NVIDIA ドライバ,NVIDIA CUDA ツールキット 10.0,NVIDIA cuDNN 7.6.5 のインストール(Windows 上)

Windows での,NVIDIA ドライバNVIDIA CUDA ツールキット 10.0,NVIDIA cuDNN 7.6.5 のインストール,nvcc の使用例をスクリーンショット等で説明する. NVIDIA CUDA ツールキット は,NVIDIA社が提供する GPU 用のツールキットである.GPU を用いた演算のプログラム作成や動作のための各種機能を備えている.ディープラーニングでも利用されている.

GPU は,グラフィックス・プロセッシング・ユニットの略で、コンピュータグラフィックス関連の機能,乗算や加算の並列処理の機能などがある.

目次

  1. Visual Studio Community 2017 のインストール
  2. NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)
  3. NVIDIA CUDA ツールキット 10.0 のインストール(Windows 上)
  4. NVIDIA cuDNN 7.6.5 のインストール
  5. nvcc を動かしてみる(x64 Native Tools コマンドプロンプトを利用)
  6. NVIDIA CUDA サンプルプログラムのビルドと実行o

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GPUとは

GPUは,グラフィックス・プロセッシング・ユニット(Graphics Processing Unit)の略です.その高い並列計算能力から,3次元コンピュータグラフィックス,3次元ゲーム,動画編集,科学計算,ディープラーニングなど,並列処理が必要な幅広い分野で活用されています.

TensorFlowとNVIDIAソフトウェアの関連

TensorFlowは,Googleが開発した機械学習フレームワークであり,ディープラーニング開発で広く使われています.Python,C/C++言語から利用可能で,CPUだけでなく,NVIDIA GPUやGoogle TPU上で計算を高速化できます.TensorFlowでGPUの計算能力を活用するには、NVIDIAが提供するドライバ、CUDAツールキット、cuDNNライブラリが必要になります.

TensorFlowの特徴として「データフローグラフ」があります.これは,「データの流れ」を表現するもので,グラフの節点は演算(オペレーション)を,エッジはデータ(テンソル)の流れを表します.TensorFlowを使用することで,音声,画像,テキスト,ビデオなど多様なデータを扱う機械学習アプリケーションの開発が容易になります.2015年11月に初版がリリースされて以来,継続的にバージョンアップが続いています.

TensorFlow GPU版などのGPU対応フレームワークを利用するための主な動作要件(2024年7月現在参考):

Visual Studio Community 2017 のインストール

NVIDIA CUDA 10.0 は Visual Studio Commnity 2017, 2015, 2013, 2012 と連携して動く機能がある.

NVIDIA CUDA 10.0 のインストールの前に, Visual Studio Commnity 2017 のインストールを行う.

Visual Studio Commnity 2017 のインストールは, https://visualstudio.microsoft.com/ja/vs/older-downloads/ で「2017」を選び,「ダウンロード」をクリック. その後表示されるダウンロードの画面で, 「Visual Studio Commnity 2017」を選ぶ. インストール時には「C++ によるデスクトップ開発」をチェックしてインストールする.

NVIDIA ドライバのインストール(Windows 上)

NVIDIA ドライバ

NVIDIA ドライバは,NVIDIA製GPUを動作させるための重要なソフトウェアである.このドライバをインストールすることにより,GPUの性能を引き出すことができ,グラフィックス関連のアプリ,AI関連のアプリの高速化が期待できる.

ドライバはNVIDIA公式サイトである https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp からダウンロードできる.このサイトからダウンロードするときには,グラフィックスカードとオペレーティングシステムを選択する. なお,NVIDIA GeForce Experiance を用いてインストールすることも可能である.

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  1. NVIDIA グラフィックス・ボードの確認

    Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.

    wmic path win32_VideoController get name
    
  2. NVIDIA ドライバのダウンロード

    NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる.

    https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp

  3. ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.

NVIDIA CUDA ツールキット 10.0 のインストール(Windows 上)

NVIDIA CUDA ツールキットのインストール時の注意点

NVIDIAのGPUを使用して並列計算を行うためのツールセット

主な機能: GPU を利用した並列処理,GPU のメモリ管理,C++をベースとした拡張言語とAPIとライブラリ

NVIDIA CUDA ツールキットの動作に必要なもの

  • CUDA対応のNVIDIA GPUが必要.

