Flask入門
【概要】
Flaskは,PythonのWebアプリケーションフレームワークである。このページでは,FlaskのインストールからWebサーバの起動,ルーティングの基本までを説明する。
Flaskは,Webサーバの機能を内蔵し,リクエストURLを解析して処理と応答を行うプログラムを簡潔に記述できる。URLパターンと処理関数の対応付け,変数を含むURLの処理,HTML形式の応答の返却といったルーティング機能を備える。
前提知識:Pythonの基本文法,関数定義,デコレータ(関数の前に付けて,その関数に機能を追加する記法。@app.route() がこれにあたる)の概念。
【目次】
- 前準備
- 必要なライブラリのインストール
- 実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)
- 概要・使い方・実行上の注意
- 演習1 最小構成のWebアプリケーション
- 演習2 複数のURLパターンによるルーティング
- 演習3 HTMLを返すルーティング
- まとめ
【関連する外部ページ】
【サイト内の関連情報】
前準備
Python 3.12 のインストール
Pythonのインストールを行い、Pythonのプログラムを実行する環境を整える。扱う環境は、Windows搭載パソコンである。金子研究室では、Python 3.12.10を推奨する。
[Windows での Python 3.12 のインストール手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 3.12 のインストール
以下のいずれかの方法でPython 3.12をインストールする。Pythonがインストール済みの場合、この手順は不要である。
方法 1:winget によるインストール
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして、コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
--scope machine を指定することで、システム全体(全ユーザー向け)にインストールされる。このオプションの実行には管理者権限が必要である。インストール完了後、コマンドプロンプトを再起動するとPATHが反映される。
REM Python 3.12 をシステム領域にインストール
winget install --id Python.Python.3.12 -e --scope machine --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements --override "/quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0 Include_pip=1 Include_launcher=1 InstallLauncherAllUsers=1 TargetDir=\"C:\Program Files\Python312\""
REM Python と Scripts を PATH 先頭に追加
powershell -NoProfile -Command "$p='C:\Program Files\Python312'; $s=\"$p\Scripts\"; $c=[Environment]::GetEnvironmentVariable('Path','Machine'); if((Test-Path $p) -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$p;*\") -and (';'+$c+';' -notlike \"*;$s;*\")){[Environment]::SetEnvironmentVariable('Path',\"$p;$s;$c\",'Machine')}"
方法 2:インストーラーによるインストール
- Python公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスし、「Download Python 3.x.x」ボタンからWindows用インストーラーをダウンロードする。
- ダウンロードしたインストーラーを実行する。
- 初期画面の下部に表示される「Add python.exe to PATH」にチェックを入れてから「Customize installation」を選択する。このチェックを入れ忘れると、コマンドプロンプトから
pythonコマンドを実行できない。 - 「Install Python 3.xx for all users」にチェックを入れ、「Install」をクリックする。
インストールの確認
コマンドプロンプトで以下を実行する。
python --version
バージョン番号(例:Python 3.12.x)が表示されればインストール成功である。「'python' は、内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません。」と表示される場合は、インストールが正常に完了していない。
Python の開発環境 Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定
Python の開発環境Visual Studio Code(プログラムを編集するソフトウェア。以下、VS Code)を整える。
[Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Visual Studio Code のインストールと Python 用の設定手順
1. VS Code と拡張機能のインストール
以下のコマンドにより,既存の VS Code を削除し,全ユーザー共有の設定で再インストールしたうえで,拡張機能(VS Code に機能を追加するソフトウェア)をまとめて導入する.
【インストールコマンドの実行方法】
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する(手順:Windows キーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。そして,コマンド全体をコマンドプロンプトにコピー&ペーストする。
インストールコマンド
REM ============================================================
REM Microsoft Visual Studio Code
REM ============================================================
winget uninstall -e --id Microsoft.VisualStudioCode --silent --disable-interactivity --accept-source-agreements
rmdir /s /q C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
rmdir /s /q "%APPDATA%\Code" 2>nul
rmdir /s /q "%USERPROFILE%\.vscode" 2>nul
rmdir /s /q "%LOCALAPPDATA%\Microsoft\vscode-update" 2>nul
REM VS Code をシステム領域に新規インストール
winget install --scope machine --id Microsoft.VisualStudioCode -e --silent --accept-source-agreements --accept-package-agreements
REM 全ユーザー共有の拡張機能フォルダ
mkdir C:\ProgramData\vscode-extensions 2>nul
icacls "C:\ProgramData\vscode-extensions" /grant "Everyone:(OI)(CI)M" /T
REM スタートメニューのショートカットを --extensions-dir 付きで再作成
