NVIDIA ドライバ,NVIDIA CUDA ツールキット 12.0,NVIDIA cuDNN v8.8 のインストールと動作確認(Windows 上)
TensorFlow を使う場合には,NVIDIA CUDA ツールキット は,バージョン12 でなくバージョン11 の最新版を使うこと.TensorFlow 2.10.1 で実際に試したが,バージョン 12 は不可.
Windows での,NVIDIA ドライバ,NVIDIA CUDA ツールキット 12.0,NVIDIA cuDNN v8.8 のインストール,nvcc の使用例を説明する.
【目次】
- Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)
- NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)
- NVIDIA CUDA ツールキット 12.0 のインストール(Windows 上)
- NVIDIA cuDNN v8.8 のインストール(Windows 上)
- nvcc を動かしてみる(x64 Native Tools コマンドプロンプトを利用)
【サイト内の関連ページ】
GPUとは
GPUは,グラフィックス・プロセッシング・ユニット(Graphics Processing Unit)の略です.その高い並列計算能力から,3次元コンピュータグラフィックス,3次元ゲーム,動画編集,科学計算,ディープラーニングなど,並列処理が必要な幅広い分野で活用されています.
TensorFlowとNVIDIAソフトウェアの関連
TensorFlowは,Googleが開発した機械学習フレームワークであり,ディープラーニング開発で広く使われています.Python,C/C++言語から利用可能で,CPUだけでなく,NVIDIA GPUやGoogle TPU上で計算を高速化できます.TensorFlowでGPUの計算能力を活用するには、NVIDIAが提供するドライバ、CUDAツールキット、cuDNNライブラリが必要になります.
TensorFlowの特徴として「データフローグラフ」があります.これは,「データの流れ」を表現するもので,グラフの節点は演算(オペレーション)を,エッジはデータ(テンソル)の流れを表します.TensorFlowを使用することで,音声,画像,テキスト,ビデオなど多様なデータを扱う機械学習アプリケーションの開発が容易になります.2015年11月に初版がリリースされて以来,継続的にバージョンアップが続いています.
TensorFlow GPU版などのGPU対応フレームワークを利用するための主な動作要件(2024年7月現在参考):
- NVIDIA グラフィックス・ボード: CUDAに対応したNVIDIA製GPUが必要です.
Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を確認するには,次のコマンドをコマンドプロンプトで実行します.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバ: GPUをOSに認識させ、性能を引き出すためのソフトウェアです.
- NVIDIA CUDA ツールキット: GPU上でプログラムを開発・実行するためのプラットフォームです.コンパイラ(nvcc)、ライブラリ、APIなどが含まれます.
TensorFlow バージョン 2.10.1の動作には,CUDA 11.2が必要です(公式ドキュメントより.対応するDLL: cudart64_110.dll, cusolver64_11.dllなど)。TensorFlowのバージョンによって要求されるCUDAバージョンは異なります。 Windows環境のTensorFlow 2.10ではCUDA 11が必要であり、そして、CUDA 11.8や12.xとの公式な互換性は保証されていないようです。本記事ではCUDA 11.8のインストールを解説しますが、TensorFlow 2.10を使用する場合はCUDA 11.2のインストールを検討してください。
また,NVIDIA CUDA ツールキット のバージョンを選ぶときは,NVIDIA cuDNNに対応したバージョンを選択することも重要です. 互換性の詳細はcuDNNの公式アーカイブページなどで確認できます.
- NVIDIA cuDNN: ディープニューラルネットワークのためのGPUアクセラレーションライブラリです.畳み込み演算などを高速化します.
TensorFlow GPU版の動作のためにNVIDIA cuDNNが必要です.これもTensorFlowやCUDAのバージョンとの互換性を確認する必要があります.(例: TensorFlow 2.10はcuDNN 8.1を要求)
TensorFlowの古いバージョンを使用する場合や特定のバージョン組み合わせについては、対応バージョン情報(別ページ »)も参照してください.
Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)または Visual Studio 2022 のインストール(winget を使用)(Windows 上)
【インストールの判断】 Build Tools for Visual Studio は,開発ツールセットである. Visual Studio は統合開発環境であり,いくつかの種類があり,Build Tools for Visual Studioの機能を含むか連携して使用するものである.インストールは以下の基準で判断してください:
- Build Tools for Visual Studio の機能のみが必要な場合
- Visual Studio の機能が必要である,あるいは,よく分からない場合
Visual Studio 2022 をインストールする際に,「C++ によるデスクトップ開発」を選択することで, Build Tools for Visual Studio 2022 の機能も一緒にインストールされる.
不明な点がある場合は,Visual Studio 全体をインストール を行う方が良い.
Build Tools for Visual Studio 2022 のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
次のコマンドを実行
次のコマンドは,Build Tools for Visual Studio 2022と VC2015 再配布可能パッケージをインストールするものである.
- Build Tools for Visual Studio 2022 での C++ によるデスクトップ開発,CLI,ATL,MFC のインストール(Windows 上)
- Visual Studio Installer の起動
起動方法: スタートメニューの「Visual Studio Installer」を選ぶ.
- Visual Studio Build Tools 2022 で「変更」を選ぶ.
- 「C++ によるデスクトップ開発」をクリック.そして,画面右側の「インストール」の詳細で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」,「ATL」,「MFC」をチェックする.その後,「変更」をクリック.
- Visual Studio Installer の起動
Visual Studio のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
次のコマンドを実行
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- インストールコマンドの実行
winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine --override "--add Microsoft.VisualStudio.Workload.NativeDesktop Microsoft.VisualStudio.ComponentGroup.NativeDesktop.Core Microsoft.VisualStudio.Component.VC.CLI.Support Microsoft.VisualStudio.Component.CoreEditor Microsoft.VisualStudio.Component.NuGet Microsoft.VisualStudio.Component.Roslyn.Compiler Microsoft.VisualStudio.Component.TextTemplating Microsoft.VisualStudio.Component.Windows.SDK.Latest Microsoft.VisualStudio.Component.VC.Tools.x86.x64 Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATL Microsoft.VisualStudio.Component.VC.ATLMFC" winget install Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine Microsoft.VCRedist.2015+.x64
インストールされるコンポーネントの説明:
NativeDesktop
:C++によるデスクトップアプリケーション開発のためのワークロード一式NativeDesktop.Core
:C++デスクトップ開発に必要な基本コンポーネント群VC.CLI.Support
:マネージドコードとネイティブコードの統合開発を可能にするC++/CLIサポートCoreEditor
:コード編集,デバッグ,検索などの基本機能を提供するVisual StudioのコアエディタNuGet
:.NETライブラリの依存関係を管理するパッケージ管理システムWindows.SDK.Latest
:Windows 向けアプリケーション開発用SDK(Software Development Kit)VC.Tools.x86.x64
:32ビット及び64ビット向けC++コンパイラとビルドツールVC.ATL
:Windowsコンポーネント開発用のActive Template LibraryVC.ATLMFC
:デスクトップアプリケーション開発用のMicrosoft Foundation Class Library
システム要件と注意事項:
- 管理者権限でのインストールが必須
- 必要ディスク容量:10GB以上
- 推奨メモリ:8GB以上のRAM
- インストール過程でシステムの再起動が要求される可能性がある
- 安定したインターネット接続環境が必要
追加のコンポーネントが必要な場合は,Visual Studio Installerを使用して個別にインストールすることが可能である.
- インストール完了の確認
winget list Microsoft.VisualStudio.2022.Community
トラブルシューティング:
インストール失敗時は,以下のログファイルを確認:
%TEMP%\dd_setup_<timestamp>.log %TEMP%\dd_bootstrapper_<timestamp>.log
- Visual Studio での C++ によるデスクトップ開発,CLI のインストール(Windows 上)
- Visual Studio Installer の起動
起動方法: スタートメニューの「Visual Studio Installer」を選ぶ.