    そのために,NVIDIA グラフィックス・ボードを確認する. Windows で,NVIDIA グラフィックス・ボードの種類を調べたいときは, 次のコマンドを実行することにより調べることができる.

    wmic path win32_VideoController get name
    
  • NVIDIA ドライバのダウンロードとインストール

    NVIDIA ドライバは,以下の NVIDIA 公式サイトからダウンロードできる. ダウンロードの際には,使用しているグラフィックス・ボードの型番とオペレーティングシステムを選択する.

    https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp

  • Windows では,インストール前に,Build Tools for Visual Studio もしくは Visual Studio をインストールしておくことが必要である.

Windows でインストールするときの注意点

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関連項目NVIDIA CUDA ツールキット, NVIDIA CUDA ツールキット 12.5 のインストール(Windows 上), NVIDIA CUDA ツールキット 11.8 のインストール(Windows 上)

TensorFlow 1.15.5 が必要とする NVIDIA CUDA ツールキットと NVIDIA cuDNN のバージョンの確認

TensorFlow 1.15.5 を動かすために,NVIDIA CUDA ツールキット 10.0NVIDIA cuDNN 7.6.5 を使う.

(10.2, 10.1 は不可.実際に試みて検証済み).

NVIDIA CUDA ツールキット 10.0NVIDIA cuDNN 7.6.5 の根拠: cudart64_100.dll, cudnn64_7.dll が必要

インストール手順

  1. NVIDIA CUDA ツールキットのアーカイブのページを開く

    https://developer.nvidia.com/cuda-toolkit-archive

  2. NVIDIA CUDA ツールキットのバージョンを選ぶ

    ここでは,NVIDIA CUDA ツールキット10.0を選んでいる

  3. Windows」,「10」,「exe [local]」を選ぶ.
  4. Base Installer」の右横の「Download」をクリックして,.exe ファイルをダウンロード
  5. exe ファイルのダウンロードが始まる
  6. ダウンロードした .exe ファイルを実行する.
  7. 展開(解凍)先ディレクトリ(フォルダ)の指定.

    既定(デフォルト)のままでよい.「OK」をクリック.

  8. 展開(解凍)が自動で行われるので,しばらく待つ.
  9. ライセンス条項の確認
  10. インストールオプションは,「カスタム(詳細)」を選び,「次へ」をクリック.
  11. コンポーネントを確認する.

    CUDA」にチェックする.その他は,必要なものがあればチェックする.「次へ」をクリック.

    複数の版の NVIDIA CUDA ツールキットをインストールする場合には,古い版のNVIDIA CUDA ツールキットをインストールするときに「CUDA」だけを選ぶようにする.

  12. インストール場所の選択は,既定(デフォルト)のままでよい.「次へ」をクリック.
  13. Visual Studio Integration について表示された場合

    表示されなくても問題はない.

    表示された場合には,NVIDIA CUDA のインストールを中止して, Visual Studio Commnity 2017 のインストールを行う.

    Visual Studio Commnity 2017 のインストールは, https://visualstudio.microsoft.com/ja/vs/older-downloads/ で「2017」を選び,「ダウンロード」をクリック. その後表示されるダウンロードの画面で, 「Visual Studio Commnity 2017」を選ぶ. インストール時には「C++ によるデスクトップ開発」をチェックしてインストールする.

  14. このとき,Windows セキュリティの画面が開くことがある.開いた場合には,「インストール」をクリック.
  15. インストールが始まるので,確認する.
  16. このとき,グラフィックス・カードのドライバのインストールについての画面が表示される場合がある.「インストール」をクリックして,インストールを続行する.
  17. Visual Studio がインストール済みのときは,Nsight Visual Studio がインストールされたことが確認できる.確認したら「次へ」をクリック.

    Visual Studio をインストールしていないときは,Nsight for Visual Studio はインストールされない.

  18. インストール終了の確認.「閉じる」をクリック.

    *コンピュータを再起動してください」と表示される場合がある.そのときは,再起動する.

  19. GeForce Experience が自動で開く場合がある
    • 利用条件について表示されたときは、よく確認し、納得できる場合のみ同意・続行する
    • リリースハイライトが表示される場合がある.

      リリースハイライトを確認したら,「x」をクリックして閉じる.