rmdir /s /q "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code" 2>nul
del "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk" 2>nul
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); $lnk.TargetPath='C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe'; $lnk.Arguments='--extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\"'; $lnk.Save()"
REM ショートカットの検証
powershell -NoProfile -Command "$s=New-Object -ComObject WScript.Shell; $lnk=$s.CreateShortcut('C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Visual Studio Code.lnk'); Write-Host 'TargetPath:' $lnk.TargetPath; Write-Host 'Arguments:' $lnk.Arguments"
REM ファイル / フォルダ右クリックの「Code で開く」を登録
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\*\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%1\"" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Classes\Directory\Background\shell\VSCode\command" /ve /d "\"C:\Program Files\Microsoft VS Code\Code.exe\" --extensions-dir \"C:\ProgramData\vscode-extensions\" \"%V\"" /f
REM --extensions-dir 付きで起動する code.cmd ラッパを作成
REM (%* を echo で書くと対話的 cmd で失われるため、PowerShell で [char]37+'*' を書き出す)
powershell -NoProfile -Command "$pct=[char]37; $q=[char]34; $c='@echo off'+[char]13+[char]10+$q+'C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd'+$q+' --extensions-dir '+$q+'C:\ProgramData\vscode-extensions'+$q+' '+$pct+'*'+[char]13+[char]10; [IO.File]::WriteAllText('C:\ProgramData\vscode-extensions\vscode.cmd',$c,[Text.Encoding]::ASCII)"
REM 拡張機能のインストール
set "CODE=C:\Program Files\Microsoft VS Code\bin\code.cmd"
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --uninstall-extension GitHub.copilot-chat
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.python
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.vscode-pylance
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension ms-python.debugpy
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension MS-CEINTL.vscode-language-pack-ja
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension saoudrizwan.claude-dev
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension rust-lang.rust-analyzer
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension tamasfe.even-better-toml
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension anthropic.claude-code
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --install-extension almenon.arepl
"%CODE%" --extensions-dir "C:\ProgramData\vscode-extensions" --list-extensions --show-versions
echo === セットアップ完了 ===
2. Python インタプリタの選択
同一マシンに複数の Python がインストールされている場合,VS Code で使用する Python 本体(インタプリタ:Python プログラムを解釈・実行するソフトウェア)を選択する必要がある.
- コマンドパレット(コマンド名で機能を呼び出す VS Code の入力欄)を開く(
Ctrl+Shift+P) Python: Select Interpreterと入力する
- 表示される一覧から,使用する Python(例:
C:\Program Files\Python312\python.exe)を選択する.
Python プログラム実行手順
[Windows での Python プログラム実行手順を見るには、ここをクリック]
Windows での Python 実行手順(Visual Studio Codeを使用)
プログラムファイルの作成と保存
- 左サイドバーの「エクスプローラー」アイコン(
Ctrl+Shift+E)をクリックする
- 「NO FOLDER OPENED」(作業対象フォルダが未選択の状態)と表示される場合は,「Open Folder」をクリックし,プログラムを保存するフォルダを選択する
続いて「フォルダを信用するか」を確認する画面(フォルダ内のコードを実行してよいか確認する VS Code の仕組み)が表示されるので,チェックして Yes を選択する
- フォルダ名の右側に表示される「新しいファイル」アイコンをクリックする
- ファイル名(例:
aitask.py.ファイル名は何でも良い)を入力しEnterを押す.拡張子は.py(Python ファイルを示す拡張子)とする
- 実行したいコードを選択し,
Ctrl+Cでコピーする.VS Code のエディタ領域にCtrl+Vで貼り付ける Ctrl+Sで保存する
プログラムの実行
- エディタ右上の三角形「▷」アイコン(Run Python File:現在開いている Python ファイルを実行するボタン)をクリックする.または,エディタ上で右クリックし「ターミナルで Python ファイルを実行」を選択する
- VS Code 下部のターミナル(コマンドの入出力を表示する画面)に,実行結果(
print関数の出力等)が表示される
- tkinter(Python 標準の GUI ライブラリ)のファイル選択ダイアログを使うプログラムを実行した場合は,ダイアログが開くので対象画像を選択する
- VS Code 下部のターミナルで実行結果を確認する.OpenCV ウィンドウ(OpenCV が画像を表示するために開く専用ウィンドウ)が開いた場合はそちらも確認する.OpenCV ウィンドウは,マウスクリックでウィンドウをアクティブ(操作対象の状態)にしてからキーを押すと終了する
