以下の手順を管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。
  7. Python 用の OpenMM のインストール
    cd /d c:%HOMEPATH%
    cd openmm\build\python
    python setup.py build
    python setup.py install
    

    エラーメッセージが出ていないことを確認

OpenMM の動作確認

  1. Windowsコマンドプロンプトを開く.
  2. インストールができたかのテストプログラム(OpenMM が定めるもの)を実行

    エラーメッセージが出ていないことを確認

    python -m openmm.testInstallation
    
  3. 確認のため,公式のサンプルプログラムを実行してみる.

    まず,次のコマンドを実行

    cd c:\openmm
    cd examples
    python
    

    次のページに記載のサンプルプログラムを実行.

    http://docs.openmm.org/latest/userguide/application/02_running_sims.html

    エラーメッセージが出ていないことを確認

PDBFixer のインストール(Windows 上)

  1. 以下の操作を管理者権限コマンドプロンプトで実行する (手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。

  2. PDBFixer のインストール

    PDBFixer の GitHub のページ: https://github.com/openmm/pdbfixer

    cd /d c:%HOMEPATH%
    rmdir /s /q pdbfixer
    git clone https://github.com/openmm/pdbfixer
    cd pdbfixer
    python setup.py build
    python setup.py install
    

    エラーメッセージが出ていないことを確認

【まとめ】 WindowsでのOpenMMのソースコードからのインストール,環境設定,動作確認,および関連ツールのセットアップまでの一連のプロセスを説明.