    • このとき,最新版への更新が始まり,起動に時間がかかることがある.

      そして「お使いのGPU向けの新しいドライバーが入手可能です」と表示されることがある.そのときは,新しいドライバをインストールする.

インストール後の環境変数の確認

Windowsシステム環境変数自動で設定される

nvcc の動作確認 (パスの確認)

CUDAコンパイラ nvccパスが通っている(コマンドプロンプトから直接実行できる状態になっている)ことを確認します。

新しいコマンドプロンプトを開き(環境変数の変更を反映させるため)、次のコマンドを実行します。 nvcc.exe のフルパスが表示されれば、パスが正しく設定されています。エラーメッセージが出る場合は、環境変数 PATH の設定を確認してください。

where nvcc

NVIDIA cuDNN 7.6.5 のインストール

インストールするNVIDIA cuDNN のバージョンは 7.6.5 for CUDA 10.0

NVIDIA cuDNN

NVIDIA cuDNN は,NVIDIA CUDA ツールキット上で動作する、高性能なディープラーニング用ライブラリです.畳み込みニューラルネットワーク (CNN) やリカレントニューラルネットワーク (RNN) など,さまざまなディープラーニングモデルのトレーニングと推論を高速化します.

cuDNN利用時の注意点: zlibwapi.dll エラー

Windows環境でcuDNNを利用するアプリケーションを実行した際に、「Could not locate zlibwapi.dll. Please make sure it is in your library path!」というエラーが表示されることがあります。これは、cuDNNの一部の機能が圧縮ライブラリである zlib に依存しているためです。このエラーが発生した場合は、後述する手順で ZLIB DLL をインストールする必要があります。

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NVIDIA cuDNN のインストール(Windows 上)の概要

  1. NVIDIA Developer Program メンバーシップへの加入: cuDNNのダウンロードには無料のメンバーシップ登録が必要です。

    NVIDIA Developer Program の公式ページ: https://developer.nvidia.com/developer-program

  2. 互換バージョンの選択とダウンロード: インストール済みのCUDAツールキットのバージョン (今回は11.x) に適合するcuDNNのバージョン (今回はv8.9.7) を選択し、Windows用のzipファイルをダウンロードします。
  3. ファイルの展開と配置: ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)し、中のファイル(bin, include, lib フォルダ内)を、CUDAツールキットのインストールディレクトリにコピーします。
  4. (オプション) 環境変数の設定: 必要に応じてシステム環境変数 CUDNN_PATH を設定します。
  5. (必要に応じて) ZLIB DLL のインストール: zlibwapi.dll が見つからないエラーが発生する場合にインストールします。
  6. 動作確認: cuDNNライブラリ (cudnn64_*.dll) にパスが通っているか確認します。

NVIDIA cuDNN のダウンロードとインストールの手順

  1. NVIDIA cuDNN のウェブページを開く

    https://developer.nvidia.com/cuDNN

  2. ダウンロードしたいので,cuDNNのところにある「Download cuDNN」をクリック.
  3. NVIDIA Developer Program メンバーシップに入る

    NVIDIA cuDNN のダウンロードのため.

    Join now」をクリック.その後,画面の指示に従う. 利用者本人が,電子メールアドレス,表示名,パスワード,生年月日を登録.利用条件等に合意.

  4. ログインする
  5. 調査の画面が出たときは,調査に応じる
  6. ライセンス条項の確認
  7. 「Archived cuDNN Releases」をクリック
  8. ダウンロードしたいバージョンを選ぶ

    ここでは「cuDNN v 7.6.5, for CUDA 10.0」を選んでいる.

    このとき,画面の「for CUDA ...」のところを確認し,使用するNVIDIA CUDA のバージョンに合うものを選ぶこと.

  9. Windows にインストールするので Windows 版を選ぶ
  10. ダウンロードが始まる.
  11. ダウンロードした .zip ファイルを展開(解凍)する.展開の結果 cuda という名前のディレクトリができる.その中のサブディレクトリを確認しておく.