必要なライブラリのインストール
管理者権限でコマンドプロンプトを起動する
(手順:Windowsキーまたはスタートメニュー → cmd と入力 → 右クリック → 「管理者として実行」)。
起動したコマンドプロンプトで次を実行する。
python -m pip install -U --no-user flask
バージョン確認
python -c "import importlib.metadata; print(importlib.metadata.version('flask'))"
実行のための準備とその確認手順(Windows 前提)
プログラムファイルの準備
各演習のソースコードをテキストエディタ(メモ帳等)に貼り付けて保存する(文字コード:UTF-8)。
コマンドプロンプトで次を実行すると,メモ帳でプログラムを作成・編集できる。
cd /d c:%HOMEPATH%
notepad a.py
実行コマンド
コマンドプロンプトでファイルの保存先ディレクトリに移動し,以下を実行する(a.py は保存したファイル名)。
python a.py
動作確認チェックリスト
| 確認項目 | 期待される結果 |
|---|---|
localhost:5000 にアクセス | 「Hello, World!」が表示される |
localhost:5000/hello にアクセス | 「hello」が表示される |
localhost:5000/user/kaneko にアクセス | 「user kaneko」が表示される |
localhost:5000/about にアクセス | 「About」見出しと「Home」へのリンクが表示される |
概要・使い方・実行上の注意
Flaskアプリケーションの基本構造
Flaskを使用した最小構成のWebアプリケーションの構成要素は以下のとおりである。ソースコードは演習1に掲載する。
Flask(__name__):Flaskアプリケーションのインスタンスを生成する@app.route('/'):リクエストURL/に対する処理を定義するデコレータであるapp.run():Webサーバを起動する。この例ではポート番号5000で起動する
Webブラウザで localhost:5000 にアクセスし,次の画面が表示されれば動作は正常である。
確認が終わったら,コマンドプロンプトで Ctrl+C を押してプログラムを終了する。
ルーティング
ルーティングとは,リクエストURLに応じて実行する処理を振り分ける仕組みである。@app.route() デコレータでURLパターンと処理関数を対応付ける。
複数のURLパターン
演習2のルーティングのプログラムでは,3つのURLパターンを定義している。
/:処理関数root(),ルートURL(サイトの起点となるURL)へのアクセス/hello:処理関数hello(),/helloへのアクセス/user/<username>:処理関数user(username),変数を含むURL
URLパターンにおける変数
<username> のように山括弧で囲んだ部分は変数として扱われる。たとえば /user/1 にアクセスすると username に 1 が格納され,/user/tanaka の場合は tanaka が格納される。
HTMLを返すルーティング
これまでの例では単純な文字列を返していたが,HTMLを返すこともできる。演習3のHTMLを返すプログラムでは,/ と /about の2つのルートがHTML文字列を返す。/about ページには / へのリンクが含まれており,ページ間の遷移を確認できる。
演習1 最小構成のWebアプリケーション
テーマ名:Flaskで最小構成のWebアプリケーションを動かす。
手順
- 次のコードを実行する(メモ帳を用いる場合は a.py のようなファイル名で保存して実行)。
- Webブラウザで
localhost:5000にアクセスする。 - 確認が終わったら,コマンドプロンプトで Ctrl+C を押してプログラムを終了する。
ヒント:@app.route('/') は,ルートURL / へのアクセスと処理関数を対応付ける。
考察ポイント:処理関数が返した文字列が,そのままブラウザに表示されることを確認する。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route('/')
def hello_world():
return 'Hello, World!'
app.run(host="0.0.0.0", port=5000)
演習2 複数のURLパターンによるルーティング
テーマ名:複数のURLパターンと,変数を含むURLを扱う。
手順
- 次のコードを実行する(メモ帳を用いる場合は a.py のようなファイル名で保存して実行)。
- Webブラウザで
localhost:5000/user/kanekoにアクセスする。 - 確認が終わったら,コマンドプロンプトで Ctrl+C を押してプログラムを終了する。
ヒント:<username> は変数であり,URLの該当部分が処理関数の引数に渡される。
考察ポイント:/user/ に続けて入力した文字列が,応答にそのまま反映されることを確認する。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route('/')
def root():
return 'root'
@app.route('/hello')
def hello():
return 'hello'
@app.route('/user/<username>')
def user(username):
return f'user {username}'
app.run(host="0.0.0.0", port=5000)
演習3 HTMLを返すルーティング
テーマ名:文字列ではなくHTMLを返し,ページ間の遷移を確認する。
手順
- 次のコードを実行する(メモ帳を用いる場合は a.py のようなファイル名で保存して実行)。
- Webブラウザで
localhost:5000とlocalhost:5000/aboutにアクセスする。 - 確認が終わったら,コマンドプロンプトで Ctrl+C を押してプログラムを終了する。
ヒント:処理関数が返した文字列がHTMLであれば,ブラウザはHTMLとして表示する。
考察ポイント:/about ページのリンクから / へ移動できることを確認する。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route('/')
def index():
return '<html><body><h1>Welcome</h1><p>This is a Flask app.</p></body></html>'
@app.route('/about')
def about():
return '<html><body><h1>About</h1><p><a href="/">Home</a></p></body></html>'
app.run(host="0.0.0.0", port=5000)
まとめ
Flask:リクエストURLを解析し,処理と応答を行うプログラムを簡潔に記述できるPythonのWebアプリケーションフレームワークである。Webサーバの機能を内蔵しており,app.run() で host と port を指定してWebサーバを起動する。
ルーティング:リクエストURLに応じて実行する処理を振り分ける仕組みである。@app.route() デコレータでURLパターンと処理関数を対応付ける。
URLパターンにおける変数:<username> のように山括弧で囲んだ部分は変数として扱われ,リクエストURLの該当部分が処理関数の引数に格納される。
Webサーバ:HTTPメソッドとリクエストURLを受け取って処理と応答を行うサーバである。HTTPメソッドにはGET(取得),POST(送信),PUT(更新),DELETE(削除)がある。
HTMLを返す応答:ルーティングでは単純な文字列だけでなく,HTML形式の応答を返すこともでき,ページ間の遷移を実現できる。