- Visual Studio Community 2022 で「変更」を選ぶ.
- 「C++ によるデスクトップ開発」をチェック.そして,画面右側の「インストール」の詳細で「v143 ビルドツール用 C++/CLI サポート(最新)」をチェックする.その後,「インストール」をクリック.
- Visual Studio Installer の起動
NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)
NVIDIA ドライバ
NVIDIA ドライバは,NVIDIA製GPUを動作させるための重要なソフトウェアである.このドライバをインストールすることにより,GPUの性能を引き出すことができ,グラフィックス関連のアプリ,AI関連のアプリの高速化が期待できる.
ドライバはNVIDIA公式サイトである https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp からダウンロードできる.このサイトからダウンロードするときには,グラフィックスカードとオペレーティングシステムを選択する. なお,NVIDIA GeForce Experiance を用いてインストールすることも可能である.
【サイト内の関連ページ】
- NVIDIA グラフィックス・ボードの確認
Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロード
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる.
- ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
NVIDIA CUDA ツールキット 12.0 のインストール(Windows 上)
NVIDIA CUDA ツールキットのインストール時の注意点
NVIDIAのGPUを使用して並列計算を行うためのツールセット
主な機能: GPU を利用した並列処理,GPU のメモリ管理,C++をベースとした拡張言語とAPIとライブラリ
【NVIDIA CUDA ツールキットの動作に必要なもの】
- CUDA対応のNVIDIA GPUが必要.
そのために,NVIDIA グラフィックス・ボードを確認する. Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.
wmic path win32_VideoController get name
- NVIDIA ドライバのダウンロードとインストール
NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる. ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.
- Windows では,インストール前に,Build Tools for Visual Studio もしくは Visual Studio をインストールしておくことが必要である.
【Windows でインストールするときの注意点】
- Windows では, NVIDIA CUDA ツールキットのインストール中は,なるべく他のウインドウはすべて閉じておくこと.
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
【関連する外部ページ】
- NVIDIA CUDA ツールキットのアーカイブの公式ページ: https://developer.nvidia.com/cuda-toolkit-archive
- NVIDIA CUDA ツールキット の公式のドキュメント: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-installation-guide-linux/index.html
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールに関する,NVIDIA CUDA クイックスタートガイドの公式ページ: https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-quick-start-guide/index.html
【関連項目】 NVIDIA CUDA ツールキット, NVIDIA CUDA ツールキット 12.5 のインストール(Windows 上), NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)
- NVIDIA CUDA ツールキットのアーカイブのページを開く
- NVIDIA CUDA ツールキットのバージョンを選ぶ
ここでは,NVIDIA CUDA ツールキット 12.0.1を選んでいる.
- 「Windows」,「11」,「exe [local]」を選ぶ.
Windows 10 のときは,「10」を選ぶ.
- 「Base Installer」の右横の「Download」をクリックして,.exe ファイルをダウンロード
- exe ファイルのダウンロードが始まる
- ダウンロードした .exe ファイルを実行する.
実行の前に,他のウインドウはなるべく閉じておくことが望ましい(インストール時のトラブルを防ぐため).
- 展開(解凍)先ディレクトリ(フォルダ)の指定.
既定(デフォルト)のままでよい.「OK」をクリック.
- 展開(解凍)が自動で行われるので,しばらく待つ.
- ライセンス条項の確認.
- インストールオプションは,「カスタム(詳細)」を選び,「次へ」をクリック.
- コンポーネントを確認する.
「CUDA」にチェックする.その他は,必要なものがあればチェックする.「次へ」をクリック.
- このとき,NVIDIA ドライバを選択することもできる(NVIDIA ドライバが未インストールであれば,インストールする).
- 複数の版の NVIDIA CUDA ツールキットをインストールする場合には,古い版のNVIDIA CUDA ツールキットをインストールするときに「CUDA」だけを選ぶようにする.