    Windows での展開(解凍)に便利な 7-Zip: 別ページ »で説明

  12. NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリは,「C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v10.0」 のようになっている.確認する.
  13. 確認したら, さきほど展開してできたディレクトリcuda の下にあるすべてのファイルとディレクトリを,NVIDIA CUDA ツールキットをインストールしたディレクトリにコピーする

インストール後に行う環境変数の設定

NVIDIA cuDNN をインストールしたディレクトリ」をもとに環境変数を設定する.

NVIDIA cuDNN をインストールしたディレクトリ」が C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v10.0 の場合には,次のように設定する.

パスの確認

次の操作により,cudnn64_7.dllパスが通っていることを確認する

Windowsコマンドプロンプトを開き,次のコマンドを実行する.エラーメッセージが出ないことを確認.

where cudnn64_7.dll

Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動します。 をコマンドで使いたいので,Visual Studio の x64 Native Tools コマンドプロンプトを起動.

起動は,Windows のメニューで「Visual Studio 20..」の下の「x64 Native Tools コマンドプロンプト (x64 Native Tools Command Prompt)」を選ぶ.「x64」は,64ビット版の意味である.

* 32ビット版のNative Tools コマンドプロンプト(例: x86 Native Tools)では、64ビット用CUDAツールキットの nvcc が正しく動作しない場合があります。

以下の操作は,この x64 Native Tools コマンドプロンプトで行います。

  • C++コンパイラ(cl.exe)へのパスが通っているか確認します。

    コマンドプロンプトで「where cl」を実行し、cl.exe のパスが表示されることを確認します。エラーメッセージが出る場合は、Visual Studio または Build Tools のインストールに問題がある可能性があります。

    where cl
    
  • nvccの動作確認用のサンプルコードを作成します。

    ここでは、NVIDIAのブログ記事 Easy Introduction to CUDA C and C++ に記載されている簡単なベクトル加算のコードを使用します。このコードは、CPUとGPUそれぞれでベクトル加算を行い、結果が一致するかを確認するものです。

    まず、作業ディレクトリに移動し、エディタ(ここではメモ帳 notepad)でソースファイル hello.cu を作成します。

    cd /d c:%HOMEPATH%
    notepad hello.cu
    

    その後,ファイルを編集し,ファイルを保存.

    エディタで hello.cuのようなファイル名で保存.

  • ビルドと実行.

    「nvcc hello.cu」で a.exe というファイルができる. 「Max error: 0.000000」と表示されればOK.

    うまく動かないときは,まず,マイクロソフト C++ ビルドツールの動作を,別ページの手順により確認し,異常があれば,マイクロソフト C++ ビルドツールのインストールなどで対処.それでも動かないときは,NVIDIA CUDA ツールキット 10.0 のインストールしたときの作業に間違いがなかったかを再確認.

    del a.exe
    nvcc hello.cu
    
    .\a.exe
    

    NVIDIA CUDA サンプルプログラムのビルドと実行

    付属のサンプルプログラムを Visual Studio Community 2019 の C++ を用いてビルドし実行してみる.

    前準備

    CUDA Samples にあるソースコードのビルド

    1. C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\CUDA Samples\v10.0 を開く
    2. 自分が持っている Visual Studio のバージョンにあった sln ファイル(ソリューションファイル)を開く. ここでは,ソリューションファイルを確認.Samples_vs2017.slnを開く.

      しばらく待つ

    3. ソリューションエクスプローラーの「ソリューション 'Sample_vs2019' (168プロジェクト)」をクリックすると,下にプロパティが表示されるので確認する.
    4. ビルドする前に、 右クリックメニューで、 「ソリューションの再ターゲット」を選ぶ.

      これは、SDK のバージョンに起因するエラーを回避するための操作

    5. 「ビルド」メニューを開き,「ソリューションのビルド」を選ぶ.
    6. 画面の下にあるコンソールを見て,ビルドの終了を確認.

      * ビルドの終了までしばらく待つこと.

    7. プログラムができる.いくつかを実行してみる.

      プログラムの場所は C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\CUDA Samples\v10.0\bin\win64\Debug

      devicequery.exe
      BicubicTexture.exe
      BilateralFilter
      stereoDisparity
      imageDenoising.exe, ノイズの除去(Image Denosing with knn, nlm, modified nlm filters)
      Volume Filtering