- インストール場所の選択は,既定(デフォルト)のままでよい.「次へ」をクリック.
- Visual Studio Integration について表示された場合
表示されなくても問題はない.
表示された場合には,次のように判断する.
- Visual Studio をインストールする予定があるとき
ここで,NVIDIA CUDA ツールキットのインストールを中止. 先に, Visual Studio 2022 のインストールを行う.
- Visual Studio をインストールする予定がないとき
NVIDIA CUDA ツールキットのインストールを中止する必要はない.
あとで構わないので,Build Tools for Visual Studio 2022 (ビルドツール for Visual Studio 2022)のインストールを行っておく
- Visual Studio をインストールする予定があるとき
- このとき,Windows セキュリティの画面が開くことがある.開いた場合には,「インストール」をクリック.
- インストールが始まるので,確認する.
- このとき,グラフィックス・カードのドライバのインストールについての画面が表示される場合がある.「インストール」をクリックして,インストールを続行する.
- Nsight Visual Studio についての確認
Visual Studio がインストール済みのときは,Nsight Visual Studio がインストールされたことが確認できる.確認したら「次へ」をクリック.
Visual Studio をインストールしていないときは,Nsight for Visual Studio はインストールされない.
- インストール終了の確認.「閉じる」をクリック.
* 「コンピュータを再起動してください」と表示される場合がある.そのときは,再起動する.
- NVIDIA CUDA ツールキットのインストールが終わったら,ユーザ環境変数 TEMP の設定を行う.
Windows のユーザ名が日本語のとき,nvcc がうまく動作しないエラーを回避するためである.
ユーザ環境変数 TEMP に「C:\TEMP」を設定するために, コマンドプロンプトで,次のコマンドを実行する.
mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
インストール後の環境変数の確認
- システム環境変数 PATH
バージョン 12.0 系列の場合
次のように自動設定される.
C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0\bin C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0\libnvpp
* 複数の版の CUDA ツールキットをインストールする場合には, 複数のパスが設定される このとき・古い版の方が先に来ている場合には、後になるように調整する
- システム環境変数 CUDA_PATH
バージョン 12.0 系列の場合
次のように自動設定される.
C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0
* 複数の版の CUDA ツールキットをインストールしている場合には,最後にインストールしたものが設定される
- その他
バージョン 12.0 系列の場合
システム環境変数 CUDA_PATH_V12_0
次のように自動設定される.
C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0
nvcc の動作確認 (パスの確認)
CUDAコンパイラ nvcc
にパスが通っている(コマンドプロンプトから直接実行できる状態になっている)ことを確認します。
新しいコマンドプロンプトを開き(環境変数の変更を反映させるため)、次のコマンドを実行します。
nvcc.exe
のフルパスが表示されれば、パスが正しく設定されています。エラーメッセージが出る場合は、環境変数 PATH
の設定を確認してください。
where nvcc

NVIDIA cuDNN v8.8 のインストール(Windows 上)
NVIDIA cuDNN
NVIDIA cuDNN は,NVIDIA CUDA ツールキット上で動作する、高性能なディープラーニング用ライブラリです.畳み込みニューラルネットワーク (CNN) やリカレントニューラルネットワーク (RNN) など,さまざまなディープラーニングモデルのトレーニングと推論を高速化します.
【cuDNN利用時の注意点: zlibwapi.dll エラー】
Windows環境でcuDNNを利用するアプリケーションを実行した際に、「Could not locate zlibwapi.dll. Please make sure it is in your library path!」というエラーが表示されることがあります。これは、cuDNNの一部の機能が圧縮ライブラリである zlib
に依存しているためです。このエラーが発生した場合は、後述する手順で ZLIB DLL をインストールする必要があります。
【関連する外部ページ】
- NVIDIA cuDNN の公式ページ(ダウンロードにはDeveloper Programへの登録が必要): https://developer.nvidia.com/cudnn
NVIDIA cuDNN のインストール(Windows 上)の概要
- NVIDIA Developer Program メンバーシップへの加入: cuDNNのダウンロードには無料のメンバーシップ登録が必要です。
NVIDIA Developer Program の公式ページ: https://developer.nvidia.com/developer-program
- 互換バージョンの選択とダウンロード: インストール済みのCUDAツールキットのバージョン (今回は11.x) に適合するcuDNNのバージョン (今回はv8.9.7) を選択し、Windows用のzipファイルをダウンロードします。
- ファイルの展開と配置: ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)し、中のファイル(
bin
,include
,lib
フォルダ内)を、CUDAツールキットのインストールディレクトリにコピーします。 - (オプション) 環境変数の設定: 必要に応じてシステム環境変数
CUDNN_PATH
を設定します。 - (必要に応じて) ZLIB DLL のインストール:
zlibwapi.dll
が見つからないエラーが発生する場合にインストールします。 - 動作確認: cuDNNライブラリ (
cudnn64_*.dll
) にパスが通っているか確認します。
zlib のインストール(Windows 上)
- Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
- 次のコマンドを実行
次のコマンドは,zlibをインストールし,パスを通すものである.
cd /d c:%HOMEPATH% rmdir /s /q zlib git clone https://github.com/madler/zlib cd zlib del CMakeCache.txt rmdir /s /q CMakeFiles\ cmake . -G "Visual Studio 17 2022" -A x64 -T host=x64 -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=c:/zlib cmake --build . --config RELEASE --target INSTALL powershell -command "$oldpath = [System.Environment]::GetEnvironmentVariable(\"Path\", \"Machine\"); $oldpath += \";c:\zlib\bin\"; [System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"Path\", $oldpath, \"Machine\")" powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"ZLIB_HOME\", \"C:\zlib\", \"Machine\")"
【関連する外部ページ】
- zlib の公式ページ: https://www.zlib.net/
【関連項目】 zlib
NVIDIA cuDNN v8.8 のダウンロードとインストールの手順
- NVIDIA cuDNN のウェブページを開く
- ダウンロードしたいので,cuDNNのところにある「Download cuDNN」をクリック.
- NVIDIA Developer Program メンバーシップに入る
NVIDIA cuDNN のダウンロードのため.
「Join now」をクリック.その後,画面の指示に従う. 利用者本人が,電子メールアドレス,表示名,パスワード,生年月日を登録.利用条件等に合意.
- ログインする
- 調査の画面が出たときは,調査に応じる
- ライセンス条項の確認
- ダウンロードしたいバージョンを選ぶ
ここでは「NVIDIA cuDNN v8.8.0 for CUDA 12.0」を選んでいる.
このとき,画面の「for CUDA ...」のところを確認し,使用するNVIDIA CUDA のバージョンに合うものを選ぶこと.
- Windows にインストールするので Windows 版を選ぶ
- ダウンロードが始まる.
- ダウンロードした .zip ファイルを展開(解凍)する.
その中のサブディレクトリを確認しておく.
- NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリを確認する.「C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0」のようになっている.
- 確認したら,
さきほど展開してできたすべてのファイルとディレクトリを,NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリにコピーする
- パスが通っていることを確認.
次の操作により,cudnn64_8.dll にパスが通っていることを確認する.
Windows のコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する.エラーメッセージが出ないことを確認.
where cudnn64_8.dll
- Windows の システム環境変数 CUDNN_PATH の設定を行う.
システム環境変数 CUDNN_PATH の設定のため, Windows で,コマンドプロンプトを管理者権限で起動する(例:Windowsキーを押し,「cmd」と入力し,「管理者として実行」を選択)
次のコマンドを実行
powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"CUDNN_PATH\", \"C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.0\", \"Machine\")"
Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動します。 をコマンドで使いたいので,Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動.
起動は,Windows のスタートメニューで「Visual Studio 2022」フォルダの下にある「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2022」などを選びます。「x64」は64ビット環境向けであることを意味します。
* 32ビット版のNative Tools コマンドプロンプト(例: x86 Native Tools)では、64ビット用CUDAツールキットの nvcc
が正しく動作しない場合があります。
以下の操作は,この x64 Native Tools コマンドプロンプトで行います。
cl.exe
)へのパスが通っているか確認します。
コマンドプロンプトで「where cl
」を実行し、cl.exe
のパスが表示されることを確認します。エラーメッセージが出る場合は、Visual Studio または Build Tools のインストールに問題がある可能性があります。
where cl

ここでは、NVIDIAのブログ記事 Easy Introduction to CUDA C and C++ に記載されている簡単なベクトル加算のコードを使用します。このコードは、CPUとGPUそれぞれでベクトル加算を行い、結果が一致するかを確認するものです。
まず、作業ディレクトリに移動し、エディタ(ここではメモ帳 notepad
)でソースファイル hello.cu
を作成します。
cd /d c:%HOMEPATH%
notepad hello.cu

メモ帳が開いたら、上記リンク先のブログ記事にある最初のサンプルコード(`// Simple vector addition Cuda C++` から始まるコード)をコピー&ペーストし、ファイルを保存します。
ファイル hello.cu が作成されます。

nvcc hello.cu
コマンドでソースコードをコンパイルします。成功すると、デフォルトで a.exe
という実行ファイルが生成されます。
次に .\a.exe
を実行します。プログラムが正常に動作すれば、「Max error: 0.000000
」のように表示されます。これが表示されれば、CUDAツールキットの基本的なコンパイルと実行が成功しています。
del a.exe
nvcc hello.cu

.\a.exe

【うまく動かない場合のトラブルシューティング】
- 「Max error: 2.000000」のように 0 以外の値が表示される場合:
これは、GPUでの計算結果が期待値と異なっていることを示します。GPUハードウェアの問題、ドライバの不具合、CUDAやcuDNNのインストールが不完全またはバージョン互換性の問題などが考えられます。まずはインストール手順に誤りがなかったか再確認してください。ドライバやツールキットを再インストールしてみるのも有効な場合があります。また、NVIDIAの公式フォーラムなどで同様の問題が報告されていないか確認することも推奨します。
- 「Max error: ...」という表示自体が出ない場合、またはコンパイル時にエラーが出る場合:
- 日本語ユーザ名とTEMP変数: (再掲)Windows のユーザ名が日本語を含む場合、「nvcc hello.cu」を実行してもエラーメッセージなしにコンパイルが失敗することがあります。
この場合は、CUDAインストールセクションで説明した手順に従い、ユーザ環境変数
TEMP
およびTMP
に日本語を含まないパス(例:C:\TEMP
)が設定されているか再確認してください。設定を変更した後は、新しいコマンドプロンプトを開いて再度試してください。rem (再掲) TEMP/TMP 変数設定確認・設定コマンド例 mkdir C:\TEMP powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TEMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")" powershell -command "[System.Environment]::SetEnvironmentVariable(\"TMP\", \"C:\TEMP\", \"User\")"
設定後、新しいx64 Native Tools コマンドプロンプトを開き,再度
nvcc hello.cu
と.\a.exe
を実行して確認します。nvcc hello.cu .\a.exe
- Visual Studio / Build Tools の問題: C++コンパイラ(
cl.exe
)が見つからない、またはリンカエラーなどが発生する場合は、Visual Studio または Build Tools のインストールが正しく完了しているか確認してください。C++ ビルドツールの動作確認(別ページ)の手順も参考にしてください。 - その他の問題: 環境変数
PATH
の設定ミス、CUDAツールキットのインストール不備などが考えられます。エラーメッセージをよく読み、関連情報を検索するか、NVIDIAのドキュメントやフォーラムを参照してください。
- 日本語ユーザ名とTEMP変数: (再掲)Windows のユーザ名が日本語を含む場合、「nvcc hello.cu」を実行してもエラーメッセージなしにコンパイルが失敗することがあります。